街中を走っていると、左右どちらかだけにミラーを装着したバイクを目にすることがあります。
こうしたバイクは、道路交通法上、違反にあたらないのでしょうか。
ミラーの規則は保安基準に定められている

一般的に、多くのバイクには、車両後方の状況を確認するためのミラーが左右両側に設置されています。
しかし、街中では、ミラーを右側にしかつけていないバイクを目にすることも少なくありません。
さらに、近年都市部を中心に存在感を増している電動キックボードなどには、そもそもミラーを装着していない車両も見受けられます。
では、このようなミラーをつけていない、また片側にしかつけていない車両は、違反ではないのでしょうか。
原付一種は左側のミラーが必要ない
そもそも、後写鏡、いわゆるミラーについては、道路運送車両の保安基準に明確な規則が定められています。
道路運送車両の保安基準では、最高速度が50km/hを超える二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車には、車体の左右両側にそれぞれ1個ずつ後写鏡を備えることが義務づけられています。
一方、最高速度が50km/h以下の二輪自動車や原動機付自転車は、右側に1個の後写鏡を装着すればよいとされています。
つまり、いわゆる原付一種などの最高速度が抑えられた車両については、片側のみの装着でも基準を満たし、そのほかの二輪車においては、左右両方の装着が必須というわけです。
特定小型原付のミラーの規則
電動キックボードなどの「特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)」の保安基準については、2022年の道路交通法改正で新たに定義されました。
これによると、特定小型原付に分類される車両は、通行場所や利用環境を考慮し、後写鏡の装着規定は保安基準から削除されています。
そのため、特定小型原付は従来の原付や二輪自動車と異なり、ミラーの装着義務がない扱いとなっています。
ミラーはただ装着してあればいいわけではない

では、原付二種以上の排気量を持つバイクは、単に両側にミラーを付けていれば違反ではないのでしょうか。
結論から言えば、ミラーは単に装着していればよいわけではありません。
道路運送車両の保安基準において、ミラーの反射面の大きさや形状、反射性能など、細かい技術要件が規定されているためです。
では、具体的にはどのような要件があるのでしょうか。
ミラーの寸法要件
保安基準では、二輪車などに備えられる後写鏡の反射面に最小・最大寸法が定められています。
まず、反射面の面積は69平方センチメートル以上でなければならず、円形の場合は直径94mm以上、円形以外の場合は直径78mmの円を内包できる大きさが必要です。
一方で、過度に大きな鏡は視界や車体とのバランスを損なうため、上限も設けられています。
円形の場合は直径150mm以下、その他の形状では縦120mm×横200mm以内に収まる必要があります。
反射面の形状と性能
そして、ミラーの反射面は球状の凸面であることが求められており、曲率半径は1000mm以上1500mm以下と定められています。
また、標準反射係数は40%以上でなければなりません。
加えて、昼間用と夜間用の切り替え機構を持つ場合は、昼間用は交通信号の識別ができる性能が、夜間用には4%以上の反射率確保が定められています。
まとめ
このように、多くのバイクはミラーを両側につける必要がある一方で、原付一種は右側のみで問題ないほか、電動キックボードにはそもそもミラーの装着義務がありません。
しかし、ミラーがない車両であっても、安全のために後方の状況に留意しましょう。
特に、右左折など周囲に影響する行動をする前は、たとえミラーが装備されていなくても、目視で後方の状況確認をする必要があります。
車両の区分やミラーの有無にかかわらず、常に後方を意識した確認を徹底することが、安全な走行につながります。








