バイクは、身体でバランスをとって走行する乗り物です。
その性質ゆえに、走行時にはバランスを崩して転倒するリスクがあります。
では、もし転倒してしまったときは、どのように対処すればよいのでしょうか。
転倒するときはバイクに巻き込まれないように

バイクはハンドル操作や荷重移動によってバランスを保ちながら走る乗り物であるため、その性質上、転倒のリスクを完全に排除することは難しいとされています。
スピードや路面状況、車体の傾きによっては、ちょっとしたブレーキ操作や障害物の影響でバランスを崩して、転倒してしまうことがあります。
では、万が一転倒してしまったときは、どのような点に気を付ける必要があるのでしょうか。
転倒時に気を付けたい、受け身のポイント
転倒時に気を付けるとよいポイントのひとつは、バイクからすぐに離れる意識を持つことです。
バイクにまたがったまま転倒すると、体勢が制約されて受け身がとりづらくなるほか、足などがバイクの下敷きになる危険性が高まります。
このほか、転倒したバイクが壁や路面構造物に衝突する際、自分の身体が挟まれるリスクも発生します。
こうした状況を回避するためには、転倒時に意識的にバイクから手を放すことが必要です。
また、転倒時には、致命傷をさけるために必要な体勢を取ることも気を付けるべきポイントといえます。
とはいうものの、具体的にどこを守ればよいのでしょうか。
警視庁によれば、2019年から2023年に都内で起こった二輪車の死亡事故において、致命傷部位となったのは「頭」が44.9パーセント、「胸部」が26.2パーセント、「腹部」が10.7パーセントとなっています。
つまり、2019年から2023年の東京における二輪車の死亡事故の約8割は、頭、胸部、腹部へのダメージが致命傷となっていることになります。
このことから、致命傷をさけるためには、これらの部位が損傷しないように守る必要があるといえます。
そのためには、転倒したときに真っ先に接地すると考えられる手足などを用いて衝撃をいなす必要があるとされています。
転倒した時は、身体を柔軟に保つとよい!
このように、転倒したときはバイクに巻き込まれないように、また致命傷を負わないように受け身をすることが大切だといえます。
そしてそれを達成する上で求められることは、転倒時に身体を柔らかく保つこととされています。
これが求められる理由は、可能な限り力を抜き、身体を柔らかく保つことで、衝撃が一箇所に集中するのを避けることができるためです。
また、バイクから身体を離しやすくなりますことも身体を柔軟に保つメリットのひとつです。
一方、身体を硬直させてしまうと衝撃を分散できず、内臓などへの致命的なダメージにつながるおそれがあります。
そのため、バイクで転倒したときは可能な限り力を抜き、身体を柔らかく保つことを意識的に心がけるとよいといえます。
そもそもバイクは倒れるもの、転倒を前提とした装備を活用しよう

上述のように、転倒した時には致命傷をさけるためにできることがいくつかあります。
しかし、いつでも転倒の衝撃を素手・素足のままで衝撃をいなせるとは限りません。
バイクという、ライダーのバランス感覚が走りに関わる乗り物に乗る以上、転倒を前提とした装備を整えることが必要かもしれません。
転倒のときに安全を確保するための装備として、ヘルメットが挙げられます。
警視庁の統計からもわかるように、致命傷の多くが頭部に集中していることから、ヘルメットの着用は命を守るうえで重要な装備となっています。
このほか、多くのヘルメットは走行中の風や砂、飛来物などから頭部を保護する機能もあります。
このように、さまざまな場面でライダーを守るヘルメットは、法的にも着用する義務があります。
もしヘルメットを付けないでバイクを運転すると交通違反となり、違反点数が1点科されます。
以上より、バイクを運転するときは、ヘルメットは当然装着する必要があるといえます。
このほか、プロテクターの装着も転倒時のダメージを軽減するのに効果的な装備です。
転倒時に衝撃をいなす手足には、ガードやパッドを装着することで、骨折や打撲のリスクを大幅に減らすことができるといわれています。
一方、サイズが大きすぎるなど、自分の動きを阻害してしまうようなプロテクターは、受け身をとるときに身体の動きを制限してしまうおそれもあります。
そのため、プロテクターはあくまで全身の動きを妨げない範囲で、要所に適切に装備しておくことが理想的といえます。
昨今では、ジャケットやパンツに標準でプロテクターが内蔵されているものも多く、見た目や着心地を損なわずに安全性を高められる製品も増えています。
必要に応じてそのような製品を用いることで、見た目や着心地を損なわずに、より安全なツーリングを楽しめるかもしれません。
まとめ
このように、バイクに乗るときには、万が一の転倒に備えた意識と準備が重要です。
転倒したときに適切に対応できるか否か、また事前に転倒しても大丈夫なように装備を組んでいたか否かで、自分の人生が左右されることもあります。
安全にツーリングを楽しむためにも、日頃から安全を意識した装備を備え、万が一の時の心構えを確認することが必要です。








