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【年末に振り返る】モビリティショー2025、バイクだけを見てわかった“今とこれから”

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

モビリティショー2025は、かつて「モーターショー」と呼ばれていた時代を思わせるほど、クルマが主役に戻ったイベントだったように感じる。最新EVやコンセプトカーが並ぶ会場は華やかで、その存在感は圧倒的である。
その一方で、バイクの展示も充実しており、各メーカーの考え方や立ち位置が明確に表れていたとも言える。

開催から時間が経った今、年末という節目にあらためて振り返ってみると、モビリティショー2025のバイク展示は「未来を誇示する場」ではなく、「これからも続いていく二輪の姿」を提示していたように思う。
本記事では、そんなモビリティショー2025を、バイクだけに視点を絞って振り返っていく。

目次

ホンダ(Honda)

ホンダブースでは、「The Power of Dreams」の理念を体現する多彩な二輪展示が行われた。最新大型ロードスポーツの CB1000F/CB1000F SE をはじめ、原付一種カテゴリーに適合する スーパーカブ110 LiteDio110 Lite といった普段使いのモデルも展示され、幅広いラインナップが目を引いた。

これらは新基準原付に対応した新世代の提案でもあり、日常の移動に寄り添う二輪の可能性を示している。

さらに「Mobility Culture Program」では、歴史的モデルとして ドリームCB750FOUR-KNSR500 などの往年の名車も展示され、ホンダが培ってきた二輪文化の深さも同時に体感できる構成であった。こうした“現在と過去の対比”は、単なる新型披露に留まらない趣を持っていた。

ヤマハ(Yamaha)

ヤマハのブースは「感じて動き出す(Feel . Move)」をテーマに、世界初公開モデルを含む多彩なコンセプト&プロトタイプ群を展示し、来場者の視点を強く引きつけていた。実際にワールドプレミアとなる5機種以上と、計16台近いモデルが並び、電動スポーツバイク PROTO BEV や電動・ハイブリッド系といった次世代アプローチがバイクの未来像を描き出していたことが印象的である。

中でも、ヤマハが長年研究を続ける自立走行コンセプト MOTOROiD:Λ や、3輪オープンEVの TRICERA proto といった先進モデルが、単なる“観る展示”ではなく「モビリティの可能性」そのものを体感させる役割を果たしていた。さらに、電動アシスト車両や従来モデルの実機も配し、カーボンニュートラル時代に向けたヤマハの二輪戦略が現実と未来の両面から提示されたブースであった。

スズキ(Suzuki)

スズキの二輪関連展示では、特に e-VanVan といったEVファンバイクのコンセプトモデルが来場者の関心を集めた。これは1970年代の人気モデル「VanVan」を現代的にアレンジしたもので、遊び心と環境対応を両立させる提案となっている。

また、発売前の GSX-8T/GSX-8TT などミドルクラスの新型モデルも参考展示され、ネオレトロでありながら最新電子制御を備えるスズキの二輪戦略が垣間見える。

水素エンジンを搭載したブルクマンも展示。このモデルは、カーボンニュートラル実現に向けたスズキのマルチパスウェイ戦略の一環として研究開発が進められているもので、「環境に配慮しながらも、バイクの楽しさのひとつである排気音を味わいたい」というライダーの欲求に応えるアプローチが特徴だ。電動化一辺倒ではなく、内燃機関の魅力を活かし続けようとする姿勢は、スズキらしい現実解とも言えるだろう。

派手さはなくとも、バイクの未来を“楽しさ”の視点から模索するスズキの姿勢が強く伝わる展示であった。既存ユーザーにも新規ファンにも訴求する幅広いラインナップ展示は、スズキならではの“楽しさ重視”の姿勢を体感させるものだった。

カワサキ(Kawasaki)

カワサキブースは「伝統と革新」をテーマに、歴史と未来を同時に感じさせる展示構成で来場者の注目を集めていた。中核となったのは、2026年モデルとして世界初公開された「Z900RS SE」「Z900RS CAFE」 の2機種である。いずれも人気の高い「Z900RS」シリーズをベースに、電子制御スロットルバルブやIMUを活用したライダーサポート機能、クラシカルなスタイリングを進化させたハイスペックモデルとして展示され、伝統的な“Z”ブランドの魅力を現代に再解釈した姿が印象的だった。

さらに、ジャパンプレミアとして「Z1100 SE」 も登場し、最大排気量スーパーネイキッドとしての迫力ある存在感を放った。電子制御やハンドリング性能の向上、オーリンズ製サスペンションやブレンボ製ブレーキなど高性能パーツの導入により、スポーツバイクとしての完成度が高い一台となっている。

また、水素燃焼エンジンを搭載した研究用モックアップモデルの展示も大きな話題のひとつ。Ninja H2直系のスーパーチャージドユニットを水素燃料仕様に改良したもので、「Fun to Ride」を維持しつつ水素燃焼という次世代技術の可能性を示すものとして注目を浴びていた。これは単なるコンセプトではなく、カーボンニュートラル社会に向けた選択肢を提示する技術展示でもある。

これらの展示を通じ、カワサキは伝統的なブランド価値と先進技術の共存を来場者に印象づけていた。単に新型車を並べるだけでなく、ブランドの歴史と未来への挑戦を同時に感じられるブースとして、バイクファンの興味を大いに刺激していたのである。

BMW Motorrad(BMW)

BMW Motorradはブース内で M1000 RRCE 02 を展示し、ブランドの二輪展開の“現在”を象徴する2台を来場者に披露した。

M1000 RRはピュアスポーツレーサーの頂点を示すモデルである一方、CE 02は都市部での新しい移動体験を提案する軽快なモーターサイクル。これらの展示は、BMWが高性能と都市型モビリティという異なる二輪価値を志向していることを示すものとなり、海外ブランドならではの多様性を感じさせた。

タイムスリップガレージ

モビリティショー2025の “カルチャー系展示” としてひときわ目を引いたのが タイムスリップガレージ である。この展示は戦後から2000年代までの二輪・四輪を時代別に配置し、そこに当時の風俗や文化を組み合わせた構成となっていた。

昭和から平成、そして令和へと続くモータリゼーションの歩みを、まさに“タイムスリップ”するように体感できる空間は、単なる新型展示とは異なる情緒深い体験を来場者にもたらしていた。過去の名車が現在のモビリティ理解を豊かにしてくれる展示であった。

まとめ

モビリティショー2025を振り返ると、クルマがイベントの中心に据えられた印象は確かに強い。だが、その中で展示されたバイクたちは、決して脇役ではなかった。ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキといった国内メーカー各社は、それぞれの思想や強みを反映した展示を行い、二輪が今後も多様な形で存在し続けることを示していた。

また、会場全体を見渡すと、次世代のモビリティに関する提案が数多く展示されていた点も印象的である。

四輪メーカーによるパーソナルモビリティの提案や、高齢化社会を見据えた車椅子でさえも、単なる移動手段に留まらず、「乗り物としての魅力」を備えていた。トヨタの電動車椅子やヤマハのレース用車椅子などは、その象徴と言えるだろう。

そうした流れの中で見ると、バイクはあらためて“人が操るモビリティの原点”であることを実感させてくれる存在だ。
年末にこうして見返すからこそ、モビリティショー2025のバイク展示は、未来と原点の両方を静かに語っていたのだと感じられる。

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