2025年4月にジムニーシリーズに加わった5ドアモデル「ジムニーノマド」。ジムニーノマドは、ジムニーシリーズらしい本格4WDとしての基本性能を受け継ぎながら、5ドア化によって後席への乗り降りや荷物の積みやすさを高めたモデルだ。日常使いのしやすさが増したことで、通勤や買い物はもちろん、家族や仲間とキャンプやロングドライブへ出かける使い方にも向いている。


せっかくノマドを選んだのなら、キャンプや林道へ出かけて、その高い走破性を楽しんでみたい。そう思う人は多いだろう。とはいえ、実際にクルマで走る時間の大半は舗装路だ。平日は通勤や買い物に使い、休日になれば高速道路を走ってキャンプ場へ。ときにはその先の林道やオフロードへ入っていく。
ジムニーノマドにオフロード性能だけでなく、普段使いでの快適性も求めているユーザーは多いことだろう。
そこで4×4エンジニアリングが作り上げたのが、「街乗りを犠牲にせず、本気で遊べる」ことを目指したジムニーノマドだ。その内容を具体的に紹介していこう!
ノーマルのジムニーノマドの普段使いで〝気になる部分〟はココ!

アウトドア人気の高まりとともにSUVや4WDへの注目が集まるなか、長く高い人気を維持しているのがジムニー/ジムニーシエラ、そして5ドアのジムニーノマドだ。
ジムニーシリーズが支持される理由は、単にワイルドなスタイルだからではない。初代ジムニーが登場した1970年以来、悪路を走るための基本構造を受け継いできた「本格4WD」であることも大きな魅力だ。

現行のジムニーノマドにも、頑丈なラダーフレーム、凹凸の大きな路面でもタイヤを接地させやすい前後リジッドアクスル式サスペンション、必要に応じて2WDと4WDを切り替えられる副変速機付きパートタイム4WDを採用。林道やぬかるんだ路面など、一般的な乗用車ではためらうような場所へ入っていける性能を備えている。

ただし、本格的なオフロード性能を重視した構造には、舗装路を走るうえで気になる部分もある。
乗り心地がやや劣り、ふらつきも気になる……

前後リジッドアクスルは悪路で高い走破性を発揮する一方、独立懸架式に比べてバネ下重量が大きくなりやすく、段差や荒れた路面からの入力も感じやすい。また背の高いボディは、コーナーや車線変更などで車体の動きを感じやすい。

そして、実際のオーナーが走る場所の大半は舗装路だ。とくに後席や荷室の使い勝手が高まったジムニーノマドなら、通勤や買い物、高速道路を使った長距離移動など、日常のクルマとして使う機会も多いだろう。重くてはしご形状のラダーフレームは直進安定性に劣り揺れが激しく、リジッドアクスル式サスペンションはバネ下重量が重く跳ねやすいなど、ストリートにおける快適性はモノコックボディ/独立式サスペンションのクルマと比較するとどうしても劣ってくる。
せっかくのオフロード性能は失いたくない。でも、普段乗るときの快適性や安定感も高めたい。そんな、一見すると相反する要求にどう応えるのか。
そこで登場するのが、長年4WDの走りを追求してきた4×4エンジニアリングだ。
4WDと向き合い続けてきた4×4エンジニアリング

4×4エンジニアリングのルーツは1973年。前身となる松本自動車の創業者・松本信廣氏がランドクルーザーFJ45Vを手に入れたことをきっかけに、本格的に四輪駆動車の世界へと関わるようになった。
その後、1980年にはオリジナルショックアブソーバーを発売。翌1981年には現在まで続く「カントリーサスペンション」、1982年には4WD専用ホイール「BRADLEY」の事業をスタートさせている。
同社の特徴は、単に4WD向けのドレスアップパーツを作ってきたメーカーではないことだ。
四駆ユーザーの声を製品づくりに取り入れながら、自らも四駆を楽しむ側の目線で必要な機能を考える。そして生み出したパーツを、オフロードやラリーといった厳しい環境でも試してきた。
1980年代にはパリ・ダカールラリーに参戦するランドクルーザーの車両製作や整備にも携わり、1989年には4×4エンジニアリングが製作した車両が市販車改造ディーゼルクラスで優勝。BRADLEYやカントリーサスペンションも、こうした実戦の場を経験しながら進化を続けてきた。
つまり4×4エンジニアリングが長年追い求めてきたのは、単にクルマを「オフロードらしく見せる」ことではない。実際に走り、きちんと機能すること。そのうえで日常でも使えること。
過酷な環境で求められる性能と、一般ユーザーが普段使うクルマとしての性能。その両方を考えてきたメーカーだからこそ、ジムニーノマドというクルマにも、そのノウハウが生かされている。
4×4エンジニアリングが作るとジムニーノマドはこうなる
では、そんな4×4エンジニアリングがジムニーノマドを手掛けると、どのようなクルマになるのだろうか。今回の車両を見ると、大径タイヤを履かせて極端に車高を上げるといった、派手さを最優先したカスタムではないことが分かる。
目指したのは、本格的なオフロードへ入っていける性能を高めながら、日常での扱いやすさも犠牲にしないこと。つまり「オフロードで走れるノマド」ではなく、「普段から乗れて、そのまま週末の遊びにも持ち込めるノマド」だ。

そのため、カスタムの中心となっているのが足まわりである。
ホイールには鍛造モデルの「BRADLEY FORGED 匠」を装着し、タイヤにはオープンカントリーM/Tの225/75R16を組み合わせる。さらにサスペンションには、約50mm車高を上げる「カントリーサスペンションキット」を採用した。
一見すれば、本格的なオフロードを意識した組み合わせだ。しかし興味深いのは、どちらも悪路だけを考えて選ばれているわけではないこと。本気でオフロードを走るために求めた強度や軽さ、路面を捉えるためのサスペンション性能が、舗装路を走るときのクルマの動きにもつながってくる。
では、まず足元を支えるホイールから見ていこう。なぜジムニーノマドに、あえて鍛造のオフロードホイールを履かせるのだろうか?
オフロードホイールを「見た目」だけで選んでいない?
ジムニーノマドの足元に装着されているのが、4×4エンジニアリングのフラッグシップホイール「BRADLEY FORGED 匠」だ。
オフロード系のホイールというと、「ゴツいデザインがカッコいい」という見た目から選ぶ人もいるだろう。

では、なぜジムニーノマドにあえて鍛造ホイールなのだろうか?
BRADLEYシリーズは、4WD専用ホイールとして長年培われてきたシリーズだ。その中でもBRADLEY FORGED 匠は、鍛造製法を採用したフラッグシップモデルとなる。
高い強度を求めながら、必要以上に重量を増やさない。さらにタイヤとホイールのズレを抑えるアンチビードスリップ加工や、岩などとの接触も考慮したショートタイプのゴムバルブなど、本格的なオフロード走行を想定した作り込みが随所に盛り込まれている。
ジムニーノマドに装着されているノーマルホイールのサイズは15×5.5。これに対しBRADLEY FORGED 匠はサイズにこだわり16×6.5 -5とワイドなチューナーサイズを選択している。
さらにこのクルマではオープンカントリーM/Tの225/75R16を組み合わせ、本格的なオフロードを意識した足元に仕上げている。

鍛造ホイールのメリットが生きるのはオフロードだけではない。タイヤ&ホイールは常に路面から入力を受けながら回転する部分だ。そのため、強度を確保しながら足元を構成することは、荒れた路面だけでなく、舗装路でのステアリング操作やクルマの動きにも関わってくる。
つまり、過酷な環境で安心して走るために追求した性能が、結果として普段乗りにもメリットをもたらす。BRADLEY FORGED 匠は、そんな「本気で遊ぶための性能を、普段から使える」ホイールなのだ。
リフトアップ=見た目だけではない
ジムニーをカスタムするなら、一度はやってみたいと思うのがリフトアップではないだろうか。車高が上がればタイヤとフェンダーの隙間が広がり、ジムニーらしいタフなスタイルになる。だが、本来のリフトアップは見た目だけのカスタムではない。
最低地上高やサスペンションのストロークを確保し、荒れた路面を走りやすくする。その一方で車高が上がれば、重心位置の変化によるロールや高速道路での安定感なども気になってくる。「悪路を走れる足」と「普段乗りで快適な足」は、本当に両立できるのだろうか?

そこで4×4エンジニアリングのサスペンションが重要になってくる。ジムニー/ジムニーシエラ用にはブレーキホースの交換が不要な30mmアップと、ハードなオフロード走行にも対応できる70mmアップの2タイプがある。一方、今回のジムニーノマド用は程よくリフトアップした50mmを採用している。

ジムニーノマド用「カントリーサスペンションキット」のショックアブソーバーは前後とも14段の減衰力調整式。フロントには周波数感応機構「ハーモフレック」を内蔵し、大きくゆっくりとした車体の動きではしっかりと減衰力を発生させる一方、人が不快な乗り心地として感じやすい細かな入力に対しては減衰力を抑える仕組みだ。

だから単純に「硬いサスペンションにして車体の動きを抑える」のとは違う。
舗装路では乗り心地を確保しながら、コーナーやオフロードなど車体をしっかり支えてほしい場面では安定させる。この相反する性能の両立を狙っている。

また14段の減衰力調整ができるので、普段の街乗りから高速道路、キャンプなどで荷物を積んだ状態、さらには装着するタイヤに合わせて乗り味を調整できるのもポイントだ。
なおジムニーノマド用には紹介したこの50mmアップに続いて、30mmアップの開発も進んでいる。よりライトに4×4エンジニアリングのサスペンションを導入したいユーザーにもうれしいラインナップとなる。
50mm上げるからこそ「補正」も重要

リフトアップは、スプリングとショックだけを交換すれば終わりというものでもない。車高を上げることでサスペンション各部の位置関係が変化するため、それを適正な状態へ近づけるための補正も重要になる。
先にも述べたように30mmアップなら問題はないがそれ以上アップするとなればブレーキホースの長さが足りなくなるので交換がまずは必要となる。

リフトアップすると、ラテラルロッドが描く円弧の影響によって、ボディに対するホーシング(車軸)の横方向の位置が変化する。そのズレを適正な位置へ補正するのが調整式ラテラルロッドだ。さらにラテラルアップブラケットによってホーシング側の取り付け位置を上げ、ラテラルロッドの角度を水平に近づけることで、車高変化に伴う左右方向の動きを抑えている。

またラテラルロッドの角度が変わって不快な横揺れを起こすのでノーマルと同様の動きに戻すのがリヤのアップブラケット。さらにリバンプ時にショックが伸びきった際にプロペラシャフトとクロスメンバーの干渉を防止するのがメンバーダウンブラケットだ。
このように、単に〝50mm車高を上げました〟で終わらせず、上げたことによって生じる変化まで補正する。ここも、見た目だけではなく「きちんと走るため」のリフトアップなのである。
50mmアップ+M/Tタイヤ。それでも街中ではどうなのか?
では、実際に走らせるとどうなのだろう。今回のデモカーが履くオープンカントリーM/Tは、頑強なブロックパターンを採用した本格的なマッドテレーンタイヤだ。
オフロードでは頼もしい一方、舗装路ではゴツゴツとした乗り味になりそうなイメージもある。ところが走り出して最初に感じるのは、想像していたほどM/Tタイヤ特有のゴツゴツ感が強くないことだった。

路面の継ぎ目や細かな凹凸から入ってくるショックもサスペンションがうまく吸収してくれるため、「本格的なM/Tタイヤを履いた50mmアップ車」という見た目から想像するほど身構える必要はない。
A/TタイヤやSUV向けタイヤを組み合わせれば、さらに舗装路寄りの乗り味を狙うこともできそうだ。
リフトアップしたら高速道路でフラつかない?
車高を50mm上げるとなれば、まず気になるのがロールだ。しかし実際に走らせてみると、車高が高くなったことでロール感が大幅に増した印象はない。車体が傾き始める動きも穏やかに抑えられ、不安を感じさせるようなフラつきは少ない。
さらにこの4×4エンジニアリングのジムニーノマドにはステアリングダンパーも装着されている。
太く重いタイヤ&ホイールを組み合わせているにもかかわらず、路面からの入力でステアリングを取られにくく、直進時の落ち着きにもつながっている。
段差を越えたときの突き上げは?
リフトアップ車というと、「足が硬くなって段差で跳ねるのでは?」と心配する人もいるだろう。

この車両では、細かな段差を越えた際の入力が角の立ったショックとして伝わりにくく、M/Tタイヤを装着していることを考えれば乗り心地はかなり穏やかだ。
ハーモフレックを採用したショックが、細かな入力をいなしながら車体の大きな動きを抑えていることも効いているのだろう。
荒れた路面ではどれくらい違う?
舗装路で快適だからといって、オフロード性能を犠牲にしているわけでもない。
50mmのリフトアップとM/Tタイヤによって荒れた路面でも余裕を持って走りやすく、大きな入力を受けたときにも車体の揺れが収まりやすい。普段の舗装路では穏やかに走れ、路面が荒れてくれば本来の性能を発揮する。まさに今回の4×4エンジニアリングが手がけたジムニーノマドの目指した方向性が、こうした場面で見えてくる。

さらに本格的なオフロードへ入っていくなら、走破性を高めるだけでなく、岩や段差などから車体を守ることも重要になってくる。
4×4エンジニアリングでは、ヒットしやすいアームの取り付け部分を守るピボットガードをはじめ、ショック下部を保護するリアダンパーガード、燃料タンクを守るタンクガードなどもラインアップしている。走るフィールドがハードになるほど、こうした「守るためのパーツ」の重要性も高まる。
まずは普段使いできる仕様から始め、遊び方に合わせて少しずつステップアップできるというわけだ。
ピポットガード

岩や段差などでヒットしやすいアームの取り付け部を守る「ピボットガード」。スキッド形状とすることで、障害物に引っ掛かりにくいよう配慮されている。
クロスメンバーダウンブラケット

クロスメンバーダウンブラケットは、リフトアップ時にプロペラシャフトとクロスメンバーが干渉するのを防ぐための補正パーツ。純正クロスメンバーを車体中央側へオフセットしつつ、下側をガードする役割も持つ。最低地上高を変えにくいコンパクトな形状としている。
リアダンパーガード

オフロードでヒットしやすいリヤショック下部や取り付けボルトを保護する「リアダンパーガード」。走破性を損ないにくい形状としている。
タンクガード

燃料タンクの下側を覆う「タンクガード」。岩や路面との接触から重要部品を守り、本格的なオフロード走行での安心感を高める。
4×4エンジニアリングのパーツで組めば、
毎日乗れる。でも週末は本気で遊べる!
平日は通勤や買い物。週末になれば家族や仲間とキャンプへ出かけ、ときには舗装路を外れて林道やオフロードへ。ジムニーノマドを選ぶ人の中には、そんな使い方に憧れている人も多いのではないだろうか。

今回の4×4エンジニアリングのジムニーノマドは、オフロード性能だけを追い求めたクルマではない。
BRADLEY FORGED 匠も、カントリーサスペンションキットも、本格的なオフロードで求められる性能を追求している。だが、その性能は荒れた路面だけで生きるものではなく、舗装路での安定感や乗りやすさにもつながっている。
だから、街乗りを我慢して休日だけ楽しむクルマにする必要はない。毎日普通に乗れる。でも週末になれば、そのまま遊びのフィールドへ入っていける。ジムニーノマドがもともと持っている幅広い守備範囲を、さらに広げる。それが4×4エンジニアリング流のジムニーノマドなのである。
(編集協力:株式会社フォーバイフォーエンジニアリングサービス)







