バイクに乗る人の中には、バイクのサイドスタンドを展開しながら発進しようとしてエンストをおこした人もいるかもしれません。
このとき、スタンドを展開したまま発進するのを防いだパーツは「サイドスタンドスイッチ」とよばれるものです。
では、これはどのようなパーツなのでしょうか。
サイドスタンドスイッチは、スタンドを出したまま発進しないための「安全装置」
バイクに乗る際、サイドスタンドを出したまま発進しようとすると、エンジンが停止してしまうことがあります。
これは「サイドスタンドスイッチ」という装置が働いているためです。
サイドスタンドスイッチは、車体のサイドスタンドの根本に取り付けられた小さなスイッチで、スタンドが出ているか収納されているかを検知します。
そして、このスイッチはスタンドが出ている状態を検知すると、エンジンが点火するのを防ぎ、バイクを発進させないようにします。
この装置が正常に働くと、スタンドが展開している限り、ギアが入った状態でクラッチをつなごうとしてもエンストし、バイクが前に進まないようになります。
では、そもそもなぜスタンドを出したまま発進するのを防ぐのでしょうか。
それは、スタンドを出したまま発進した場合、走行中に段差やカーブなどでスタンドが路面と接触し、車体が跳ねたり転倒したりするおそれがあるためです。
そのような事故を未然に防ぐために、一部のバイクではサイドスタンドスイッチが安全装置のひとつとして搭載されています。
サイドスタンドスイッチが、劣化するとトラブルの元に？
上述の通り、サイドスタンドスイッチは、本来スタンドのしまい忘れによる事故を防ぐ目的で設けられたものです。
しかし、このスイッチはしばしばトラブルの原因になることもあります。
まず、このスイッチは物理的に可動する構造をしており、スタンドが収納されるとスイッチが押され、スタンドが出ていると押されないという単純な仕組みです。
ところが、屋外での使用環境にさらされることが多いバイクにおいては、このスイッチの可動部分が錆びたり、泥やほこりで固着したりする場合があります。
このほか、一部のバイクでは経年劣化によってスイッチが戻りづらくなる場合もあります。
このような汚れや経年劣化が原因でスイッチが押された状態のまま戻らなくなると、車両側は常時スタンドが展開されていると誤認し、バイクを発進させないようにします。
その結果、ギアを入れたらエンジンが停止してしまう、あるいは始動してもすぐに停止してしまうといった不具合につながります。
こうした症状は、出かけた先で突然起こることもあるため、ライダーにとっては非常に厄介な問題となる場合があります。
では、もし愛車がこのトラブルを起こしてしまったとき、ライダーはどのように対処できるのでしょうか。
まず、簡単な対処としては、サイドスタンドスイッチそのものを手動で押し戻すことで一時的に解除できる場合があります。
ただし、再発のおそれがあることから、根本的な対処としてはスイッチの清掃や交換が必要とされる場合が一般的です。
このほか、サイドスタンドスイッチの誤作動を頻繁に経験するユーザーの中には、この機構を無効化する選択を取る人もいるとされています。
具体的には、スイッチの配線を短絡させて、常にスタンドが収納された状態と認識させる方法です。
ただし、このような改造は安全機能の解除にあたるため、事故リスクの増加や車検時の問題などが生じるおそれがあります。
まとめ
サイドスタンドスイッチは、見落とされがちな小さな部品ながら、ライダーの安全を守る重要な安全装置です。
一方で、その構造ゆえに不具合が発生することもあります。
愛車のエンジンが急にかからなくなったときは、機種によってこのサイドスタンドスイッチの不具合を疑う必要があるかもしれません。
また、このスイッチの有無にかかわらず、スタンドを出したままの走行は事故のおそれがあり、非常に危険です。
事故防止のためにも、バイクで走行するときは、走行前にスタンドをしっかり上げたかもう一度確認するとよいといえます。
