1989年、16年の時を経て伝説の名車・スカイラインGT-Rが復活した。張り出したフェンダーや大型リアスポイラー、そしてテールに輝く赤い「R」のエンブレム。その姿は一目で特別な存在であることを物語っていた。後に「国産最強伝説」を築くことになるR32の衝撃を、モデラーSho_taroさんの作品とともに振り返ろう。
※Sho_taroさんの作品はここからご覧になれます
https://twitter.com/1980RZ250
新たな伝説が幕を開ける

筆者である私が運転免許を取得したのは1988年の秋だった。当時はまさにスポーツカー全盛期。各メーカーが競うように高性能モデルを投入し、自動車雑誌は毎月のように新型スポーツカーの話題で盛り上がっていた。クルマ好きにとっては夢のような時代だったと言えるだろう。
そんな中でも、ひときわ大きな衝撃を与えたのがスカイラインGT-Rの復活だった。

GT-Rという名前は、当時すでに伝説だった。1969年に登場した初代ハコスカGT-Rはレースで50勝以上を記録し、日本のモータースポーツ史にその名を刻んだ。続くケンメリGT-Rも登場したが、排ガス規制や社会情勢の変化もあり、わずかな生産台数で姿を消してしまう。
そしてGT-Rの名は16年間も封印されることになった。
だからこそ1989年にGT-R復活のニュースを目にした時、多くのクルマ好きが胸を躍らせたのである。単なるスポーツモデルの追加ではない。伝説が現代の技術で蘇るという衝撃的な出来事だった。
レースで勝つために誕生

当時の日産は全日本ツーリングカー選手権(JTC)のグループAで勝利することを目標に掲げていた。ライバルメーカーとの戦いを制するために生み出されたのがR32 GT-Rである。
その開発思想は実に明快だった。
豪華な高級車を作るのではなく、レースで勝つための技術を惜しみなく投入すること。

電子制御4WDシステム「アテーサE-TS」はその象徴だ。当時の高性能車はFRが主流だったが、日産はコーナー立ち上がりの速さや悪天候での安定性を重視し、4WDを選択した。今では珍しくない技術だが、当時としてはかなり先進的だった。

さらに心臓部にはRB26DETTを搭載。2.6リッター直列6気筒ツインターボという贅沢な構成で、公称280馬力ながら実際にはそれ以上のポテンシャルを秘めていたと言われている。

ワイドフェンダーに包まれたスクエアなボディ、迫力あるリアスポイラー、そして機能を最優先したスタイリング。華美な装飾はないが、見る者にただならぬ雰囲気を感じさせた。まさに公道を走るレーシングマシンだったのである。
スカイラインGT-R ニスモ仕様を再現

そんな伝説のGT-Rを再現したのが、モデラーSho_taroさんだ。
ベースとなったキットはタミヤ1/24 スカイラインGT-R ニスモ仕様。数あるR32のキットの中でも評価の高いモデルだが、Sho_taroさんはそこに独自のアレンジとディテールアップを加えている。

ボディカラーは当初、実車でも人気の高いブラックパールメタリックをイメージしていたという。しかし製作途中で方向を転換。メタリック塗装特有の粒子感よりも、R32のシャープなフォルムを際立たせるため、あえてソリッドブラックを選択した。

その判断は見事に成功している。
光を受けた時の艶やかな表情と、R32特有の直線基調のデザインが絶妙に調和し、精悍な雰囲気を生み出しているのだ。

さらに目を引くのがエンジンルームである。
コーションプレートや追加デカールを自作し、実車さながらの情報量を再現。オイルセパレーターの追加や補機類のディテールアップ、さらには他メーカーのパーツを流用するなど、細部まで丁寧に作り込まれている。

足元にはGT-R用純正ブレンボブレーキを再現。ホイール越しに見えるブレーキシステムは、スポーツカーらしい存在感を放っている。シンプルなコクピットもまたR32らしい魅力のひとつだ。

また、シャシー下面は大きな改造を施していないにもかかわらず十分な立体感があり、タミヤキットの完成度の高さを改めて実感させてくれる。

R33やR34になるとGT-Rはさらに高性能化し、迫力も増していく。しかしR32には、それらとは少し違う魅力がある。一見すると普通のクーペにも見える控えめなスタイル。しかしその中には当時最先端の技術が凝縮されている。
R32の衝撃は色褪せることない

知る人だけがその凄さを理解できる奥深さがあるのだ。だからこそ30年以上経った今でも、多くのファンがR32 GT-Rを特別な存在として語り続けるのだろう。

Sho_taroさんの作品は、そんなR32 GT-Rが持つ機能美と戦闘的な魅力を見事に再現している。1989年、日本中のクルマ好きを熱狂させた伝説のGT-R。その輝きは、スケールモデルの世界でも色褪せることなく生き続けている。
販売情報
タミヤ:2015年8月29日(土)発売
本体価格:2,750円(本体価格2,500円)








