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250ccがここまで化ける! ヨシムラサイクロンでジクサーSF250が“ひとクラス上の走り”に進化

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

ヨシムラサイクロンといえば、大排気量マルチエンジンのスポーツモデルにこそ真価を発揮する──そんなイメージが根強い。しかし近年、ユーザーの間で密かに熱を帯びているのが“250ccクラスのマフラーチューニング”だ。

その象徴ともいえるのが、スズキのジクサー250/SF250。
新設計の油冷エンジンを積み、実走性能・燃費・扱いやすさすべてが高く評価されているにも関わらず、市場での人気はいまひとつ伸び悩んでいるモデルでもある。

「本当はもっと評価されるべきバイクなのに……」
そんな悔しさを胸に、ヨシムラの開発陣が“250ccでもヨシムラパワーを体感できるマフラー”を本気で作り上げた。

果たして、ジクサーはヨシムラサイクロンによってどう変わるのか?
単なる音と見た目のカスタムに留まらず、250cc単気筒のイメージさえ覆す“走りの伸びしろ”がそこにはあった──。

TEXT:中村浩史、PHOTO:富樫秀明

目次

ジクサーSF250が抱えていた“性能と人気のギャップ”

ジクサー250/SF250は、スズキが久々に新設計エンジンを投入、油冷SOHC単気筒エンジンを搭載したロードスポーツ。シンプルで軽量ハイパワーの新設計油冷エンジンは、のちにVストローム250SXにも転用され、小気味いいパワーフィーリングやパンチ力、さらに好燃費も評価の高いエンジンとなっている。

けれど正直に言って、パフォーマンスどおりの人気モデルになっているとは言い難いかもしれない。2020年6月にデビューし、250ccの販売ランキングではベスト5に一度入っただけ。23年に発売されたバリエーションモデル、Vストローム250SXにも抜かれてしまった。実力があるだけに何とももったいないモデルだ。

ヨシムラ開発陣のこだわりと苦闘

「パフォーマンスは高いのに、ジクサー250/SF250はそれに見合った人気にはなっていませんよね。僕自身、ジクサーがすごく気に入っているので、なんかそれが悔しくて」というのは、ヨシムラジャパンのマフラー開発課 加藤 良章 さん。

新設計エンジンだけに、マフラー開発もゼロからのスタートだった。パイプ径/パイプ長から、車体のどの部分に這わせるかのレイアウト決めからスタート。4気筒+フルカウルのようなスペースの少ない車体ではなかったため、レイアウトの部分で苦労することはなかったのだという。

マフラー設計が進んで、やはり苦労した点は排出ガスと騒音の規制だった。特に騒音に関しては、出力とのバランスが重要だけに、その点は純正マフラーが素晴らしい完成度だったという。

ヨシムラのマフラーは、やはりノーマルよりもパワーを出したい、というのがスタートラインですから、サウンドを抑えながらパワーを出すのが苦労した点です。それでも、サイレンサー容量、触媒のサイズや設定場所を何度も決めて、納得いく仕上がりになりました」(加藤さん)

サイクロン装着ジクサーSF250を試乗

今回、試乗したのは、カウル付きのジクサーSF250エンジン関連はノーマルのまま、ヨシムラサイクロンマフラーだけを装着している仕様。場所は2025年10月にヨシムラファンミーティング2025が開催された栃木県・那須モータースポーツランドだ。

パドックに並べられたアイドリング状態のジクサーSF250は、エンジンがかかっているとは気付かないほど静か。ノーマルのジクサーも、アイドリングではかなり静かなモデルだけれど、サイクロンを装着しているヨシムラ車も、アイドリングでの停車状態の静かさは変わらない

しかし、走り始めると違いがハッキリと分かる。ギアをローにシフトしてクラッチをつなぎながらアクセルを少しずつ開けていくだけで、ノーマルよりもひとコブ、力の出方が違うのだ。もちろん、開けていくときのサウンドも力強い

ウインドアーマー 価格:19,800(税込)
純正カウルのラインと調和し、違和感なくマシンのスタイルを引き締める洗練されたフォルム。純正比で「高さ+78mm / 後方+8mm」アップしており、上体を低く構えた際にはヘルメット上部へスムーズに風を誘導する。
ハンドルバーエンドHigh Line
汎用φ14~19
価格:17,600円(税込)
カラー:レッド、スレートグレー
※納期調整中、予約可能
ステアリングステムナット
M22xP1.0
価格:3,850円(税込)
カラー:レッド、スレートグレー、ゴールド
フェンダーレスKIT
(ナンバー取付ステー)
価格:24,200円(税込)
保安基準対応品

低速から高速まで体感できるパワーアップ

加速しながらシフトアップしていくと、スピードの乗りも明らかに違うトルクがひとクラス上乗せされているような、たとえば250ccが300ccになったようなトルク、サウンド、そしてダイレクト感があるのだ。

ハンドルに伝わってくる硬質な手応えも力強さを感じさせるのかもしれない。サーキットとはいえ、走り始めはストリートを想定してアクセルの開け方は控えめ、早めのシフトアップで回転を上げすぎないように走ったけれど、それでもスピードの乗りが早い。サウンドも、パンチを感じさせる爆発力があって、「あれれ250ccの単気筒って、こんなにキビキビしていたっけ」という感じが印象的だった。

ストリートスピードを超えて、ちょっと攻めた走りにトライしてみる。タコメーターのレッドゾーンは10000rpmスタートだから8500~9000rpmを目安に各ギアを引っ張ってみると、スタートの時に感じたトルクの厚さは中回転域でスムーズに高回転につながり、6000rpmくらいからパワーがひと乗せされる感じ。高回転の伸びもよく、イッキに9000rpmオーバーまで回り込もうとする。速い!250ccの単気筒というイメージよりダイレクトでパワフル──これがヨシムラサイクロンなのだ

オイルフィラーキャップ Type-FA (M20xP1.5mm)
価格:4,400円(税込)
カラー:レッド、スレートグレー
リアスタンドブラケットセット High Line M8
価格:6,380円(税込)
カラー:レッド、ブルー

静粛性と迫力サウンドを両立した“250ccの理想形”

もちろん、マフラー交換のもうひとつの魅力であるサウンドに関しても、アクセルを開けていくと力強く、シリンダーの一発一発の爆発がツブ立って、迫力あるビートにつながっていく感じ。今どきの社会情勢からしても、アイドリングで止まっているときに静かで、開け始めて気持ちのいい音が鳴り始めるのがイイ

「250ccのロードスポーツは、限りあるパワーでわりとイケイケでアクセルを開けるユーザーも多いと思うので、高回転の伸びも重視したマフラーになりました。半面、ビギナーの方も乗るケースが多いカテゴリーなので、あまり高回転型だけにせず、アイドリングから4000rpmくらいの低回転域のトルクにも気を配りました。ジクサーはカタログ出力で26psですから、マフラーを換えて1psでも数字が上がればパワーアップを実感できるんですが、試乗してもらったGPマグナムは2psほど、R-77Sサイレンサーは3psほどの出力アップに成功しています!」(加藤さん)

機械曲R-77Sサイクロンとノーマルの出力を比較
機械曲GP-MAGNUM105サイクロンとノーマルの出力を比較

マフラーだけでここまで変わる。“ヨシムラパワー”が250ccに新しい基準を作る

機械曲GP-MAGNUM105 サイクロン EXPORT SPEC 政府認証

対応車種:ジクサー250(2023〜2025)、ジクサーSF250(2023〜2025)
重量:3.4kg〜3.6(STD 6.7kg)
近接排気騒音:92dB/4,650rpm
加速走行騒音:81dB
価格:75,900円(税込)〜86,900円(税込)

停車時はノーマルと変わらない静かさを保ちつつ、アクセルを開けた瞬間に力強いサウンドと確かなトルク感が立ち上がる──これこそがヨシムラが提案する250ccロードスポーツの理想形だ。
サイレンサー構造と内部設計の最適化により、2〜3psの実測パワーアップを果たし、体感的にも「250ccがワンランク大きい排気量になったような加速感」を味わえる。

もともと評価の高い油冷エンジンを搭載したジクサー250/SF250だが、マフラー交換だけで走りの質がここまで変わる。
バイクの楽しさは排気量ごとにそれぞれあるものの、日常域から楽しめる250ccクラスは、ビギナーにとっては“扱いやすさの魅力”であり、ベテランにとっては“走らせる奥深さの再発見”でもある。

ヨシムラのマフラーは、その両方を満たし、250ccというカテゴリーの楽しさをもう一段階引き上げてくれる存在だ。

(編集協力:株式会社ヨシムラジャパン)

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