ツーリングバッグを探してみると、シートバッグやタンクバッグ、サイドバッグ、トップケースなど、さまざまな種類が見つかります。
容量が大きいものを選べば困らないようにも思えますが、バッグは大きくなるほど車体との相性が重要になります。タンデムシートからはみ出したり、乗り降りの邪魔になったり、サイドバッグがマフラーに近づいたりすることもあるためです。
ツーリングバッグは、入れたい荷物の量だけでなく、「どこに」「どうやって」取り付けるかまで考えて選ぶ必要があります。
この記事では、ツーリングバッグの種類ごとの特徴と、容量や固定方法、車体との相性を確認するポイントを紹介します。
ツーリングバッグは何を基準に選べばよい?
ツーリングバッグ選びでは、最初から商品を比較するより、使い方を整理することが先です。
まず考えたいのは、次の4点です。
- 何を入れるのか
- 日帰りか宿泊か
- 車体のどこへ取り付けるのか
- バッグをどのくらいの頻度で取り外すのか
同じ日帰りツーリングでも、財布と飲み物だけを持つ人と、レインウェアや防寒着、カメラまで持つ人では必要な容量が異なります。
宿泊先にバッグを持ち込むなら、車体から簡単に外せることも重要です。通勤や街乗りでも使う場合は、積載力より乗り降りのしやすさを優先したほうが使いやすいこともあります。
ツーリングバッグは「一番容量が大きいもの」ではなく、自分の荷物と車体に合うものを選ぶのが基本です。

ツーリングバッグの主な種類
ツーリングバッグには、大きく分けて次の種類があります。
| 種類 | 取り付け位置 | 向いている使い方 | 注意したい点 |
|---|---|---|---|
| シートバッグ | タンデムシート・リアキャリア | 日帰りから宿泊、キャンプ | シートの広さ、固定ベルト |
| タンクバッグ | 燃料タンク上部 | 財布、スマートフォンなど小物 | タンク素材、ハンドル操作、給油 |
| サイドバッグ | 車体後部の左右 | 宿泊、キャンプ、荷物の分散 | マフラーやタイヤとの距離 |
| トップケース | リアキャリア | 通勤、日帰り、宿泊 | キャリアの適合と積載上限 |
| バックパック | ライダーの背中 | 荷物が少ない街乗り・日帰り | 肩や背中への負担 |
| ウエストバッグ | ライダーの腰 | 貴重品やすぐ使う小物 | 容量が限られる |
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
シートバッグは幅広いツーリングに使いやすい
初めてツーリングバッグを購入するなら、シートバッグが有力な候補です。
タンデムシートやリアキャリアの上に載せ、付属のベルトなどで固定します。小型の日帰り用からキャンプ用品を収納できる大型タイプまで選択肢が多く、車種専用品だけでなく汎用品も豊富です。
体に背負わないため、バックパックより肩や背中への負担を抑えやすい点もメリットです。
タンデムシートの広さを確認する
シートバッグを選ぶ前に、バッグの底面がタンデムシートへ収まるか確認します。
特にスーパースポーツや一部のオフロードバイクは、後部座席が小さく、バッグの底面を安定して載せにくい場合があります。容量だけで選ぶと、バッグの左右が大きくはみ出したり、前方へずれて乗車スペースを狭めたりすることがあります。
バッグの商品ページに装着例が掲載されている場合は、自分のバイクやシート形状が近い車種を確認するとイメージしやすいでしょう。
小さなシートへ大型バッグを載せたい場合は、リアキャリアやバッグ用のサポートベースが必要になることもあります。
固定ベルトを取り付ける場所も必要
シートバッグは、バッグを載せられるだけでは取り付けられません。固定ベルトを通せる位置や、バックルを接続できる場所も必要です。
シート下へベルトを通すタイプなら、シートを外した状態でベルトが配線や可動部へ干渉しないか確認します。車体のフックへ固定する場合は、走行中に外れたり、ベルトが車体を傷つけたりしない位置を選びます。
タナックスも、シートバッグやサイドバッグの固定について、前後から八の字状に引っ張る方法を基本として案内しています。ただし、実際の固定方法はバッグと車種によって異なるため、製品の取扱説明書に従ってください。タナックス「プレートフック3」
タンクバッグは小物をすぐ取り出したい人向け
タンクバッグは、燃料タンクの上に取り付ける小型バッグです。
財布やスマートフォン、モバイルバッテリー、チケットなど、休憩時にすぐ使いたい物を収納するのに向いています。手元に近いため、シートバッグの奥から小物を探す手間がありません。
日帰りツーリングならタンクバッグだけで足りることもあります。大型バッグと組み合わせ、貴重品だけをタンクバッグに入れる使い方も便利です。

マグネット式はタンクの素材に注意
タンクバッグには、磁石で固定するマグネット式、ベルト式、専用リングへ接続するタイプなどがあります。
マグネット式は着脱しやすい一方、樹脂製カバーで覆われたタンクや磁石の付かない素材には使用できません。タンクの外観だけで判断せず、車体とバッグの適合を確認する必要があります。
磁石部分やタンク表面に砂などが付着したまま取り付けると、傷の原因になる場合もあります。装着前に接触面を確認しましょう。
ハンドル操作やメーターを妨げないか確認
タンクバッグが大きすぎると、ハンドルを切った際にスイッチ類へ触れたり、乗車姿勢を取りにくくなったりすることがあります。
装着後は、停車した状態でハンドルを左右いっぱいまで動かし、バッグとハンドル、スイッチ、メーターが干渉しないか確認します。
給油口の上に装着するバッグでは、給油のたびに取り外す必要があるかどうかも使い勝手を左右します。
サイドバッグは積載量を増やしやすい
サイドバッグは、車体後部の左右に取り付けるバッグです。サドルバッグやパニアバッグと呼ばれることもあります。
車体上部へ荷物を高く積み上げずに容量を増やせるため、宿泊ツーリングやキャンプツーリングに向いています。左右へ荷物を分けられるため、片側に着替え、反対側に雨具や用品といった整理もしやすいでしょう。
一方で、車体側面へ取り付けるため、シートバッグ以上に周囲との干渉を確認する必要があります。

マフラーから十分に離せるか確認する
サイドバッグを選ぶときに特に注意したいのが、マフラーとの位置関係です。
バッグがマフラーや排気口に近いと、熱や排気の影響を受ける可能性があります。停車時には離れて見えても、荷物を入れた状態や走行中の振動によってバッグが下がることも考えられます。
マフラー側だけ容量の小さいバッグを使う製品や、左右で高さを変えた製品もあります。車体に合わせたサイドバッグサポートや巻き込み防止バーが必要な場合もあるため、購入前に適合を確認しましょう。
デイトナのサドルバッグでも、製品によってはサポートや巻き込み防止バーとの同時装着が指定されています。デイトナ「DHS-22 サドルバッグ」
タイヤやサスペンションへの巻き込みにも注意
サイドバッグの内側が、タイヤやチェーン、サスペンションなどに触れないことも重要です。
空の状態では問題がなくても、荷物の重さや振動で形が崩れると内側へ入り込む場合があります。柔らかいソフトバッグでは、サイドバッグサポートを利用すると位置を保ちやすくなります。
取り付け後は車体を直立させ、荷物を入れた状態で確認しましょう。
トップケースは着脱と施錠のしやすさが特徴
トップケースは、リアキャリアにベースプレートなどを取り付け、その上へ固定する箱型のケースです。
製品によっては鍵をかけられ、車体から簡単に着脱できます。通勤や買い物、日帰りツーリングなど、頻繁に荷物を出し入れする使い方に向いています。
ソフトバッグより形が崩れにくく、荷物を収納しやすい点も特徴です。ただし、装着には車種に適合するキャリアやベースプレートが必要になることがあります。

ケースだけでなくキャリアの適合も確認する
トップケースは、ケース本体だけを購入しても装着できない場合があります。
確認したいのは、次の項目です。
- 車種に対応するリアキャリアがあるか
- ケースとベースプレートが組み合わせられるか
- キャリアやケースの最大積載重量
- ケースを装着した状態でシートを開閉できるか
- タンデムする人のスペースを妨げないか
容量が大きなケースでも、好きなだけ荷物を入れられるわけではありません。ケース、ベースプレート、キャリア、車両にはそれぞれ積載に関する指定があります。最も条件の厳しい部分を超えないよう、各取扱説明書を確認しましょう。
ハードケースでも完全防水とは限らない
箱型のトップケースは雨に強そうに見えますが、すべての製品が完全防水を保証しているとは限りません。
雨天走行を想定するなら、製品の防水・防滴性能を確認したうえで、濡らしたくない衣類や電子機器は防水袋へ入れておくと安心です。
バックパックは手軽だが長距離では負担になりやすい
バックパックは車体へ取り付ける作業がなく、バイクを降りたあともそのまま持ち運べます。レンタルバイクや複数のバイクを使い分ける人にも向いています。
ただし、荷物の重さをライダー自身が支えるため、長時間の走行では肩や背中が疲れやすくなることがあります。風を受ける面積が増えたり、背中が蒸れたりすることもあります。
バックパックを使うなら、荷物を必要最小限にし、胸や腰のベルトで位置を安定させることがポイントです。
硬い物や角のある物を背中側へ入れると、着用感が悪くなるだけでなく、転倒時に体へ影響する可能性もあります。収納位置にも注意しましょう。
ウエストバッグは貴重品の収納に便利
ウエストバッグは、財布や鍵、スマートフォンなどを持ち歩くのに向いています。
容量は限られますが、休憩時に貴重品を持ってバイクを離れやすく、グローブをしたままでも開閉しやすい製品があります。シートバッグやトップケースと組み合わせるサブバッグとして便利です。
選ぶ際は、乗車姿勢でタンクやシートへ当たらないか確認します。ベルトの余りが長く垂れないよう、固定できる構造かどうかも見ておきましょう。
ツーリングバッグの容量は荷物を決めてから選ぶ
ツーリングバッグの容量は「日帰りだから何L」と一律に決められるものではありません。
荷物の量は、季節や天候、宿泊方法によって変わります。夏の日帰りなら小型バッグで収まっても、防寒着を持つ春や秋は同じ容量では足りないことがあります。
容量を決めるときは、購入前に持っていく物を並べてみるのが確実です。
日帰りツーリング
日帰りでは、レインウェア、飲み物、財布、モバイルバッテリー、タオルなどが中心です。
荷物が少なければタンクバッグや小型シートバッグでも対応できます。帰りにお土産を買う予定があるなら、容量を拡張できるタイプや、少し余裕のあるバッグが使いやすいでしょう。

1泊程度の宿泊ツーリング
着替えや洗面用品が加わるため、中型のシートバッグやトップケースが候補になります。
宿泊施設へバッグを持ち込む場合は、容量だけでなく車体から外しやすいか、持ち運び用のハンドルやショルダーベルトがあるかも確認しましょう。
キャンプツーリング
テントや寝袋、調理用品などを積むキャンプツーリングでは、大型シートバッグやサイドバッグを組み合わせる方法があります。
ただし、容量が増えるほど積載重量も増えます。大きなバッグひとつへ詰め込むのではなく、車体の左右や前後へ荷物を分けたほうが固定しやすい場合もあります。
容量の数値だけで判断せず、実際に持っていく道具の収納サイズも確認しましょう。
容量以外に確認したい5つのポイント
ツーリングバッグの使いやすさは、容量だけでは決まりません。
防水性
防水素材を使った製品、縫い目を熱圧着した製品、レインカバーをかける製品など、雨への対応方法はさまざまです。
「防水」「防滴」「撥水」は同じ意味ではありません。どの程度の雨を想定しているのか、ファスナーや開口部はどのような構造なのかを確認します。
レインカバーは手軽ですが、走行風でばたついたり、底面から水が入り込んだりすることもあります。電子機器や着替えは、バッグの性能にかかわらず個別の防水袋へ入れておくと対応しやすいでしょう。
バッグの開き方
上蓋が大きく開くタイプは荷物をまとめて出し入れしやすく、側面から開くタイプは下に入れた物へアクセスしやすい傾向があります。
ただし、開口部の上に別の荷物を固定すると、バッグを開けるたびに荷物を外すことになります。実際の積み方を想定して選びましょう。
取り外した後の持ち運びやすさ
宿泊先や観光地でバッグを外すなら、ハンドルやショルダーベルトがあると便利です。
トップケースのようにワンタッチで取り外せるタイプもあれば、複数の固定ベルトを外す必要があるバッグもあります。頻繁に着脱する人は、固定の確実さと着脱の手間のバランスを見ましょう。
盗難への備え
ソフトバッグは生地やファスナーを破られる可能性があるため、鍵を付けても完全な盗難防止にはなりません。
バイクから長時間離れるときは、財布やカメラなどの貴重品をバッグに残さないことが基本です。ケースに施錠できる場合でも、車体ごと移動される可能性まで含めれば絶対に安全とはいえません。
拡張機能
ファスナーなどで容量を増やせるバッグは、お土産や防寒着が増えたときに便利です。
一方、拡張するとバッグの横幅や高さが変わります。通常時には問題がなくても、拡張後に乗車スペースや灯火類へ干渉する可能性があります。最大サイズの状態でも安全に装着できるか確認しましょう。
バッグを購入する前に車体側を確認する
バッグ選びで起こりやすい失敗は、商品だけを見て購入してしまうことです。
購入前に、愛車の次の部分を確認しましょう。
- タンデムシートやキャリアの寸法
- 固定ベルトを通せる場所
- マフラーと排気口の位置
- タイヤ、チェーン、サスペンションとの距離
- ウインカーやテールランプの位置
- タンクの素材と給油口の位置
- 車両やキャリアの積載に関する指定
- タンデムや乗り降りへの影響
バッグの寸法は外寸だけでなく、底面の大きさも重要です。高さのあるバッグでは、乗車時に足を大きく上げなければならないこともあります。
可能であれば、用品店で現物を確認したり、メーカーが公開している装着画像や適合情報を見たりして判断しましょう。
取り付けたら出発前に必ず確認する
ツーリングバッグは、一度固定すれば終わりではありません。
荷物を入れた状態で車体を揺らし、バッグが大きく動かないか確認します。余ったベルトは走行風でなびかないようまとめ、タイヤやチェーンへ届かない位置に固定します。
出発前に確認したいのは、次の点です。
- バッグを前後左右へ動かしても大きくずれない
- ベルトやひもが垂れていない
- タイヤやチェーン、マフラーに触れていない
- ウインカーやテールランプ、ナンバープレートを隠していない
- ハンドルとペダルを問題なく操作できる
- 乗り降りを妨げない
- バッグやキャリアの積載上限を超えていない
走行を始めると、振動によってベルトが緩むことがあります。最初の休憩時にも固定状態を確認し、その後も必要に応じて締め直しましょう。
具体的な積み方や荷物の配置については、別記事「バイクに荷物を積載する方法」で詳しく扱います。
初めてならシートバッグを基準に考える
どのバッグを選ぶべきか迷った場合は、まずシートバッグを基準に考えると選びやすくなります。
日帰りから宿泊まで容量の選択肢が多く、多くの車種で取り付けを検討できます。財布などの小物をすぐ取り出したい場合はタンクバッグ、さらに容量を増やしたい場合はサイドバッグを追加する流れです。
通勤や買い物でも日常的に使い、施錠や着脱のしやすさを重視するなら、トップケースが向いていることもあります。
大切なのは、バッグの種類をひとつに絞ることではありません。用途によって小型バッグを使い分けたり、複数のバッグへ荷物を分けたりする方法もあります。
まとめ
ツーリングバッグは、容量だけでなく、取り付け位置と車体との相性から選ぶことが重要です。
初めて購入するなら、幅広い用途に使えるシートバッグが候補になります。すぐ取り出したい小物にはタンクバッグ、積載量を増やしたい場合はサイドバッグ、通勤や日常使いも重視するならトップケースが使いやすいでしょう。
購入前には、タンデムシートの広さや固定ベルトの位置、マフラー、タイヤ、灯火類との距離を確認します。取り付け後は荷物を入れた状態でバッグを揺らし、固定の緩みやベルトの垂れがないか点検してください。
見た目や容量だけで決めず、自分の荷物とバイクの両方に合ったバッグを選ぶことが、ツーリングを快適に楽しむためのポイントです。
FAQ
日帰りツーリングには何Lのバッグが必要ですか?
必要な容量は、持ち物や季節によって異なります。まずはレインウェアや飲み物、財布など、実際に持っていく物を並べてから選びましょう。お土産を入れる予定がある場合は、少し余裕を持たせるか、容量を拡張できるバッグが便利です。
初心者にはどのツーリングバッグがおすすめですか?
タンデムシートへ安定して取り付けられる車種なら、シートバッグが選びやすいでしょう。容量の選択肢が多く、体に背負わず荷物を運べます。ただし、購入前にシートの大きさと固定方法を確認する必要があります。
タンクバッグはどのバイクにも取り付けられますか?
固定方法によって異なります。マグネット式はタンクの素材や形状によって使用できない場合があります。ベルト式や専用リング式も含め、自分の車種への適合と、ハンドル操作や給油口への干渉を確認してください。
サイドバッグにはサポートが必要ですか?
バッグと車種によっては、巻き込みやマフラーへの接触を防ぐためにサイドバッグサポートが必要です。バッグだけで判断せず、メーカーの適合情報や取扱説明書を確認しましょう。
ツーリングバッグは完全防水ですか?
製品によって異なります。防水素材を使っていても、ファスナーや縫い目から水が入る場合があります。「防水」「防滴」「撥水」の表示と製品の構造を確認し、濡らしたくない物は防水袋へ入れておくとよいでしょう。
シートバッグを付けたままタンデムできますか?
バッグの大きさや取り付け位置によっては、タンデムする人の座る場所や乗り降りを妨げます。タンデムを予定している場合は、リアキャリアやサイドバッグなど、後部座席を空けられる積載方法も検討しましょう。






