培ったレーステクノロジーを一般製品にフィードバック
大阪の大東市にショールームを構える「寺本自動車商会」(TERAMOTO)は、かつて全日本ロードレース選手権で活躍し、その後、鈴鹿8耐などに長きに渡ってロードレースに参戦し続けてきた寺本幸司氏が率いるチューニングパーツメーカーだ。
同社では、寺本氏の豊富なレース経験を一般的な製品にフィードバックした「T-REV」「EZ-SHiFTER」「EZ+plus」というチューニングパーツを主軸に、日々研究開発が重ねられている。
モトメガネでは、過去数回に渡ってこれらのチューニングパーツをご紹介してきたが、その中のEZ+plusが今年から来年にかけ、対応車種のラインナップが広がり、イベントも予定しているということで、その詳細をお伝えしたい。

戦ってきた車両やスーツが展示され、それだけでも見学する価値がある。
そもそもEZ+plusとは?

販売価格(税込): 39,600 円
今回クローズアップするEZ+plusとは、どんなチューニングパーツなのか?この記事で初めて知る、という方に向けて簡単に説明したい。
エンジンは空気と霧状のガソリンが混ざった混合気を燃やし、シリンダー内部で爆発させて動力を得る。この空気とガソリンの割合は「空燃比」と呼ばれ、一般的にエンジンがフルパワーを発生する「出力空燃比」は13:1が理想と言われている。
しかし現代のバイクは、その多くが排気ガス規制や燃費を考慮して、低中速域での空燃比が15:1~16:1とかなり薄めに設定されている場合がほとんど。つまりこれをより13:1に近づける(少し濃くする)だけで、出力やトルクは上がりそのエンジンが持っている本来のパワーを引き出せることになる。
このEZ+plusは、車体のO2センサー(酸素濃度センサー)に本体を接続することで電気的な信号を送り、燃料を適正に補正してパワーとトルクを上げるチューニングパーツである。

アクセル開度10%/20%/40%/60%という低中速域で、それぞれ明確なパワーUPが確認されている。
O2センサーに加え、ついにA/Fセンサーの取り付けも可能に
現在、排ガスを計測するセンサーにはO2センサーとA/Fセンサーの2種類があり、これまでのEZ+plusは、O2センサーを採用した車両のみの展開だった。そのため今まではCT125ハンターカブ(JA55)を始めとした原付2種を中心に展開されてきた。
しかし、寺本自動車商会では解析による研究の結果、A/Fセンサーに対応したEZ+plusの開発に成功。これにより、原付2種はもちろん、中型車、大型車など、幅広い車種への装着も可能となったのが今回のビッグニュースだ。

詳細な説明書の他に、同社サイト内にも装着を解説したページが用意されている。
もちろん、中型車にしても大型車にしてもEZ+plusの装着はこれまでと変わらず簡単だ。
本体と車種専用のハーネスを、取付車両の排気ガスセンサーにカプラーオンで割り込ませるだけ。事前にカウルやサイドカバーなどを外す手間はあるが、それを考慮しても初見でも1時間はかからないだろう。
また製品には非常に丁寧な説明書が付帯しているうえ、寺本自動車のサイトでも「取り付け手順」を確認できるので、初心者でも取り付けは比較的安心だ。
注意したいのはEZ+plusは基本的にはノーマルマフラーを前提に設計されているので、吸気排気をチューンしている場合はセッティングが出ない可能性もある。
しかし、メインユニット裏側のビス4本を外してフタを開けると、スライドスイッチが現れる。このスイッチの組み合わせで、燃料補正最大の「Hi」、燃料補正量の少ない「Low」、純正状態の「STD」に変更できるので、この操作でセッティングを煮詰めることができるわけだ。

セッティングを出せるのでお気に入りのマフラーをSTDに戻す必要はない。
大型バイクほど体感してほしい激的な変化
寺本氏によると、EZ+plusの効果は原付2種などの小排気量車こそが、その変化と旨味を最大限に享受できる車体だと考えていたという。
しかしA/Fセンサーの車両への装着が可能になったため、あらゆる車両でテストを開始。
試乗を繰り返す過程で、開発車両の一つであるZ900RS(O2センサータイプ)にも装着したところ、激的な変化が体験できたという。
寺本「大型車は、排ガス規制が入っていながらもアクセルを開ければ、パワーはそれなりに出るため効果は薄いだろうと感じていたんです。しかし、実際にZ900RSでテストしてみると原付2種よりも変化が明確だったので、驚きましたね」
寺本「燃料の薄いノーマル車両は、回転の上がり方に少し雑味を覚えるんですが、EZ+plusで燃料を補正するとすごく滑らかに回るようになり、加速も減速も非常にスムーズ。しかも、その効果はハンドリングにも影響が出てくるんですよ。とにかくアクセルを開けた時の『リニア感』が爽快ですごいんですよね!」
寺本「鈴鹿8耐や全日本ロードレース選手権などでは、インジェクションマッピングの重要性はかなり昔から認知されてきましたが、それでも街中やツーリングでは不要ではないかと思っていたんです。しかし、こんなにアクセレーションや操安が向上するのなら、ぜひそれを一般のライダーにも体感してもらいたいと思うんです」
今後拡大されていくラインナップ

爽快なフィーリングが楽しめるのだ。4気筒のZ900RSだと、より滑らかさが際立ちそうだ。
O2センサーモデルに加え、A/Fセンサーモデルへの装着を可能にしたことにより、今年から2026年にかけて原付2種、中型車、大型車のラインナップが拡充することとなった。
以下が今後ラインナップされる予定の車両だ。
2025年12月22日発売予定 O2センサータイプ
KAWASAKI Z125PRO 16~19
KAWASAKI Ninja250SL 15~16
HONDA CB400SF/SB 18~
KAWASAKI Z900RS 18~25
KAWASAKI ZRX1200DAEG 09~16
2026年3月発売予定 AFセンサータイプ
HONDA CT 125ハンターカブ(JA65)
HONDA クロスカブ(JA60)
HONDA DAX (JB04)
HONDA ADV160
HONDA CBR250RR
もちろん対応機種は今後、順次増えていく予定なので、現在自分のバイクに対応していなくても充分に望みは持てるはずだ。

JA65はEZ+plusに対応していなかった。それが装着できるようになるのだから朗報だ。
EZ+plusの効果がイベントで体感できる!!

EZ+plusの激的な効果が、大型車でも有効であることが判明したことにより、寺本氏はこの感動体験を数多くのユーザーに届けたいという思いから、同社では、2026年に日本全国各地で「EZ+plus体感イベント」を開催する予定だ。
EZ+plusを装着した車両には、ハンドル部に「ON・OFF」スイッチが設けられ、手軽にEZ+plusの効果の有無が比較できるようになっている。

しかも体感できるマシンはCT 125ハンターカブ(JA65)、CBR250RR、Z900RSと小型から大排気量まで揃っている。この3機種は、市場でもかなり多くのライダーが乗っているので、自分のバイクと比較できるライダーもきっと多いだろう。
そして気軽にEZ+plusの有無を比較体験できるのだから、導入を考えていたユーザーにとっては、こんなにありがたいチャンスはない。
現在(2025年12月初旬)、体感イベントの開催場所や日時は調整中とのことだが、基本的には用品店、販売店などで開催される模様。
イベントの詳細な場所と日時は、2026年以降、寺本自動車商会のサイト内「イベント情報」で随時更新されるとのことなので、ぜひチェックしてもらいたい。
(編集協力:株式会社寺本自動車商会)








