走行中に「シャー」「チャリチャリ」と音が聞こえると、チェーンに異常があるのではないかと不安になるものです。一方で、チェーンは金属製の部品が連続して動き、スプロケットとかみ合うため、正常な状態でもまったくの無音にはなりません。
では、どこまでが通常の作動音で、どこからが点検を必要とする異音なのでしょうか。結論からいえば、音の大きさや擬音だけで正常・異常を断定することはできません。以前との変化や音の周期、チェーンの張り、汚れ、固着などをあわせて確認することが重要です。
一定の小さな作動音なら異常とは限らない
チェーンがスプロケットとかみ合いながら回転すれば、走行速度に合わせて連続した作動音が発生します。小さな「シャー」という音が一定に続き、走行感覚にも変化がなく、チェーンの張りや潤滑状態に問題がなければ、必ずしも異常とは限りません。
チェーンの音は、車種やチェーンの種類、カバーの構造、ヘルメット、周囲の壁などによっても聞こえ方が変わります。静かな場所や低速走行時に、それまで意識していなかった音へ気づくこともあります。
大切なのは「音が聞こえるか」だけではなく、以前より急に大きくなっていないか、一定だった音が周期的に変化していないかを確認することです。
「シャリシャリ」「キュルキュル」は油切れの可能性
乾いたような「シャリシャリ」「キュルキュル」という音が目立つ場合は、チェーンの潤滑不足や汚れが疑われます。ローラーが円滑に動かなくなると、チェーンとスプロケットの接触音が大きくなり、摩耗や錆の原因にもなります。
チェーンメーカーのアールケー・ジャパンは、シールチェーンとノンシールチェーンのどちらにも潤滑が必要と案内しています。同社が示すメンテナンスの目安は500km走行ごと、または雨天走行後ですが、車両や製品の指定がある場合はそちらを優先してください。
注油する際は、必ずエンジンを停止して車体を安定させます。エンジンをかけて後輪を回しながら作業すると、チェーンとスプロケットの間に指を巻き込まれる重大事故につながるため、絶対に行ってはいけません。
周期的な音は固着や偏伸びを疑う
「カチャ、カチャ」と一定の間隔で音がする、後輪が回るたびに音の強弱が変わる場合は、一部のリンクの固着や不均一な摩耗、いわゆる偏伸びが起きている可能性があります。
チェーンのたるみを複数の位置で確認し、場所によって大きく変化する場合は注意が必要です。また、リンクが滑らかに曲がらない、錆が広がっている、シールが外れているといった異常があれば、注油だけで解消できないことがあります。
自己判断で張りを強くすればよいわけでもありません。チェーンはたるみ過ぎだけでなく、張り過ぎでも異常音や部品への負担につながります。適正なたるみ量や測定方法は車種によって異なるため、必ず取扱説明書で確認しましょう。
「ガリガリ」「バチバチ」は走行を続けない
金属同士が強くこすれるような「ガリガリ」音や、チェーンが何かへ当たるような「バチバチ」「ガタン」という音は、通常の作動音として済ませないほうがよいでしょう。
原因としては、チェーンの極端なたるみや摩耗、スプロケットの歯の摩耗、チェーンケースとの接触、異物のかみ込み、ホイールの位置ずれなどが考えられます。大同工業も、異常な騒音の要因として張り過ぎ・たるみ過ぎ、スプロケットの芯出し不良、チェーンやスプロケットの摩耗、不適切な潤滑などを挙げています。
加速時に大きな衝撃が出る、チェーンが上下に激しく振れる、スプロケットの歯を乗り越えるような感覚がある場合は、そのまま走行しないでください。チェーンが外れたり破断したりすると、転倒につながるおそれがあります。
音が気になったときに確認したいポイント
音だけで原因を決めつけず、エンジンを停止した状態で次の項目を確認します。
- 車種ごとに指定された範囲内のたるみか
- チェーンが乾いていないか、泥や砂が付着していないか
- 錆、傷、ローラーの破損、シールの脱落がないか
- 曲がりにくいリンクや、場所による張りの差がないか
- スプロケットの歯が極端に細くなったり、傾いたりしていないか
- チェーンカバーなどへ接触した跡がないか
ただし、回転部分へ手や衣服を近づけるのは危険です。作業方法が分からない場合や、後輪を安全に回せる設備がない場合は、自分で無理に確認せずバイクショップへ相談してください。
まとめ
チェーンは構造上、正常でも一定の作動音が発生します。小さく連続した音だけで異常とは断定できませんが、以前より大きくなった音、周期的に変化する音、強い金属音には注意が必要です。
擬音だけで判断せず、張り・潤滑・汚れ・固着・摩耗をあわせて確認しましょう。注油や清掃をしても音が変わらない場合や、走行中に衝撃や振動を伴う場合は、走行を控えて専門店で点検してもらうことが安全です。








