
フルカウルスポーツモデルであるYZF-R25と共通の車体やエンジンを持ちながら、アップライトなポジションによって市街地やツーリングで扱いやすいMT-25。その各部をアップデートした2025年モデルのパッケージ仕様車についてインプレッションしよう!
TEST RIDER:横田和彦/PHOTO:関野 温
スポーツモデルと同等の動力性能を誇るストリートファイター系ネイキッド
気持ちよく吹け上がる直列2気筒エンジンを軽量なスチール製ダイヤモンドフレームに搭載したMT-25が初めてデビューしたのは2015年。以降、倒立フォークの採用やフェイスデザインの一新といったモデルチェンジを繰り返して進化を続けてきた。
MTシリーズのエントリーモデルと位置付けられているが、近未来感あるスタイリングや軽快な走りは幅広いスキルのライダーに受け入れられるもの。そして細部を磨き上げた2025年モデルをベースに、ツーリングユースに最適な純正アイテム5点を標準装備としたパッケージ仕様車「MT-25 ツーリング」が設定された。


標準装備されたアイテムは「ツーリングスクリーン」「ナックルガード」、ナックルガードに貼る「グラフィックシール」

「クイックシフトキット」「シートバッグS」の5点だ。

さらに今回の試乗車には、シート高が約14mm下がる「ローシート」を装着している。

それによって足つき性はかなり向上。身長165cmと小柄な上に足が短いボクでもほぼ両足が届く。160cm後半であれば確実にベタ付きになるだろう。

シートが低くなっているため相対的にハンドルやステップが高く感じられ、ノーマルよりも少し上体が起きたポジションになる。

熟成が図られ、ストリートでの使い勝手がさらに向上!
セルボタンを押すとすぐに直列2気筒エンジンが目を覚まし、リズミカルなアイドリングを刻む。アクセルを開けると軽快に吹け上がる。
クラッチを握った瞬間、レバー操作が軽くなっていることに気付く。決して前のモデルが重かったわけではないが、最新モデルはひとクラス下のバイクのようだ。

これは新たに採用されたアシスト&スリッパークラッチの効果。レバー操作を軽くすると同時に、急激なエンジンブレーキがかかったときにリヤタイヤがホッピングする(跳ねる)ことを抑制するシステム。

それによって信号や混雑した幹線道路でストップ・アンド・ゴーを繰り返すときの負担が大幅に低減される。非常に実用的でライダーにメリットがあるシステムだといえるだろう。

また青信号でスタートして加速していくとき、アクセルを戻さずクラッチレバーを握ることなくシフトアップしていけるクイックシフトも、レバー操作の負担を軽減してくれるお役立ち装備。頻繁にシフトチェンジする街中ではもちろん、ロングツーリングのときの疲れにも差が出そうだ。
軽快なハンドリングでストリートをキビキビと抜けていく!

同クラスのフルカウルスポーツよりも軽量な車体と低回転域からなめらかにトルクが生み出される直列2気筒エンジン、さらにアップライトなポジションとの組み合わせで、市街地を軽快に駆け抜けられるMT-25。倒立フォークやモノクロスサスペンションは路面の凹凸をしなやかに吸収し、スポーツバイク譲りの大径フローティングディスクはタッチが良くスピードコントロールしやすい特性。ライダーが思う通りに走らせられるため、混みあった幹線道路であっても非常に快適に走り抜けられる。

また駅前やショッピングモールなどで駐車場へ出し入れするときも、250ccならではのコンパクトな車体であれば負担になりにくい。ハンドル位置が高いので力を入れやすく、ちょっとした段差を押して越えるのもさほど苦労しない。

この気軽さは強い武器。毎日の通勤・通学や買い物など、日常的な使い方するにも不自由さを感じない。250ccネイキッドモデルの特権ともいえるだろう。

週末はちょっと郊外まで。そんなニーズにも柔軟に対応する。

今回、試乗したMT-25は、ツーリングを快適にこなせるオプションパーツが標準装備されているモデル。せっかくなので郊外まで足を伸ばしてみた。
ネイキッドで高速道路を走るときに感じる風圧を、大型のツーリングスクリーンがうまく逃がしてくれることを体感。長距離移動のときは疲れに差が出そうだ。視界もクリアでストレスはない。

ナックルガードも効果あり。これは寒い時期にも助かる装備だ。またレバーガード的な役割もあるので、万一立ち転けしたときなどにレバーを破損しにくくさせる効果もあるのが嬉しい。
ツーリングバッグは1泊くらいの荷物なら余裕で収納できそう。外側にドリンクホルダーや取り出しやすい小物入れがあるのもイイ。サービスエリアで停まったときに便利に使える。



細い小路に入ってトコトコと走り、景色の良いところでストップ。そんな気軽な旅が楽しめるのも250ネイキッドの良さだ。

郊外でちょっとしたワインディングに遭遇したとき、MT-25が持つ軽快なフットワークが走りを盛り上げてくれる。これもバイク旅の楽しみのひとつ。記憶に残るシーンが多いというのも良い。

街中からロングツーリングまで。マルチに使えるオールラウンダー!

なめらかなで伸びが良いフィーリングの直列2気筒エンジンと、路面からのショックをうまく吸収してくれるサスペンション、そしてアップライトなポジションに充実した装備類。MT-25ツーリングは、毎日の移動から峠道でのスポーティな走り、そして記憶に残る長旅までカバーしてくれる存在。
「バイクでいろいろなことをしてみたい!」と考える人は、ぜひ候補に入れてもらいたいバイクのひとつである。


今回、試乗で使った快適なアイテムをご紹介。スモークのサンバイザーを内蔵したフルフェイスヘルメット(ワイズギア・YF-9 ZENITH ピンストライプ)はツーリングユースに最適。肩、肘、背中にソフトプロテクターを内蔵したジャケット(RY1002 メッシュジャケット)は、暑い季節のライディングを安全・快適にしてくれる。MTシリーズに似合うスポーティなデザインのグローブ(YL4003 スポーツレザーグローブ)は、スムーズな動きとプロテクション効果を両立。

ピックアップポイント











(編集協力:ヤマハ発動機販売株式会社)








