MENU
カテゴリー

圧倒的な旅性能?それとも日常使いの気軽さ?使い方に合わせて選べるKTMのアドベンチャーバイク

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

目次

街で見かけるオレンジが印象的なアイツ

その独特のシャープなデザインとオレンジのグラフィックで、一目でKTMとわかる存在感。
Photo:Hiromu Inoue

皆さんは街やツーリング先で、強烈な個性を放つオレンジ色のバイクを見たことがあるだろう。それらのバイクは国産にはない独特な、エッジの効いたデザインをまといアグレッシブな印象をもったに違いない。その正体はヨーロッパのオーストリアが発祥のバイクメーカー「KTM」である。このKTM、実は誕生から70年以上も歴史のある老舗メーカーであることをご存じだっただろうか。

オフロードで躍進、幅広いモデルをラインアップするメーカー

KTMは、1934年にオーストリアの技術者ハンス・トゥルンケンポルツ がマッティヒホーフェンの街で修理工場を開業し、1953年からバイクの生産を開始。1950年代は小型のモペッドやスクーターなどを製造し、1980年代から90年代に入るとモトクロス、エンデューロ、などのオフロードの分野で飛躍し世界的なメーカーへと成長。そのいっぽうで、2000年代以降は「RC8」などスーパースポーツの開発や、390 DUKEシリーズといった誰もが馴染みやすい中間排気量のネイキッドを市販化するなど、現在ではオンからオフまで幅広いラインナップを持っている。
今回はその中からKTM 1290 SUPER ADVENTURE SKTM 390 ADVENTURE SWという、日本のツーリングシーンで幅広く活躍しそうな2台に試乗する機会を得た。

日本が今までより小さく感じられる程の快適で上質な旅を実現するKTM 1290 SUPER ADVENTURE S

幅広いラインアップを持つKTMアドベンチャーモデルの中でも、最大排気量で、豊富な電子制御システムを装備し、ロングツーリングから林道走行まで幅広いシーンで最上級の旅を可能にするフラッグシップモデルが、このKTM 1290 SUPER ADVENTURE Sである。

このモデルは、車間距離を自動で調整するACC(アダプティブクルーズコントロール)、手元のスイッチ1つでダンパー調整が可能なセミアクティブサスペンション、車体の安定性を高める左右に配置された23Lの大型燃料タンク、高さの調整が可能な大型スクリーンなどにより、長距離ツーリングを快適に楽しめることが大きな魅力だ。

長距離が快適ということは、例えば今まで4日かかった青森から下関までのおよそ1600㎞の道のりを、たった2日で走破することも現実味を帯びてくる。これは、もはや日本を小さくしてしまうと言えるほどのロングツーリング性能を持っているということだ。

また、北海道ツーリングでは、一般道の移動距離が長く荷物も増えるため、大型バイクのライダーが多い。しかし、広大な畑の中に彼方の山へとダートが延びているシーンに出会った時に、その先に進むかどうか躊躇するライダーが多いのではないだろうか。そんな時でも、KTM 1290 SUPER ADVENTURE Sなら、ライドモードを“オフロード”に切り替えて踏み込んでいくことができるのだ。

最近はキャンプツーリングブームということもあり、バイクにキャンプ道具を積んで出かけるライダーも多いが、KTM 1290 SUPER ADVENTURE Sには豊富なラゲッジ類の設定があるので、荷物の積載も非常に楽。そのうえ、キャンプ場やテントサイト周辺は、路面が未舗装であることがほとんど。そういった際でも、大きな荷物を積んだ状態で安定して未舗装路面を走れるのは、大きな安心感といえよう。

KTM 1290 SUPER ADVENTURE Sに最適なライダー
●短い日程でもロングツーリングを楽しみたい 
●荷物満載のキャンプツーリングでも快適かつ路面状況を問わない走破性が欲しい。
●高速道路を長時間走った先にあるダートを楽しみたい。
●同乗者にも上質なロングツーリングを味わってもらいたい。

KTM 1290 SUPER ADVENTURE Sは、このような幅広いツーリングシーンで、快適な旅を約束してくれる卓越した性能を持ちあわせている。

実車を目の前にすると、確かに大きい。エンジンを跨ぐようにして左右に配置された燃料タンクは23Lと大容量だ。身長168cmの筆者だと、ハンドルの位置もやや高い。しかしだ、撮影のためにバイクを取りまわしてみると、そこまで重さを感じない。1300を超える大排気量にもかかわらず車両重量(燃料除く)は227kgと、このクラスにしてはかなり軽量なのと、左右にバランスされた燃料タンクの効果によりで意外なほど取り回しは楽だ。

バイクにまたがりキーをオンにしてエンジンを掛けるとKTMのV型ツインならではの迫力のある排気音が響く。身長168cmではたしかに足つきは良くないが、シートのセット位置でハイ側の869mmをロー側849mmまで下げることがきる。またこのモデルはセミアクティブサスペンションという電子制御サスペンションを装備しているので、TFT液晶内で11段階ものプリロードセッティングが可能。さらにサスペンション設定をソフトな“コンフォート”に変更することで、筆者でも片足が余裕で着くようになった。

ライダーは身長168cm体重78kg。これはプリロードを標準の状態なので足つきはかなりきつい。
プリロードのセッティングを下げてみると足つきはかなり良くなった。
左足のかかとの浮き具合が上の写真とはかなり違うのがわかる。
これなら標準的身長の日本人でも乗りこなすことができるだろう。

ひとたびクラッチをつないで走り出せば、乗る前に感じた車体の大きさなど、まったく感じないほど軽快だ。乗る前に巨大に感じた燃料タンクは、フレームをまたいで左右に分割されているためバランスが取りやすくなっており、特に低速域でのふらつきを防いでいる。

オプションのクイックシフターのおかげでクラッチ操作をせずにシフトチェンジできるので、発進直後からその恩恵を受ける。最大トルク138Nm/6,500rpmを発揮するエンジンは、低速から中速域までとにかく「分厚い」。どこから開けても、ライドバイワイヤーによるアクセルは、ダイレクトでリニアに加速し、車体が即座に反応する。大排気量のアドベンチャーであるにもかかわらず、軽やかなピックアップ感はさすがKTMといったところ。

このKTM 1290 SUPER ADVENTURE Sの先進装備の1つがACC(アダプティブクルーズコントロール)だ。これは、車体前方に装着されたレーダーが前走車との距離を自動で割り出し、クルーズコントロールを使用中に、前走車との距離が詰まれば減速し、離れれば加速して設定時速に戻すという機能だ。

ACCは、こういった車の多い状況でも確実に前車との距離を計測して、加減速してくれる。

さっそく海岸線沿いに延びる有料道路で試してみる。通行する車は多く、速度もばらつきのある状況。レーダーがきちっと反応してくれるか少し心配だったが、それは杞憂に終わった。終始、前車との距離を的確に計り、加速と減速を繰り返してくれるので、ライダーは午前の日に煌めく相模湾を横目に楽しんでいたぐらいだ。

また前車との距離の設定も任意で変えられるうえ、このACCには「コンフォート」と「スポーツ」の二つのモードもあり、スポーツだと、より加減速がダイナミックになる。ACCという快適装備にまでライディングの楽しみを詰め込むあたりが、KTMがライダー重視のバイク造りをしている現れだ。

車体前方のこの部分がレーダーだ。レーダーは信頼性の高いBOSCH製。

ACCを始め、このKTM 1290 SUPER ADVENTURE Sには、ライダーをサポートするトラクションコントロール(MTC)、アンチブレーキロックシステムはもちろん標準装備。ライドモードは「ストリート」「スポーツ」「レイン」「オフロード」の他、オプションでトラクションコントロールレベルやスロットルレスポンスが変更できる「ラリー」の設定もある。前述のセミアクティブサスペンション、自動で空気圧をモニターするTPMS、USBソケット付きスマホポケットなど、まさに快適な旅を可能にする「全部盛り」の装備を持っている。

このKTM 1290 SUPER ADVENTURE Sは、フロント19インチ、リア17インチのキャストホイールを履いており、タイヤもロード寄りのミタス・テラフォースが装着されているので、基本的にはオンロードツーリングを想定したモデルだ。しかし、各種電子制御デバイスのセッティングをオフロード向けに変更することで、一般的な林道であればライディングを楽しむことができるだろう。(もちろんライダーの腕次第ではあるが)」

これだけ大きな車体であるが、バランスが良いためセンタースタンドを掛けるのは非常に楽。
コーナリングライトを備えたLEDヘッドライト。高さ調整ができるウインドスクリーンの防風効果も絶大だ。
23Lという大容量を誇る燃料タンク。左右とトップの3分割式で車体の安定性を向上。
無給油で計算上は400㎞以上走行が可能だ。
滑りにくい表皮のシートは長距離乗っていてもお尻が痛くなりにくい。高さも849・869mmの2段階で調節可能。
WP製 セミアクティブサスペンションを採用。オプションを含めると合計で6種類のダンパー設定が可能。
大型の7インチTFTディスプレイは明るい昼間でも見やすく、通常のメーター表示に加え各種のモードと設定が行なえる。
左手のコントローラーによって、表示や設定を変更するが、直感的でわかりやすい。
コントローラー自体が光るので、夜間も見やすいのがうれしい。
給油口の前にはUSBソケットを装備したスマートフォンポケットも装備する。

KTM 1290 SUPER ADVENTURE S 基本スペック

エンジン:水冷V型2気筒DOHCエンジン
排気量:1301cc
圧縮比:13.1
ボア×ストローク/108×71mm
最高出力:118kW(160ps)/9,000rpm
最大トルク:138Nm/6,500rpm
トランスミッション:6速(スリッパークラッチ付き)
サスペンション:F/WP製セミアクティブ(倒立Φ48mm)・R/WP製セミアクティブ
車両重量(燃料除く):約227kg
シート高:849-869mm
燃料タンク容量:23 L
電子制御機能:コーナリングABS、オフロードABS、アダプティブクルーズコントロール、KTMスマートコネクト、MTCモーターサイクルトラクションコントロール、7インチTFT液晶メーター、ARAアンチリレーアタック、
車両価格:281万3000円(税込)

乗り手を選ばない手軽さと汎用性の高さが魅力の
ミドルクラスアドベンチャー KTM 390 ADVENTURE SW

続いて試乗するのがKTM 390 ADVENTURE SWだ。
KTM 390 ADVENTURE SWは、初心者からベテランまで誰もが扱い易くて汎用性も高い普通自動二輪免許で乗れるアドベンチャーモデルだ。

乗る前に実際に押し引きしてみると、当たり前のことながら軽い。前述の1290と比べればそれは当然のことだが、ここでもKTMの車体構成のバランスの良さが浮き出る。大き目のカウルとヘッドライトを装備し、890や1290に準じたKTMらしいシャープな顔つきで、遠方からでも一目でKTMであることがわかる。

このバイクの大きな魅力は、親しみやすさと汎用性の高さだ。排気量は373ccとミドルサイズだが取り回し的には250ccクラスのトレールバイクに近いスリムさと重量感だ。例えば免許を取得したばかりの初心者でも、このバイクなら臆することなく乗れ、日常的な移動からツーリングまで、様々なシーンで良き相棒として活躍してくれることだろう。

最近ではSNSで話題になるような「映え写真」の撮れるスポットが人気だ。例えば山中湖の「平野の浜」は湖面に富士山が映る有名な場所で観光客も多く訪れるが、そこは浜なので舗装はされていない。また千葉の市原市にある「月崎トンネル」では非常に冒険心のある写真が撮れるが、その現場も苔むした滑りやすい路面の場所だ。そんなオンロードバイクでは躊躇するような場所でも、このKTM 390 ADVENTURE SWなら鼻歌気分でアクセスして撮影ができるのである。

KTM 390 ADVENTURE SWに最適なライダー
●日常からロングツーリングまで幅広く活用したいライダー。
●車重が軽く、ツーリング先の林道も楽しめるアドベンチャーモデルが欲しい。
●初めてバイクを購入するライダー。
● 軽くてスリムな扱い易いアドベンチャーが欲しいリターンライダー。

免許取りたての初心者から、様々なバイクを乗り継いできたベテランまで、その高い汎用性と扱い易さによって、日常使いからロングツーリング、そして林道でも気軽に冒険気分(もちろん本気の冒険も)が味わえるのが、KTM 390 ADVENTURE SWの大きな魅力だ。

バイクにまたがりエンジンを掛けてギアをミートすると、ストトトと小気味良く回転が上がりながら車体が進む。街中でのKTM 390 ADVENTURE SWの動きは、とにかく軽快だ。シート高は855mmと決して低くはないが、スリムな形状なので、足つきはそこまで悪くない。オフロード走行も想定した170㎜以上のサスペンショントラベルを持つが、舗装路ではWP製APEXサスペンションならではの、かちっとした乗り味も好印象だ。

身長168cm、体重78kgがまたがると左足の前足底は確実に付くので安心感は高い。
右足の膝の曲がりもきついくないので、ロングランも安心。

そして、このバイクが面白いのはエンジンの回転を上げた時だ。ボア×ストローク=89×60mmというショートストローク型のエンジンは、単気筒にもかかわらずマックスパワーである44馬力を9000回転という高回転で発揮する。つまり、7000回転ぐらいから上がこのバイクの「おいしい部分」なのだ。

試しにちょっとした登りのコーナーで、低めのギアを使い回転を上げつつ走ってみると、ライダーの意図したラインとエンジンの回転数がマッチした際は、脳天を突き抜けるような胸のすく爽快感を味わうことができた。おそらく日本の山村地帯に多い、片側1車線のワインディングで、とくに九十九折りの続く登りは、この特性が活かせ、かなり楽しいスポーティな走りが堪能できることだろう。

このバイクの魅力の1つはエンジンを回して、コーナーを駆け上がる瞬間だ。

その一方で、小気味のいい軽快な排気音は、周囲を威圧しにくいため低速で走れば、観光地や深夜のコンビニなどでもうまく周囲に配慮することができるのもいいところだ。

軽量でスリムなゆえ、観光地や漁港などにもするすると入っていける気軽さがある。

今回はほんのわずかだが、河原へ降りてそのオフロード性能の片鱗を味わうこともできた。その河原は基本が砂地で、隠れたボーリング玉大の岩も多い場所なので、1290などの大型アドベンチャーでは少し躊躇うような場所だが、このKTM 390 ADVENTURE SWなら、あまり臆することなく川面付近まで降りられた。ここでも車両重量(燃料除く)161kgという車体の軽さとロングストロークサスペンション、粘る低速域のおかげだ。

KTMの映像では、プロライダーがかなりハードなオフロードシーンをこのKTM 390 ADVENTURE SWで駆け抜けているので、このバイクにそれだけのポテンシャルがあるのは間違いない。実際にライディングモードには「オフロード」があり、後輪をロックしたりスライドで流すような走りも可能だ。それを引き出せるか否かはもちろんライダー次第だが、その実力は折り紙付きと言える。

大型のアドベンチャーモデルではUターンに苦労しそうな河原でもKTM 390 ADVENTURE SWならひょいっと転回できるので、ちょっと冒険してみようかな、という気持ちになる。旅先ではこれがとても大切。

もしKTMがオフロードを主眼に開発しているのならフロント21インチ、リア18インチのホイールサイズを採用することだろう。しかしこのKTM 390 ADVENTURE SWは、フロント19インチ、リア17インチというディメンションだ。それはつまり、日常の足からロングツーリング、林道ツーリングまで幅広く使いやすいオールマイティさを重要視して開発されているからなのである。

ショートスクリーンは街中や林道ツーリングではスポーティに走れるが、防風性は十分とは言えない。
ロングツーリングなどはスクリーンにオプションのスポイラーを付けて行きたいところ。
燃料タンクは14.5Lと計算上は無給油で400㎞以上の走行が可能。ロングツーリングでも安心だ。
シートは滑りにくく、前方が削られているので足つきに貢献している。
頑丈そうなグラブバーはキャリア的な役目も果たすのだ。
サスペンションは前後ともWP製 APEX。APEXはストリート向けだが、ロングサスペンショントラベルやスポークホイールとのマッチングで、オンでもオフでも楽しめるオールマイティな足回りだ。
ミドルクラスにしては贅沢な5インチTFT液晶デジタルメーターを装備。
昼でも見やすく、モードやトラクションコントロール、ABSの状態が一目瞭然。

KTM 390 ADVENTURE SW

エンジン:水冷単気筒DOHCエンジン
排気量:373.2cc
圧縮比:12.6
ボア×ストローク/89×60mm
最高出力:32kW(44ps)/9000rpm
最大トルク:37Nm/7000rpm
トランスミッション:6速(スリッパークラッチ付き)
サスペンション:F/WP製 APEX倒立Φ43、R/WP製 APEXモノショック
最低地上高:200mm
車両重量:約161kg
シート高:855mm
燃料タンク容量:14.5 L
電子制御機能:コーナリングABS、オフロードABS、KTMスマートコネクト、MTCモーターサイクルトラクションコントロール、
車両価格:92万6000円(税込)

まとめ

2台のKTMアドベンチャーモデルに試乗して思ったのは、いずれも幅広いシーンで使えるオールマイティさだ。
KTMはオフロード競技に力を入れており、事実、モトクロッサー、エンデューロ、ラリーシーンでは圧倒的な存在だ。それゆえ、尖った印象のバイクばかりを想像してしまいがちだが、実は一般的に市販されているモデルはかなり柔軟性があり、ベテランやマニアにはもちろんだが、初心者ライダーにも扱いやすいという側面もきっちりと持っているということだ。

KTM 1290 SUPER ADVENTURE S
一言でいえば「バイクの魅力を知りつくした大人の、ラグジュアリー・オールロード・エクスプレス」といった印象。ACCをはじめ、電子制御サスペンション、トラクションコントロール、ABSなど最新の電子制御システムを備えているので、日帰りから長期のロングツーリングまで日本中を縦横無尽に走り回る旅をこよなく愛するライダーや、旅先のダートも楽しみたい欲張りなライダーには最高の相棒となるだろう。

KTM 390 ADVENTURE SW
普通自動二輪免許を取ったばかりの初心者でも扱い易くて汎用性が高く、また、250ccクラスのトレールでは物足りなく大排気量アドベンチャーは手に余るといったベテランやリターンライダーにジャストフィットの1台だろう。

KTMの正規ディーラーは現在国内で30店舗以上あるため、メンテナンスや修理の面でも安心できる。幅広いシーンで活躍し、他のバイクとは一線を画したエッジの効いたデザインを持ち、期待以上のパフォーマンスを誇るKTMのアドベンチャーで、貴方も日本中を旅してみてはいかがだろうか。

What’s about KTM

オーストリアのマッティヒホーフェンでハンス・トゥルンケンポルツ が創業し、1953年からバイクの生産を開始。その後、実業家のエルンスト・クローンライフが出資した。社名のKTMは、出資者(Kronreif)、創業者(Trunkenpolz)、創業地(Mattighofen)の頭文字から名付けられた。

1950年代は比較的小型のモペッドやスクーターなどを製造し、60年頃から徐々にラインナップを拡大。70年代に入ると、モトクロスバイクの生産を開始し、これが様々なレースで評価され、オフロードの分野でのブランド力を確立することに。

1980年代から90年代にはモトクロス世界選手権のタイトルを獲得し、その後はモトクロス、エンデューロ、ラリーなどのオフロード系の競技で強さを見せつける世界的なメーカーへと成長していった。

世界でもっとも過酷なレースとして知られる「ダカールラリー」では、2001年以降2輪部門で18連覇という偉業を成し遂げ、直近の2025年のダカールラリーでも20回目の優勝を記録するなど、オフロードの世界では他の追従を許さないほどのトップメーカーとなった。

ちなみにファクトリーカラーであるオレンジは1996年頃にモトクロスの車両から使われ始め、それが脈々と現在へと続いている。

2000年代以降は「RC8」と呼ばれるエッジの効いたデザインのスーパースポーツモデルの発売や、390DUKEを始めとする中間排気量のネイキッドモデルを市販化。2017年からはロードレースの最高峰MotoGP™にもフル参戦を果たし、直近の2年間はコンストラクターで2位になるなどサーキットでも強さを発揮し始めた。現在ではオンからオフまで幅広いラインナップを持つナショナルメーカーだ。

そんなKTMが標榜するのが”READY TO RACE” のスローガン。ラインナップするすべてのバイクが、軽量、スリムでパワフルと、レースに必要な基本要素を重視して設計されている。もちろんレースには扱い易さも重要なファクターになる。だからKTMのバイクはジャンルを問わずにライディングの楽しさを満喫できるのだろう。

カテゴリー

モトメガネ バイク買取一括査定

目次