ホンダ・モンキー(Z50J)にスーパーカブ70のエンジンを組み合わせて72㏄化したカスタム・モンキー。モトメガネの記事で何度か紹介したことがある車両だが、筆者のミスによってエンジンを焼き付かせてしまった。


症状は幸いにも軽く、シリンダーとピストン、ピストンリングを新品に交換すれば直る状態なのだが、同じ失敗は二度としたくない!
…ということで焼き付きの原因を改善しながらモンキーを修理、なおかつ内部を保護できる上質なオイルを選んでエンジンを組んでみよう、というのが本記事の趣旨だ。

選んだエンジンオイルはオイル添加剤で知られるスーパーゾイルシリーズの「セミシンセティックゾイル 10W-40」。この様子を前編/後編に分けて紹介する。
前編はスーパーゾイルを使ったエンジン修理を、後日公開予定の後編はスーパーゾイルによる車両の変化をリポートしていく。
スーパーゾイルの成分を配合したエンジンオイルを使ってみた
スーパーゾイルは、エンジンオイルに混ぜて使用する添加剤。その効果をシンプルに解説すると「金属表面をミクロン単位で再生して強靭にする」ことにある。

注目すべきは、よくある金属をコーティングする添加剤ではないこと。
熱と摩擦で化学反応を起こし、金属表面をなめらかな状態に「再生」することにある。
オイルを交換しても再生効果が残るため、持続性に優れる点も特長だ。


今回使用するのは、このスーパーゾイル成分があらかじめ配合されたエンジンオイルだ。全3種ラインナップされており、100%化学合成油2種と半合成油1種から選択できる。
エンジンの仕様に合わせて3種類をラインナップ

半合成油
旧車及びアメリカ車等のフリクションが大きい車両

100%化学合成オイル
高性能車、ターボ車、省エネ車、
ハイブリッドカー

100%化学合成オイル
低粘度オイル指定車、省エネ車、
ハイブリッドカー
今回使用するオイルはブルーラベルの半合成油。油膜が安定しており、金属表面を再生しつつも浸透性が強すぎないという、半合成油の特性を最大限に活かした製品だ。
最新のハイパフォーマンスな水冷エンジンなら100%化学合成オイルが最適だが、今回の車両は95年式の空冷エンジン。3つの中では半合成油がもっとも相性がいい。
もちろん、スーパーゾイル成分によってすぐれた油膜形成、金属表面の再生効果も期待できる。
なぜエンジンが焼き付いたか
焼き付き(正確にはダキツキ)の原因は以下のとおり。
やや専門的な話になるので興味がなければ次の項目まで読み飛ばしてもらって構わない。
原因①:中古シリンダーとピストンによるオイル上がり
スーパーカブ70の中古エンジンを格安で買い、そのシリンダーとピストンを移植した。そしてピストンリング「だけ」を新品にしたのである。
おそらくシリンダーが摩耗しており、真円ではなかったのだろう。そこに真円の新品ピストンリングを組み合わせたのだから、不具合が出て当然だ。
現にマフラーから異臭がしていたので、オイル上がりを起こしていた可能性が高い。
さらに、焼き付いた際にエンジンオイルを抜くと150㏄しか出てこなかった(モンキーのエンジンオイルは600㏄)。オイル上がりによってオイルが不足し、潤滑不足を招いたことが最大の原因だろう。
原因②:薄すぎるセッティングによる燃焼温度の上昇
これが焼き付きの原因である可能性は低いが、最高速重視でメインジェットを薄めにしていたことも影響したかもしれない。薄めのセッティングはパワーこそ出るが、燃焼室の温度がもっとも高まる。加えて近年のこの猛暑だ。燃焼温度上昇→稀薄燃料による冷却不足→油膜切れの3連コンボで焼き付いた…という可能性も考えられなくはない。
原因③:たった100㎞の慣らし運転
これも問題だった。最初に72㏄化したとき「腰上を交換しただけだから大丈夫だろ」と、慣らし運転を100㎞しかしなかったのだ。今回はその失敗を活かし、エンジンを組んでからまず100㎞の一次慣らし(低負荷走行)、その後オイルを交換してさらに500㎞の二次慣らし(中負荷走行)を行った。
つまり今は600㎞の慣らしが終わった状態である。各部にちょうど「あたり」が付いたところで、エンジンは最高の状態といえる。この状態を長く維持させる意味では、スーパーゾイルを使うベストのタイミングだろう。
「また壊すかもしれない…」だから”お守り”を導入した

今回、セミシンセティックゾイルを導入した理由は、せっかく直したエンジンをまた壊すのでは…という心配があったからだ。先述した故障原因①~③はすべて対策済みだが、それでも不安は拭えない。
そんなとき、旧車オーナーたちの間で愛車を長持ちさせる”お守り”としてスーパーゾイルを使っている話を聞いた。彼らは何十年も前の古い車両を、まるで新車のようなコンディションで維持しているのだ。
モンキー(スーパーカブ)系のエンジンは頑丈で、正しく組んで正しく扱えばなかなか壊れるモノではない。それなのにこのエンジン、恥ずかしながらボアアップしてたった3,000㎞しか走っていなかったのだ。
エンジン焼き付きは作業者(筆者)の無知によるもので、「俺が組んだエンジンは3,000㎞しかもたないのか…」と落ち込んだ。しかし今回は違う。失敗をバネに改善し、さらに最強の”お守り”であるスーパーゾイルを導入するのだ。今度こそ壊さない。目標は5万㎞だ。
スーパーゾイル導入後の変化は後日公開の【後編】にて紹介予定。
エンジンを「最高の状態」に保つスーパーゾイル製品

【セミシンセティックゾイル 10W-40】

このオイルは単なる潤滑にとどまらず、「金属表面再生技術」を備えていることが特長で、新車時から使うことでその状態をキープできるという。今回のモンキーは600㎞の慣らしが終わってエンジンに「あたり」がついた最高の状態。この状態を維持するにはピッタリのオイルだ。
もうひとつの特長として、半合成油は100%合成油よりも油膜が安定していることだ。クリアランスが小さい現代のエンジンには100%合成油が最適だが、古い空冷モンキーのようにクリアランスが大きいエンジンには油膜が安定する半合成油がいい。つまりエンジンの密閉性を高めてくれるのだ。
前のエンジンは、ピストンとシリンダーが密閉できていなかったせいでオイル上がりを起こしていた可能性が高いため、この点は非常に心強い。
お気に入りのエンジンオイル+スーパーゾイル添加剤という選択肢も
エンジンオイルに適量を混ぜるだけでスーパーゾイル効果が得られる添加剤もある。すでにお気に入りのエンジンオイルがある場合は、そちらもオススメだ。

【SUPER ZOIL スプレー(金属表面再生剤配合・潤滑スプレー)】

エンジンパーツの組み付け時には、このスーパーゾイルスプレーを使用した。
金属表面を再生する効果をもつスーパーゾイル成分を配合したスプレータイプの潤滑剤だ。この手の潤滑剤のなかには、エンジン内部の摺動パーツやベアリングへの使用が適さない製品が多いが、このスーパーゾイルスプレーは使用OKとなっている。



高速でこすれ合うカムやロッカーアーム、ピストンピン、シリンダーなどにこのスプレーを塗布することで、負荷や温度上昇を抑える効果が期待できる。
まとめ:焼き付いたエンジンにスーパーゾイルを使う理由
モンキーのエンジンを焼き付かせた一番の原因はオイル上がり。要するにピストンリングとシリンダーの接触面がガタガタで、スキマからオイルが抜けてしまったのだ。

そして今回、スーパーゾイルを選んだ理由は「ピストンリングとシリンダーが接触する金属面を再生してくれる」効果に注目したから。つまり、高速でこすれ合う面をなめらかにして、均一に接触するようにしてくれる。この効果により、軽いオイル上がりであれば改善することをメーカーも明言している。もちろん油膜の安定性も折り紙付きだ。今回のようなエンジンに使うケミカルとしては、この上ない心強い製品といえるだろう。
また、再び焼き付かないための保険としての意味も大きい。スーパーゾイルは焼き付き・ダキツキ防止効果も期待できる。ここまでの効果を謳っているエンジンオイル・添加剤メーカーはほとんどないため、スーパーゾイルの大きな強みといえるだろう。
エンジンで大きなトラブルを経験したライダーやトラブルを未然に防ぎたいライダーは、スーパーゾイル製品をぜひ使ってみよう。
【編集協力:株式会社パパコーポレーション】








