梅雨の時期、バイクのオーナーにとって気がかりなことのひとつは「バイクのさび」かもしれません。
気づいたときには広範囲にさびが広がっていた、という事態を防ぐためには、特に注意すべき箇所とその対処を理解しておくことが必要です。
では、梅雨の時期のたびに気を付けたほうがよい、バイクのさびやすい箇所はどのようなところなのでしょうか。
特にさびやすいバイクの部品は?

梅雨の季節は、湿度の高さと降雨によってバイクの金属部分がさびやすくなります。
見た目の劣化にとどまらず、放置すれば走行性能にまで悪影響を及ぼす可能性があります。
気づかぬうちに進行するさびのリスクと、その対処について知っておくことが重要です。
さびは足回りに比較的多い
バイクのなかでも、特にさびが発生しやすいのがチェーン、マフラー、ボルト、スポークなどの地面に近く露出した金属部分です。
チェーンは走行中に常に外気にさらされており、雨や泥によって潤滑油が流されると、潤滑不良から摩耗とさびの両方が進行することがあります。
マフラーやエキゾーストパイプは、熱の影響で防錆コーティングが劣化しやすく、そこに水分が加わることで酸化が進みます。
特にエキゾーストパイプのさびは、ひび割れや排気漏れの原因にもなりかねないため、外観の変化や色ムラが確認できれば、早いうちに点検することが必要だと考えられます。
また、ブレーキディスクも注意が必要な部位です。雨天走行後や長期間の放置によって表面にさびが浮くことがあり、制動時に異音や振動が発生する場合があります。
また、見落としがちなのが、バッテリーのターミナル部分です。
ターミナルが湿気や雨水にさらされると、白い粉状の腐食物が付着し、電気の流れを妨げる場合があります。
このほか、メッキ仕上げのパーツは見栄えを大きく左右する要素でありながら、さびが発生しやすい点にも注意が必要です。
さびはさまざまな悪影響につながる恐れがある
バイクの金属部分に発生するさびは、見た目の問題にとどまらず、さまざまな機能面に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、さびを放置することで起きる金属の劣化は、性能や安全性を著しく損なう原因になります。
たとえば、チェーンがさびると、リンクの動きが悪くなり、スムーズな駆動力の伝達が損なわれることがあります。
これにより、発進時の引っかかりや、加減速時の違和感が生じ、場合によってはチェーンの切断やスプロケットへのダメージを引き起こすことも考えられます。
さらに、ブレーキディスクのさびは、制動力の低下を招く原因になりえます。
特に、表面に赤さびが広がると、ブレーキパッドとの摩擦が均等にかからなくなり、異音や制動距離の延長といった症状が見られる場合があります。
そして、エキゾーストパイプにおける腐食は、排気漏れを引き起こすことがあります。これによりエンジンの出力が低下したり、騒音が増加したりする場合があります。
それだけではなく、漏れた排気が高温になることで、周囲の配線や部品を傷めることも懸念されます。
このほか、メッキパーツの腐食は、車両全体の印象を大きく損ねる要因になります。見た目に与える影響が大きく、再メッキや交換には高額な費用がかかる場合があります。
このように、さびは見た目だけではなく、機能にも深刻な影響を与え、中には安全にかかわるトラブルを引き起こしかねない存在だといえます。
愛車がさびないように、オーナーができる対策

このように、さびは見た目だけでなく、機能面にも影響するため、愛車のためには適切に対処する必要があります。
では、愛車をさびから守るために、オーナーは何をするとよいのでしょうか。
さびが発生する原因は水と汚れ
そもそも、多くの場合バイクのさびは、金属が酸素と水にさらされることで酸化反応が起こり、表面に酸化鉄が生成されることによって発生します。
加えて、走行時に巻き上げた水や泥が金属部品に付着し、それを放置すると酸化が加速されてしまう場合があります。
そのため、梅雨時に、特に走行後に手入れをせず放置した場合、錆がより発生しやすくなると考えられます。
さびを予防するために必要なこと
上述の通り、さびはバイクの表面に残った水分や汚れから発生します。
そのため、バイクのさびを予防するためには、まず水分と汚れを残さないことが基本となります。
たとえば、雨天走行後や洗車後には、乾いた布でしっかりと拭き取ることが効果的とされています。
特にチェーンやマフラーまわり、フレームの接合部といった水分が残りやすい箇所は、丁寧な乾燥が必要です。
チェーンについては、清掃と注油を定期的におこなうことで、潤滑を保ちつつ、表面の金属を保護する役割が果たされます。
そして、駐車時にもバイクが濡れないよう、バイクをガレージ内で保管するのが理想です。
しかし、それが難しい場合には、通気性の良いボディカバーをかけ、定期的にカバーを外すことで湿気がこもらないように保管することも有効とされています。
加えて、防錆スプレーやグリスなどを活用して、露出した金属面にあらかじめ保護膜を作っておくことも、予防の一手として検討できるでしょう。
もしさびを発見してしまったら
では、さびが発生してしまったときはどのように対処する必要があるでしょうか。
もしすでにさびが発生してしまった場合には、専用のさび取りスプレーの使用が有効とされています。
この場合、注意してさび取りスプレーを使用するべき個所が存在します。
たとえば、エキゾーストパイプは走行後などに高温になりますが、高温のエキゾーストパイプにさび取りスプレーを使用しても、成分がすぐ揮発してしまいます。
そのため、エンジンが冷えた状態でさび取りスプレーを使用する必要があります。
また、バッテリーなど、通電しているなどの理由からさび取りスプレーの使用をためらわれる場合は、さびをブラシでこすり落とすことも有効と考えられています。
これ以外にも、スプレーの使用方法や注意点などは製品ごとに異なるため、説明書をよく読み、用法に従って使用することが重要です。
まとめ
このように、梅雨時はさびのリスクが高まり、放置すれば走行性能や安全性に悪影響を及ぼす場合があります。
バイクを美しく、万全な状態で保つためには、日頃の水分除去や防錆対策、さび発見時の適切な処置が大事です。
日々の小さなケアの積み重ねこそ、愛車をさびから守る大きな防波堤とも言えるかもしれません。








