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プラモデルで再現された”もう一つの名刀” スズキ「GSX750S カタナⅢ型」

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

スズキの「カタナ」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのはGSX1100S、そして国内仕様の750Sでしょう。ハンス・ムートが所属するドイツのターゲット・デザイン社が手がけたその造形は、日本刀の鋭利な刃を思わせるラインを大胆にまとい、当時の常識を真っ向からぶった切りました。

GSX750S―通称カタナⅢ型は初代カタナの精神を受け継ぐモデルです。 唯一無二のシルエットを踏襲しつつ、随所にスズキ独自の解釈とアレンジを加えた意欲作。しかし時代のメインストリームに乗ることは叶わず、結果として知る人ぞ知る希少なモデルで終わりました。モデラーのSho_taroさんの協力を得て「悲運のカタナ」を紹介します。

目次

コンプレックスからカタナが誕生?!

「バイクは高性能だが、デザインがいまひとつ」
それは今も昔も、スズキが背負ってきた評価でした。ホンダやヤマハのような洗練されたセンスもなければ、カワサキのような迫力もない。そんなイメージを打ち破る一台が求められていたのです。
そこでスズキが白羽の矢を立てたのが、ドイツのインダストリアルデザイン会社「ターゲット・デザイン社」でした。

その狙いはバッチグー(死語)。ターゲット・デザイン社は日本文化に着目。日本刀に宿る「斬るための機能美」をデザインに取り入れました。 1980年、ドイツ・ケルンショーでGSX1100Sの原型となるコンセプトモデルが公開されると、会場は騒然となります。ここからカタナの伝説が始まったのです。

翌年に「GSX1100S」として市販化されると、多くのライダーから賞賛されました。その一方で「独特すぎるライディングポジション」「一般ライダー向けとは言い難い操縦性」「デザイン優先で走りが追いついていない」といった課題も抱えていました。国内市場向けに投入されたGSX750Sも「1100ccのスケールダウン版」という印象を拭えず、セールスは伸び悩みます。

現実を受け止めたスズキは、こう考えました(たぶん…)
「GSX1100Sのデザインをベースに“いい感じ”に仕上げたら売れるんじゃね?」
こうして1984年に登場したのが「カタナⅢ型」です。

インパクト重視のリトラクタブルヘッドライト

なぜターゲット・デザイン社に託したのか忘れてしまったかのように、デザイン主導はスズキ社内に移されました。そこで打ち出された象徴的なギミックが、リトラクタブル・ヘッドライト(通称リトラ)です。点灯時のみライトユニットが姿を現すこの機構は、当時ランボルギーニやフェラーリといったスーパーカーがこぞって採用していたことから、「スーパーカーライト」とも称されました。

このシステムは、モーターを内蔵するためフロントが重くなるのでバイクにもクルマにも不向き。現在は保安基準の厳格化や、ヘッドライト常時点灯が義務付けられていることから、二度と再現できない構造となっています。後方確認をしたバイクやクルマにアピールする鏡文字もオシャレです。

私はリトラを採用したクルマに乗っていましたが、寒冷地では凍り付いてしまい、ライトの開閉ができなくなるトラブルが発生しました。機能性よりも視覚的インパクトを優先したその選択は、カタナⅢ型のキャラクターを決定づける要素となり、賛否を巻き起こしながらも強烈な記憶を残したのです。

日本的美意識を昇華させたモデルだった!

販売台数が少なく、実車を見る機会に恵まれない「カタナⅢ型」ですが、タミヤからプラモデルが発売されていました。キットの制作者、Sho_taroさんからコメントをいただきました。
「有名デザイナーの傑作に、あえて挑んだスズキのメーカーデザイナーに拍手を送りたい。金と黒の配色も、日本的な美意識を感じさせて好きですね」

「模型としてもカタナⅢ型は難物。リトラクタブル・ライトは実際に開閉しますが、スケールモデルとして破綻しないよう隙間を詰める調整は至難の業です」

「当時のスズキ車特有の、独特な形状を持つディスクブレーキの穴も、モデラー泣かせのポイントです」

「シートの2トーンカラーはしっかりと継承され、Ⅲ型ならではの個性が確かに息づいています」

時代に迎合せずとも刃は錆びず

流行の中心から外れ、商業的成功にも恵まれなかったカタナⅢ型ですが、その存在は数字では測れない価値を確かに刻んでいます。誰にでも理解されるバイクではなく、わかる者だけが惹かれる一台でした。大胆で、少し不器用で、それでも尖っていた。GSX750SカタナⅢ型は、スズキが「らしさ」を貫こうとした痕跡そのもの。時代に迎合しなかったその刃は、現在では個性が見直され、高い評価を受けています。

メーカー:タミヤ
商品名:1/12 スズキ GSX750S ニューカタナ
再版日:2018年10月20日
価格:2,420円(本体価格2,200円)

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