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愛車の「スタートライン」を知ろう! モンキー50で学ぶキャブレターセッティング術

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

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今回の記事はキャブレター装着車に関する内容になっています。
要約すると、「キースター燃調キット」という製品を使ってキャブをリフレッシュした結果、いろんなことが見えてきたよ、という内容です。

「なんだキャブ車だけかよ」と思うかもしれません。
でも、タイトルにある「愛車のスタートラインを知る」ことはどんなバイクでもめちゃくちゃ大切なことです。
FI車オーナーさんもぜひ読んでみてくださいね。

目次

スタートラインを知る、とは?

旧いバイクや中古バイクによくある問題。
それは純正パーツの劣化や、前オーナーが取り付けた社外パーツの相性がよくないなどの理由で、バイク本来の性能を発揮できていない症状です。

つまりそのバイクの持ち主は本来の性能がわからず、愛車のポテンシャルを知るスタートラインにすら立てていない状態。

この状態を理解し、改善できれば誰もがもっとうまくバイクと付き合えるのではないか、とボクは思っています。

サブロー

こんにちは。ライターのサブローです。
というわけで今回のテスト車両はコレです!

95年式のモンキー・Z50J(50cc)です。

この車両は友だちから譲り受けたもので、購入時は次のような状態でした。

【購入時の状態】
エンジンは排ガス規制前の「Z50J」なのにキャブは規制後の「AB27」用が付いていた
そのキャブはヤフオクで「要オーバーホール」と書かれたものを友だちが購入したもの
・エンジンはノーマル(前々オーナーの証言)

なお、このモンキーはコテコテにカスタムされていた車両を元に戻しただけの「疑似ノーマル状態」です。

なんだか方向性がよくわからないカスタムが施されていました

そんなですから、当然のように不具合が出ていました。
ちなみに友だちいわく「普通にエンジンかかったからキャブはオーバーホールしていないよ」とのこと…。
してよ。

【不具合】
①キャブのドレンホースからガソリンが漏れている
② 常にガソリンくさい
③ アクセルの低開度→中開度でギクシャクする
④ パワーがない

①~③はあきらかに不具合ですが、④「パワーがない」に関しては、「50㏄のモンキーだからこんなもんだろう」と思っていました。

サブロー

いやモンキーってこんなにパワーないの?
遅すぎてあぶねぇんだけど!

友人

ノーマルモンキーでぜいたく言うな!
50ccだからこんなもんだよ

ちなみにボク、今までモンキーという乗り物に乗った経験はゼロです。
なので「モンキーの本来の性能」などわかるはずもなく、友人の言葉を真に受けるしかありません。

ただ、ガソリンを漏らしたりニオイをまき散らしたりするのは迷惑だし危ないので、キャブをオーバーホールすることにしました。

キースター燃調キット

というわけで使ってみたのがコレ。
岸田精密工業がリリースしている「キースター燃調キット」です。

このキットはキャブレターをオーバーホールするためのガスケットやジェット類がすべてそろっているパッケージで4,400円(税込/キャブ1個分)です。

これだけのパーツがすべて入っています

ちなみに、これと同等のパッケージを純正品でそろえようとするとモンキーの場合6,010円かかります。
当然ながらジェットやニードルを1種類ずつ買った場合の価格です。
さらに6,010円という価格は2002年のパーツリスト表示価格なので、現在は大きく値上がりして8,000円くらいになっているでしょう。

対してキースター燃調キットは、純正と同じ内容が半額で買えて、しかもジェットやニードルは番手違いが何種類も(モンキーは3~6種類)入っていることを考えるとかなりお得です。

フロートバルブを交換

キャブからのガソリン漏れは8割方フロートバルブが原因です。
このパーツは、キャブに送られてくるガソリンがちょうどいい量になるようにせき止めてくれるんですが、劣化すると過剰にガソリンを送ってしまってお漏らしを引き起こします。

劣化したフローとバルブとキースターのフロートバルブを見比べると…(拡大図)

左が純正。右がキースターのフロートバルブ「アンチアルコールニードル」

こんな感じでキースターの方がガソリンをせき止めるゴム部分がガッシリしていることがわかります。
ちなみに岸田精密工業はこのフロートバルブを「純正品をはるかに凌ぐ性能」と謳っています(同社での呼称は「ニードルバルブ」)。
特に劣化しやすいゴム部分を強化し、ガソリンはもちろんアルコールにも強い「アンチアルコールニードル」として採用しています。

このアンチアルコールニードルに交換した結果、ガソリン漏れはピタリと止まりました。
まずは不具合①「キャブからガソリンが漏れている」が解決しました。

おそらく純正パーツでも漏れは止まったんでしょうけれど、強化パーツによる耐久性の向上が期待できる分、安心感が高いです!

そのほかのガスケットも全部交換

ガスケットはキャブレターの気密性を高めるための必需品。
これが劣化すると正常な圧力を確保できなくなったり、気化したガソリンが外に漏れたりしますよ。

古いガスケット(左)。長期間使うとガソリンを吸ってふくらんで本来の性能をキープできなくなる。ちょっと大径化してる?

これらを全部新品にしたところ、ガソリン臭を感じなくなりました!
不具合②「 常にガソリンくさい」も解決です。

ジェット&ニードルを交換

ここからは空気やガソリンの量を調整するジェット・ニードル類の交換です。
ひとまず純正と同じセッティングにしてみます。
キースター燃調キットを組む前/組んだ後のプラグの焼け色がコチラ。

キースタ燃調キットを組む前の状態(左)と組んだ後の状態(右)

左画像のプラグは黒く燻っています。明らかに濃い状態です。
キースター燃調キットを組んだら燻りが少なくなりました。でも逆にちょっと薄いかな?

キャブの各部が摩耗してガソリンが余計に流れ込んでいた結果ですね。

これは意外と知られていない話ですが、ジェットやニードルはやわらかい真鍮製のため、ガソリンが流れ込むことで徐々に摩耗するそうです。
摩耗してスキマが広がると、ガソリンの量がムダに増えてしまうんですね。
1/100mmの違いで差が出てしまうといわれているキャブレターにおいて、このスキマの変化はとても重要です。

ニードルジェットの内径でこれだけ差がありました。左が劣化した純正ジェット

走ってみた

スムーズに加速するようになり、トルクが増したことがハッキリわかります。
冒頭で解説した不具合③「アクセルの低開度→中開度でギクシャクする」が改善されました。

オーバーホール前の加速力を100とすると、125くらいの感じです。

欲が出ていろんなパーツを替えてみた

この125くらいの加速力で満足していたんですが、セッティングはすべてノーマルと同じ。
そんな時ふと、以前プロの方から聞いた言葉を思い出して…。

東海オート代表・関山さん

エンジンやキャブレターは走行距離が増えると、各部に摩耗が生じます。摩耗した箇所のクリアランスが広がった分だけベストセッティングも変わるんです。

このアドバイスをくれた人は、以前取材した愛知県の旧車専門店「東海オート」代表の関山修平さん。
関山さんの言葉どおりだと、ボクのモンキーはこんな↓状態だし、まだベストセッティングではないのかも!

・モンキーの走行距離が不明。何万kmも走っている?
・なのでエンジン内部は摩耗が進んでいるかも
・そもそもエンジンが改造されている可能性アリ
・キャブレターは出自不明の中古品が付いている
・そのキャブレターとエンジンの年式が合っていない

これらを考えると、もう少しセッティングを見直してもいいのでは?

というわけで、同梱されているサイズ違いのジェットニードルや、番手違いのメインジェット・スロージェットも色々試してみました。

「本来の性能」=「スタートライン」を知って見えたこと

このキット、なんとメインジェットが6種類、スロージェットが3種類、ニードルが4種類もあって燃料の濃さを自由にセッティングできます(セッティング手順は割愛します)。

さらに、エンジンの症状に合わせて「どこをどう変えればいいか」を網羅したフローチャートまでついてます。

セッティングを試行錯誤した結果、ノーマル状態からスロージェットを1番手濃くした状態(♯35→38)がベストでした(メインジェットとニードルはノーマルと同じ)!

ちなみに、キャブセッティングにおいてメインジェットの交換はよくある作業ですが、スロージェットは純正の番手から変える必要はないという声が多いみたいです。
が、ボクのモンキーの場合、エンジンとキャブがニコイチなのでセオリー通りじゃなかったのかもしれません。
これはすべてのパーツを新品にして、スタートラインに立ったからこそ気づけたんだと思います。

スロージェットも交換したら、加速感が135くらいになりました!
(オーバーホール前が100、オーバーホール後純正セッティングが125)

50ccなので遅いことに変わりはないのですが、購入時に感じていた「遅すぎて怖い」という感覚はずいぶんと薄れました。

旧いバイクこそ「本来の性能」を知ることが大事

たとえば、ボクみたいに「自分の愛車以外の(完調状態の)同一車種に乗ったことがない人」って多いと思います。
そんな人は、もし愛車が不具合を抱えていても、それが本来の性能だと思い込んで乗り続けることになりますよね。

つまり「このバイクの性能はこんなもんか…」と、悪い誤解をしたまま乗り続けるということ。
これは本当にもったいないことだし、大ゲサにいうとそのバイクを作ったメーカーに申し訳ないことだと思います。

また、これはキャブに限らずほかのパーツにもいえることで、たとえばサスペンションのセッティングがおかしいと感じたとします。
でも実はタイヤの空気圧が適正じゃなかったり、ステムベアリングの劣化だったり、社外スイングアームとの相性が悪かったり…など、サスペンション以外のパーツが原因のことがあります。

でも、1つひとつのパーツを正常な状態にしてスタートラインに立つことで別の原因に気付くことができますし、ノーマル以上の組み合わせを見つけられるかもしれません。
この現象は、旧いバイクや出自が不明な中古バイクほど顕著に表れます。
今回のモンキーがまさにそうでした。

キャブレターに関していえば、スタートラインに立たせてくれるアイテムが、キースター燃調キットなんです。

ぜひみなさんもお試しを。
そのバイク、本当はもっと元気に走るかもしれませんよ?

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