2026年、日本のバイク市場に「土の香り」が戻ってきた気がするのは私だけ?……いや、共感するライダーも案外多いかも?
今回は現役二輪指導員が、オフ車選びのポイントを紹介していきます。乗り換えはもちろん、セカンドバイクを検討している方にも参考になると思います。
メインのマシンは当然楽しいけど、バイク遊びの幅をもっと広げたい!……そんな思いを抱えたライダーは、「オフロード車」のスパイスを味わってみませんか。これまでオンロードしか乗ってこなかったライダーほど、その違いに驚くはずです。

オフ車への不安、その先の喜び。

「オフ車」は万能だった!?
林道や泥だらけのようなイメージのオフ車ですが、常にダートを走るわけではありません。
むしろ、軽くて出し入れも容易なことから、通勤や通学、買い物など日常生活をこなす「道具」のような扱い方も可能。

理由は、実にトルクフルなエンジン特性を持っているからです。この特性が市街地との相性の良さにつながっている、という点はあまり知られていないかもしれません。
「転倒」が楽しくなる……だと?
オフロードと聞くと、最初は「転倒」に不安を抱くことが多いようです。確かにダート走行は転倒する確率は高めですが、「オンロード」と比べると低速時の場合がほとんどです。

とはいえ実際は、一緒に林道へ行った仲間同士で「コケたけど楽しかったね!」と笑い合えるくらい、転倒することに寛容です。むしろ、小さいことは気にせず、必死になること自体が楽しいといっても過言ではありません。
未踏の場所へ行ける“もう一台”

メインのバイクでは行きたくない(そもそも行けない)場合の打開策であり、理想形ともいえる「オン&オフ2台所有」という解を、そろそろ導き出していきましょう。
オフ車の増車、ココがポイント。

オフであれオンであれ、常に「安全運転」を念頭に置いてバイクと向き合う必要があります。増車の場合はライダーの技量や熱量も大切ですが、用途に応じて現実的な観点から選ぶと良いでしょう。
①扱いやすさ&取り回し。
車両重量は、搭載されたエンジンの排気量が大きくなれば重くなり、小さくなれば軽くなるという「お約束」があります。

オフロード走行時は小回り旋回や急勾配を駆け上がるほか、スタックなどで立往生した際は「車体を担ぐ」なんてこともあります。重量級かつ大排気量の高出力マシンでは、困難を極めるでしょう。100~150kg程度の軽量な車体がおすすめです。
排気量が大きければ早く走れるという「排気量マウント」はオフロードでは通用しないのです。
② 一人で自己完結できること

オフロード路面はスリッピーなうえ、ハンドルを取られるため、転倒を前提に走ることになります。転倒した場合は自力で復帰しなければなりません。つまり、「一人で引き起こすことができる車種」を選ぶことが重要となります。

慣れないうちは、複数人で林道へ向かうことをおススメします。困ったときは仲間に助けてもらいましょう。
③暴走のリスクに備えること
オフロード走行に適応し始めても、「勢い(スピード)」でセクションを攻略する運転方法には注意が必要です。たとえ直線路であっても、岩や凸凹路面にハンドルを取られるなど、オンロードでは予想もつかない突然の挙動に見舞われることもあります。

また、乗り手を選ぶバイクが多いのもオフ車の特徴と言えるでしょう。例を挙げると、「CRM250」や「KDX250」などの2ストロークマシンは、爆発的なエンジンパワーにより暴走リスクが高いことで知られています。当然、初心者には暴走リスクがあるため△。事前にバイク特性などの情報を知っておくことで、車種選びの時点でリスクは回避できます。
番外編 プロテクターは「必須装備」
ライダーたるもの「自制心」は常に忘れてはいけません。ですが、オフロードにおいては極度の疲労により、周りが見えなくなることがあります。「自制心が薄れる=危険サイン」といえるでしょう。

オフロードは転倒のリスクを抱えながら走るわけですから胸部プロテクターは「絶対装備」です。

ほかにもヒザやヒジなどは、転倒時に受傷しやすい部分です。とはいえバイクを操作するうえで必ず動くところですから、運転操作に支障が出ます。各部プロテクターは必ず装着しましょう。
「排気量」の選択とコスト
125 ~ 250cc
オフ車の「標準的イメージ」でありボリュームゾーン。「フルサイズ」とも呼ばれており、パワフルかつ、140~160kg程度の軽量な車体は、コントロール性にも優れています。一人で起こせる車両重量といえます。

このクラスは国内外メーカー問わず、多くの車種が存在し、オフ車入門~本格的レースと、幅広いライダーに愛されています。価格帯は新車・中古を含めると……
- 約20万円〜90万円程度
- 車種により100万円以上
登録上、「軽二輪」になるため、自動車税はもちろん、任意保険へ加入などのコストがかかります。
50 ~ 125cc
セカンドバイクの位置づけ、維持費、扱いやすさ、取り回しや保管場所などを現実的に考えると令和の最適解と言える排気量でしょう。林道はもちろん、100kg程度の軽量な車体はコントロール性に優れ、少々のガレ場や凸凹路面においても、扱いきれるパワーの範囲で楽しむことができると思います。

ミニサイズの車体も存在しており、体格に合った車種選びも可能です。自動車税も安価で、ファミリーバイク特約の範囲で加入できるという、コスパ最強の優等生です。価格帯は……
- 新車で約30万〜50万円
- 中古車で約20万〜40万円
が多いようです。ただし、他の排気量と比べて選べる車両はやや少なめ。今年発売されたYAMAHA WR125Rを皮切りに引き続きオフロード界隈は注目です。
タイパ重視!?コンペティション(競技用)の選択も視野に入れてみよう。
都市部に住むライダーは、信号待ちや渋滞など、林道に行くまでの市街地の移動時間がロスと感じるかもしれません。あえて「ナンバー付き」を選ばないという、「タイパ重視の考え方」もあるんです。
未経験者「ウェルカム」な雰囲気

一見、「ガチ勢」かと思われますが、近年は「ユルい雰囲気」の走行会や、手ぶらで参加可能な「モトクロスごっこ」なるイベントも開催されているようです。

手始めに、最初は「オフロード体験」や「モトクロスごっこ」のようなイベントに気軽に参加してみましょう。そのあとに「オフロードバイクとの相性」を検討しても遅くはありません。

気になる維持費
モトクロッサーの場合、自動車保険や自賠責保険に加入する必要がなく(ナンバー登録できないため)、法定費用は事実上0円です。また、区画された専用コースで走行するため、二輪免許も不要です。

免許取得費用すら全てモトクロスに突っ込む!……ある意味、コスト削減?
トランポ(積載車)の必要性
とはいえ、専用コースへ運ぶための「トランポ」の確保という現実の「壁」を超える必要がありますが、トランポの用意ができた暁には、どっぷりと「オフロード沼」にハマることができます。
バイク好きなら、一度は経験してほしいですね。
「行ってみたい」をオフ車に託す

オフロードへの挑戦とは、単なる遊びの追加ではなく「アップデート」と言えるでしょう。土の上で磨かれる直感的なスキルは、オンロード走行で余裕を生み、今まで以上に「人車一体」を感じさせ、安全運転への動機付けになるのではないかと考えます。
だからこそ、まずは体験イベントや林道ツーリングなど、小さな一歩からオフロードに触れてみてはいかがでしょうか。








