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鉄スクーター文化を支える燃調キットメーカー「キースター」 の高い技術力に迫る

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目次

戦後の日本の復興を支えたラビット

【brand pickup】

ラビット」というスクーターをご存知だろうか?
太平洋戦争が終わった直後の1946年に富士産業(後の富士重工業・現SUBARU)が生産を開始したスクーターである。
終戦直後の主要都市は米軍機による無差別な爆撃の影響で焼け野原。戦時中に戦闘機や戦車などを生産していた軍事工場は米軍によって軒並み解体され、技術者をはじめ多くの人が職を失った。しかし食料も物資もなく人々は生きる方法を模索していた時代である。経済活動を少しでも再開するために、人が移動したり荷物を運ぶ手段として軍用機の部品などを利用しスクーターを開発、生産しはじめたのだ。
ちなみに富士産業の前身は零戦や隼といった戦闘機のエンジンや機体を生産していた中島飛行機。そして現在のスバルへとつながる会社である。

富士重工 ラビットS301

海外製のスクーターを入手・研究した技術者たちの手によって、少ない資材を使った模倣から始まった日本のスクーター産業は、経済活動の復活とともに右肩上がりで増えていった。
まだ国産の自動車がない時代だったので、スクーターは仕事のための交通手段として大活躍したのだ。

当時のスクーターは、車体を覆うボディに主に鉄が使われていたことから “鉄スクーター” と呼ばれることも。

富士重工のラビットシリーズは、ライバルだった三菱・シルバーピジョンシリーズと切磋琢磨し、日本市場にあわせて独自の進化を遂げていく。
そしてモデルチェンジのたびに性能や信頼性を高めていき、販売台数も増えていった。
しかし高度成長期の流れは想像以上に早く、やがて「スバル360」などの庶民が購入できる乗用車や、より安価で使い勝手が良くスタイリッシュな新時代のバイク「ホンダ・スーパーカブ」などが発売されるとスクーターの売り上げは徐々に落ちていき、ついに富士重工も1966年にはスクーターの生産を止めてしまった。

富士重工 ラビットジュニア S301

生産終了後も根強いファンに支えられるラビット

しかし生産が終了したあともラビットの柔らかいフォルムやレトロ感あふれるディテールに魅せられるファンは後をたたなかった。
そしてそれは数多くのカテゴリーのバイクが発売されている現代であっても変わらない。

そんなラビットを愛するオーナーたちの強い味方となっているショップ 「伊藤自動車工業」 を訪ね、二輪部門担当の伊藤直人さんにお話をうかがった。

板金作業の練習用として始まったラビットの取り扱い

東京都杉並区にある伊藤自動車工業は、店頭に並ぶラビットが目印。
時代の流れを感じさせる車両たちはどれもベース車として在庫している車両だ。これを元にユーザーの希望にあわせた仕上げを行い、納車するのである。

店頭にラビットが並び、右側の扉から1Fの工場や2Fの事務所に出入りする。
ラビットについて詳しい伊藤直人さん。とても気さくで話しやすく、さまざまな相談にのってくれる。
工場内には多くの工具やパーツが並び、リフトの上では作業が行われていた。

―こちらではいつ頃からラビットを手掛けているのでしょうか?
「父親が板金業を営んでいて、比較的古い車を扱うことが多かったんです。その流れでラビットを取り扱うようになりました。当初はラビットの金属製のボディを板金の練習に使うなどしていたのですが、30年ほど前からラビット専門店として活動しています」

―購入するのはどんな人が多いのでしょうか?
「20年ほど前にあったビッグスクーターブームのときには20代の人が多く買っていったのですが、最近は30代くらいでハーレーやトライアンフなどの大型のビンテージバイクに乗っている人がセカンドバイクとして購入されるパターンが増えているように思います」

―なるほど。ではラビットで人気のある車体を教えてください。
「代表的なのは3車種でしょうか。90ccエンジンを搭載したS211(1966年発売・ハンドチェンジ)、125ccのS301(1961年発売・ハンドチェンジ/オートマチックの2種あり)、200cエンジン搭載のS601(1959年発売・オートマチック)ですね」

―伊藤さんが考える、ラビットの魅力を教えてください。
「車体もエンジンもとても丈夫。ちゃんと整備した車体であれば現在でも毎日の足として使うことができます。補修パーツなども結構発売されているので修理も意外と困りませんし。でも人気なのはデザインじゃないでしょうか。丸みを帯びたレトロな雰囲気はラビットならでは。かわいらしいと感じる人も多いと思います」

昭和レトロの言葉がピッタリなデザイン。当時は高級車だったようで、お医者さんなどが乗っていたとも言われている。

ラビットの整備現場における<キースター>の重要性

「エンジンの調子を左右するキャブレターですが、古いバイクなので内部パーツの磨耗や腐食が進んでしまった個体も少なくありません」と伊藤さん。
デリケートなキャブレターは、内部パーツのわずかな変形で調子を大きく崩してしまう。そうなると部品交換が基本になるのだが、ラビットは生産したメーカーが存在しない。メーカーがあったとしても60年ほど前の部品を生産しているとは考えにくい。

S601のキャブレター。右側のタンクはトルクコンバーター用のリザーバータンク。ラビットはプーリーやベルトではなく、トルクコンバーターを使って動力を伝達している。

「そこで役立つのがキースターの<燃調キット プラス>です。このキットのおかげで調子を崩していた多くのキャブレターが性能を取り戻しました」
それこそ破棄するしかなかったキャブレターまでよみがえったのだという。
「ジェットだけじゃなくニードルバルブやガスケットなどの周辺パーツもセットになっていて、本当に助かっています。しかもジェット類が数種類入っているので、ボアアップした車両などにも対応できる。今ではなくてはならない存在ですね」

クリーニングして組み立てを待つS301のキャブレター。ジェット類はキースター製を使用する。
手慣れた手付きでキャブレターを組み上げる伊藤さん。
組み上がったキャブレター。独特の形状をしている。
組み上がったキャブレターを車体に組み込む。
フレームの間から手を入れて装着していく。整備性は意外と良さそうな印象を受けた。
S301のキャブレターはスライドバルブが横方向に動く。エアクリーナーからエンジンに向けて空気が流れるルートが垂直な、いわゆるダウンドラフトタイプである。
キャブレターからジャバラのホースでつながっているボックスの中に乾式のエアクリーナーが収まっている。
キースターからはラビットだけで15機種の<燃調キット プラス>が発売されている。実に多くのラビットに対応していることがわかる。

<キースター>は鉄スクーターの文化を支えている

今もなお多くのファンがいるラビット。
各地でオーナーズミーティングなどのイベントも開催されているという。

以前開催された「アーリーラビットミーティング」の告知ポスター。3ヶ月ごとに東京、神奈川、千葉、埼玉のいずれかで開催されるそうだ。

オーナーじゃなくても見学などは自由にできるそうなので、ラビットが気になっている人はまずイベントをのぞいてみてはいかがだろうか。
現在乗っているオーナーに話を聞けば色々なことがわかるはずだ。

いまだに多くのファンがいる “鉄スクーター” の文化を、高い技術力で根底から支えているのが<キースター>である。
名車と呼ばれるスーパーカブよりもずっと前に生まれて戦後の日本の復興を支えてきたラビットは、今はファンに愛される存在になっている。
現役で快調に走っているラビットのキャブレターには<キースター>のパーツが組み込まれていることだろう。

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※記事内容は全て執筆時点のものです。最新の情報をお確かめください。

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