冬になると、ウインターレジャーなどで寒冷地へでかけるクルマも増えますが、雪道上でスタックしてしまうドライバーも少なくありません。
しかしスタックから抜け出そうと、不慣れな人が焦ってアクセルを強く踏み込むと、かえって状況が悪化することも。では、雪道でスタックしたらどのように脱出すればよいのでしょうか。
なぜ雪道にはまる?スタックの原因とパターンについて
雪道でクルマがスタックしたときにアクセルを踏み続けても、タイヤが空転するだけでかえって脱出しにくくなります。このような状況から脱出するには、まずはクルマから出て、スタックの状態をみることが大切です。
なお、雪道でスタックして動けなくなるケースはいくつかに分けられます。多くの場合は雪によってグリップ力を失い、アクセルを踏んでもタイヤが空回りするだけで前にも後ろにも進めなくなってしまいます。
また、クルマが大きな雪の塊の上に乗り上げてタイヤが浮いてしまったり、雪で路面が見えず、タイヤが道路の側溝や穴に落ちてしまったりするケースも少なくありません。
自身のクルマがどのような状況でスタックしているのか把握できたら、パターンに合わせて脱出を試みましょう。
タイヤが空転している場合
タイヤが空回りして前進できないという場合は、雪を固めてグリップ力を回復させます。
まず、低ギアでクルマを前後に振り、タイヤがはまってしまった凹みの雪を踏み固めてみます。このとき、振り子の要領で小さく前進とバックを繰り返すのがコツ。また、ハンドルを右に切って前進とバック、左に切って前進とバックと繰り返すと、凹みを大きく平らにできます。
クルマが大きく前後に動くようになれば、その勢いで脱出できることもあります。
もし、スコップを持っているのであれば、周辺の雪を取り除くのも効果的です。あるいは、車を降りて自分の足で雪を踏み固めてもよいでしょう。
それでも脱出できない場合は、空転しているタイヤと雪の間に脱出用プレートやチェーンなどをかませて、ゆっくりと発進します。
なお、路面が十分に固い場合はフロアマットでも代用できますが、アクセルペダルを踏み込んだ際に勢いよく蹴り出してしまう危険性があります。
また、毛布やタオルのような柔らかいもの、空転するタイヤに巻き込まれる恐れも。どちらもかえって状況が悪化する可能性があるので、専用の道具を使うのが賢明です。
さらに、一時的にタイヤの空気圧を下げてタイヤの接地面積を広げるのもひとつの手。
空気を抜くにはホイールのバルブキャップを外し、専用工具や細い棒などでエアバルブを押し込みます。目安としては、サイドウォールがたわみ始める程度で問題ありません。
ただしそのまま走行すると非常に危険なので、脱出したらすぐにガソリンスタンドなどで空気を適正値まで入れてください。
なお、同乗者がいる場合は降りてクルマを押してもらうと、より脱出しやすくなります。周囲に人がいる場合は、協力をお願いするとよいかもしれません。この場合はクルマが動き出したときに周囲の人を巻き込まないよう、十分に注意が必要です。
雪の塊に乗り上げている場合
拭きだまりなど雪の塊に乗り上げてしまった場合は、自分で脱出できる可能性が高いです。
まず、クルマがバックできないか試します。もしバックできたら平らな場所まで戻り、スタックした場所を迂回しましょう。
もしバックできない場合、クルマが引っかかっている雪を除去します。たとえばバンパーなどに雪がつかえている場合は、手やスコップでその雪を取り除いてから発進。タイヤが空転するなら、クルマを前後させるなどして雪を踏み固めます。
また、クルマの下に雪がつかえてタイヤが浮いてしまっていたら、スコップで雪をかき出して、タイヤを接地させることになります。このとき、クルマの下に潜ってしまうとクルマと地面の間に挟まれる可能性があり非常に危険なので、必ずクルマの側面から作業しましょう。
脱出が難しいと感じたら、ロードサービスに救出を依頼する
運転に慣れていなかったり、脱出が難しいと感じた場合は迷わずロードサービスへ依頼すると安心です。
ロードサービスが到着するまでは、ハザードランプを点灯させてクルマの周囲に三角表示を置き、不要な事故を防ぎましょう。
なお、クルマがスタックしてしまうような悪天候時はロードサービスへの依頼も多発します。すぐに救援が来ない可能性もあることを念頭に置くとよいでしょう。
スタックしたときのための対策グッズ
なお万一のスタックに備えて、次のものを用意しておくと安心です。
スコップ
不要な雪をかき出したり固めたりする際に、スコップは欠かせません。
脱出用ラダー
脱出用ラダーはゴム製のはしご状マットで、タイヤと地面の間にかませることでタイヤが路面を捉える力を増やしてくれます。使わないときは小さく巻いておけます。
けん引用のロープ
一般的なロープでけん引すると重量に耐えられず切れてしまうことがあるので、しっかりしたけん引専用のロープを用意しておきましょう。
作業・防寒グッズなど
このほか、脱出作業中に使える軍手や長靴があると安心です。また、懐中電灯があれば夜間作業もできます。体温低下を防ぐためには、カイロや毛布など防寒グッズを用意しておくのもひとつの手です。
ちなみに、もし豪雪地帯にいて道路脇に砂箱が用意されているなら、砂を駆動輪の外周に振りかけてもグリップ力を高めることができます。
砂箱は地元の人に限らず旅行中の人も利用でき、料金もかかりません。
雪道の運転は、クルマの運転に慣れている人・慣れていない人どちらにとっても危険なものです。もしスタックしてしまい自力で脱出できないと感じたら、無理をせずロードサービスなどへ救援を要請しましょう。