高速道路を走行中、荷物が振動などで外れて落下してしまうケースがあります。落下物は後続車との接触や事故につながるおそれがあり、非常に危険です。
では、実際に走行中に荷物を落としてしまった場合、ライダーはどのように対応すればよいのでしょうか。
高速道路で落下物を発生させたら、まずすべきことは避難と通報

旅行などの長距離移動では、しばしばバイクに荷物を多く積んだまま高速道路を利用することがあります。
この際、バイクに積んでいた荷物が高速道路に落下する可能性はゼロではありません。
しかし、高速道路を走行中に荷物を落としてしまった場合、たとえ小さなものであっても「落下物を発生させた運転者」として責任を問われます。
道路交通法第75条10項では、特に高速道路で積載物が転落・飛散しないように事前点検と固定をおこなう義務が定められています。
違反すれば「高速自動車国道等運転者遵守事項違反」と見なされ、二輪車の場合、違反点数2点にくわえて、7000円の反則金が科せられます。
さらに、落下物が原因で事故が発生した場合には、民事上の損害賠償責任や刑事責任を問われるおそれもあります。
また、落下した荷物が後続車にダメージを与えたり、重大な事故につながったりする危険もあるため、バイクの荷物を落下させることは絶対に避けるべき事態です。
では、これほど重大な「高速道路での荷物の落下」を起こしてしまった場合、ライダーはどのように対応する必要があるのでしょうか。
荷物を落としたことに気づいたら、まずは自分の安全を確保することが最優先です。
後続車の動きを確認しながら減速し、近くの非常駐車帯や路肩など、安全に停車できる場所にバイクを止めましょう。
その際、装備していればハザードランプを点灯し、可能であればガードレールの外側へ避難します。
そして、安全が確保できたら高速道路には約1kmごと、トンネル内では200mおきに設置されている「非常電話」などを利用し、速やかに通報します。
また、スマートフォンから全国共通の「道路緊急ダイヤル(#9910)」へ連絡することも可能です。通報の際は、落下物のあった地点や車線、特徴などをできる範囲で伝えましょう。
なお、通報の後、自力で落下した荷物を回収しようとすると、後続車との事故につながる恐れがあるため、絶対にしてはいけません。
通報を受けると交通管理隊が現場へ急行し、道路情報板や隊員などで注意喚起をおこないながら落下物を排除します。
そのため、ライダーは、自身で無理に荷物を回収するより、交通管理隊の到着を待って荷物を回収してもらうほうが安全です。
荷物を落下させないために、ライダーが気を付けたいこと

では、ライダーがバイクの荷物が落下することを避けるには、具体的にどのような対策をとる必要があるのでしょうか。
前提として、高速道路は一般道よりも風圧や振動の影響が大きく、荷物が思わぬ形でずれてしまうことがあります。
特に、走行中は常に強い気流を受けているため、出発時にしっかり固定していたつもりでも、緩みが生じることは珍しくありません。
こうしたリスクを防ぐためには、こまめな荷物の確認が欠かせません。
そのため、出発前の点検が重要となります。
中でも積載物の固定ベルトやネットは、ゆるみや傷みがないか必ず確認し、金具がしっかりロックされているかをチェックしましょう。
また、紙袋やビニール袋などの軽い荷物は、風を受けやすく飛散の原因になりえます。
これらは防水シートやバッグに入れて覆い、そのシート自体をリアキャリアやシートバッグとともに厳重に固定することが大切です。
また、長距離ツーリング中は休憩時の確認も効果的です。
SAやPAでの給油や休憩の際に、荷物の結束が緩んでいないか、固定具がズレていないかを目視で点検しましょう。
わずかな緩みが、走行中の振動によって大きなトラブルへ発展することもあります。
落下物を発生させないためには、固定具を過信せず、ライダー自身がこまめに荷物の固定などを気にかけることが重要です。
まとめ
このように、高速道路での荷物の落下は、重大事故につながるおそれがあります。
高速道路上で荷物を落としてしまった場合は、無理に回収せず、安全な場所に停車して非常電話や道路緊急ダイヤル(#9910)へ通報しましょう。
また、出発前や休憩時に荷物の固定を確認し、風圧や振動による緩みを防ぐことも大切です。








