ハイビームは視界が遠方まで確保しやすくなるため、夜間走行で心強い装備とされています。しかし、多用すると道路交通法違反と見なされるおそれがあります。
ハイビームつけっぱなしは、明確な違反行為

ヘッドライトの機能は、大きく分けて「ハイビーム」と「ロービーム」の2種類に分けられます。
特に、ハイビームは前方を広く照らすことができるため、夜間走行で心強い装備とされています。
しかし、ハイビームを多用しすぎると、交通違反になるおそれがあるのを知っているでしょうか。
これは、道路交通法第52条によって以下のように定められているためです。
「車両等が、夜間、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない」
この条文により、ハイビームを長時間照射し続けて対向車を眩惑させた場合は、「減光等義務違反」に該当するおそれがあるとされています。
もしも減光等義務違反と見なされると、普通車の場合は違反点数1点に加えて6000円の反則金が科せられます。
さらに、警察庁が示す「交通の方法に関する教則」では、暗い道路では前照灯をハイビームに切り替え、歩行者や障害物を早期に発見するよう推奨しています。
ただし、対向車と行き違うときや前走車の直後を通行するとき、また交通量の多い市街地を走る場合は、ロービームに減光しなければならないとも記載されています。
つまり、ハイビームは必要な場面でこまめに使い分けることが前提で、必要に応じて適切に使い分けることが求められるということです。
対向車とすれ違う際はロービームに切り替える必要がある

ライトが上向きになるハイビームとは異なり、ロービームは、対向車や前走車を眩惑しないよう上方向の光がカットされた配光を採る仕組みです。
JAFが公開するヘッドライト使用ガイドによると、夜間は本来ハイビームが基本とされるものの、前走車の直後を走るときや対向車とすれ違う場面、市街地で交通量が多い状況ではロービームへの切り替えが適切とされています。
加えて、前走車のリヤウインドーやサイドミラーを直射すると、ドライバーの視界を奪うおそれがあります。
対向車にとっても、強い光は交通事故の誘因になりかねません。
さらに、市街地では街灯や店舗照明が豊富です。
そのため、遠方照射の必要性が低く、ハイビームを維持すると歩行者や自転車を眩惑させるおそれが高まるとも考えられます。
また、ロービームの光軸がずれて上向きになると本来の効果が失われるため、定期的な光軸チェックやレベライザー調整も推奨されているようです。
夜間走行では状況に応じてハイ・ローをこまめに切り替え、ロービームを使うべきタイミングを把握することで、周囲への眩惑を防ぎつつ安全な視界を確保できるとされています。
なお、近年の車両にはハイ・ロービームの自動切替機能が搭載されている場合もありますが、すべての状況に完全対応できるわけではありません。
例えば、道路の照明条件や対向車の存在を正しく認識できないこともあるため、必要に応じてドライバーが手動で切り替える判断を行うことが重要です。
まとめ
一般的に、夜間は昼間に比べて視界が狭まり、路面状況や歩行者の発見が遅れがちになります。
そのため、ヘッドライトやテールランプを正常な状態に保ち、状況に応じてロービームとハイビームを切り替えることが重要です。
さらに、対向車や前走車がいる場面で減光を忘れると眩惑を招き、思わぬ事故の引き金となるかもしれません。
街灯の少ない道ではハイビームを活用し、交差点付近や住宅街では早めにロービームへ戻すなど、こまめな操作が求められます。
灯火類を正しく使いながら速度を控えめに保ち、十分な車間距離を取って、夜間でも安全走行を心掛けましょう。








