模型の魅力は、現実を小さく凝縮して、手のひらに「もう一つの世界」をつくり出せるところにあります。木製模型や鉄道、ミニカー、ジオラマなど種類も豊富で、組み立ての時間は夢中になれるひととき。出来上がった模型は眺めているだけで楽しく、その存在自体が小さなアートです。
札幌にある「ドラゴントイストア」は、そんな模型の魅力を存分に楽しめるお店です。模型好きはもちろん、バイク好きが集まって語り合える場としても親しまれています。ドアを開けると、棚いっぱいに並んだミニカーや模型たちが出迎えてくれ、思わず時間を忘れて見入ってしまう温かい空間が広がっています。
模型が生み出す「もう一つの世界」

ドラゴントイストアは、国内外のさまざまなサイズのミニチュアカーを中心に、車のプラモデルやバイク模型まで幅広く揃える、「自称・北海道一の品揃え」を誇るショップです。場所はメインストリートから少し外れた一軒家で、外観からはどこか不思議で個性的な雰囲気が漂っています。

この日は事前に連絡を入れずに訪ねたのですが、「突然来ても大丈夫かな」と内心不安を抱えていました。けれど、店長の青木さんはそんな心配を吹き飛ばすように、にこやかな笑顔で迎えてくれました。
店長・青木さんの挑戦とキャリアチェンジ

青木さんは24歳の時に外車ディーラーの営業からキャリアチェンジして、1999年に「ドラゴントイストア」をオープンしました。趣味が高じてミニカーなどのショップを開く人が多い中、青木さんは『商売を始めるにあたって商材は玩具がイイ』という漠然としたイメージからスタートしたそうです。
青木さん「オープン当時は、ガンプラや超合金なども取り扱っていました。オープンから1年くらいしてお客さんに教えてもらったホットウィール(アメリカの玩具メーカー・マテル社のミニカーシリーズ)を仕入れ始めてから、ミニカー色が強くなりました」

ホビーショップを開く人は、たいてい自分の趣味をきっかけに始めることが多いのですが、青木さんは模型やミニカーのコレクターではありませんでした。
青木さん「このモデルある?と聞かれても分からないことばかりでした。そんな感じで足りない知識を調べたり聞いたりして補ったおかげで、今日まで店を続けられたという感じです」
カフェカウンターで広がる交流の場

模型ショップには珍しく、飲み物を楽しめるカウンターも設置されています。
青木さん「夫婦やカップルで来店されるお客さまも多いのですが、女性は明らかに興味がなさそうなのが気になりました。そんな方々に休んでいただけるように、飲み物を提供するカウンターを作ってみました。ですが意図とは違い色々な方がくつろいでいかれるようになりました(笑)」

「模型屋なので、あまり長居してほしくない」という意図から、カウンターや椅子は高めに設計したはずですが、それを超えた居心地の良さで千客万来。青木さんのバイクが店内に飾られていることから、いつしかライダーが集まるようになり、今では模型そっちのけのバイク談議が多くなりました。
模型とライダーの交差点

一階にはショップやカフェスペースのほか、青木さんの愛車(ドレミコレクションのCB1100 type RやCB400FOURなど)4台が展示されています。年に一度のロングツーリングが恒例で、最近は根室まで走ってきたそう。どのマシンもピカピカに磨き上げられています。

急な階段を上ると、二階にも模型がびっしり。アオシマの1/12スケール完成品など現行品のほかに、すでに絶版となったビンテージアイテムも多く、商品を手に取るだけで当時のバイクブームの熱気や走りの記憶が蘇りました。
宝探し感覚で訪れるショップ

ドラゴントイストアは、ただの模型ショップではなく、バイクやクルマが好きな人たちが楽しめる場所。精巧に作られたスケールモデルを通してモータースポーツの魅力や歴史に触れることができ、世代を問わず訪れる人を楽しませてくれます。懐かしさと新しさが混ざり合う店内は、模型や乗り物好きにとって心地よい空間です。
お店は分かりにくい場所にあります。ナビを活用し、「宝探し」のノリで訪れるのがおすすめです。苦労して到着した後は、模型の世界とバイクの熱気に魅了されることでしょう。
ドラゴントイストア
住所:札幌市白石区菊水元町4条2丁目8-11
電話:011-875-8288
営業時間:12:00~21:30
定休日:火曜日・年末年始 ※店外イベント時はお休みいたします。








