新型モンスター+(プラス)をベイサイドでじっくりと走らせた。アグレッシブな見た目だが、乗ってみれば驚くほどフレンドリー。その一方で、アクセルを大きく開ければ “モンスター” の名にふさわしい力強さが顔をのぞかせる。日常のすぐ隣でさまざまなフィーリングを楽しめる “身近なドゥカティ” と過ごした時間は、心に染みるものだった。
Impression:横田和彦 Photo:関野 温
モンスターの名とは裏腹に、気軽に走り出せる相棒。
1993年の初代登場以来、スポーツネイキッドというカテゴリーを象徴する存在であり続けてきたモンスターシリーズ。30年以上経った現行モデルも、その姿をひと目見れば “モンスター” だとわかるデザインを持っている。

駐車場に佇む新型モンスター+(プラス)にまたがり、セルボタンを押すと、新設計のV2エンジンが力強く脈打ち始める。
軽いクラッチをつなぎ、休日で閑散としたビル街を抜ける道を走り出した。すぐに感じたのは、アグレッシブなスタイルながら扱いやすく、車体との一体感をつかみやすいこと。
車体はスリムで足着きもいい。ハンドルがやや遠めなので、わずかに前傾になるが、それもモンスターらしいポジションだと思える

低〜中回転域ではアクセルに対する反応も素直で、混んだ幹線道路であっても余計な気を遣わずに走れる。これは良い意味で裏切られた印象。というのも、ひと昔前のドゥカティには、ライダーがバイクに合わせにいくような感覚があるモデルがあったからだ。
しかしこのモンスター+にはそれがほとんどない。それでいて信号待ちでは、V2らしい鼓動がしっかりと身体に伝わってくるなど、ドゥカティらしさが随所から感じ取れる。

もうひとつ、街中で意外に感じたのは、エンジンから伝わる熱の少なさだ。シリンダーがライダーに近い位置にくるV型やL型エンジンでは、内ももにかなりの熱量を感じることが珍しくない。しかし新型モンスター+ではそれがほとんど気にならず、信号待ちや低速走行でも想像以上に快適だ。ラジエターを縦方向に拡大し、ガソリンタンク下にエアベント構造を備えたヒートシールドを装備した効果であろう。これは気温の高い時期に市街地を走る機会が多いライダーにはうれしい改善といえる。

平日とは異なり、人影がほとんどないビジネス街を抜け高速道路へ向かう。
冷静に考えれば、1人しか乗っていないバイクで高速道路を利用するというのは決してコスパは良くない。しかし今の自分は、社会や家庭から離れてモンスター+と一緒の時間を満喫するためなら、ある程度のコストをかけても構わないと考え、躊躇うことなく高速へのランプを駆け上がった。
あらゆるシーンで体感できる、軽量・コンパクトならではのフィーリング
ベイサイド近くのインターチェンジを降りて港の方へ向かう。高層ビルや高架道路の中を走っていると、あらためてこのモンスター+がコンパクトにまとまっていることを実感。歴代のモンスターの中には大柄に感じるモデルもあったが、新型は全体がギュッと引き締まった印象だ。

筋肉質なガソリンタンクからシート、短いテールへと続く独特のシルエットは、世代が変わってもひと目でモンスターだと分かるもの。カウルがないためよく見える、エンジン周辺の緻密なメカニカルさとの対比も、初代モデルから継承されている部分だ。
イタリアの感性が生んだ優れたモンスターのデザインは、常にネイキッド界の先端をいくものだと感じられるものだ。




サスペンションもむやみに硬いわけではない。ストリートを見据えたセッティングが施されているので、荒れた路面であってもきちんと動いて衝撃を吸収する。またがるとスッと沈み込むことも、足着きの良さにつながっているのだろう。スポーティなルックスだが、実際はかなり親しみやすいフィーリングなのだ。



無心でモンスター+を走らせて、お気に入りのビューポイントに到着。
人が造り出した壮大な景色は何度見ても飽きない。爽やかな青空の下、最高のリフレッシュ時間になる。この季節のバイクは本当に楽しい。
コーナーリングも痛快なキャラクター
高架へ続くカーブに差し掛かったとき、少し強めにフロントブレーキをかける。ノーズは素直に沈み、そのまま自然に旋回へと入っていく。新型モンスター+は先代から4kg軽量化され、装備重量は燃料を除いて175kgだ。この数字は、減速から旋回へ移る一連の動きにも確実に効いている。
ハンドリングは軽いが、決して軽薄ではない。タイヤから伝わってくる適度な手応えを残しながらバンク角を維持し、ねらったラインをトレースしていく感覚。街中のカーブや交差点を抜けただけでもドゥカティらしさを失っていないことが理解できる。

このとき、過去にドゥカティのスポーツモデルをワインディングへ持ち込んだときのことを思い出した。バイクとの呼吸があえばスパッと切り込むように曲がっていくのだが、そこまで仲良くなるのにはそれなりに時間がかかった記憶がある。操作手順、フォーム、各部のセッティング。それらを細かく追求して自分にマッチしたバイクにしていく行為はマニアックな楽しみではある。
だが新型モンスター+はそこまで身構えなくても、ライダーの意思に沿って自然に走ってくれる。だからといって奥行きが浅いわけではない。ペースを上げれば、経験のあるライダーほど車体の素性の良さを引き出せる懐の深さを持っている。



ドゥカティの “鼓動” を全身で受け止める

港を見渡せる静かな場所で少し休み、再び走り出す。
低回転域では滑らかに回るV2エンジンも、アクセルを開けると表情が変わってくる。といってもアクセルを開けた瞬間にドンッと前へ飛び出てしまうような怖さはない。
常にライダーのコントロール下に置いておけるという安心感もある。そのあたりの設定は絶妙だ。背景に高度な電子制御システムの存在がある。4つのライディングモードやクイックシフターなどの電子制御も充実しているが、介入を強く意識させず、ライダーが自然に操作できるよう影で支えている感覚だ。




また昔のドゥカティにありがちだったパワーユニットからのメカニカルノイズもかなり減少した印象。それでも、アクセルを大きく開ければ大きくなる吸気サウンドに呼応するように図太いトルクが生み出され、車体がグイグイと押し出される。街中では容易にワイドオープンできないほどの力強さで、さすがドゥカティと思わせてくれる。
こちらが優しく操作していればおとなしいが、ライダーが『今だっ!』と思った瞬間にはしっかりと“モンスター”になる。その二面性が最高にオモシロイ。


短時間でも充実したバイク時間が過ごせるキャラクター
混雑したメインストリートを避けて、少し細い路地に入ってみる。ここは駐車車両や歩行者に注意するポイント。突然、海外からの観光客が飛び出してくることも珍しくない。
歴史ある建築物を横目に、アイドリング+α程度の回転数でゆっくりと走る。それが無理なくこなせるのも新型モンスター+の良いところだ。

今日はモンスター+と走る。そう決めて家を出て半日が過ぎた。
その間、仕事や家庭の人間関係から離れて走り続けた結果、エンジンの力強い鼓動や風切り音、路面からの振動、そしてベイサイドの潮風が気持ちをリフレッシュしてくれた。


決して長い時間ではなかったが、満足感は十分だ。それは相棒がモンスター+だったからにほかならない。市街地では気軽に走れ、荒れた路面を通過するときも不自然な挙動を起こさない。前が開けたところではドゥカティらしい加速感を体感させてくれて、コーナーリングもスポーティにこなす。
スポーツバイクとしての目線で見ても、一般的なネイキッドとは一線を画したものに仕上がっている感がある。国産ネイキッドを乗り継いできたが、次は少し違った世界に踏み出してみたい。そんなライダーにとっても、新型モンスター+なら無理なくドゥカティの世界へ入っていけると感じた。

新型モンスター+にまたがり、夕暮れのベイサイドを眺めながら缶コーヒーを飲む。出発したときよりも遥かに晴れやかな気分になっていることを自覚する。
もう少し遠回りしたい気持ちもあるが、家族のもとへ戻りたいという欲求も生まれている。
ちょっと考えたが、満足したことを再認識すると「帰ろう」と決めた。
V2エンジンを始動し、リズミカルな鼓動を体感しながらヘルメットを被った。
抽選で5名様に!ドゥカティの【Redline P3 ヘルメットバッグ】をプレゼント

ドゥカティ モンスター+の記事公開を記念して、ドゥカティ純正の「Redline P3 ヘルメットバッグ」を抽選で5名様にプレゼント!
ブラックにレッドのアクセントを効かせたデザインが魅力のヘルメットバッグは、ほとんどのヘルメットに対応する大容量タイプ。取り外し可能なショルダーストラップや、フリース裏地付きのシールドケースも付属する。




SPECIFICATION
モデル名:MONSTER+(モンスター プラス)
エンジン型式:ドゥカティV2エンジン:90°V2、気筒あたり4バルブ、インテーク可変バルブ・タイミング・システム、水冷
排気量:890cc
ボア×ストローク:96×61.5(mm)
最高出力:111PS(81.6 kW)/ 9,000 rpm
最大トルク:91.1Nm(9.3kgm)/7,250 rpm
システム:電子燃料噴射システム、フル・ライド・バイ・ワイヤ・システム
エキゾースト:2-1-2システム
トランスミッション:6速(ドゥカティ・クイック・シフト・アップ/ダウン2.0)
クラッチ:油圧式、湿式多板、セルフサーボ/スリッパークラッチ、セルフ・ブリーディング・マスター・シリンダー
フレーム:アルミニウム製モノコック
フロントサスペンション:43mm径 ショーワ製倒立フォーク
リアサスペンション:ショーワ製モノショック、プリロード調整式
スイングアーム:アルミニウム製両持ち式
ホイールトラベル(フロント/リア):130 mm / 145 mm
フロントブレーキ:φ320mmセミフローティング・ダブルディスク、ブレンボ製ラジアルマウント・モノブロックM4.32 4ピストンキャリパー、ラジアルマスター
リアブレーキ:φ245mmディスク、2ピストンキャリパー
タイヤ(F/R):ピレリ DIABLO ROSSO IV 120/70 ZR17・ピレリ DIABLO ROSSO IV 180/55 ZR17
装備重量(燃料を除く):175 kg
シート高:775 mm
ホイールベース:1,492 mm
キャスター角:23.3°
トレール:92mm
燃料タンク容量:14 リットル
電子制御・安全装備:ライディングモード、パワーモード、ドゥカティ・トラクション・コントロール(DTC)、ドゥカティ・ウィリー・コントロール(DWC)、エンジン・ブレーキ・コントロール(EBC)、ボッシュ製コーナリングABS、ドゥカティ・ブレーキ・ライト(DBL)、オート・タイヤ・キャリブレーション
メーカー希望小売価格:169万円(税込)
(編集協力:ドゥカティジャパン株式会社)








