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バイクをもっと乗りやすく 初心者こそ楽しめる、バイクのサス調整とは?

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

「曲がらない」とか「高速域で安定感がない」なんて愛車に対する不満の原因が、アナタの体重にあるかも!? じつはバイクの運動性能は車体姿勢と密接な関係にあり、走行状態での車体姿勢はライダーの体重が大きく影響する。だから、車両開発時の想定体重から大きく外れているユーザーが、愛車が本来持つ運動性能を体感するためには、サスペンションの調整が必要なのだ。また、ハンドリングや走行安定性などに悪影響を与えず足着き性を向上するためにも、前後サスの仕様変更は必須となる。そして、これらの作業を極めるショップが、兵庫県尼崎市にある!

目次

バイクのハンドリングが体重で変化する原理とは?

「一般的な量産モーターサイクルは、ユーザーの平均的な体格を想定しながら開発設計されています。そして、想定の範囲内より体重があるライダーがシートに座ると、リヤサスペンションが適正値以上に沈むため、車体を横から見たときにフロントフォークが寝て、キャスター角とトレール量が増えます。反対に、想定よりも軽いライダーだと、リヤサスペンションが沈まず、キャスター角とトレール量は減少します」

このように解説するのは、メンテナンス専門ショップのIMPALA(インパラ)を1993年に創業するなど、バイクメカニックとして極めて豊富な経験を持つ山鹿延也さん。「キャスター」に「トレール」と、ちょっと難しい用語が出てきたので説明しておくと、キャスターはステアリング中心軸の傾きを表わしていて、地面に対する垂直線との角度となる。トレールは、フロントアクスルの中心を通る垂直線の接地点と、ステアリング中心軸線を延長した接地点の距離を示す数値となる(※図参照)。

つまり一般的なモーターサイクルの場合、キャスター角が大きくなればトレール量も増え、トレール量が大きいと直進安定性に優れるがハンドリングは重くなる。少ないとその逆で、ライダーの操作に対する応答性が高まり安定性は減る傾向だ。そして、トレールがあるからこそバイクのハンドリングは安定するのだが、これについて山鹿さんはこう話す。

「バイク以外の身近にある物で、トレールの役割と重要性を直感的に理解しやすいのが台車のキャスター。一般的な台車のキャスターは、転舵軸を直立させた状態で車軸側に押すと、車輪がくるりと反転します。これは、当初の状態だとトレールがマイナスだから。でも、キャスター部の転舵軸を写真Cのように傾ければ、トレールがプラスとなり、転舵軸よりも前に車軸がある状態で押せるようになります。また、写真Cの状態で傾ける角度を変化させることで、直進性に違いが生まれることも体感できると思います」

バイクに話を戻すと、ライダーがシートに座った状態が、走行時における基本の車体姿勢となり、このときフォークが後ろへ傾斜する角度が、適切なトレール量を生み出す。メーカーの狙った数値から外れたトレール量は、曲がりづらさや高速域でのフラツキなどにつながることがある。だからノーマルのバイクであっても、スプリングの状態を体重に合わせ、適切な沈み込みと車体姿勢にしてあげることが、とても重要なのだ。

ちなみに、少し難しい話になるが、トレール量はフロントアクスルシャフトの装着位置でも変わってくる。ただし、フロントフォークの前側に位置するリーディングアクスル、後ろ側に設計されたトレーリングアクスルともに、ホイールベースと前後重量バランスの調整や、サスペンションストロークの確保を目的に用いられることも多い。

まずはプリロード調整が基本だけど……

バイクの運動性能にトレール量が大きな影響を与えることは理解できたと思うが、実際のところ、愛車にまたがった状態での正確なトレール量を計測するのは非常に難しい。そこで、山鹿さんのようなバイクのスペシャリストたちが重視しているのが、サスペンションの沈み込み量の初期調整。荷重がまったく加わらない状態を「0G」、車体を直立させて車重だけで沈んでいる状態を「1G」、ライダーの体重が加わって沈んでいる状態を「1G’」として、ユーザーの体重に合わせて「1G’」が最適になるよう調整する。

この作業は「サグ出し」とも呼ばれ、とくにモトクロスやエンデューロなどサスペンションストロークが長いオフロード系ではわかりやすい。ちなみにサグは、たわみなどを意味する英語の「sag」に由来する。一般的には、リヤサスペンションのプリロード調整がメイン。調整機構が充実しているバイクの場合、減衰力やフロントサスペンションのセッティングも最適化させていく。ただし、「新しい愛車を手に入れたらサグ出しは必須ですが、それだけで万事OKというわけではありません」と山鹿さん。というのも、バイクは各ブランドごとにユーザーの平均的体重を想定しながら開発されており、その範囲から大きく外れているライダーだと、スプリングレートが合わず、サスペンションが適正に機能しないこともあるからだ。

「プリロード調整は、新車時のスプリングにあらかじめ10~25mmほどかかっている負荷を変更する作業。弱めれば少ない荷重で沈むのでソフトに感じ、強めれば大きな荷重がかかるまで沈まないので二人乗りや荷物積載に対応できます。 大幅に弱めることで足着き性を向上することも可能ですが、変化を感じるのは初期の動きで、スプリングのカタさが変わるわけではないので、プリロードを弱めすぎて二人乗りなどで設定重量を超えたら底付きなどにつながり、強めすぎればハンドリングの軽快性を失ったり長時間乗るとお尻が痛くなったりします。またトレール量(フォーク傾斜角)に影響するので注意が必要です」

そこで、山鹿さんが率いるKTM/ハスクバーナ/WP神戸イーストでは、さまざまな体格のライダーがよりライディングを満喫できるよう、スプリング変更を主軸としたサスペンションチューニングを実施している。

KTM&ハスクバーナはサスの理想値がすぐわかる

山鹿さんは、1993年に独立してメンテナンスおよびセットアップ専門店のインパラを開業。2003年にはKTM正規ディーラーと、KTMのグループブランドであるWPサスペンションのテクニカルサポートショップもオープンした。2012年に店舗名をKTM 神戸に変更し、2018年にはKTMのグループブランドとなったハスクバーナ・モーターサイクルズ、2020年にはWPプロ・コンポーネンツの取り扱いも開始。そして2022年に兵庫県尼崎市の現店舗に移転し、KTM/ハスクバーナ/WP神戸イーストとしてリニューアルオープンした。

インパラ WP KOBEがとくに力を入れているのは、バイクとサスペンションに関する豊富な知識と経験を活かした、個々のライダーに合うマシンの最適化。中でも、KTMやハスクバーナを購入したライダーの体重に合うスプリングレートへの変更を中心としたサスペンションのセットアップや、ローシート仕様のKTMおよびハスクバーナの開発を得意とする。

「欧州メーカーのKTMやハスクバーナは、体重75~85kgのライダーを想定して開発されており、これは日本人の平均体重よりも重めなのでサスペンションが沈みづらい傾向ですが、スタンダードでも気持ちよく走れる設計です。当社がオススメしている自分専用のサス調整は、体重70kgまでのスプリングにセットした試乗車で軽快なハンドリングと快適な乗り心地を体感された方のほとんどがリクエストされます。KTMやハスクバーナは、前述した0Gでのサスペンション長や1Gおよび1G’でのリヤサスペンション沈み込み量が、推奨値としてオーナーズマニュアルに当然のように記載されているメーカー。これはスモールデューク系まで全車種共通です。そのため、足着き性に問題を感じていなくても、体重が軽いまたは重いライダーが乗ったときにその数値が得られるようなスプリングに変更することともオススメします」

ちなみに、WP製サスペンションを純正採用するKTMやハスクバーナには、オプションで体重65~75kg以下、あるいは体重85~95kg以上のライダーが乗ることを想定したスプリングが設定されているモデルもある。「バイクというのは前後のバランスが大切な乗り物なので、リヤだけで調整するのではなく、フロントサスペンションのスプリングも合わせて変更するのが基本。もちろん、オプションスプリングにはフロント用もあります」と山鹿さんは説明する。

ただし、純正オプションのスプリングが設定されているのは、ハイグレードモデルの一部車種と競技用モデルに限られる。そこでインパラ WP KOBEは、オプション設定のないスプリングも独自開発。また、純正オプションにはない体重65kg以下や95kg以上を想定したスプリングも製作している!

「足が着いて、操縦性はノーマル同等」を実現!

ユーザーの体重に最適化したサスペンションの開発と併せてインパラ WP KOBEが得意とするのは、「ローシャーシ」あるいは「ロワリング」と呼ぶローシート仕様の開発だ。

足着き性の向上ばかり優先したような、巷にあふれる“簡易ローダウン仕様”は、キャスター角や前後輪荷重配分やリヤサスペンションリンクのレバー比などが変わることで、ハンドリングに異変が生じたり乗り心地が悪くなったりといったデメリットが発生することも少なくない。フロントサスペンションに関しては、いわゆる「突き出し」で調整することも少なくないが、これには限界がある。対してインパラ WP KOBEのローシャーシ仕様は、「前後サスペンションをチューニングすることで、シート高を下げることを含めてバイクの仕様をユーザーにフィットさせること」が最大の目的。つまり、ここまで解説してきた「適正な車体姿勢づくり」の延長線にあり、足着き性が向上するだけでなく、メーカーが開発時に狙ったのと同じようなハンドリング特性も得られるのだ。

これを実現するため、リヤショックボディのショート加工や、ロッド長を決めるリバウンドディスクのサイズ変更をはじめ、仕様によって超多彩なメニューから最適なモノを選択。もちろん、サスペンションに関するデータも膨大に蓄積している。

「我々の強みは、ショップ内に設けたWP専用ラボですべての作業が自社で完結できるところ。また、各モデルごとのオリジナルパーツをストックしており、オーダーメイドに近い状態でユーザー個々の体格や要望にきめ細やかな対応が可能です。加えて、ローシャーシ仕様の試乗車を公道だけでなくサーキットでも走らせ、高速域までの幅広いスピードレンジでサスペンションが機能することを検証しています!」

山鹿さんは、メカニックとしては過去に国内および海外メーカー製モーターサイクルのセットアップやカスタムも多数手がけ、ライダーとしてはサーキットを含むオンロードライディングからモトクロスやエンデューロレースなどのオフロードまで、すべてのジャンルで楽しんできた。その技術と経験とこだわりは、ローシャーシ仕様の開発にも活かされている。

ローシート仕様の試乗車も用意!

現在、KTM神戸イーストとハスクバーナ神戸イーストでは、ローシャーシ仕様の試乗車ラインアップを豊富に用意している。「バイクは、乗ってみないとその車種の良さがわからないし、多くのユーザーにまず乗ってもらうためには、足着きに対する不安を払拭してあげることも大切だから」と山鹿さん。もっとも、インパラ WP KOBEが製作するローシャーシ仕様は、ただ足が着くようになっているだけでなく、日本人の平均的な体重により最適化されているため、ノーマル以上の楽しさを感じる場合も少なくない。

足着き性や乗りづらさに不安を抱えつつも、KTMやハスクバーナに興味を持っているなら、ぜひKTM/ハスクバーナ/インパラ WP KOBEへ。まずはローシャーシ仕様に試乗して、自分で乗り味を確かめてもらいたい。ちなみに、KTMはスパルタンで乗りづらい……なんていうのは過去の話。近年のモデルは非常にフレンドリーな傾向にあり、イメージとしてのKTMしか知らないライダーが乗ったら驚くかもしれない。

なおインパラ WP KOBEでは、他店で購入したKTM&ハスクバーナ日本正規モデルのWP製サスペンションチューニングにも対応してくれる。愛車の乗り味や足着き性に不満を持つKTM&ハスクバーナのオーナーも、ぜひインパラ WP KOBEに問い合わせを!

店舗情報

KTM KOBE EASTHusqvarna KOBE EASTWP KOBE EAST

住所〒661-0047 兵庫県尼崎市西昆陽3丁目1番10号
TEL06-6432-0061
FAX06-6432-0071
定休日隔週水曜日、木曜日、レース及びイベント時
営業時間10:00~18:00

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(編集協力:株式会社IMPALA)

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