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モーサイ掲載日:2025年7月12日
RCBレーサー直系をアピールした並列4気筒ツインカム4バルブエンジン


カワサキZ1&Z2(1972&’73年)、スズキGS750&1000(1977&’78年)、ヤマハXS1100(1978年)らの登場で、市販モデルでの4気筒DOHC化で先を越されたホンダは、他メーカーの先を行く水冷水平対向4気筒GL1000(1974年)、並列6気筒のCBX1000(1978年)で対抗。
しかしスーパースポーツを求めていた多くのホンダファンにとって、それらは奇をてらい過ぎたモデルと映り、ホンダは4気筒DOHCで他社に対抗する方向を余儀なくされた。
折しも欧州では、CB750Fourベースに排気量を上げ、ヘッドをセミカムギヤトレーンでツインカム4バルブ化した耐久レーサーRCBが、連戦連勝の最中。それゆえに、新規エンジンのヨーロピアンスポーツの登場はCB-Fシリーズ登場の数年前から待望されていたのである。

海外市場向けのCB900Fは1978年9月、国内向けのCB750Fは1979年6月に発売。新開発された空冷直4ツインカム4バルブエンジンは、当初クルーザーモデルのCB750Kに搭載されて1978年末に先行して国内発売。遅れて登場したCB750Fは、それよりも洗練されたヨーロピアンフォルムをまとい、フルアジャスタブルリヤサスペンション、ジュラルミン鍛造のセパハン、当時としては後退したステップ位置とアルミキャストのステップホルダーなど、走り屋を刺激する装備を採用。以後、街なかを走れば簡単にCB750Fを見かけるほどに国内で爆発的なセールスを記録し、1980年代前半の大排気量クラスをリードした。
1979年のFZ(※モデルコード)に始まり、FA(1980年)、FB(1981年)、FC(1982年)、カウル付きのFCインテグラ(1982年)と細部熟成を重ねつつ高い人気を維持したが、VFの水冷V4エンジン路線に道を譲る。しかし、レーサー直系と謳われたエンジンはもちろんのこと、格好のいいソリッドなフォルムが今なお根強いファンに支持され、目を引くカラーリングとメーカーロゴの下地に引かれたストライプが新たな時代のスーパースポーツを感じさせた。もちろん1980年代に10代半ばだった筆者も、Fを羨望のまなざしで見たひとりだった。






新時代を予感させたCB750Fのライディングポジションと軽快な運動性の好バランス

試乗車は1981年式のFBで、色は渋めだが華やかさも感じさせるマグナムシルバーメタリック。1980年代に流行った漫画「バリバリ伝説」の主人公・巨摩 郡(こまぐん)はストーリーのなかで、FBのレッドで峠走りに明け暮れていた。その後のグンはホンダのNS400Rに乗り替え、さらにはサーキットデビューしてレースで活躍と展開していくのだが、大きなCB-F駆って峠でバトルする姿は鮮烈な印象を残したのだ。
CB750Fに試乗するのは、今回が初めてだ。先入観で抱いていたほど大柄な印象はないものの、ヨーロピアンスタイルと言われた緩い前傾のポジションは、それまでの殿様乗りアップハンドルからすれば、デビュー当時は衝撃的だっただろう。また、意外にスリムなタンクだが前後長は長く、着座位置からハンドルまでの距離は、1990~2000年代のビッグネイキッドと比べて遠めかもしれない。足つきは身長173cmでは両足カカトが1~2cm浮く程度で不安はない。CB-Fのポジションは、ナナハンとしての風格に緩やかな前傾姿勢という、新たなスポーツ性を絶妙に加味したものだったことがわかる。
セルボタンで始動。排気音は、当時のライバル車と比べても静粛性の高いものだ。試乗車はオーナーがもうじきOHを考えているとの指摘どおり、アイドリング時に若干ゴトゴト音が出ていた(プライマリーシャフトのダンパーのヘタり、クラッチまわりのガタなどが原因か!?)が、このヘタった状況の音の出方、フィーリングが、筆者が所有していたOH前のカワサキGPz750(1983年)とよく似ていたため親近感がわいた。だが、本来のCB-Fエンジンは、GPzよりもメカニカルノイズは少ないだろうと想像する。
スロットルをあおると、カワサキZ2系よりもスズキGS系よりも軽い。軽量なクランクでしかもフリクションロスが少ない回転フィールだ。当時このCBのスロットルをひねったとき、これこそが新時代のエンジンと実感した人も少なくないだろう。
トップ5速時のメーター読みで、80km/h≒3400rpm、100km/h≒4200rpm、120km/h≒5000rpm。加速ポンプやスロットルポジションセンサーといった次世代の機構を装備してはいないから、低速のツキが特別シャープなわけではないものの、気負わずに加速できる十分な低速トルクは持ち合わせている。しかも、低回転からの回り方は1970年代の4気筒のようなゴリゴリしたものではなく、シュンとした感じがある。
パワーフィールは、次の世代のCB750(RC42)にも通じるフラットな特性であり、回転に比例して速度が上昇するタイプ。始めから軽やかで中回転域も変わらず、高回転はキッチリとレッドまで回るのがホンダ的なパワー特性。余談だが、始め粗めで中程からシャープ、高回転で弾みがついてどこまでも回っていきそうなのがカワサキ的な特性だ。ホンダらしいエンジンフィールは、現代の直4モデルにも踏襲されていると言えよう。
直進安定性も申し分なしで、フロント19インチのハンドリングも1970年代のナナハンほどの重ったるさはない。バイアスとは言え現代の技術で作られたタイヤを装着しているせいもあるのだろうが、軽やかに転がっている印象だ。
1990年代以降のスタンダード750ほどヒラリとした軽快感はなくとも、ニュートラルで違和感はない。しかし、当時は先進的だったであろう前後トリプルディスクブレーキは、その200kg超の車体をコントロールするには物足りない印象もあり、リヤサスペンションはちょっとした高速コーナーで入り込み気味となって、ひと昔前の挙動をする。
今に通じるものとそうでないものが適度に混在する性能で、750らしい風格がありつつスポーティなライディングポジションやスタイル。CB750Fは、過渡期の性能を多分に含みながらも、いい意味で中庸を具現化した最初で最後のナナハンモデルだったのかもしれない。

■試乗車はCB750F3代目のFBで1981年4月発売。前年のFAでハロゲンヘッドライトが採用されたのに続き、FBでは圧縮比を高め(9.0→9.2)、最高出力は2ps増の70psに。そのほか、フロントフォークにエア加圧式を採用し、ブレーキは片押し2ポットキャリパー、ホイールは裏コムスターといったように、足回りの熟成も図られた。なお試乗車に装着されるオイルクーラーは、当時は標準装備ではなくオプション扱いのパーツだった。


■ソリッドなブラック仕上げの2連メーター。レンズは光反射が少ない材質を採用し、シャープな針の動きの回転計は当時は斬新なものだった。ワーニングランプは夜間だとまぶしいほどに明るい。





【ホンダCB750F(FB)主要諸元】
■エンジン 空冷4サイクル並列4気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク62×62mm 総排気量748cc 圧縮比9.2 キャブレターVB52 点火方式トランジスタ 始動方式セル
■性能 最高出力70ps/9000rpm 最大トルク6.0kgm/7500rpm 燃費35km/L(60km/h) 最小回転半径2.6m
■変速機 5段リターン 変速比1速2.533 2速1.789 3速1.391 4速1.160 5速0.964 一次減速比2.381 二次減速比2.388
■寸法・重量 全長2190 全幅790 全高1125 軸距1515 シート高805(各mm) キャスター27°30′ トレール117mm タイヤF3.25H19-4PR R4.00H18-4PR 乾燥重量227kg
■容量 燃料タンク20L オイル4.5L
■価格 59万5000円(1981年式FB)

文●モーサイ編集部・阪本一史 写真●岡 拓、八重洲出版アーカイブ
※本記事は、別冊モーターサイクリスト2000年7月号「プレイバック’80s・750再検証」の一部を再構成したものです。
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