バイクを所有しているユーザーは保険に加入する義務がありますが、任意保険には、保険料に関わる「等級」という制度があります。等級は、事故をしないほど上がり、保険料が安くなる仕組みですが、事故を起こすとその等級が下がり、割引率が減少してしまいます。
次の更新時に保険料がどれくらい上がるのか気になる方は多いはず。事故後の不安を少しでも軽くするために、今回は任意保険の等級による保険料の違いについて解説します。
任意保険には等級という制度がある
バイクは自動車よりも手軽に所有できる乗り物ですが、保険の制度については自動車同様の加入が必要で、バイクを所有している限りは保険に加入しておかなければなりません。
バイクの保険には大きく分けて2種類があり、強制加入の自賠責保険と任意加入の保険があります。
保険内容 | 補償範囲 | |
自賠責保険 | バイク自体にかけられる保険で、バイク所有時には強制的に加入 | 対人補償 |
---|---|---|
任意保険 | バイクユーザーが任意で加入する保険 | 対人、対物、自動車保険、等 |
自賠責保険はすべてのバイクに必須の保険ですが補償範囲が対人のみと狭く、これだけでは補償が不十分です。そのため、幅広い事故に対処するために任意保険があり、加入は任意ではあるものの、万全な補償を確保するため加入することが強く推奨されています。
任意保険は民間の保険会社などが販売する保険となっており、補償内容は保険会社によって選べるので幅広い補償が可能です。
保険金の金額も補償内容で変動しますが、その他に保険には「等級」の制度があり、等級によっても保険料に変動があります。等級は保険会社の契約者に対する信用の度合いを示すもので、事故の少ない契約者ほど等級が高くなります。
6等級と20等級(最大)の際の保険料の違い
任意保険の等級は多くの保険会社で1等級から20等級まで設定されており、基本の等級は6等級となります。6等級は任意保険に初めて加入した人が認定される等級で、どんなに過去事故が少なかったとしても6等級からスタートします。
等級はバイクの事故などで保険を使用すると変動するもので、1年間保険を全く使用しなければ等級が自動的に1段階上昇します。
等級は契約時に支払う保険料にも直結する制度になっており、等級が高ければ高いほど保険料の割引率が高くなってお得になります。割引率は多くの保険会社で6等級時点で13%となりますが、20等級に無事故の状態で到達した場合にはなんと63%まで上昇します。
実際の保険金額は加入者の年齢やバイクの車種や保険のプランによって金額が変わりますが、一例として次の状況とします。
・排気量251cc〜400cc (中型バイク):6等級時点で15,220円/年
これが同じ条件で20等級となると11,430円/年となりますので、保険料は3,790円の差になります。等級が20等級までいくには単純計算でも14年近くかかりますので容易なことではありませんが、少なくとも保険を使わなければ毎年数%はお得になっています。
事故で保険を使うと、等級は下がる(=保険料が増額する)
等級の変動は事故の有無ではなく保険を使ったかどうかで決まりますが、事故の状況によっては使わざるを得ない状況となります。保険を使って補償を行った場合には等級が下がりますので、保険料の割引率が低下して増額していきます。
事故を起こしてしまった際の等級の変化
保険料の等級は6等級より下がると契約時よりも保険料がたかくなっていき、6等級から1段階下がるだけでも13%から2%まで割引率が下がります。保険使用による等級の下がり方は1度の事故について1段階ですが、事故の内容によっては3等級下がることがあり、保険会社の規定や裁量によって決まります。
もし10等級での保険料が14,900円/年のバイクの場合、3等級ダウン事故を起こすと翌年の保険料が20,000円台まで増加するため、3等級ダウン事故ではおよそ1.3倍〜1.5倍保険料が増加します。
その後事故を起こさなければ等級は1段階ずつ上がっていきますが、過去に事故を起こして保険を使っていると無事故の状態よりは保険料の割引率は低下します。
ファミリーバイク特約は等級とは無関係
バイクの保険にはいろいろなプランが用意されており、補償内容や補償範囲が細かく選べますが、その中で「ファミリーバイク特約」というプランがあります。ファミリーバイク特約は保険の補償範囲を決める特約の一つで、最近では多くの保険に付帯できます。
通常の保険内容ではバイクを運転していた人が保険の契約者でなければ補償を受けられませんが、ファミリーバイク特約が付いていると配偶者や同居の家族がバイクを運転していた場合にも補償が受けられるようになります。
ファミリーバイク特約での補償範囲は通常の保険内容とは違う内容で主に対人保険がメインですが、ファミリーバイク特約の補償範囲での保険使用であればほとんどの保険会社が「ノーカウント事故」としています。
これは事故で保険を使っても等級が下がらない範囲の事故ということであり、ファミリーバイク特約の範囲の事故は等級が下がらず保険料も増額されません。
ただしファミリーバイク特約とほかの補償を併用した場合には、ファミリーバイク特約以外の部分で等級の変動は発生します。
まとめ
バイクを所有している限りは任意保険への加入はほぼ必須ですが、毎年支払う保険金の金額は等級で決められています。等級は主に事故の際に保険を使用すると変動するもので、一部のプラン以外では等級が下がるごとに保険料も増額されます。
逆に保険を使用しなければ毎年等級が上がって保険料も割引が増えますので、事故に気をつけて運転すればそれだけお得にバイクに乗れます。