
1950~1960年代に第一次バイクブーム、70~80年代には「峠」「レプリカ」や「オフロードバイク」などに大熱狂した第二次バイクブームがありました。
1990年代の中期以降は沈静化し、さらに排ガス規制が厳しくなり、歴代の名車や人気車が次々と消えていく時代でした。
そんな時代の中、「時代にインパクトを与えた名車といってもいい(かもしれない?)」ストリートマジック110(ストマジ110)という一台を紹介します。普通のバイクに少し飽きてきた人にこそ、知ってほしい一台です。
超人気アイドルがCMに起用された
ストリートマジックには「速い・カンタン・カッコいい」というキャッチコピーがあり、1997年の発売当時、TOKIOの長瀬智也さんが起用され、「オレマジ、ストマジ。」とダジャレをクールにキメるCMが流れていました。スズキってすごいね。

ストリートマジック、略して「ストマジ」と呼ばれたバイクの中身は、Vベルト無段変速(オートマチック車)を採用した「スポーツスクーター」で、ニーグリップ可能な仕上がりになっているのです。

最高出力10PSを発揮する2サイクル単気筒110ccエンジン(アドレス110と共通のエンジン)をコンパクトな車体に積み込んだシルエットは「異形」の一言に尽きます。
だからこそ、「普通じゃつまらない」と感じる人には刺さるはずです。そんな「ストマジ」の生態を深掘ってみましょう。
①高剛性の極太フレーム
スクーターのメリットともいえる積載性能や乗降のしやすさはキャンセル。そのかわりにスポーツマシンを彷彿とさせるツインチューブフレームにより、コントロール性が強く引き出された姿は、まさに「キメラ」。

スクーターにもかかわらず異形のフレームを採用することで、「またがる」乗車スタイルになり、一気にスポーツ感が出るのです。

ブーム全盛だった当時、サーキットでNSR50を追い回す「マジシャン」が存在したとか……。
②車体の軽さは「ピカイチ」
2サイクルエンジンかつ、部品点数が少ないスクーター系で、Vベルト無段変速方式が採用されたエンジンです。フレームの効果も相まって、同型エンジンを搭載したアドレス110と比べても、このマシンの重量はなんと91kg。とにかく軽い!足つきも良く、ライディングに自信のない人でもストレスなく運転できると思います。
③特徴的なホイール&タイヤパターン

今回紹介している「ストマジ110」に装着されている印象的な12インチのブロックタイヤ。何度も言いますが、カテゴリ的にはスクーターだけどニーグリップや中腰姿勢が可能という不思議な仕様です。

オフロードも走破できる!?

剛性の高いフレームと、倒立フォーク+三つ又のステム形状により、少々のオフロードも走破できてしまうのです。見た目もスペックも、実にエキセントリックな一台だと思いませんか。

乗ると脳みそが バグる?

このポジションでギア操作が無い……普段のクセが出てしまいました。リアブレーキやシフトアップなど、在りもしない装置を動かそうとしてしまう始末。

それに気づいたときに、ストリートマジックに対する操作に「バグ」を感じるかもしれません。ギア操作などは一切不要だけど、足が落ち着かない……。

△な積載性…シート下は先進的?

リアフェンダー下部にシートロックが配置されています。当時の仕様からすると、かなり異質な配置だったのではないでしょうか。

シート下の積載の少なさは一級……ですが、ギア操作や積載性能を度外視した仕様は「ライディング」の楽しさを形にしたものなのかもしれません。ちなみに「一人乗り」専用。

今でこそ、ホンダのDCT(Dual Clutch transmission)やヤマハのY-AMT(Yamaha Automated Manual Transmission)」という独自の自動変速システムが展開されていますが、ストリートマジックのオーナーとしては、技術の系譜をさかのぼってみたら、始祖は「ストマジ」だった……みたいな話があると面白いですね。

探しても見つからないストリートマジック110。価値があるかどうかは不明ですが、程度のいい個体が少ないのは事実です。
「人と被りたくない」と思うライダーの中には、バイク氷河期の真ん中に発売された「ストマジ」にガッチリとハートを掴まれる方もいるかもしれません。「人と被りたくない」「なんか強烈な何かが欲しい」そんな人には、間違いなく刺さる一台です。








