道祖神企画のツアー「賀曽利隆と走るアフリカ縦断2013」を振り返るエッセイ。
今回は、ナミビアの首都ウイントフックを抜け、スワコップムントの海辺から塩のダート道、そして大西洋とインド洋が出会う岬までをバイクで駆け抜ける最終章。
砂漠の日差しが肌を刺し、焚火の炎が夜空を揺らす。15万頭のアザラシの大群が浜辺を占拠し、朝陽が砂丘を黄金色に染める。地球の果て―その感覚を存分に味わった旅の記憶を、改めて綴る。
さあ、次のステージへ。大地を越え、海を越え、アフリカの最南端で得た感動を共有したい。
※一部編集部で加筆・修正しております
著・賀曽利隆
Route!掲載日:2025年11月15日
砂漠を越え、大西洋とインド洋の出会う地へ ― ナミビアから喜望峰まで
ナミビアの首都・ウイントフックから370キロ。バイクを走らせ、大西洋岸の町スワコップムント(Swakopmund) に到着した。ここは世界最古の砂漠といわれるナミブ砂漠に抱かれた美しい海辺の町だ。

スワコップムントの夜と旅人たち
スワコップムントでは海岸のキャンプ場「アルテブリュッケ」に連泊した。日が落ちると砂漠の冷気が忍び寄り、寒さを感じるほどだ。空には三日月が見える。夕食を食べた後は薪を買って焚火をする。薪は1袋50ナミビアドル(約500円)。安くはない。砂漠では木が貴重なのだ。
焚火を囲みながら飲む1本10ナミビアドル(約100円)のナミビア産ビール「ウイントフック」の味は格別だった。ここで出会った韓国人旅行者は、車でロシアのウラジオストクを出発し、シベリアから中東を抜け、アフリカを南下中だという。旅の終点はケープタウン。10ヵ月に及ぶ壮大な旅の途中だった。我々以外にもこのような旅をする人がいるのだ。
大西洋沿いを北上、ケープ・クロスのアザラシたち
翌日はスワコップムントから北へ130キロ、ケープ・クロス(Cape Cross) を目指す。海沿いの道は「塩のダート」と呼ばれる塩で固めた高速未舗装路。
愛車 DR-Z400S のアクセルを開けると、舗装路以上にスムーズに走れる。東西の幅約50〜150キロ、南北1300キロにもわたるナミブ砂漠のスケールは圧倒的だ。
ケープ・クロスの海岸では、15万頭以上!のアザラシ が群れる光景に息をのむ。鳴き声、潮の香り、命の渦――まさに「世界の驚異」。

ナミブ砂漠を南へ ― デューン45の朝日
再びスワコップムントのキャンプ場へ戻り、翌日から南へ進路を取る。 ウォルビスベイを過ぎると広大なダートが続き、乾いた熱風が頬を刺す。唇は割れ、喉が焼ける。それでも前へ――。
途中で 南回帰線(Tropic of Capricorn) に到達。標識前でバイクを並べ記念撮影。南緯23度26分、熱帯と温帯の境だ。
375キロ走り、砂丘観光の拠点「セスリエム・キャンピング」へ。翌朝、デューン45(Dune 45) に登る。夜明け、金色に輝く砂丘のグラデーションが刻々と変化する。あの瞬間、ナミブ砂漠の大地とひとつになった気がした。


フィッシュリバーキャニオンから南アフリカへ
旅はさらに続く。フィッシュリバーキャニオン(Fish River Canyon)と温泉地 アイアイ温泉(Ai-Ais Hot Springs) に立ち寄り、国境のオレンジ川を渡って南アフリカへ。
ナミブ砂漠1000キロ超のダートを走り抜け、ついに舗装路に入る。ここからはケープタウンまで一直線だ。




アフリカ最南端・アグラス岬に立つ
南アフリカを南下し、アフリカ大陸最南端・アグラス岬(Cape Agulhas) に到着。
「あなたは今、アフリカ大陸最南端の地に立っています」
――記念碑に刻まれた文字が胸に沁みる。
ここで大西洋とインド洋が出会う。目の前には二つの海が、境界線もなくただ混ざり合っている。地球の息づかいを感じる場所だった。


そしてケープタウンへ、喜望峰の風
アグラス岬から200キロ、ついにケープタウン到着。ナイロビを出発して28日、走行距離は7232キロ。
さらに南下し、ケープ半島の最果て 喜望峰(Cape of Good Hope) へ。
突端の岩場に立ち、真っ青な大西洋を前に雄叫びをあげた。17歳の夏、高校の地図帳に赤線を引いた「アフリカ縦断」の夢が、いま現実になった。



「アフリカ大陸縦断2013」完結
ナイロビからケープタウンまで7395キロ。ノントラブルで走り切った相棒 DR-Z400S に心から「ありがとう」と言った。
だが旅はまだ終わらない。次なる目標は「ナイロビ→アレキサンドリア」――北へ向かうアフリカ縦断・後編だ。 あの日、地図帳に引いた赤い線の続きが、今も心の中で光っている。

2025年のアフリカ縦断は改めて!
つい先日、11月8日に、カソリさんは新たなアフリカ縦断2025から、同行した皆さんと一緒に帰ってきました。終盤に大きな大きなトラブルがあったようですが、そのあたりも含めて、またこのRoute!ウェブ上で記事を書いていただこうと思っていますので、お楽しみに!
とにかく、みなさん無事でよかったです。おかえりなさい!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
〜僕らは今、旅の途中〜 常に進化を遂げてきたライダーのバイブル
ライダーと共に創る地図「ツーリングマップル」は、ライダーの実走取材によるジャンルも内容も多種多様なコメント情報が特徴です。長きに渡り、旅人の信頼を得ています。文字サイズが大きくなったR版(リング版)は、開きやすく使いやすい仕様です。
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この記事では「ツーリングマップル」協力のもと、モトメガネ編集部で記事を再編集。今後もさまざまなバイク情報を取り上げていきます。








