真夏にジャケットを着てバイクに乗る姿を見て、「半袖のほうが涼しいのでは」と思ったことはないでしょうか。
バイクを降りた直後なら、肌を出した服装のほうが涼しく感じられます。しかし、走行中は強い日差しや路面からの照り返しを受けるうえ、転倒時には露出した部分を守れません。虫や小石などが当たることも考えられます。
夏のツーリングで大切なのは、単純に薄着にすることではありません。風を通すウェアを選び、肌を覆いながら衣服の中に熱をためにくくすることです。
今回は、メッシュジャケットの下に着るインナーからパンツ、グローブ、シューズまで、夏のバイクツーリングに適した服装を紹介します。
夏のバイクツーリングでも半袖を避けたい理由
気温の高い日に長袖のジャケットを着ると、停車中は暑く感じます。それでも、ツーリングでは半袖よりも、通気性のある長袖のライディングウェアが適しています。
理由のひとつは、転倒時に肌が直接路面へ触れるのを避けるためです。半袖では腕が露出するため、擦過傷などの被害を抑えにくくなります。
また、走行中は長時間にわたって日差しを受け続けます。半袖は風を直接受けられる一方で、日焼けや直射日光の影響を受けやすい服装でもあります。
警察庁も、二輪車に乗るときは体の露出がなるべく少ない服装を選び、プロテクターを着用するよう呼びかけています。
夏は長袖を我慢して着るのではなく、風を通す夏用ウェアを選ぶことがポイントです。
夏の上着はメッシュジャケットが基本
夏用のライディングウェアとして選びやすいのが、通気性を重視したメッシュジャケットです。
生地の一部または大部分が網目状になっており、走行風を衣服の中へ取り込みやすい構造になっています。肩や肘、背中などにプロテクターを装着できる製品も多く、通気性と体の保護を両立しやすいのが特徴です。
ただし、メッシュジャケットなら何を選んでも同じではありません。使う時期や走る場所によって、適したタイプが変わります。

真夏が中心ならフルメッシュジャケット
フルメッシュジャケットは、広い範囲にメッシュ素材を使ったタイプです。走行中に風を取り込みやすく、気温の高い時期に向いています。
一方、早朝や日没後、標高の高い場所では、風を通しすぎて寒く感じる場合があります。気温差の大きいルートでは、薄手の防風インナーやレインウェアを携帯しておくと調整しやすくなります。
春から秋まで使うなら部分メッシュも候補
部分メッシュジャケットは、胸元や腕など必要な場所にメッシュ素材を配置し、そのほかの部分には通常の生地を使ったタイプです。
フルメッシュほど風を通さない製品もありますが、気温が少し下がった時期まで使いやすいのが利点です。真夏だけでなく、春や秋口にも着たい人は候補にできます。
製品によってメッシュ部分の広さやベンチレーションの構造は異なるため、商品名だけで判断せず、生地や通気口の位置を確認しましょう。
プロテクターの位置とフィット感も確認する
夏用ジャケットを選ぶ際は、涼しさだけでなくプロテクターの有無も確認します。
主な装着位置は、肩、肘、背中、胸部です。ただし、標準で装備されている場所やプロテクターの種類は製品によって異なります。胸部プロテクターが別売りになっていることもあります。
サイズが大きすぎると、乗車姿勢を取った際に肩や肘のプロテクターがずれる可能性があります。反対に、小さすぎると腕や肩を動かしにくくなり、走行中の負担につながります。
試着するときは直立した状態だけでなく、ハンドルを握るように腕を前へ伸ばしてみましょう。肘を曲げた状態で窮屈ではないか、プロテクターが守りたい位置から外れていないかを確認できます。
メッシュジャケットの下には何を着る?
メッシュジャケットの通気性を生かすには、その下に着るインナーも重要です。
夏のツーリングでは、汗を吸い、乾きやすい吸汗速乾タイプのインナーが使いやすいでしょう。汗で衣服が肌に張り付く不快感を抑えやすく、休憩中の冷え対策にもつながります。
綿素材のTシャツは普段着として使いやすい一方、汗を多く吸うと乾くまで時間がかかることがあります。長時間走る場合は、スポーツ用やライディング用のインナーも候補になります。
半袖と長袖はどちらがよい?
メッシュジャケットの下は、半袖と長袖のどちらも選べます。
半袖は腕まわりがすっきりしますが、汗をかいた腕にジャケットの裏地が張り付く場合があります。長袖のインナーは、肌とジャケットの間に一枚入るため、汗を吸収しやすく、ジャケットの着脱もスムーズです。
日差しの当たり方や肌触り、汗のかき方には個人差があります。迷った場合は、吸汗速乾性のある薄手の長袖インナーから試すとよいでしょう。
冷感インナーは特徴を確認して選ぶ
夏用インナーには、接触冷感や気化熱を利用する製品もあります。
ただし、冷感インナーを着れば、停車中も常に涼しいとは限りません。汗を吸って乾く過程や、走行風を受けることで涼しく感じやすい製品もあります。
冷たさだけで選ばず、速乾性や締め付け、肌触りも確認しましょう。体に密着するタイプが苦手な人は、少しゆとりのある速乾インナーも選択肢です。
夏のツーリングに適したパンツの選び方
上半身をメッシュジャケットで覆っていても、下半身がハーフパンツでは十分とはいえません。
夏でも、足全体を覆えるライディングパンツが基本です。膝や腰にプロテクターを装着できる製品なら、万一の転倒にも備えられます。
夏向けの主な選択肢には、次のようなものがあります。
- 広い範囲にメッシュ素材を使ったライディングパンツ
- 通気性を持たせたライディングジーンズ
- 薄手の生地にプロテクターを組み合わせた夏用パンツ
メッシュパンツは走行風を取り込みやすい一方、通常のパンツよりも使える季節が限られる傾向があります。街乗りにも使いたい場合は、見た目が普段着に近いライディングジーンズも候補になります。
薄ければ涼しいとは限らない
生地の薄い普段着は、バイクを降りたときには涼しく感じられます。しかし、走行中は日差しや路面からの照り返し、エンジン周辺の熱を受けます。
車種によっては、フレームやエンジン、マフラー周辺から強い熱を感じることもあります。薄手の生地だけでは熱が直接伝わりやすいため、通気性を確保しながら、ある程度しっかりした生地を使ったパンツが適しています。
また、裾が広すぎるパンツや、長いひもが付いた服は、ステップや車体の部品に引っ掛かる可能性があります。乗車前に裾まわりがばたつかないか確認しましょう。
グローブとシューズも夏用を選ぶ
暑い時期はジャケットやパンツに目が向きがちですが、手と足も露出を避けたい部分です。
夏用のグローブやシューズには、通気性に配慮した製品があります。季節に合ったものを選べば、保護性能を確保しながら蒸れを抑えやすくなります。
グローブは通気性と操作性を見る
夏でも素手での運転は避け、ライディンググローブを着用しましょう。
夏用グローブには、メッシュ生地やパンチング加工された素材を採用した製品があります。手のひらや関節部分に補強やプロテクターを備えたタイプもあります。
選ぶ際は、次の点を確認します。
- 指先が余りすぎていないか
- レバー操作を妨げないか
- 手のひらが滑りにくいか
- 手首を確実に固定できるか
- プロテクターが手に当たって痛くないか
大きすぎるグローブは、レバーやスイッチの操作がしにくくなることがあります。汗をかいた状態も考え、着脱しやすさとフィット感のバランスを見ましょう。
足首を覆えるライディングシューズを選ぶ
サンダルやかかとのない靴は、足を保護しにくいだけでなく、シフトペダルやブレーキペダルの操作にも適していません。
夏は、メッシュ素材や通気口を採用したライディングシューズが候補になります。くるぶしを覆えるか、靴ひもが車体に引っ掛からない構造になっているかも確認したいポイントです。
靴ひもがある場合は、余った部分を収納できるものや、確実に固定できるものを選びましょう。
冷却用品は服装を補助するものとして使う
夏のツーリングでは、メッシュウェアに加えて冷却用品を使う方法もあります。
代表的なものは、冷却ベスト、ネッククーラー、冷感インナー、アームカバー、ヘルメット用インナーキャップなどです。
なかでも水に濡らして使う冷却用品は、走行風によって水分が蒸発する際の気化熱を利用するタイプがあります。ただし、湿度が高い日や風が少ない状況では、期待したほど涼しく感じられない場合もあります。
首元に装着する用品は、走行中に緩んだり、端が車体へ垂れたりしない形状を選び、確実に固定してください。
冷却用品は暑さを和らげるための補助装備です。これを使っているから休憩を減らせる、水分を取らなくてもよい、というものではありません。
山や高原へ行くなら防風・防水ウェアも用意する
真夏でも、ツーリング先によっては気温が大きく変わります。
早朝に出発する場合や標高の高い道を走る場合、メッシュジャケットでは風を通しすぎて寒く感じることがあります。日差しがなくなる夕方や、雨が降った直後も同様です。
そんなときに使いやすいのが、薄手の防風インナーやレインウェアです。小さく収納できるものなら、バッグの中でも場所を取りにくく、急な雨や気温低下に対応できます。
たとえば志賀草津道路やビーナスラインなど、標高の高いエリアを含むルートでは、出発地の気温だけで服装を決めないことが重要です。目的地と経由地、帰宅する時間帯の予報まで確認しましょう。


真夏は服装だけで暑さを防ぎ切れない
メッシュジャケットや速乾インナーを揃えても、真夏の暑さを完全に防げるわけではありません。
走行中は風を受けていても、信号待ちや渋滞では体の周囲に熱がこもります。エンジンからの熱が加わる車種もあり、気付かないうちに汗をかいていることもあります。
夏は服装だけでなく、走る時間帯や休憩場所も含めて計画しましょう。

暑さの厳しい時間帯を避ける
気温が上がる前に出発し、暑さが厳しくなる時間帯には長めの休憩を取る方法があります。
ただし、早朝に出発すると帰路が長くなり、疲労がたまることもあります。早く出発したから遠くまで走れると考えず、暑さと走行時間の両方を見てルートを決めましょう。
日陰や冷房のある場所で休む
休憩場所は、単にバイクを停められるだけでなく、体温を下げられる環境かどうかも重要です。
道の駅やサービスエリア、コンビニなど、屋内で休める場所をルートに入れておくと、気温が高い時間帯にも休憩しやすくなります。
休憩時はジャケットを脱ぎ、汗を拭いて体を休めます。涼しい場所に入った直後は体調に問題がないように感じても、再出発後に疲れが表れることがあります。無理に予定を守ろうとせず、必要なら立ち寄り先を減らしましょう。
喉が渇く前から水分を取る
環境省の熱中症予防情報では、暑さ指数に応じて積極的な水分補給や休憩を取るよう案内しています。
ツーリング中は、いつでも水分を取れるとは限りません。休憩場所へ着くたびに水分を取り、長い区間へ入る前には飲み物を準備しておきましょう。汗を多くかいた場合は、水分だけでなく塩分の補給も考えます。
頭痛や吐き気、めまい、強いだるさなどの異変を感じた場合は、走行を続けず、涼しい場所へ移動して休む必要があります。回復しない場合や自力での対応が難しい場合は、周囲へ助けを求め、必要に応じて救急要請を検討してください。
出発前には、環境省の熱中症予防情報サイトで目的地や経由地の暑さ指数を確認できます。
夏のツーリングで避けたい服装
夏の服装選びで迷ったら、「薄いか」だけでなく、「走行中に体を守れるか」「操作を妨げないか」で判断します。
特に避けたいのは、次のような服装です。
半袖やタンクトップ
腕や肩が露出し、転倒時や飛来物から体を守りにくくなります。直射日光も受け続けるため、通気性のある長袖ウェアが適しています。
ハーフパンツ
膝やすねが露出するほか、エンジンやマフラー周辺の熱を受けやすくなります。足全体を覆えるライディングパンツを選びましょう。
サンダルやかかとのない靴
足首や足先を保護しにくく、ペダル操作にも適していません。足首を覆い、バイクの操作を想定して作られたシューズが使いやすいでしょう。
裾やひもが長く垂れる服
ステップやペダルなどへ引っ掛かる可能性があります。走行風で大きくばたつく服も、疲労や集中力低下につながる場合があります。
サイズが合っていないウェア
大きすぎるウェアはプロテクターがずれやすく、小さすぎるウェアは乗車姿勢を取りにくくなります。普段着と同じサイズ表記でも着心地が異なるため、可能であれば試着して確認しましょう。

まとめ
夏のバイクツーリングでは、単純に薄着にするのではなく、風を通すウェアで肌を覆うことが基本です。
上半身にはメッシュジャケットと吸汗速乾インナー、下半身には夏用のライディングパンツを合わせます。手と足も露出させず、通気性のあるグローブやシューズを選びましょう。
高原や山間部へ向かう場合は、真夏でも気温が下がる可能性があります。薄手の防風インナーやレインウェアがあれば、早朝や雨天時の体温調整にも使えます。
ただし、服装を整えても、真夏の暑さを防ぎ切れるわけではありません。休憩、水分・塩分補給、走る時間帯の調整を組み合わせ、体調に異変を感じたら予定を中止・短縮する判断も必要です。
FAQ
夏のバイクは半袖でも問題ありませんか?
半袖では腕が露出するため、転倒時や飛来物、直射日光から体を守りにくくなります。夏でも、通気性のある長袖のライディングウェアを選ぶのが基本です。
メッシュジャケットの下は半袖と長袖のどちらがよいですか?
どちらも選択肢ですが、汗によるべたつきやジャケットの張り付きを抑えたい場合は、吸汗速乾性のある薄手の長袖インナーが使いやすいでしょう。気温や肌触りの好みに合わせて選んでください。
夏でもプロテクターは必要ですか?
季節にかかわらず、万一の転倒に備える装備として役立ちます。夏は通気性に配慮したプロテクターや、プロテクターを装備できるメッシュジャケットを選ぶ方法があります。
メッシュジャケットがあれば熱中症を防げますか?
メッシュジャケットだけで熱中症を防げるとは限りません。走る時間帯を調整し、こまめな休憩や水分・塩分補給を組み合わせる必要があります。暑さ指数が高い日や体調がすぐれない日は、ツーリングの延期や短縮も検討しましょう。
夏の高原ツーリングにもメッシュジャケットだけで十分ですか?
標高や時間帯によっては、メッシュジャケットでは寒く感じることがあります。薄手の防風インナーやレインウェアを携帯すると、気温低下や急な雨に対応しやすくなります。







