株式会社ヨシムラジャパンは、2025年10月18日(土)に那須モータースポーツランドで「ヨシムラミーティング2025 in 那須モータースポーツランド」を開催した。
ヨシムラミーティングは毎年秋に恒例のヨシムラとユーザーの交流イベントだ。ヨシムラジャパンの社長や開発者、メカニック、世界のレースでヨシムラマシンを操るライダーなど、ヨシムラ関係者と直接話すことができる距離感の近さが魅力。
今年の注目のひとつは「ヨシムラGSX-R750 #604コンプリートマシン」。詳しくは後述するが、それにまつわるトークショーやそのマシンでのサーキットデモランなども行われた。
当日は暖かく晴天に恵まれ、ヨシムラファンをはじめ多くのバイクユーザーが集まり、来場者もヨシムラ関係者も一緒になってイベントを楽しんでいた。その様子をお届けしよう。


ヨシムラマシン試乗やトークショーなど盛りだくさんのコンテンツ

会場にはユーザーが楽しめるコンテンツが盛りだくさん! 毎年人気の、ヨシムラのパーツでカスタムされたマシンでサーキットを走れる試乗会をはじめ、ステージでのトークショーやレーシングマシンによるデモラン、ヨシムラに関連する企業のブースやヨシムラグッズ販売ブース、飲食ブースの出展、ヨシムラSERT MOTULの再現ピットなど、ヨシムラファンはもちろんバイクユーザーなら誰もが楽しめるコンテンツが用意された。
ヨシムラに関連する企業のブースとして、MOTUL、ブリヂストンタイヤソリューションジャパン株式会社、アールケー・ジャパン株式会社が出展。ヨシムラグッズ販売ブースも用意された。







あのバイク弁当の大滝食堂も出張営業

今年はバイクタンク型の弁当箱でおなじみの「バイク弁当の大滝食堂」が出店。普段は埼玉県秩父市の「道の駅龍勢会館」で営業をしているが、このイベントのために出展してくれた。本イベント限定の「ボルドール勝っちゃった弁当」を販売した。
ヨシムラのカスタムマシンをサーキットで楽しめる試乗会

コースではヨシムラのパーツが装着されたカスタムマシンの試乗会が実施された。コースを2周できる試乗は当日申し込みだったのだが、開場と同時にほとんどの申込枠が埋まるほどの人気ぶり! お目当ての車両に乗れた人はかなりラッキーだったといえよう。
試乗車は11台用意され、1台につき15回程の走行枠が用意されていた。試乗と試乗の合間には、車両に装着されたヨシムラパーツが気になるのか、まじまじと見つめる人たちの姿も多く見られた。



今回注目の「ヨシムラGSX-R750#604コンプリートマシン」

オークション開催で話題の「ヨシムラGSX-R750#604コンプリートマシン」。イベント当日がオークション最終日だったのだが、落札価格は12,000,000円を超えた。




「ヨシムラGSX-R750#604コンプリートマシン」は、1986年AMAスーパーバイクに参戦したレースマシンをヨシムラのメカニックが現代に蘇らせたマシンで、ヨシムラが開発したマフラー、エンジン周辺パーツ、足回りパーツ、純正互換パーツが採用されている。今年のモーターサイクルショーで発表されたヨシムラヘリテージパーツプロジェクトの一環だ。
※展示車両はオークション車両とは別の車両。
トークショーにはレジェンドライダー辻本聡氏も登場

「ヨシムラGSX-R750#604コンプリートマシン」トークショーには、約40年前にAMAスーパーバイクに今回のマシンの元になったオリジナルの#604に跨りレースに参戦した辻本聡氏が登場!アメリカに渡った際に感じた、日本のサーキットでのコンパクトなレースとアメリカの広いサーキットでのレースとのピットやコースコンディションの違いなど、参戦当時の貴重な話を聞くことができた。

加藤社長からは、ヨシムラヘリテージパーツプロジェクトのスタートに至った思いなどが語られた。バイクユーザーからの声はもちろんなのだが、加藤社長の個人的な思いも注ぎ込まれているようだ。
辻本氏が#604でアメリカのレースに参戦した頃、加藤社長は10歳くらいの少年だった。当時、バイク雑誌に載っているバイクの写真のスケッチをして過ごすようなことも多く、その時眺めていたバイクが乗れなくなってしまうことに寂しさを感じたことが、このプロジェクトの立ち上げの一因になった。
そして、このコンプリートマシンが一つのお手本のような存在となり、古いバイクを大切に乗り続ける人たちの参考になればという思いが語られた。
当プロジェクトの責任者であるメカニックの鈴木氏からは、ベースになる車両を見つける時点から大変であることや、カラーリングやステッカーの再現についての裏話などを聞くことができた。
1986年当時を再現!? #604で辻本聡氏がサーキットを駆け抜ける

トークショー後には、「ヨシムラGSX-R750#604コンプリートマシン」が実際にサーキットを走るデモランが行われた。しかも乗り手はレジェンドライダーの辻本聡氏。この光景は大変貴重なものとなった。
現役ライダーの渥美心選手も現役レースマシン「GSX-R1000R」に跨りデモランに合流。新旧ライダー&マシンの超貴重なランデブー走行を前に来場者は大興奮! 特別にピットが開放され、おのおのカメラや携帯を手にしたヨシムラファンは、コースギリギリにまで寄って撮影に熱中していた。



EWCの裏話が聞けちゃう ヨシムラ SEAT MOTULトークショー

「ヨシムラ SEAT MOTULトークショー」では、チームディレクターである加藤社長、メカニックの鈴木氏、ライダーの渥美心選手の3人が登壇。年間タイトルをわずか1ポイント差で逃し惜しくも2位で終了した2025年のEWC(世界耐久ロードレース選手権・年間4戦)各レースを振り返り、色々と貴重な話を聞くことができた。
シーズン前半は、悪天候への対応が難しかったり転倒が重なったりなど苦戦を強いられたが、後半戦に入る第3戦の鈴鹿8時間耐久ロードレースでは3位を獲得。この後半からの巻き返しの裏にはフロントサスペンションの交換やエンジンのセッティングの変更が関係していたそう。結果、最終戦のボルドール24時間では獲得できる最大ポイント・65ポイントを得て、完璧な勝利を収めることができた。実はその勝利の裏側では問題がいくつも発生していたというから驚きだ。それら複数の問題を解決しつつ戦っていたこともあり、勝利の喜びもひとしお。最高の結果となった。
その他にも、長時間の耐久レースでの集中力の保ち方やリラックスのしかた、暑さ対策、レース現場でのゲン担ぎの話など、日常にも活かせそうな内容とあって参加者も真剣に耳を傾けていた。



体験イベント、プレゼント大会、パレードランなど他にも盛だくさん
来場者を楽しませるイベントも特徴的で、レースで実際に使用される給油タンクの重さにびっくり!の「リフト体験」、レース車両の「タイヤ交換体験」は、耐久レースに参戦しているヨシムラならではの内容。イベント恒例の「じゃんけん大会」では、サイングッズをはじめヨシムラファンならGETしたいプレゼントが大放出され大いに盛り上がった。
イベントの最後には自分のマシンでサーキットを走れるパレードランが行われ、ヨシムラファン同士の一体感をいっそう高めることとなった。






バイクユーザーなら誰でもウェルカム
今年も多くの来場者でにぎわった「ヨシムラミーティング in 那須モータースポーツランド」。こんなに有名なブランドのスタッフや社長までがこんなに距離感近くて良いの!?と、心配になってしまうくらいユーザーフレンドリーなイベントだった。毎年趣向を凝らして来場者を楽しませてくれるユーザーを大切にするヨシムラの姿勢は、製品やサービスの品質にも表れており、それが新たなファンを作り続けている理由だろう。
ヨシムラファンはもちろん、バイクのカスタムやパーツについてヨシムラのスタッフに話を聞いてみたい!という人にもまたとない良い機会。次回の開催時には、ツーリングも兼ねて足を運んでみることをオススメしたい。ヨシムラファンならずとも、充実したイベント内容だけに濃い一日となることだろう。









