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バイク用エアバッグジャケットの最高峰モデル「hit-air・EU-7」の魅力と実力を実際に体験!!

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

目次

無限電光hit-airはバイク用エアバッグシステムのパイオニア

通常「エアバッグ」と言えば、車の安全装備を思い出す方が多いだろう。

しかしバイクの世界にもエアバッグは存在する。簡単に仕組みを解説すると、ジャケットやベストの内部に強化されたエアチューブを内蔵し事故や転倒の際に、圧縮された空気が瞬時にそのチューブを膨張させ、ライダーの首、胸部、腰部などを守るというものだ。

愛知県名古屋市に拠点を置く「無限電光株式会社」は、このバイク用エアバッグシステムを、今から40年以上も前の1970年代後半から開発を始め、現在に至るバイク用エアバッグのパイオニア的なメーカーだ。

事故の際、頭はヘルメット、また背中や肩はプロテクターで守られるものの、首や胸部(当時は胸部プロテクターがなかった)が守られず損傷することで、死亡もしくは重体化する例も多かった。

そこで無限電光は1980年代に試作を重ね、1990年代に機械式(コード引きタイプ)のエアバッグベストを製品化。ライダーが車体から離れるとワイヤースイッチが作動し、瞬時にガスを注入して膨張する仕組みを開発した。

2000年代には日本国内での一般ライダーへの普及やレースでの採用が始まり、2010年代になると「MUGEN DENKO hit-air(ヒットエアー)」ブランドとして海外でも広く知られるようになり、現在では世界の40カ国以上で販売されるまでに成長した。

また一般ライダーばかりでなく、MFJ公認レースでも推奨されたり、都道府県警の一部の白バイ隊がhit-airを導入していたり、教習所では転倒リスクに備えて、インストラクター用として採用された例もある。同社はまさにバイク用エアバッグの先駆け的な存在なのだ。

エアバッグ機能にツアラー・アドベンチャー要素をプラス

そんな無限電光が最新の秋冬モデルとしてリリースしたのが、hit-airエアバッグジャケットのフラッグシップモデルである「EU-7」だ。

デザインは、ベーシックなロング丈で、流行のアドベンチャーや、ロングツアラーにぴったりなイメージだ。カラーもライトグレー、ダークグレー、ブラックの3色展開。シンプルなツートーン基調なので、幅広いバイクに似合うだろう。

ライトグレーはアドベンチャー系のバイクと最高のマッチング。
ダークグレーはロングツアラーやビッグネイキッドにも似合うだろう。
ベーシックなブラックはアドベンチャー、ツアラーはもちろん幅広いバイクとマッチする。

内側には保温性の高いキルティングのナイロンライナージャケットを装備。
首と胸部左右のファスナー、袖口のボタンによって簡単に着脱が可能だから、寒くない季節は外して使うことで、本体は長いシーズンで着用が可能だ。またライナーの着心地は軽く、シンプルなデザインのため、このライナー単体でも着られそうなのがいい。

キルティングがおしゃれなライナージャケットは、着心地が軽く保温性も高い。
単体で着ても不自然ではないのでキャンプやスポーツ観戦にも活躍しそうだ。

肩と肘にはヨーロッパのCE規格をクリアした「HEXA」のプロテクターを装備。
ハニカム構造で軽量ながら高い防護性を発揮。エアバッグシステムがあるので、背中にプロテクターは必要ないが、エアバッグシステムを外した時のことも考慮され、ソフトパッドが付属。これはオプションでさらに頑強なプロテクターも使えるという配慮だ。 またジャケットのファスナー付近には胸部プロテクターが装着できるベルクロも装備されているので、オプションで胸部プロテクターの装着も可能だ。

またジャケットの裏地には「INTERON」という透湿防水防風生地のポリウレタンフィルムを採用。
これにより、不意の雨でも体を濡らさず、体から発散された汗は水蒸気として排出するため、ライダーは常にドライで快適な環境の中でライディングを楽しむことができる。

こういったアドベンチャー系のウエアというのは、とにかくプロテクター類の充実化により、かなりの重さがあるのがデフォルトだ。中には着ているだけで肩こりや疲労感を覚えるほど重い物もある。

しかしEU-7は安全性をエアバッグシステムに集約しているので、ジャケットとしての着心地は軽く、非常に動きやすいのが大きな魅力だ。

ウエストには中のレイヤーによって調節できるベルトを装備。片手でフィット可能だ。
袖口はファスナーとベルクロでしっかりフィット。腕には2カ所にアジャスターが設けられている。
首元もファスナーでベルクロで風の進入を許さない。喉元や首回りに
ネオプレーンが使われ肌触りがいいのもポイント。
腰には使い勝手のいいポケットを二つ配置。逆側には止水ファスナー付きの小物ポケットも装備。
背面には止水ファスナーのベンチレーションも設置。広いシーズンやシチュエーションに対応する。

長年の研究で開発された秀逸なシステム

このジャケットのメインであるキーボックスは右胸に配置。やや大きい装置だが着ていて違和感はあまり感じない。

肝心かなめのエアバッグの起動システムであるキーボックスは右胸に配置されている。
ここに50gのCO2ボンベを装着し、伸縮式のワイヤーをジャケットの外へと出す。車体のフレームなどにワイヤーを固定し、ワンタッチリリースバックルでバイクとジャケットをつなぐことで、エアバッグシステムの準備が完成する。

このバックル型伸縮ワイヤーのループをバイクのフレームやハンドルに回しておく。
バイクから降りるときはバックルを外す。
ワイヤーはシート下のフレームなどの強度があり、かつエアバッグ側のバックルとできる限り近い位置が望ましい。
伸縮式ワイヤーは、バイクにまたがってスタンディングポジションになった際に、
ワイヤーが伸びきった位置に調整する。これによりライダーがバイクから離れた瞬間に作動するのだ。
写真ではわかりやすいようにエンジンガードにつけているが、本来はシート下のフレームとの装着が望ましい。

キーボックスの中には、スプリングによってきつく固定されたボール状のスイッチ(キーボール)があり、このキーボールにはワイヤーがついている。

事故の際にこのキーボールがボックスから抜けると、スプリングに連動した針がボンベに穴を開ける。すると圧縮されたCO2が、瞬時にエアバッグを膨らませてライダーの体を守るという仕組みだ。

このキーボールを抜くには約30kgの張力が必要となるので、そう簡単にエアバッグが作動することはない。通常の乗り降りであれば作動することなくワンタッチコネクターの外し忘れには気づくので問題ないが、立ちごけ程度でも30kg以上の力が加わればエアバッグは作動してしまうので注意が必要だ。

エアバッグのイメージイラスト。この順番で圧縮空気が瞬時に送られる。

このEU-7が搭載しているのは首気室露出型(キーボックス背面気室+尻気室収納型)キーボックスB型という種類のエアバッグで、起動すると瞬時に首、鎖骨、脇腹、背中、腰、尻という広範囲がエアバッグで包まれる。

また、このエアバッグシステムの優秀な所は、作動してエアバッグが開いたとしても、ジャケットやベストの生地が破損していなければ収納して再利用できるところだ。
もちろんCO2ボンベは新品への交換が必要だが、車のエアバッグだと一度使ってしまったら新品への交換は20万円以上かかると言われているので、圧倒的に経済的である。

実際にエアバッグを作動させてみた

今回はメーカーに許可を得て、実際にエアバッグを体験できることとなった。キーボックスから出たワイヤーをR1300GSのエンジンガードに固定して、ライダーが降りた状態で一気にキーボールを抜く。

ボフッという音と共に瞬時にエアバッグが作動し、首、脇腹、背中、腰、尻周りがエアバッグのチューブによってぎゅぎゅぎゅうっと圧迫された。

ジャケットは、はちきれんばかりに膨れ上がり、上半身から腰の下あたりまで広範囲がカバーされているのがよくわかる。とくに首回りと胸への防護力はかなり強烈なものだと実感した。

エアバッグを作動させる前の状態。ワイヤーはエンジンガードにつないである。
横に飛び、キーボールが外れエアバッグが作動した瞬間。すでに右胸が膨張し始めている。
本当に「あっ」という間にエアが全体に行きわたり体がぎゅぎゅっと圧迫される。
脇腹もしっかり防護されているのがわかるだろう。
背中の厚みは大きく、首もかなり強力に守られている。
5分ほどはパンパンの状態でその後徐々に空気は抜けていった。

エアバッグの膨張はしばらく続き、約5分ほどして内部のエアが抜け始めた。

ちなみに、エアバッグ展開後に、付属の再生用工具(セッティングボルト、六角レンチ)でキーボックスに再びキーボールをセットしたが、これも簡単ですぐに再セットができた。

しかし、このエアバッグの効果は衝撃的だ。もし事故にあってバイクから大きく投げ飛ばされた場合でも、このエアバッグシステムなら、本当に命が助かることもあるだろう。

同社では長い開発年月の中で何度もこのエアバッグに対する衝撃テストなどを繰り返し行なってきた。また実際にエアバッグによって事故の際に軽傷で済んだ事例も報告されている。

このhit-airシリーズは、そういった実績と実力を確実に持ったエアバッグシステムなのだ。

このシステムは他のジャケットに転用することも可能

無限電光では、2023年以降に製造販売を開始した新しいエアバッグジャケット(HDS)から、エアバッグのインナーを同形状にすることで、全ての新しいジャケットに共通で使えるようになった。

このEU-7にしても、エアバッグ装備モデル(税込79200円)とエアバッグ無しモデル(税込52800円)の2種類をラインナップ。
個々のジャケットにエアバッグを装備する必要がなく、過去に同社のエアバッグ付きジャケットを購入したユーザーは転用することができるのだ。
ちなみに現在はHDS、MX-9、HDS-MSといったモデルと共通で使える。EU-7は夏以外の季節に活躍するので、MX-9など夏用のメッシュジャケットと共用できるのは非常にありがたい。

オプションやプロテクター類も豊富に用意

日本国内では唯一無二のエアバッグシステムを開発している無限電光は、ジャケットばかりでなく胸部や脊椎のプロテクターやグローブといった製品もラインナップ。またエアバッグシステムに必要な交換用CO2カートリッジボンベやバックル、ワイヤーなどのスペアパーツも豊富に用意されている。

近年では乗馬の落馬事故に対応する乗馬用のベストも開発するなど、とにかくライダーを不慮の事故から救いたいという信念を元に、開発を続けている無限電光。

いざ”というときのために、ヘルメットと同様の安全装備と捉えて、あなたのバイク装備に加えてみてはいかがだろうか。

EU-7 製品スペック

価格
エアバッグ装備モデル:¥79,200(税込)
エアバッグ未装備モデル:¥52,800(税込)

カラー●ライトグレー、ダークグレー、ブラック
サイズ●M/L/XL/2XL/3XL/4XL
使用CO2ボンベ●50cc
重量●約2.8kg(Lサイズアウター:2.3kg、ライナー:500g)
素材
アウター表地:リップストップ、600D (ポリエステル)
裏地:メッシュ(ポリエステル)
中布:INTERON透湿防水フィルム (ポリエステル、ポリウレタン)
エアバッグチューブ:ポリウレタン
ライナー表地:中綿キルト(ポリエステル)
裏地:タフタ(ポリエステル)
プロテクター●:CE肩肘パッド、脊髄ソフトパッド
エアバッグ装備モデル装備品●伸縮ワイヤー、CO2ボンベ50cc、取扱説明書、工具セット(セッティングボルト、六角レンチ)

(編集協力:無限電光株式会社)

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