近年クラシカルモデルが人気。しかしバッグの防水性は?
ホンダのGB350を始め、カワサキメグロ、ロイヤルエンフィールドクラシック、トライアンフボンネビルなど、ここ数年クラシカルでレトロなデザインのバイクが老若男女問わず人気だ。旅先のどこに置いても絵になり、穏やかなエンジン特性で急かされることなく、のんびり、安全にツーリングを楽しめるのがその要因だろう。
ところが、こういったレトロデザインのバイクと相性の良いバッグ類は意外と多くない。いまだにツーリング用のバッグは「黒のナイロン基調」のものが多く、デザインも今風だ。もちろん中には革や帆布を使ったレトロテイストのバッグも存在するがそういったバッグは防水性に乏しく、雨天のツーリングでは使い辛いというジレンマがある。逆に、完全防水を謳った生地素材のバッグは、実用性は高いがデザインが味気なく、内容量が少ないと型崩れするものが目立つ。
K3が作り出したテイスティで完璧な防水性をもつシリーズ

ハンターカブとこれ以上ないほどのマッチングを見せる。
そんなレトロデザインのバイクにぴったりのデザインを踏襲しつつも、完璧と言えるまでの防水性を誇るのがこのキジマがプロデュースする「K3 ウォーター・プロテクト・サイドバッグ」シリーズだ。
このバッグはバイク用品の老舗であるキジマがプロデュースする「K3」ブランドの中のアイテム。K3ブランドとは、これまでのバイク用品とは一線を画した「アウトドア」や「バイク遊び」にフューチャーしたシリーズで、バッグを始め、キャンプ用品などがラインナップされている。
今回はウォーター・プロテクト・サイドバッグのWP02とWP03の両方をCT125ハンターカブに装着してテストすることに。まずどちらのバッグとも、実物を手にして驚くのは、そのかっちりとした造りだ。ボディの全体に硬めの芯材が入っており、バッグの中に物が入っていなくても自立して型崩れしない。ソフトな感じの見た目よりもずっとタフな印象だ。

かなり強い耐久性を持つだろう。バックルも大きくて頑丈なものが採用されている。
ターポリン素材が車種を選ばずマッチングするWP02

こちらもハンターカブとのマッチングは良好。
まずはグリーンのWP02から。WP02は表生地にポリエステルターポリン素材を使った非常に防水性に優れる仕様。なんとこのターポリン素材は耐水圧10000mmという数値を誇る。しかも中には完全防水のインナーバッグも装備している。表生地はナイロンベルトの縫製のためのミシン穴が空いているので、完全防水ではないが、ほぼ2重で防水されていると言えるため雨天や泥はねなどには、かなり心強い。
またフタに2本、本体の2本のウェビングベルトを装備しているのも大きな特徴だ。このシステムは約25mm間隔でベルトが縫いつけられているので、付属するドリンクホルダーやカラビナなど、あらゆる場所に装着が可能。これにより例えば、キャンプ用のマットを外付けするなど、非常に拡張性が高いのだ。オリーブグリーンとウェビングシステムで、ミリタリーな雰囲気があるのも見逃せないポイント。

を掛けたり、通したりできるので、拡張性は非常に高い。

この位置ならまたがった状態から、信号待ちなどでもドリンクが飲める。
クラシカルモデルやアメリカン等にもピッタリなPUレザー製のWP03

WP02と本体の形状は似ているが、よりクラシカルなバイクに似合うのがこちらのWP03。
大きな特徴は本体素材にポリエステルPUレザーを採用していること。PUレザーとは、いわゆる「合皮」のこと。合皮はテカテカした薄い素材の物だと安っぽく見えてしまうが、本製品のPUレザーはマットで厚みもあり、しっとりとした質感。色も落ち着いたダークブラウンなので安っぽさは皆無だ。逆にこれが本革だと、高価になり、濡れた後のケアも大変なので、PUレザーのほうが好都合なのだ。
WP02とのデザイン上の違いはフタにもウェビングベルトがあるか否か。WP03は、フタにウェビングベルトがなく、しっとりしたPUレザーのおかげで、よりシンプルでクラシカルな雰囲気を醸し出している。

容量は日常使いやプチツーリングに“ちょうどいい”約13L

これらのサイドバッグの容量はいずれも13Lだ。今回は日常的に使うレインウエアと南京錠(ヘルメットの盗難防止のため)、荷物固定用のストレッチコードをまず収納してみたところまだまだ余裕。そこでモバイルバッテリー、電動ポンプ、携帯工具(パンク修理キットなど)を入れたら、ジャストサイズだった。キャンプツーリングを考慮すると容量はもう少し欲しいところだが、日帰りツーリングや、常日頃バイクに装着しておき、レインウエアなどを常備しておくにはジャストサイズと言えよう。
ちなみに同じK3シリーズのタクティカルサイドバッグTC04だと16Lの容量があるので、キャンプをメインに考えるなら、そちらがいいかもしれない。

また開口部が大きく開くので荷物の出し入れも容易だ。
バイクへの装着はいたって簡単

ハンターカブの場合はキャリアに回したら、簡単かつかっちり固定できた。
これらのバッグをバイクに装着するには二通りの方法がある。一つはバックルのついた短いループ式固定ベルトをバイクのキャリアなどに通してから本体の3カ所のバックルに接続する方法。
もう一つは、Y字型のシート固定用ベルトをシートの下に通し、やはりバックルに接続して装着。あとは本体下部のDリングに細いベルトを通して、タンデムステップなどに接続し、上下で固定すれば完成だ。


タンデムステップなどに接続し、下側を固定する。
装着の際に注意したいこと
本製品に限らずサイドバッグの場合は、荷物を入れると本体下部が車体の内側に入り込み、後輪やサイレンサーに接触することがある。走行中の後輪にバッグを巻き込んでしまったら大事故につながるので、装着の際は、サイドバッグサポートなどを併用して必ず本体が内側に入り込まないよう徹底してもらいたい。

キジマ バッグサポート ブラック CT125 ハンターカブ用 ¥9,350(税込)

巻き込みの心配はなさそうだった。だが、やはりサイドバッグサポートを併用してバッグを使うようにしたい。
ちなみにCT125ハンターカブはサポートが無い状態でも、巻き込まないように固定できたが、それでもリアサスペンションに干渉していたので、万一のことを考えて、テスト走行時はサイドバッグサポートを使って走行した。またサイドバッグサポートがあることで、よりかっちりとした固定が可能となった。
さすがの防水性

撮影時は晴天だったので、ハンターカブにバッグを固定した状態で、ホースから水をじゃばじゃばと掛けてみた。WP02はそもそも表生地も防水素材なので、逆にPUレザーを使ったWP03で1分ほど水をかけ続けた。
しかし内部への浸水は見られず、当然防水インナーバッグの内部もまったく浸水はなし。これなら豪雨の中でも濡らしたくない、例えば下着類、カメラ、モバイルバッテリー、財布、電動ポンプなどを安心して入れておくことができるだろう。
また防水性が高いということは、雨や泥跳ねで汚れても、ガンガン洗うことができるということでもある。

インナーバッグの有用性

インナーバッグを装備していると様々な利点がある。
例えばフェリーに乗船、ホテルにチェックインなどの際にバッグを外さず、このインナーバッグに必要な物をだけを入れて持ち出せば非常に楽。それは日帰り温泉なども同様。
さらには、雨が上がってびしょびしょに濡れたレインウエアはインナーバッグと別に収納することもできるし、キャンプ用の食材で肉類などはインナーバッグに入れておけば、肉汁が漏れてもあとから洗えば本体にシミや臭いをつけることもない。逆に氷と飲み物をインナーバッグに入れて冷やしながら運べば、夏のキャンプで冷たいビールが堪能できるのだ。
このようにインナーバッグの存在は、濡らしたくない物の収納ばかりでなく、持ち運びの利便性、濡れた物や汚れ物の隔離も可能と、非常に汎用性が高いのである。

まとめ
クラシカルでレトロなデザインを持ちながら、高い防水性を発揮するバッグは非常に稀だ。通常ターポリン素材の完全防水のバッグだと、物が入っていない場合はふにゃっとして形が作れないものが多く、色も黒、赤、黄色などが主だ。これだと到底クラシカルデザインのバイクには似合わない。
そういった観点で、このK3ウォーター・プロテクト・サイドバッグシリーズは、レトロデザインでありながらもしっかりとした防水機能と、かっちりした成型という「ありそうで、なかった」を見事に具現化した貴重な存在であるということだ。
相棒のバイクと一緒に旅に連れ出して、ぜひそのタフさを味わってほしい。
K3 ウォーター・プロテクト・サイドバッグ スペック
K3 ウォーター・プロテクト・サイドバッグWP02
●価格:¥10,450(税込)
●素材:ポリエステルターポリンPVC
●サイズ:290(H)×330(W)×130(D)mm
●容量:13L
●カラー:ブラック、オリーブグリーン
●付属品:防水インナーバッグ、Y字型シート固定用ベルト、3点止ループ式固定ベルト×3、下部用装着保護ベルト×2、ドリンクホルダー

K3 ウォーター・プロテクト・サイドバッグWP03
●価格:¥12,650(税込)
●素材:ポリエステルPUレザーPVC
●サイズ:290(H)×330(W)×130(D)mm
●容量:13L
●カラー:PUブラック、PUダークブラウン
●付属品:防水インナーバッグ、Y字型シート固定用ベルト、3点止ループ式固定ベルト×3、下部用装着保護ベルト×2、ドリンクホルダー









