6歳未満の子どもをクルマに乗せる際には、チャイルドシートの使用が義務づけられています。では、チャイルドシートを使用しなかった場合どのような危険があるのでしょうか。
【チャイルドシートの重要性】なぜ使用が義務なのか？
6歳未満の子どもをクルマに乗せる際には、チャイルドシートの使用が義務づけられています。
これは、道路交通法第71条の3で定められた規定で、重大な事故を未然に防ぐためのものです。
チャイルドシートは、衝突時の衝撃を分散し、体の小さい子どもを座席ベルトだけでは守れない状況から保護する役割があります。
未装着の場合、道路交通法に違反したと見なされ、違反点数1点が加算されてしまいます。
そして、チャイルドシートが必要とされる理由には、子どもの身体的特徴と事故時の危険性が大きく関係しているようです。
たとえば、大人用のシートベルトは身長が低い幼児には位置が合わず、衝突時に首や腹部へ過度な荷重が集中するおそれがあります。
さらに、子どもの骨格や筋肉は発達途中のため、同じ衝撃でも骨折や臓器損傷が起こりやすいともいわれています。
そして、チャイルドシートは、体格に合わせたハーネスで上半身を固定し、エネルギーを背面全体で受け止める構造を採用することで、負荷を分散させる効果が期待されているという仕組みです。
また、適切な角度で座らせることで気道を確保し、衝突時の二次的な窒息リスクを低減できるのも利点といえます。
クルマに固定されたシートは、側面衝突や横転でも乗員空間内にとどまり、放り出される危険を最小限に抑える役割を果たします。
一般的には、時速40キロ程度の低速衝突でも、体重十数キログラムの子どもに数百キログラム相当の力が加わるとされ、チャイルドシートなしでは骨折や頭部外傷につながるおそれは否定できません。
こうした複合的リスクを踏まえ、チャイルドシートは「守られる側」と「守る側」の双方に安心感をもたらす装備として推奨されています。
【選び方・装着方法】安全性を高めるためのポイント
チャイルドシートは、子どもの体格とクルマ双方に適合した製品を選ぶ必要があります。
交通事故総合分析センターイタルダによれば、乳児期からクルマ利用が多い家庭では、乳児・幼児兼用タイプとジュニアシートの2台を使い分ける方法が推奨されています。
また、利用頻度が低い場合は乳児用をレンタルし幼児・学童兼用を購入する選択肢もあるとされています。
取り付けは後部座席が原則で、取扱説明書を確認しながらぐらつかないよう確実に固定し、助手席への設置はエアバッグ展開時に危険が高まるため、避けるべきです。
さらに、シートベルト固定より簡単で確実なISOFIX対応モデルもあり、購入前にクルマとの適合を調べておくことが推奨されます。
後ろ向きの乳児用を後席に取り付ける際はベビーミラーを活用すると運転中に子どもの様子を確認でき、双方の安心につながるとされています。
そして、ハーネスは肩と鎖骨の間に指一本が入る程度に締め、たるみを残さないことが重要です。
これは、緩いままでは衝突時に子どもが飛び出すおそれがあるためです。
また、安全基準に適合しない海外製の粗悪品が流通している報告もあり、認証マークの有無を必ず確かめる配慮が求められます。
チャイルドシートを嫌がっても使い続ける姿勢が欠かせず、泣き出す前に休憩を取り歩かせて発散させることで再着座を促しやすくなる場合があるといいます。
そして、身長が約150cmに達する12歳頃までは、法的義務を超えてジュニアシートを継続使用することが望ましいとまとめられていました。
【まとめ】子どもを守る正しいチャイルドシートの使い方
上述のように、乳幼児がクルマに乗るときにチャイルドシートを使うことは、法律を守るだけでなく、万が一のときに子どもを守ることにつながります。
しかし、JAFが行った全国調査では、6歳未満の子どもにチャイルドシートを使用している割合は78.2％、つまり約7割にとどまったと報告されています。
また、実際に使用していても、ハーネスの締め付け不足や固定ミスが見受けられ、3割近くが安全効果を十分に得られていないケースだったようです。
チャイルドシートは着けるだけでは不十分なので、取扱説明書に従い、クルマへの確実な固定と子どもの体格に合った調整が欠かせません。
ドライブ前にはシートの揺れやハーネスのたるみを確認し、休憩ごとに姿勢や体調を点検することで、家族全員が安心して移動時間を楽しめるはずです。
