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日常にスパイスを加え、ストリートに冒険を!「トライアンフ スクランブラー400XC」

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

街を流すその姿は、単なる移動手段を超えてライフスタイルの一部となる。スクランブラー400XCは、英国の伝統を背景にしながらも、ストリートカルチャーやファッションと響き合う存在だ。存在感ある車格と洗練されたディテールは、都市の景観に映えるアクセントとなり、気ままな日常に冒険の余白を描き出す。オンロードでは軽快に、オフロードでは確かな手応えで。走りとスタイル、その両方を楽しみたいライダーにこそ似合う一台である。

オフロード色を強めに打ち出したスクランブラー400XCだが、実はオンロード走行時に得られるニュートラルなハンドリングが秀逸。アップライトなライディングポジションで取り回しもしやすい。
スクランブラー400Xをベースに、クロススポークホイールの採用や、アルミ製サンプガード、クラッシュガードが追加されるなど、スクランブラー400XCではオフロード色が強められた。
スクランブラー400XCは、アップフェンダーや小型風防、専用カラーおよびカラーパターンで、独自の世界観を打ち出す。クラシックでありながらストリートで目を奪う存在感を持ち合わせている。
目次

英国発、伝統と革新を続けるトライアンフ

いまから120年以上も前、ユダヤ系ドイツ人の青年ジークフリード・ベットマンが英国コヴェントリーにて小さな貿易会社を興し、自転車の取り扱いから始めたのがトライアンフの原点である。その名に冠された“Triumph(勝利)”という言葉が示すとおり、ブランドはやがて二輪の世界においても栄光を手にし、世界最古のロードレースとして知られるマン島TTをはじめ数々の競技で輝かしい足跡を刻んできた。特に、過酷さで知られるISDE(インターナショナル・シックス・デイズ・エンデューロ)での活躍は、トライアンフの名をオフロードにおける強者として広く知らしめることとなり、スクランブラースタイル誕生の大きな背景ともなった。

1960年代、欧州を代表するモーターサイクルブランドとして栄華を誇ったトライアンフも、勢いを増した日本車勢の台頭に押され、苦難の時代を迎えることとなる。しかしその後、新たな生産拠点としてヒンクレー工場を設立し、伝統的なデザインや思想を大切にしながら、常に革新を重ねることで再び存在感を取り戻していった。この「伝統と革新の両立」こそが、今日のトライアンフを象徴するキーワードである。

象徴的なバーチカルツインエンジンはクラシックな美学を体現し、現代においても高い完成度でファンを魅了し続けている。またモダンスポーツを支えるトリプルエンジンは、独自の回転フィールと高いパフォーマンスで“トライアンフらしさ”を確立。そして新たな挑戦として誕生したのが、400ccという扱いやすい排気量に凝縮されたシングルエンジンである。これら三つの系譜は、まさに現代トライアンフの柱として、伝統と先進性をそれぞれの形で体現しているのだ。

そして今秋、日本に上陸を果たしたニューモデル「スクランブラー400XC」もまた、その長き歴史の延長線上に立つ一台である。歴史的背景に裏打ちされた堂々たる車格と、現代のストリートシーンに映えるスタイリング。オフロードの血統を受け継ぎながら、日常にスパイスを添える存在として仕立てられたこのモデルは、まさにトライアンフが歩んできた「伝統と革新」の結晶と呼ぶにふさわしい。

スクランブラー400XCはファッション性が高く、ストリートで強い存在感を示す。しっかりとした車格でありながらも、重量は抑えられており、取り回しも容易。毎日乗りたくなる一台である。
モダンクラシックスタイルを助長するデザインで纏められたシングルエンジン。排気量398cc、最高出力の40馬力を8000回転で、最大トルク37.5Nmを6500回転で発生させる。
スクランブラー400XCはアップフェンダーや小型の風防が装備され、アイコニックなフェイスマスクとなっていることも大きなポイント。ストリートであっても冒険心をくすぐられる。

上質かつホットな乗り味に心を奪われる

スクランブラー400XCを前にした瞬間、まず目を奪われるのはクラスを超越した堂々たる車格だ。ミドルクラスという枠を軽やかに飛び越え、横に大型バイクが並んでも見劣りすることはない。むしろ鮮やかなカラースキームとシルエットの調和によって、周囲の視線を集め、他を圧倒する存在感を放っている。

跨り、エンジンに火を入れれば、単気筒らしい歯切れのよいエキゾーストノートが心地よく耳に届く。乾いた響きはブリッピングを繰り返したくなる衝動を誘い、ライダーの気分を一気に昂らせる。ギアをローに入れて走り出すと、低回転から確かなトルクが立ち上がり、市街地でのストップアンドゴーが続くような場面でもストレスを感じさせない。

アップライトなライディングポジションは自然体を生み、視線は高く開け、街並みを眺めながら流すようにクルーズをするだけでも気持ちがいい。だが、その穏やかさの裏には確かな獰猛さも潜んでいる。スロットルを大きく開ければ、一瞬で風景が後方へ流れ去る加速感があり、その勢いをしっかりと受け止める剛健なシャシーと足回りが備わっている。スクランブラー400XCは決して牧歌的なキャラクターだけではなく、積極的に攻めるスポーツライディングにも応えてくれるのだ。

スポークホイールでありながら、チューブレスタイヤを履くことができるクロススポークホイールを採用。オフロード走行のメリットがあるだけでなく、視覚的な雰囲気も良い。
丸みを帯びた燃料タンクはオーソドックスであり、見る者に懐かしい印象を与えてくれる。モダンクラシックモデルは流行りなどに流されることなく、長く付き合うことができる。
座面にタックロール調のパターンが用いられたシート。サイドのパーツと縫い合わされたステッチも質感を引き上げている。タンデムライドもしやすい形状となっている。

ファッション性とハイパフォーマンスの融合

個人的に好みのフロント19インチ/リア17インチのタイヤセットは、ワインディングに持ち込んでも素直でニュートラルなハンドリングを実現する。さらに、長めのストロークを持つ前後サスペンションが組み合わさることで、縁石を超えるような段差も物ともせず、路面の変化をむしろ楽しみに変えてくれる。結果として、毎日通る通勤路や馴染みの街角さえも、スクランブラー400XCで走れば冒険の舞台に変わるのだ。

もちろん、その真価は未舗装路でも発揮される。適正化されたトラクションコントロールが、ビギナーには安心感を、経験豊富なライダーにはさらなる自由をもたらす。林道を駆けるとき、そのコントロール性はまるで水を得た魚のように軽やかで、ライダーの意のままに応えてくれる。

ひとしきりスクランブラー400XCと過ごして導き出した答えは明確だ。このモデルはファッション感覚で楽しめる洗練されたスタイルを持ちながら、日常をストレスなく駆け抜ける扱いやすさを備え、さらに本格的なスポーツライディングや冒険心を満たす走りまで実現してくれる。つまりスクランブラー400XCとは、ライダーの所有欲を確かに満たし、走るたびに“勝利”の名にふさわしい喜びを与えてくれる一台なのである。

オフロードライディングも想定して作られており、気軽に未舗装路を楽しむことができる。ストリートから林道ツーリングまで幅広いステージで使えるのは魅力的だ。
タイヤはセミブロックパターンのミシュラン・カルー ストリートが標準。シングルエンジンであるが、サイレンサーエンドは2口とされている。歯切れのある排気音も心地良い。
アップタイプのバーハンドルと低い位置にセットされたステップの組み合わせでスタンドポジションもしやすい。ステップのラバーパーツを外せば、ライディングブーツの食いつきも良くなる。
トライアンフ・スクランブラー400XC、車両本体価格(税込)94万9000円。装備や走行性能などを考えるとお得感すらある。これを機にトライアンフの伝統に触れてみてはいかがだろうか。

(編集協力:トライアンフ・モーターサイクルズ株式会社)

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