X(旧Twitter)にて精巧で魅力的な作品を発表しているモデラー・Sho_taroさんの協力を得て、バイクプラモデルの魅力をお届けするシリーズ。今回は、1985年に登場したカワサキの名車「GPZ400R」と、それを1/12スケールで再現したタミヤのプラモデルに着目しました。レーサーレプリカ全盛時代にあえて異なる方向性を打ち出した個性的な一台です。
その魅力は、タミヤのキットにも反映されており、精密さと組みやすさを両立した仕上がりとなっています。GPZ400Rというバイクの背景から、タミヤキットの特徴、そして製作のポイントを紹介します。
レーサーレプリカ時代に異彩を放ったGPZ400R

1980年代中盤、日本のバイク市場はレーサーレプリカブームの真っ只中。各メーカーはサーキット直系のスタイルと高性能を競い合い、400ccクラスでもFZR400R(ヤマハ)、CBR400R(ホンダ)、GSX-R400(スズキ)といったモデルが次々と登場しました。

そんな中でカワサキが送り出したGPZ400Rは、“レースベース”ではなく“実用域での速さと快適性”を追求するという、独自のコンセプトを持ったフルカウルスポーツモデルでした。そもそもレースに参戦していないカワサキは、別の路線を歩むしかありませんでした。

空力性能を重視したカウルデザイン、ユニトラックサスペンション、当時としては先進的だったアルミフレーム構造など、スペック面でも非常に高い完成度を誇ります。最高出力は59馬力、0-400m加速でも他の400ccクラスと互角以上の性能を発揮。中高速域での安定性や快適性にも優れており、ツアラー的な資質を兼ね備えていた点も人気を集めました。
タミヤが手がけたGPZ400R、その魅力とは

1985年に発売されたタミヤ1/12スケール「カワサキGPZ400R」は、特徴的なフルカウルの形状やシルエットを再現しており、エンジンや足回りの造形も細かく作られています。全体のパーツ構成もわかりやすく、タミヤらしい作りやすさが感じられるキットです。

すでに絶版となっており、新品での入手は難しいものの、中古市場では一定の需要があるとか。完成度の高い見た目と、手を動かす楽しさが両立している点が、多くの人にとって魅力なのでしょう。
Sho_taroさんの「D3型」仕様作例に注目

今回ご紹介する作例は、モデラーSho_taroさんが製作した後期型「D3仕様」。自身がかつて所有していた愛車をモデル化したものです。特徴的なのは、D3型特有のブラックフレーム&マフラー、そして“Ninja”ロゴの入った外装。このロゴが話題となり、一時期はGPZ400Rの人気が再燃したほどのインパクトがありました。

この仕様を再現するために、Sho_taroさんはオリジナルでデカールを自作。Adobe Illustratorでデータを作成し、ファインモールドのホワイトデカールにレーザープリンターで出力。仕上げにはクリアをかけて保護し、マスキングしてボディカラーを塗装するという手順で、丁寧に仕上げられています。

そのほかにも、ゴム質パーツの塗装にはクレオスの「タイヤブラック」を使用し、自然な使用感を表現。ブレーキディスクには墨入れを施し、細部まで抜かりない作業が随所に光ります。フォークのメッキ表現には100円ショップのメタル調テープを活用するなど、工夫も満載です。
模型だからこそできる「再会」

Sho_taroさんにとってGPZ400Rは、初めて所有した思い入れのあるバイク。その愛車と模型の中で再会し、細部にわたってじっくりと再現する。それこそが、プラモデルの大きな魅力だと感じさせてくれます。

タミヤの1/12 GPZ400Rは、絶版なため手に入れるハードルは高いかもしれませんが、その分、完成させたときの満足感は格別です。バイク好きはもちろん、模型を通して思い出やこだわりを形にしたいという方にこそ、手に取ってほしいキットです。
キット情報
販売元:タミヤ
初回発売:1986年
再版状況:2010年7月下旬(2010年、以降不定期)
希望小売価格:2,530円(税込)
現状:絶版
Sho_taroさんのX
https://twitter.com/1980RZ250








