【BrandPickup】
オートバイ用タイヤというのは、要求や期待値が高くて
タイヤの出来でオートバイの印象そのものまで変わってきたりする。
使う人や用途を絞ればシンプルなんだけれど
それが広範囲、全用途ととなると難しい!
そこをカバーするのが、MICHELIN ROAD6だ。
タイヤに求められる厳しい条件
名刺1枚ほどの面積で路面に接して、250kgもの重量や200psもの大パワーを受け止め、路面に伝えること――これがタイヤの仕事だ。
たとえばこれがレーシングタイヤならば、レーシングライダーという限られたスキルを持つ人が、決まった時間や周回数だけ、同じ環境の場所を走り回る、と目的が限られているし、路面コンディションによってはタイヤの種類を交換すればいい。
けれどこれが、一般公道用タイヤとなると、どんなスキルを持ったどんな体格のライダーが、どの季節どんな天気の日に、どこへ行くか、何時間乗るのか……。それがすべて違うから難しい。
今回の取材でいちばんに感じたのはそこだった。いろいろ条件の違う時間帯に、違う場所を、いろんなペースで走って、MICHELIN ROAD6はこんなに安定した性能が出せるのかと驚かされたのだ。
今回の試乗は4月、まだ肌寒い時間帯も残る季節で、朝昼の寒暖差もあるシーズン。実は寒暖差というのは、タイヤに対してすごく気を使わなければならない条件のひとつで、今回は朝の気温ひとケタから、日中に気温20度を超える、そんな日のテスト。前日に少し雨が降って、路面のあちこちに濡れたパートがある。
朝、まだ日が昇ったばかりの時間帯に自宅を出る。そんな、ツーリングによくあるパターンで出発すると、まずひとつ、MICHELIN ROAD6の狙いがわかることになったのだ。
朝6時 気温10度で出発
テストのつもりで温度計を見ていると、出発の時刻には気温9度。まだ春用ウエアでは肌寒く、空気もひんやりしている。この条件は、すごくタイヤに厳しいコンディション。気温が低く、そのために路面温度が上がらないうちは、どうしてもタイヤのグリップ性能は低くなるものだ。
けれどMICHELIN ROAD6は、この「温度依存性」が低そう。つまり、低い路面温度でも、きちんと安全にグリップしてくれる。それは家を出て最初の交差点までで、少しタイヤに気を配っていればよくわかる。
幹線道路を流すと、少しずつタイヤも温まってきて、タイヤへの気配りも少しずつ減らすことができる。MICHELIN ROAD6の手応えはあくまでも軽快。直進している時は、軽さの中にピシッと「芯」がある感じ。軽さを感じながら、フワフワしすぎる不安がなくて、これがタイヤ剛性を最適化した効果ということなのだろう。
雨上がりの日だったため、わざと濡れたパートを走ってみても、水しぶきが上がるくらいの濡れた路面でも不安は少なかった。ツーリングに出かけられる休みの日が、いつも晴れているとは限らない。そんなライダーにはありがたい設定だ。
高速道路で感じる安心感
幹線道路を抜けて高速道路に乗り入れてみる。気温は上がり始めているけれど、まだムチャできる路面温度ではない。そんな条件でも、MICHELIN ROAD6はしっかりしたロードホールディング性を味わせてくれた。
高速道路を80~100km/h、許された区間では120km/hで走ると、MICHELIN ROAD6の高速安定性がよくわかる。手応えはタイヤがころころ転がって軽快さがあるんだけれど、ショックを吸収してくれて、車体が路面に吸い付いて安定する不思議な感覚。直進状態を崩す、つまりバンクさせる車線変更では、安定性を維持しつつ、軽くレーンチェンジ。直進している時に接地しているタイヤの部分、レーンチェンジの時に接地している部分で特性が違うと感じられるのが、ミシュランの2CTテクノロジーだ。
さらに直進状態でのタイヤの転がりの良さは、ロングツーリングでの疲労につながるもの。乗り心地の良さは路面のギャップや凹凸を吸収してくれて、それだけライダーに外乱を伝えないからだ。これは1~2時間の走行ではなく、1日走って「ん?なんだか今日は体がラクだな」という風に、じわじわと効いてくるものだ。
ワインディングで底力を発揮
高速道路から郊外のバイパスに入り、今度はワインディングへ。時間帯はお昼近くになり、太陽が昇り切って気温は20度を越え、路面温度も上がっている。
ここでのMICHELIN ROAD6の乗り味は、ミシュランの底力を味わせてくれる。朝イチに自宅を出た時、高速道路を走っている時と同じように運転操作しているのに、ワインディングを走り始めると、手応えが違って感じられるのだ。これが、ペースを上げた時=タイヤに荷重をかけた時の特性で、ミシュランは特にこのシチュエーションで強さを発揮するブランドだ。
コーナー進入までしっかりアクセルを開けて、進入でブレーキング。この時、加速時にまずリアタイヤに荷重がかかり、ブレーキングでフロントタイヤに荷重が移るんだけれど、ここでまずフロントタイヤにしっかり感が残っている。これは、タイヤ剛性の高さが安心感につながるところだ。
バイクをバンクさせていくと、ちょうどタイヤのラウンド形状に合わせて、軽快にバンクを始める特性が強い。勝手に曲がっていくと言うといいすぎか、それでも寝かしこみが軽く、バンクさせたときの安定感も強い。
軽さと転がり抵抗のなさが軽快なバンクを生み、深いバンク角の時には高速道路で感じたような安定性が顔を出す。今回の取材時に、エッジグリップ部まで何度かだけ踏み込んでみると、そこには絶対グリップより、滑り出しのわかりやすさがあった。これも、ライダーに不安を与えない特性なのだと思う。
これが、同じミシュランのスポーツタイヤ「パワー」シリーズのタイヤだったら、寝かしこんでいった時に、まずフロントタイヤがつぶれるように路面に張りついて、リアタイヤのショルダーが路面をつかんでグリップしていく感じがあるんだけれど、「ロード」シリーズはそこまでの絶対グリップよりも、低温度やウェット路面のグリップ性能を上げ、タイヤライフマイレージを上げているのだ。それが、スポーツタイヤとツーリングスポーツタイヤの違い。ミシュランは、このステージ違いをうまく作り分けるブランドでもあるのだ。
高性能タイヤを使う意味
タイヤの使い方、ステージや用途を限定しない――それがMICHELIN ROAD6。雨の日もあれば、寒い日も、暑い日もあるし、タイヤだっていつまでも新品じゃない。そんな全方位長期間に使えるのがミシュランの狙ったタイヤ性能なのだと思う。
その意味、市販車に装着されている純正タイヤというのはよくできていて、グリップと耐摩耗性や、ドライとウェットグリップのバランスや軽快性と安定性の全方向のバランスが良くできているもの。
MICHELIN ROAD6は、そのバランスの広さをキープしたまま、さらにひと項目ごとの性能をぐんと上げているタイヤだ。寒い日も暑い日も、晴れの日も雨の日も不安なく、しかもタイヤライフも長いという、欲張りなタイヤなのだ。
スーパースポーツの走りの幅を広げるMICHELIN ROAD6
2021年に登場したミドルスーパースポーツのYZF-R7。
フルカウルのスポーツマシンだが、実はMT-07から派生したモデルだ。
MT-07ベースとあってミドルクラスの2気筒エンジンは誰が乗っても楽しめるフレンドリーな性格。それでいて剛性の高い倒立フォークや、MT-07と比べて1.1度立ったキャスター角などにより、コーナリング時の安定感を向上しよりスポーティなライディングを実現している。
サーキットやワインディングだけでなくツーリングまでもこなせる懐の広さを持ち合わせる。
今回YZF-R7に履いたMICHELIN ROAD6は車両の性格にピッタリあったタイヤで、より走りの幅を広げてくれることとなった。
スポーツツーリングタイヤ MICHELIN ROAD6 サイズラインナップ
フロント | リヤ |
110/70ZR17 (54W) | 140/70ZR17 (66W) |
120/60ZR17 (55W) | 150/60ZR17 (66W) |
120/70ZR17 (58W) | 150/70ZR17 (69W) |
120/70ZR18 (59W) | 160/60ZR17 (69W) |
110/80ZR19 (59W) | 170/60ZR17 (72W) |
120/70ZR19 (60W) | 180/55ZR17 (73W) |
190/50ZR17 (73W) | |
190/55ZR17 (75W) |
気持ちイー走りを提供してくれる『SP忠男』
世界中のライダーに『気持ちィー!』を届けることをモットーにしているSP忠男。SP忠男は全日本モトクロス選手権で戦っていた元ワークスライダー鈴木忠男氏が現役引退後に立ち上げたショップだ。
タイヤインプレを行うに際し、タイヤ交換をお願いしたのがSP忠男 浅草店。タイヤ、マフラー、オイル等を扱い、確かな作業からライダーの支持も厚い。
またレーシングチーム・SP忠男レーシングからは数々の優秀なライダーを多数排出していることでも有名だ。
【SP忠男 浅草店】
住所:東京都台東区花川戸2-17-10
電話:03-3845-2009
営業時間:平日/9:30〜19:00、土日祝/9:30〜18:00
文:中村浩史 写真:森浩輔