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DAX(ダックス)のオーバーフローを直してみよう! 純正品を凌ぐ耐久性でガソリン漏れを止める「AAニードル」とは?

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

生き物のようなフィーリング、電気を使わない機械的&シンプルな構造でいまだ人気が高いキャブレターバイク。

前時代的な機構だけにトラブルを起こすこともあるのだが、DIYで直せてしまうため、「手のかかる子ほどかわいい」という感情を爆発させて、沼ってしまうファンは多い。そんなトラブルの代表例にガソリン漏れがある。

仮にインジェクション車からガソリン漏れが発生した場合、DIYでの修理は相当な整備レベルが求められる。しかし、キャブ車なら基本構造を理解していれば誰でもカンタンに対処できてしまうのだ。

目次

キャブレターからガソリンが漏れる理由は?

キャブからガソリンが漏れる現象のことをオーバーフローという。文字どおり許容値を超えて(OVER)ガソリンがキャブに流れ込む(FLOW)ことだ。

キャブレターにはガソリンを溜めておく空間があり(下図参照)、上部からガソリンが流れ込んで油面が上がるとフロートが浮き、先端についているフロートバルブ(ニードルバルブともいう)がせり上がって蓋をするのだ。

フロートとフロートバルブがガソリン量をコントロールしている。フロートバルブに摩耗が生じたり、ゴミが挟まったりして蓋としての機能を失うとガソリン絶えず流れ込んでオーバーフローする

そしてエンジンの燃焼によってガソリンが減る→フロートが下がる→蓋が開く→ガソリンが流れ込む…という循環が生まれる。このシンプルすぎる構造は長年使われてきた確かな実績があるが、弱点が1つ。

矢印のパーツがフロートバルブ。ガソリンが減ると浮力を失ったフロートと緒に下がり、蓋を開放する。結果、ここからガソリンが流れ込む。蓋の開放⇔密閉を繰り返すことがフロートバルブの役割だ

それは、フロートバルブの異常によって起こるオーバフローだ。

今回修理するバイクはダックス(AB26)

1969年に登場したST50/70と呼ばれるダックスホンダ(「ホンダ」込みで正式名称)が1995年にAB26として復刻したモデルがダックス(「ホンダ」がなくなった)だ。

1970~80年代に大人気を得た昭和のST50/ 70に対して、1995年(平成7年)に復刻したAB26は「平成ダックス」と呼ばれる

この車両はエンジンを49→72㏄化して、キャブレターをエイプ100純正(型番:PB16)に換装している。しかしこのキャブが中古品のため調子がイマイチ

腰上はビッグバルブヘッド+72㏄シリンダー、腰下はモンキーRTのリターン式4速クロスミッションに換装している
キャブレターはエイプ100純正。スーパーカブ70/90にも採用される信頼&実績のあるキャブだ

症例はガソリン漏れ。数時間停車しているだけでパワーフィルターからダバダバとガソリンが漏れてくる。結果、パワーフィルターが濡れて吸気しなくなるからエンジン始動に10回以上キックするハメになる。

パワフィルから垂れたガソリンで、DIY塗装したジェネレーターカバーのブラックが剥がれてしまった…。漏れたガソリンは慌てて処理したため、写真はイメージ(地面の液体は水道水)

修理に使うアイテムは「キースター燃調キット」

キャブ車は燃料経路がシンプルなため、オーバーフローの原因は高確率でフロートバルブ異常だとわかる。新品を単体で交換してしまえばOKなのだが、今回は「ある理由」から、岸田精密工業のキースター燃調キットを使用することにした。

キースター燃調キット

モトメガネでおなじみのキースター燃調キット。これまで数々のキャブレタートラブルを解決してきた救世主的アイテムだ。

この製品は、兵庫県に本拠を構える岸田精密工業が手がけるキャブレターのリペア&セッティングキットで、特長は以下のとおり。

純正パーツを徹底再現
→純正キャブレターに組み込まれているインナーパーツの寸法・形状を忠実に再現している

オーバーホールに必要なパーツ構成
→ガスケットやOリングなど、キャブレターのオーバーホールに必要なパーツがそろっている

多様なセッティングパーツ
→ジェット類やニードルが複数同梱されており、エンジンの状態やカスタム内容に応じたセッティングができる

◆リーズナブルな価格設定
→オーバーホール&セッティングができるパーツがすべて入って1キャブ4,400円

そして「ある理由」とは、矢印で示したニードルバルブ(フロートバルブのこと)だ。これは岸田精密工業が独自に開発したゴムを採用する「アンチアルコールニードル(以下:AAニードル)」で、強靭な耐久性を誇る

アンチアルコールニードル(AA)ニードル

2008年、日本発明振興協会と日刊工業新聞社が共催する第33回発明大賞で、岸田精密工業は発明功労賞を受賞

それが、硬質樹脂を内蔵したゴム製ニードル「AAニードル」だ。ガソリンに強く、純正より品質のバラつきが少ない。さらにエタノールやメタノールなどアルコール燃料にも高い耐性を持ち、従来のゴムニードルの悩みどころである「耐久性の不安」を解消した高性能バルブとなっている。

純正とAAバルブの違い

見た目にもハッキリと違いがある。詳細は社外秘のため不明だが、いかにもガソリン経路の「蓋」としてガッシリした頼もしい形状&質感をしている。

純正ニードル(左)とAAニードル
ゴム部分にボリュームがあり、密閉性が高そうな堅牢さがある

なお、モトメガネでは過去にガソリン漏れで悩むバイクを何台もこのAAニードルを使って修理している。結果、そのバイクのオーバーフローはピタリと止まり、数年経った今も快調だ。

ガソリン漏れを起こしていたモンキー(Z50J)のキャブレターを2年前にキースター燃調キットで修理
クルマに積載するとガソリン臭を放っていたモンキーだが、AAニードルに交換後、ニオイはほぼ消えた

キャブとは無関係だが…

もし、あなたの愛車がオーバーフローを起こした場合、注意すべきはクランクケースへのガソリン混入。つまりエンジンオイルにガソリンが混ざることだ。オイル粘土と油膜保持性能が低下し、容量も規定値をオーバーするためエンジンにダメージを与える二次被害の可能性がある。

抜いたエンジンオイルからはわずかにガソリン臭がした
ダックスのオイル量は0.6L。少し増えているか…?

本編とはあまり関係がないが、もしオーバーフローを起こした場合はエンジンオイルの量をチェックし、許容量を超えていればガソリンの混入を疑おう。異常がある場合は、エンジンオイルの交換を忘れずに。

AAニードル交換後の結果は…?

今回のようなオーバーフロー修理ならフロートバルブだけ交換すればOKだが、せっかくなのでオーバーホールすることにした。キースター燃調キットはジェットやニードル、Oリングなどオーバーホールに必要なパーツがすべて入っているからだ。

ジェット類やニードルホルダーは年式なりに汚れていた。Oリングやガスケットなどもすべて新品に交換
ニードルジェット(右が新品)。このパーツは少しずつ摩耗が進み、燃料の濃さを狂わせるので定期的に交換したい
フロートバルブの当たり面である「バルブシート」を金属用コンパウンド+綿棒でグリグリと軽くならしておく。バルブシート表面の荒れ・段付きをなくすためだ。オーバーフロー修理を行う際はこの作業も忘れずに

オーバーホール後、エンジンはキック1発で始動! 数日間チェックしたが、ガソリン漏れナシ!
特殊工具が必要ないので、ダックスのように構造が単純なバイクなら初心者のメンテナンス練習にもピッタリだ。

オーバーホールに使用した工具はこれだけ

まとめ:AAニードルはオーバーフロー対策の強い味方

放置された期間が長い車両は、どうしてもキャブレターに不具合が発生しやすい。オーバーフローはその最たる例だろう。通常、オーバーフローの修理は純正フロートバルブの新品に交換するだけでOKなのだが、今回は岸田精密工業が「純正以上の耐久性」を謳うAAニードルに交換した。理由はもちろん耐久性と、過去の実績による信頼だ。

純正部品と比較してもその品質がエエことからAAニードル(Anti-Alcohol Needle)と名づけられたという

ちなみにどのパーツメーカーもそうだが、自社製品の耐久性において「純正以上」を公言することはほとんどない。逆にいえば、純正部品はそれだけ信頼が厚いのだ。AAニードルは研究を重ねて純正部品を凌ぐ耐久性を実現した、数少ない製品ということになる。

オーバーフローに限らず、トラブルで怖いことは修理したあとに症状が再発すること。AAニードルは、高い耐久性を誇るため再発の心配が少ない、オーバーフロー対策の強い味方になってくれる救世主的パーツなのだ。

(編集協力:岸田精密工業株式会社)

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