MENU
カテゴリー

GSX-R1000Rが復活! 徹底テストで磨き上げられた「スズキの最高峰」モデルは、通勤もサーキットも楽しめるぞ

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

2026年7月10日、「スズキGSX-R1000R」の説明会が開催された。

GSXシリーズは、1984年に400ccの「GSX-R」からスタートし、翌1985年には「GSX-R750」が発売され、ル・マン24時間耐久レースでワンツーフィニッシュを飾った。その後は排気量を拡大し、2001年に初代「GSX-R1000」が登場。耐久レース選手権で15回のメーカータイトルを獲得するなど、パフォーマンス・耐久性・扱いやすさを高次元で融合させた「スズキの最高峰」モデルとなっている。

最新の排出ガス規制への適合の問題から2023年以降、国内モデルはカタログ落ちとなったが、グローバルモデルとして発売40周年を迎え、GSX-R1000Rの国内モデルが待望の復活を遂げた! 今回は2023年モデルからの変更点を中心に、最新GSX-R1000Rを紹介する。

国内モデルGSX-R1000Rの発売日は7月17日で、価格は237万6000円となっている。

目次

速さを犠牲にせず最新規制に適合! GSX-R1000Rが国内復活

GSX-R1000Rの開発スタッフ。加賀美瑛持さん、信太弓弦さん、東郷隼也さん、岩田秀矢さん、高橋海都さん、大城光さん。

排出ガス規制や騒音規制への適合の問題から、国内モデルを一時休止していたGSX-R1000R。しかし、「平日は通勤や街乗り、週末はサーキット走行といった汎用性の高さや、長距離を走破するハードなスポーツツーリングでは、GSX-R1000Rに匹敵するバイクは他に類を見ない」という開発スタッフの思いもあり、着実かつ効率的なアップデートを重ねて、ついにGSX-R1000Rが国内モデルとして復活した。

歴代のGSX-Rの系譜を感じさせつつ、現代のトレンドに即したデザインとなっている。アンダーカウルの「R」ロゴやサイドカウルのデザインは初代GSX-R750、青・白・赤の配色は2000年代のモデルをモチーフにしている。

新型GSX-R1000Rは一見すると、従来モデルから大きな違いがないようにも見える。それは定評ある基本構造は変えず、最新排出ガス規制・騒音規制のクリア、トータルパフォーマンスの追求に的を絞ることで、効率的なアップデートを優先したからだ。

とはいえ、エンジン内部には多大な改良を施し、トラクションコントロール・リフトリミッター・ロールトルクコントロールといった最新の電子制御システム「S.I.R.S.(スズキ・インテリジェント・ライド・システム)」などの実走テストには、じっくりと時間をかけている。

低速では扱いやすく、高回転ではさらに力強い新型エンジン

高回転まで力強く伸びる「スズキ・レーシングVVT」を刷新

その新型エンジンの開発コンセプトは、大きく分けて「平成32年排出ガス規制への適合」「レーシングパフォーマンスの向上」「外観の向上」の3点。具体的には、従来モデルで採用されていた「スズキ・レーシングVVT(可変バルブタイミング)」を刷新している。

吸排気効率をさらに高めるためにポート形状を再設計し、排気バルブ径を1mm拡大。さらに、正確なバルブコントロールを実現するために「スズキレーシングフィンガーフォロワーバルブトレイン」の形状も見直し、新しいカムプロフィールに対して最適な接触面を確保している。

低回転時:スチールボールは内側に位置している
高回転時:スチールボールが回転による遠心力で外側に移動

遠心力でスチールボールが外側に移動することでインテークカムスプロケットを回転させ、吸気バルブの閉鎖タイミングが遅角方向へ変化。高回転域で吸気効率が向上し、ピークパワーが増加する。2020年のMotoGPチャンピオンシップ制覇に大きく貢献した技術をフィードバックしている。

燃焼効率と耐久性を高めながらピストンをさらに軽量化

ピストンヘッドはバルブ径の拡大に合わせて形状を変更し、圧縮比を高めることで燃焼効率を向上。ピストンピンのサークリップも変更し、より耐久性の高い材質を採用している。通常、圧縮比を高めるとピストンの体積や受ける荷重が増え、重量増につながる。そこでFEM(有限要素法)解析を用いて裏面のリブ形状を最適化し、従来比で3gの軽量化も実現している。

振動を抑え、ツーリングでも快適な回転フィールを実現

超高回転域や高温・高荷重下ではクランクシャフトが変形し、耐久性に影響が生じることもあった。そこで、クランクシャフトのジャーナル径を35mm→37mmに拡大し、強度と剛性を向上している。これに合わせてクランクケースも再設計している。1万回転以下がなめらかになり振動も減少。スムーズな乗り味となり、ツーリングでの快適性向上に貢献している。

また、設備による測定を導入し、クランキングトルクを数値で判定することが可能となった。クランクシャフト締結条件の最適化や、今後の全体的な品質向上にフィードバックしていくとのことだ。

クランクシャフト回転時のバランスが大幅に向上している。この改良にはクランクシャフトの精度、緻密な製造工程が欠かせないが、生産工場の多大な尽力によって実現している。

力強い加速と繊細なスロットル操作を両立した吸気系

レース性能を向上させつつ、低速域から高速域まで、より自然なスロットルレスポンスを実現するためにスロットルボディのボア径を46mm→48mmに拡大。さらにインテークファンネルをデュアルステージからシングルステージに変更。各シリンダーのインテークパイプの長さを最適化することで、より理想的なパワー特性を生み出している。

電子制御ならではの高精度な吸気制御を実現し、加速時の力強さと繊細なコントロール性を両立している。
インテークファンネルを新形状とし、各シリンダーの吸気経路も最適化。理想的なパワー特性と排出ガス規制クリアに貢献している。

低速トルクを保ちながら、高回転の伸びと小型化を実現した排気システム

エキゾーストパイプ径を拡大して排気抵抗を低減し、排気効率を向上。さらにバルブを設けることで低回転域で排気経路を絞り、低速トルクも確保。この構造変更と遮音構造の見直しでマフラーの小型化も実現し、従来比で34%コンパクトになっている。

また、排気バルブ位置もエキゾーストパイプ連結箇所からマフラー側に移設している。平成32年排出ガス規制に対応しつつ扱いやすい特性を実現するため、テストライダーは相当な距離を走行して精度を高めたという。その結果、静粛性を向上しつつ、スポーティな排気音も実現している。

触媒の前後に2つのO2センサーを配置し、排出ガス規制に対応。マフラー本体の容量を8.3L→5.5Lに小型化し、車体のコンパクト化にも貢献している。
高回転域の伸びと低回転域の太いトルクを両立させるバルブ。新型はマフラー側に移設している。

加工精度の向上で、街中でも滑らかで扱いやすいエンジンへ

シリンダーのボア内径には「機械加工」「メッキ処理」「ホーニング加工」が施されるが、メッキ処理工程ではスズキ独自の「SCEM(Suzuki Composite Electrochemical Material)」を採用。

ニッケルを主成分とした被膜を形成することで、高い放熱性・耐摩耗性・気密性を確保。鋳鉄スリーブが不要となったため大幅な軽量化にも貢献しており、そのメッキ被膜の硬度は鋳鉄スリーブの約2.5倍に達している。

新型エンジンではそのメッキ被膜の品質を安定させるために、ホーニング加工の精度も向上させている。

【ホーニング加工とは?】
エンジンのシリンダー内壁を、砥石で精密に仕上げる加工のこと。内壁のわずかな凹凸やゆがみを整えるとともに、エンジンオイルを保持する細かな溝を形成する。これによりピストンが滑らかに動き、摩擦や摩耗を抑えることができる。

4000回転以下のトルクがしっかり増し、街乗りやワインディングでのコーナー立ち上がりの扱いやすさが向上。そこから高回転までスムーズに伸び、1万3000回転以上でも力強い加速が続き、200km/h付近からでもさらにスピードが伸びていく感覚があるという。

電子制御が介入を意識させず、安心して加速できる走りへ

曲がる・加速する・前輪の浮きを抑える制御をひとつに統合 
『スマートT.L.R.コントロール』

電子制御システム「S.I.R.S.(スズキ・インテリジェント・ライド・システム)」には、新たに「スマートT.L.R.コントロール」が採用された。このシステムは、トラクションコントロール(T)、リフトリミッター(L)、ロールトルクコントロール(R)の3つを統合制御するもので、トラクションコントロールの介入レベル(10段階+OFF)を変更すると、リフトリミッター(前輪の浮き上がり低減)とロールトルクコントロール(コーナリング中のスリップ低減)も連動して変化するシステムだ。

トラクションコントロールの介入レベルと、それに連動するリフトリミッターとロールトルクコントロールの介入度のイメージ。

たとえば、コーナリング中で車体を深くバンクさせている状態からスロットルを開けて加速した際、リヤタイヤにスピンが発生するとトラクションコントロールが作動してトルクを低減する。過度なスピンを抑制し、リヤタイヤのトラクションを確保してスムーズな加速を可能にする。

ここからさらにスロットルを開けると、次にロールトルクコントロールが機能する。車体のバンク角に応じて駆動力を計算し、トルクの発生を穏やかにして高いコントロール性を維持する。

さらにコーナーから直線にかけて加速し、車体が直立状態に近づく場面ではリフトリミッターが機能。前輪の浮き上がりを抑制してスムーズな加速を持続させていく。車体にはIMU(慣性計測装置)を搭載し、車体の状態を正確に把握することで高度な制御を実現している。

コーナリング中に「スマートT.L.R.コントロール」がシームレスに機能することで、様々な路面やライディングスタイルに対応したパフォーマンスを実現しているのだ。

街乗りからサーキットまで、自分に合った走りを選べる30通りの設定 
『スズキドライブモードセレクターの最適化』

2007年モデルのGSX-R1000Rから、走行シーンに合わせてライダーがエンジン特性を選べるスズキドライブモードセレクター(SDMS)を採用しているが、平成32年排出ガス規制への対応でパワー特性が変化したため、各モード設定を最適化している。

A(アクティブ)モードは、スロットル操作に対してダイレクトに反応するサーキット向けの特性。B(ベーシック)モードは、バランスのとれたオールラウンドな特性。C(コンフォート)モードは雨天や低μ路、経験の浅いライダーにも使いやすい穏やかな特性となっている。 SDMSの3モードと、スマートT.L.R.コントロールの10モードを組み合わせた計30通りの設定から、自分好みの特性を見つけることができる。

最高出力は変わらないが、スロットルレスポンスと加速特性を調整することで異なる走行性能を実現している。自分に合った設定が見つかると、バイクとの一体感がさらに高まり、ライディングをより楽しめる。

軽量化と制御の高精度化で、取り回しとブレーキ性能も向上

2.3kgの軽量化と長寿命を両立 
『リチウムイオンバッテリー』

従来の鉛バッテリーからエリーパワー製リチウムイオンバッテリーへ変更し、バッテリー単体で3.2kg→0.9kgと2.3kgの軽量化を実現。期待寿命は約10年と長くなり、エンジン始動せずに放置して容量が半分になるまでの期間も約2年となっている。

さらに冬季でも5分程度の走行で容量の約8割まで回復する性能も有している。

エリーパワー製リチウムイオンバッテリーは、鈴鹿8耐に参戦した「チームスズキCNチャレンジ」の車両にも搭載され、信頼性を実証している。

より細かな制御で、強いブレーキングにも応える 
『ABSのアップデート』

日立Astemo社製の新型ABSユニットを採用し、従来モデルから51gの軽量化を達成。ABS制御サイクルも短縮し、ブレーキ圧をより細かく制御できるようになった。GSX-R1000Rに合わせてセッティングも施され、コントロール性も向上している。

ABSコントロールユニットはシート下に設置。新型バッテリーと合わせて軽量化にも貢献している。

高速域の接地感とコーナリングの安定性を高める 
『ドライカーボン製ウイングレット』

コーナリング中の安定感向上と、コーナー立ち上がりの前輪の浮き上がりを抑えるために、オプションパーツとしてウイングレットを開発。純正オプションパーツなのでサスペンションセッティングを変更せずにダウンフォースを発揮し、横風を受けた時の車体の振られを軽減することも考慮して開発テストが行なわれた。その結果、ハンドリングの重さ・最高速低下といったデメリットを抑え、コーナーでの安定感と切り返しやすさを両立し、100km/h以上の領域では前輪の接地感が高まり、車体の安定性も向上している。さらに、200km/hではダウンフォースが約8.4%増加しているという。

ウイングレットの素材はドライカーボン。カーボン繊維の密度が高く、軽量かつ高強度を兼ね備えている。ウイング片側は45gで、ボルトなどを含めて左右で110gに収まっているのも特徴だ。

速さだけではない。日常でもライダーと対話しやすいGSX-R1000Rへ

動力性能・操縦性・耐久性にこだわって開発され、様々なライダーが日常からサーキットまで楽しめるのが新型GSX-R1000Rだ。

エンジン部品の仕様変更と加工精度の向上により、新型GSX-R1000Rはスロットルを開けた瞬間にスムーズに前に進み、必要以上にスロットルを開けなくてもよくなり、コーナー立ち上がりでの操作性と安心感が大きく向上している。

その一方で、開発スタッフは「ライダーが主役であることを大切にしています。GSX-R1000Rは元々ライダーが限界を探りやすく、対話しやすいのが特徴です。電子制御は、そのライダーとバイクとの対話をサポートするための機能なんです。そのために最後までこだわり抜いて、丁寧に作り込みました」という。

ツーリングや街中での扱いやすさ、足着き性にも配慮し、日常からスポーツ走行まで、幅広く楽しめるトータルパフォーマンスを追求した仕上がりになったGSX-R1000Rが、いよいよ日本国内を走り出す。

カテゴリー

モトメガネ バイク買取一括査定

目次