バイクでアフリカ大陸を南へ――。
ケニアから出発し、南アフリカ・ケープタウンへと駆け抜けた賀曽利隆のツーリング記録。
前回、ケニア・ナイロビを出発しタンザニアーマラウィ国境まで走りました。第2回はマラウィ~ザンビアへ。
大地溝帯の壮大な風景、マラウィ湖畔で見た夕日、そして現地でのトラブル、人々との出会い。
「走ること」そのものが人生になる瞬間を、写真とともに振り返ります。
(編集部で一部加筆修正)
著・賀曽利隆
Route!掲載日:2025年10月9日
前回はケニアからマラウィ国境へ(前回の旅の振り返り)


前回記事は下記リンクよりどうぞ

果てしないマラウィ湖と大地溝帯の風景 マラウィ湖畔のチティンバ・キャンプ場で過ごす夜
南北に細長い国、マラウィを南下する。この道は首都のリロングウェに通じる幹線道路で、2車線の舗装路なのだが交通量はきわめて少ない。タンザニアのように、大型トラックや大型バスと頻繁にすれ違うこともない。そのかわり自転車が多くなった。
右手に見える山並みはグレートリフトバレー(大地溝帯)の西縁。北は中東のヨルダン河谷から南はザンベジ河口までつづくグレートリフトバレーは世界最大の地溝帯だ。この先、何万年か何億年か知らないが、アフリカ大陸が2つに割れるときはこの線で割れるのは間違いない。左手にはマラウィ湖。南北の長さ580キロという世界第10位の大湖はグレートリフトバレー内にある。いまいるのが湖の北端。それにしても、とてつもない長さだ。日本にあてはめれば「東京から大阪までが湖」ということになる。
行けども行けども尽きないマラウィ湖を見つづけながら、相棒のDR-Z400Sを走らせた。マラウィでの第1夜目はそんなマラウィ湖畔でのキャンプだ。「チティンバ・キャンプ場」のテントサイトはきれいな芝生になっている。湖畔にはファイヤー・プレースもある。さっそく焚き木を集めて焚火した。とても大きな夕日がマラウィ湖対岸の、タンザニアの山々に落ちていく。夕食はキャンプ場内のレストランで。まずはマラウィ産のビール「クチェクチェ」で乾杯。そのあとライス&ビーフの夕食を食べた。



アフリカでも速度違反(泣)。現地の人の温かさ、港町ンカタベイでの出会い
翌日もマラウィを南下する。ところが中部のムズズを過ぎたところで警官に止められた。「しまった!」と思ったときにはもう遅い。スピード違反で捕まったのだ。スピードガンでの計測。30キロオーバーの罰金は5000クワチャ(約1250円)。その場で払った。



大統領車列との遭遇、そしてザンビアへ
南部に入っていくと、交通量は少しは多くなった。首都のリロングウェに近いサリマでは大統領一行とすれ違った。警官が大勢出て、すべての交通を止める。その中を大統領一行の乗った何台もの車が猛スピードで走り抜けていく。どの車に大統領が乗っているのかはわからなかった。
サリマで長かったマラウィ湖畔を離れる。首都のリロングウェに向かっていくと交通量が一気に多くなった。ゆるやかな登り。バイクを止めると、我々は高台から雄大な風景を見下ろした。首都のリロングウェに到着するとファストフード店で昼食。ハンバーガーとフライドポテトを食べた。
リロングウェから130キロ走るとザンビア国境に到着。国境で両替をすると1USドルが5クワチャに。1ザンビア・クワチャは約20円だ。
国境近くの町、チパタで給油し、郊外の「ママルーラ・キャンプ場」に泊まった。テントを張り終えると、まずはキャンプ場内のバーでザンビア産ビールの「モシ」をキューッと飲み干す。1本10クワチャ(約200円)。そのあとキャンプ場内のレストランで夕食。イタリア料理の「ラザニア」を食べた。ザンビアの「辺境の地」といってもいいようなチパタのキャンプ場で食べる「ラザニア」の味は格別だ。翌朝は、キャンプ場内のマンゴーの木の枝に飛びつき、食べごろの実を取って、顔中をベトベトにしながらたてつづけに食べた。マンゴーはぼくの大好物なのだ。




But China is good country ♪
次の日はザンビアの首都ルサカに向かった。その途中、カチョローラ村の国道沿いにある「カチョローラ・キャンプ場」に泊まった。
ここではキャンプ場のオーナーのジョージと話した。朴訥とした感じがすごくいい。ジョージの話で忘れられないのは「メイドinチャイナ」だ。ザンビアにはものすごい勢いで中国製品が入り込んでいる。しかし「メイドinチャイナ」は衣類でも靴でも電器でも、何でもすぐにダメになるという。それに対して「メイドinジャパン」は丈夫で長持ちし、「フォーエバー(永遠)」だという。だがその後がいい。ジョージは「But China is good country(だけど中国はいい国だ)」という。ジョージの「But China is good country」は大うけで、その後、我々の流行語になった。


声を失うビクトリア大滝 Victoria Falls Zambia
首都のルサカからはザンビア一番の幹線道路を南下し、サンビアージンバブエ国境のリビングストンに向かう。その間480キロ。
リビングストンの人口は10万人で、ザンビアでは3番目に大きな町。そこから国境までは10キロほど。ザンビアでの出国手続きを終えると、ザンベジ川にかかる橋を渡ってジンバブエに入る。いよいよ「アフリカ大陸縦断」のハイライト、世界最大の滝「ビクトリアフォールズ(ビクトリアの滝)」を見る時がやってきた。ゲートで入園料を払い、かわいらしい猿が群れる森を通り抜けると、目の前に巨大なビクトリアの滝が現れた。あまりのすごさにしばらくは声も出ない。
ザンビアとの国境を流れるアフリカ第4の大河、ザンベジ川が幅1700メートルにわたって118メートルの落差で落ちていく。大滝には虹が何本もかかっている。夕立のような水しぶきを浴びて体中が濡れるのも忘れ、茫然として大自然の驚異に見入った。大滝を目の前して「おー、これぞアフリカ!」と叫んでしまった。その夜はビクトリアの滝に近いキャンプ場で泊まったが、午前0時になると花火が打ち上げられ、町のあちこちから「ハピーニューイヤー!」の声が聞こえてくる。2013年から2014年に変わった。




(次回へ続きます)
〜僕らは今、旅の途中〜 常に進化を遂げてきたライダーのバイブル
ライダーと共に創る地図「ツーリングマップル」は、ライダーの実走取材によるジャンルも内容も多種多様なコメント情報が特徴です。長きに渡り、旅人の信頼を得ています。文字サイズが大きくなったR版(リング版)は、開きやすく使いやすい仕様です。
また、スマホ用アプリ「Route!(ルート)」では、地図の継ぎ目なく表示や自位置確認、走行ログの記録が可能で、書籍とアプリを併用することで、旅の計画から現地での活用まで幅広く対応できます。メディアサイトでも、旅のノウハウやエッセイ、新しい道路・施設・製品のニュースや、編集部セレクトの動画などが閲覧できます。
この記事では「ツーリングマップル」協力のもと、モトメガネ編集部で記事を再編集。今後もさまざまなバイク情報を取り上げていきます。








