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旧車オーナーが頼る店。1960~70年代の名車バイクの「再生」現場とキースター燃調キットの信頼性に迫る

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

キャブレターを採用するオートバイが国内ラインナップからほぼ姿を消して20年が経とうとしている。
もし、テレビや電話、パソコンなどで20年前の製品を現役で使っていたら驚かれるだろう。しかしバイクは20年どころか40年前、50年前のキャブレターを搭載した車両が今も元気に走っている

1968年式 ホンダ・ドリームCB250

すでにキャブレターはメーカーから製造を縮小されており、パーツの入手は困難だ。
……にもかかわらず旧車バイクショップは今でもキャブレターのオーバーホールや燃調セッティングを行っている。また、そうしたショップを頼る旧車オーナーも多い。

今回は全国各地の旧車オーナーが頼る「駆け込み寺」といえる愛知県のショップ・ニュートラルを取材。キャブレター車の修理・レストアの現場と、それらの作業に使用している「キースター燃調キット」について教えてもらった。
(取材協力:ホンダシングル専門店 ニュートラル)

目次

キースター燃調キット

まずはキースター燃調キットをカンタンに解説。
同キットは、兵庫県に本拠を構える岸田精密工業が手がけるキャブレターのリペア&セッティングキットだ。特長は以下のとおり。

純正パーツを徹底再現
→純正キャブレターに組み込まれているインナーパーツの寸法・形状を忠実に再現している

オーバーホールに必要なパーツ構成
→ガスケットやOリングなど、キャブレターのオーバーホールに必要なパーツがそろっている

多様なセッティングパーツ
→ジェット類やニードルが複数同梱されており、エンジンの状態やカスタム内容に応じたセッティングができる

今回取材したCB250はメインジェットが2つ同梱されている(プライマリーメインジェット/セカンダリーメインジェット)
劣化しやすいゴムパーツもすべて新品に交換できる

つまり、キャブレター1つあたりに必要なパーツが車種ごとに用意されたキットでこれらを交換することで新品キャブレター並みの性能を取り戻せるというモノだ。

旧車の維持に欠かせない理由は?

キャブレターは構造がシンプルで、メンテ次第でかなりの長寿命が望める。50年、60年とコンディションを維持することも可能だ。
ところがインジェクション全盛の今、メーカーからのパーツ供給は激減。入手不可能なパーツが増え、価格も高騰している状態だ。

社外品でカバーできるものの、キャブレターパーツは1/100mm単位のズレで性能が大きく変わってしまうデリケートな機械。
ゆえに粗悪な製品を使うことは論外で、純正と同等の精度が必須とされる。

そんななか、注目されている製品がキースター燃調キットだ。

製造元の岸田精密工業は純正キャブレターを徹底的に解析し、純正と同等のパーツを再現。しかもその対応車種は500車種を越えている
メイドインジャパンの品質は折り紙付きで、多くの旧車オーナーや旧車ショップの救世主として支持されている。

旧車再生のプロフェッショナル「ニュートラル」

愛知県尾張旭市に拠点を構えるバイクショップ「ニュートラル」は、旧車(ホンダ単気筒・二気筒モデルが中心)のレストアとカスタムを得意とするショップである。

1960~70年代のバイクを中心に旧車が並ぶ。修理だけでなくもちろん車両販売も行っている
「ホンダシングル専門店」店名を掲げているが、他社モデルや多気筒モデルも対応してくれる

…と聞くとさぞかし専門的で初心者お断りなショップのようだが、実態は「頼れる町のバイク屋さん」。取材時もスクーターに乗った近所のオジさんから、古い4miniが好きな若者までと客層はさまざまだった。

大規模なレストアからパンク修理まで幅広く対応してくれる
販売車両の中には、普通のバイクショップだとお目にかかれないマニアックな車両も

お客さんに聞くと「なんでも相談に乗ってくれるし情報が正確。しかも整備の料金が良心的」だという
町のバイク屋さんでありながら豊富な技術と経験によって旧車マニアから熱烈に支持されており、噂を聞きつけた全国各地の旧車オーナーから修理・セッティングの依頼が多く寄せられているという。

「古いから仕方がない」「部品がない」「買い換えた方がよい」では済ませないことを大切にしているという
同店は愛知県だが、東北や関東、九州から修理・レストアを依頼を受けるケースも多い

そうした信頼と実績を築いてきたニュートラルが愛用しているのがキースター燃調キットだ。
同キットを使って月に数十台のマシンのオーバーホール・燃調セッティングを実施。その高い技術は非常に高く評価されている。

ニュートラルに聞く「キースター燃調キット」とは?

ニュートラル店長・幸田さん
「一番ありがたいことは、メーカーから欠品しているジェットやニードルが今でも簡単に手に入ることです。1960~70年代のバイクはほとんどキースター燃調キットを使っているし、最近では1990~2000年代のバイクでも使う機会が増えました」

取材させてもらった車両はホンダ・ドリームCB250(1968年)


「あとは、燃調セッティングの幅が広いことも助かっています。たとえばドリームCB250だとメインジェットの標準は105番ですが、キースター燃調キットには99~118番が同梱されています。
ノーマル車両の場合、105番がベストだと誤解しているオーナーさんが多いですが、車両の状態やライダーの乗り方でベストセッティングは変わります

「99、101、105、109,113,118のように番手が細かく刻まれているところもポイントです。
大排気量エンジンであれば、99と105では違いが出にくいのですが、小排気量エンジンは番手がわずかに変わるだけで明確な違いが出ます。
たとえば『99と105の中間が欲しい!』と思ったときに101番を選択できる。小排気量エンジンにはとても大切なことですよ」

「最後はやっぱり価格が安いことですね。ジェットやパッキン、Oリングが全部入ってこの価格は非常に良心的です笑

価格はキャブレター1個につき4,400円(※ごく一部だがプラス数百円の車種もある)。今回は2気筒エンジンのため2セット必要だったがそれでも1万円を切る安さは旧車ショップ・オーナーにとって破格の安さだ

実走テストで導き出す最適なセッティング

ニュートラルが実際に行っている燃調セッティングのようすを見せてもらった。
まず、この車両は秋田県に住むオーナーからの修理依頼だ。
症例はキャブレターに起因するエンジンフィールの悪化、点火タイミングのズレ、電圧の不良など。

オーナーが気になっている箇所、修理してほしいところをカルテ化して対応

オーナーいわく「メインジェットは標準の105番。プラグの焼け色は正常だったのでそのまま使用していた」とのこと。
ここからニュートラルでの点検・修理が始まるのだが、もちろんいきなり燃調セッティングをするのではなく、ほかの箇所を適正化したうえでキャブレターにアクセスする。

その後に実走。
明らかに燃調が薄い症状が出ていたため、メインジェットを105→113番に変更した。メインジェットのセッティングでは濃すぎる方向からだんだんと薄い方向へと番手を下げるやり方がセオリー。
その後プラグチェック→実走→ジェット変更という流れだ。

なお、プラグの焼け色は目安でしかないという。燃調がズレていても焼け色がキレイだったり、その逆もあるそうだ。
今回の事例がまさにそれ。ドリームCB250のオーナーはプラグチェックだけで判断していたためベストの燃調からズレてしまっていたようだ。

ニュートラルでは、こうした作業を繰り返して行い、エンジンのフィーリングやレスポンスを確認しながら調整することで、車両本来の性能を引き出していく。
今回の車両もキースター燃調キットによるセッティングの前後で見違えるほどエンジンフィーリングが改善していた。

旧車オーナーからの信頼で成り立つキースター燃調キット

旧車の再生において、キースター燃調キットは欠かせない存在である。ニュートラルをはじめとする全国各地のプロフェッショナルにはキースター燃調キットを活用しているケースが多く、マシンの性能を最大限に引き出すことで、旧車オーナーたちの期待に応えている。

岸田精密工業のキースター燃調キットは、これからも旧車文化を支える重要なパーツとして、多くのライダーに愛され続けるだろう。

(編集協力:岸田精密工業株式会社)

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