MotoMeganeをご覧の皆さま、こんにちは! ラフアンドロード本社(メーカー部門)ではたらいているナンデモヤ O です。バイクの圧倒的なスピード感や機動力、一体感から得られる喜びを伝える「MOTTOラフロ」から、バイクの魅力や楽しさをMotoMeganeユーザーの皆さまにもお届けします。ぜひお楽しみください!
自己紹介させていただくと、初めてのバイクは高1の夏に手に入れたのがガンマ50。最長不倒距離は芦ノ湖です。3ない運動、何それ? で乗っていました。
次の愛車はXLR250RH。大学入学の3月に入手。通称タクシー号、弊社ラフアンドロードの社長から購入。佐藤信哉氏の林道本、寺崎勉氏の林道日本一周を片手に関東はもとより北海道、四国、東北、信越、近畿、富士山と九州、関西、中国地方以外の林道は走りつくしました。
その後、二人乗りのためにアルテシアに買い替えて、毎週海に通っていました。
さらにKLX250SR初期型に乗り換え。通称流れ星号です。前のバイクが重かったこともあり、軽量で扱いやすく高回転なエンジンフィールが大好きでしたが、子供が生まれたのと、走れる林道が激減して寂しいオフ生活となりました。
もはや林道ツーリングはあきらめ、オフから卒業?もっぱら通勤車としてXR100MOTARDを入手。
現在は、WR250Xとリトルカブが愛車です。完全なるロードオンリーといいつつ、砂利道があれば躊躇なく凸ります!カブはもっぱら通勤の足です。
そして次のバイクはハンターカブを予定中です!ご覧の通り当社ラフアンドロードの原点ともいえる、オフロード一筋の愛車遍歴です。
今回はバイク乗りのためのレインスーツについて詳しく解説します。雨の日でも妥協せず、あなたのバイクライフを快適にするレインスーツを紹介します。
ラフアンドロードのレインスーツ
長らく現役を務めてきたRR5238からバトンを引き継いだニューフェイス。胸にハニカムプリントを施しその陰からチラリとラフアンドロードマークが控えめに見える落ち着いたデザインに刷新!
RR7809
グライドレインスーツ
耐久性を重視した生地選び、視認性に優れたリフレクターの配置、ライディングポジションを考慮した3Dカッティング、パンツのずり上がり防止機能、走行時のバタつきをを抑えるアジャストフラップなど「バイク乗りのための機能」を凝縮した、これぞ「ザ・バイク専用レインスーツ」です。
また、上着はオールシーズン対応機能対象品なのでオプションの豊富なインナーを装着することで優れた防水・防風・防寒ジャケットとして天候とらわれることなくバージョンアップが可能となっています。
つづいてはいろいろあるレインスーツの中から自分の用途に合ったものをどうやって探せばいいのか?
ハテナの指針となるレインスーツのアレコレを書き連ね選び方をご案内します。
レインスーツに必要な機能の撥水性、透湿性、耐水性について
撥水性
生地の表面にはっ水剤(シリコン樹脂・フッ素樹脂)で表生地の繊維の1本1本に被膜を生成し、疎水性をもたせることでレインスーツ表面にあたる雨滴を玉にして弾きます。
撥水加工された生地の被膜は使用開始とともにはがれはじめるので、徐々に水をはじく力が弱まり生地表面にしみこむ度合いが増えていきます。この状態で使用すると透湿素材であっても水の被膜で表面が覆われた状態なので、蒸気の透過が妨げられ本来の機能が損なわれてしまいます。
これを防ぐためには定期的に撥水スプレーで弱くなった被膜を再生する必要があります。撥水処理の有無は防水能力だけでなくレインスーツの寿命にも大きくかかわってくるので、定期的なメンテナンスがおすすめです。
おすすめはもちろんRR5281 ラフウォーターガード2です。
透湿性
人体は常時発汗しているのでレインウェアを長時間着用し続けると、体から出る水蒸気で被覆内側に結露してべたつきはりつきのもとになります。これを解決するのが透湿機能です。
透湿とは、レインウエア内の水蒸気を外へ排出する機能のこと。成人男性の1時間当たりの発汗量は、安静時で約50g。軽い運動時、つまりライディング時には500~1,000g。
ランニングなどの積極的な運動時には約1,000g以上となります。この数値は体質や季節などの外部環境によっても違ってきますので、あくまで参考値としての話になりますが、この発汗した蒸気を外に逃がすために表地になる基布に、無数の小さな穴をあけた孔質タイプの薄いフィルムをラミネートしたものが必要となります。
透質性に優れ汗をかいても蒸れずに快適ですが、この微小な穴が詰まると機能は当然低下します。ナイロン基布に多孔質ポリウレタンコーティングしたものは、軽量でしなやかですが反比例して耐久性に難が出てきます。
上記に加え、先にも触れたように透湿素材でも生地の表面を雨水が覆ってしまうことで蒸気の出口がふさがれ透湿機能が十分に機能しなくなることにも注意が必要です。快適性は向上しますが耐久性が落ちメンテナンスがシビアになり、耐久性の高いものは比例して高額なものとなります。
耐水性
雨水が生地の表からしみこもうとする水の力に耐える性能で、レインスーツどれくらいの水圧に対して耐えられる防水性を持っているかを表します。
バイクの場合ライディング姿勢をとることで着座部、腰回り、膝の屈曲による膝がしらなど、レインスーツに高い負荷をかけるのに加え、走行速度が加わった雨滴が衝突する状況なので、高い耐水圧が必要となる過酷な環境です。
レインスーツを選ぶ際の基本情報
続いてはレインスーツを選ぶにあたり知っておくといい防水生地の種類と防水方法の種類です。
耐水生地
①ウェルダー加工
ビニールを高周波ウェルダーによって溶着したもの。針穴、縫製部隙間がないのでほぼ100%の強力な防水性をもちます。反面、発汗した水蒸気も内側にブロックされるのが難点で、なおかつビニールの耐久性を上げれば重くなり、薄く着やすくすれば耐久性がガクンと落ちます。
②P.V.Cコーティングあるいはラミネートタイプ
ポリエステル表地の裏に、P.V.C(塩化ビニール樹脂)をコーティングまたはラミネートした生地で、安価に生産が可能。高い防水性と耐久性があるのが特長です。またナイロン表地に、塩化ビニール樹脂をコーティングしたものもあります。
今回紹介のRR7809 グライドレインスーツはこれに当たります。
P.V.Cコーティングのメリットは、海水にも強く強度があることから水産現場の主力にもなるほどの高い耐水性を誇ります。デメリットは重く硬いことですがこれは裏返せば高い耐久性と耐水性のあかしとも言えます。高い防水能力と高い耐久性が特徴ですが重く透湿性がないのが弱点なので、高温多湿の時期の快適性は望めません。
③ポリウレタンコーティングタイプ
ナイロン表地に、ポリウレタンコーティングをした生地。P.V.Cに対し軽量でソフトな風合いで着心地抜群すが、耐久性が弱点。使用後のメンテンナンスがナイーブで保管方法を誤ると数回の使用のみでも、加水分解により急速に劣化してしまいます。透湿性のあるものからないものまでいろいろあります。
余談1 加水分解とは?
ポリウレタン素材は水と反応して分解反応し分子の結合を阻害し劣化を引き起こしてしまいます。これを加水分解といいます。劣化が進むとコーティングが白くなりポロポロ剥がれ、ベタベタし最後は酸っぱい臭いがして使用不能になることもあります。ザックなどのカバンの裏側がボロボロはがれてきた経験ありませんか?それがこれです。
バイク乗りだと長期間使用しなかったモトクロスブーツのプラスチックパーツや靴底が、いざ使おうと足を入れた瞬間崩壊したり、テントを朝露が付いたまま仕舞い、次のシーズンに使おうとしたらボロボロいなっていたというのがわかりやすいでしょうか。
ということは空気中の湿気にも反応するので通気性の悪いところや濡れたまま丸めて保管しておくと、きちんと乾かし風通しのよいところに保管したものより劣化の進行を速めてしまうことになります。性質上、劣化をとどめることは困難ですが遅らせること(寿命を長くする)は可能です。しっかり乾かし、通気性のいい場所に保管し適度に使用すればコストパフォーマンスは十分に発揮できます。
余談2 シームテープとは
シームテープとは生地の縫製部位の縫い目に沿って張り付けられた防水テープのことです。このテープは通常内側に貼られ、生地の継ぎ目と針孔からの水の侵入を防ぎます。
透湿耐水生地
透湿性多孔質コーティング、ラミネートタイプ
1.多孔質フィルムラミネート
フッ素系フィルムを引き伸ばし微細な多孔質をもたせ、これを生地にラミネートすると蒸気は透過させながら水滴は遮断することができます。
2.多孔質コーティング
ウレタン樹脂等を布にコーティングしたものです。難しい製造法ですが発泡剤で発泡したり、水溶性樹脂を水に通すことで溶解させ、微細な気泡の孔を作って通気性を生み出します。
バイク専用機能ってどんなもの?
レインスーツは一般のものとは大きく違います。まず、走行中のバイクの場合は体の正面から雨を受け続けます。これは時速60kmで走行すると風速16m/sというかなり強い横殴りの雨を浴び続ける過酷な環境にあることを表しています。そんな環境下では以下のような機能が必要となってきます。
アジャスト機能
水の侵入を避ける機能
襟元はヘルメットを装着したときに隙間ができない高さとベルクロテープでしっかり隙間できないように閉められるものが良い。
また手首もグローブから伝ってきた雨水が入ってこないようにゴムシャーリングタイプではなく、手首と密着させられるフラップアジャストタイプがベター。
足首も手首同様ですが、しっかり閉じて停車時に足を出すときにステップに引っ掛からないように、裾をばたつかないように足にぴったりさせる必要があります。
着脱性、走行風圧への対処
スーツは走行風圧で腕や胴回りが風をはらみやすくなります。風でばたつかせると生地を傷めることになるので身頃のわきや腕部にアジャストフラップがあるものを選びましょう。
またフロントファスナー部の防水性を高めるため、前立てのフラップはファスーナーをしっかりカバーできるよう幅が広いものであることはもちろん、下前立てに雨どい効果のある折り返しがあるものが必要です。アウトドア用のものなどは、この仕様になってないものが普通なので、ファスナーの結合部やファスナーテープからたちまち浸水してしまいます。バイク用レインスーツは当然この仕様となっています。
また室内だけでなく屋外でも脱ぐ必要がある場面の多いバイクではシューズを履いたまま脱げる、サイドファスナーでフルオープンするもの( RR7851 デュアルテックスサイドオープンレインパンツ)や裾が大きく開くものが便利です。
その他オリジナル機能
ほかにも当社の商品にはライディング姿勢をとったときにパンツの裾がずり上がり、シューズに水が侵入しないためのずり上がり防止ループ機能、同じくかかとからの侵入を防ぐ、防雨アンクルフラップ機能、エリにも後襟防雨プロテクターを装備しヘルメットとの隙間からの侵入を防ぐ、万全の雨対策を機能を装備しています。
安全対策
雨天走行中のライダーは雨による視界の悪さにより他者からその存在に気づかれにくくなります。そんなリスクを軽減するためリフレクターを各所に配置し、いち早く認識してもらえるよう工夫されています。
雨の日を快適にするレインギア
ラフアンドロードにはレインスーツにとどまらず、レイングローブ、防水バッグ、その他レイン小物を多数扱っています。ぜひラフアンドロードで目の前に迫る梅雨を快適にしのぐアイテム探ししてみてください。
まとめ
通勤通学であれば梅雨時、毎日毎日乾く間もなく使用するのはどんな素材であれ、レインスーツに非常に高い負荷(ストレス)を与えることになるので寿命を著しく縮めます。連日雨の中で使用するヘビーユーザーは、レインスーツを2セット用意し使いまWすことをおすすめします。
ワンセット目を使用後は風通しのよい場所で湿気をしっかりとり、ハンガーにかけて換気の良い場所で保管し次の使用に備え、その間は2セット目を使用する。上記のローテーションをくりかえすことでレインスーツの寿命は飛躍的に高まります。
反対にライトユーザーやエマージェンシーに使用する方は、使ったあとにしっかり水分を取り、袋にしまわず風通しの良い場所にハンガー掛けしておくのがよいでしょう。
ここまで説明した通りレインスーツの寿命を決めるのは使用回数の問題でなく、保管状況とメンテナンスの仕方に左右されます。使っていないから大丈夫という考えは加水分解を理解していれば、通用しないことはわかっていただけたかと思います。
透湿性と耐水性のどちらを優先するべきか?
バイクは時速60kmで走行すると風速16m/sを常に受け続けることとなります。これは気象用語の「強風」にあたり樹木全体がゆれるほどの風で、風に向かっては歩くのが困難な状況にあたります。
ライダーはこれを走行中つねに浴びるわけなので高温多湿の環境下でなければ、透湿性より耐水性を優先したほうがいいといえるのではないでしょうか?
バイクという強風を浴びつづけるシチュエーションではあまり透湿性にこだわらず、耐水性を優先したほうが快適性は犠牲になりますが本来の目的であるまず雨を防ぐことが大切です。
今回紹介したレインスーツは10分から1時間程度の通勤通学に最適です。一日中着る可能性のある場合は透湿性のあるものをお勧めしますが、透湿性がなく快適性は犠牲になりますが何よりも耐水性、耐久性に優れ、しかも安価なので消耗品としてもおすすめといえます。
最後に、レインスーツも完全なものは求められません。運悪く浸水があっても不快になるだけなので、悠然と構えあまり神経質にならないよう運転にゆとりをもって受け止めていったほうが良いでしょう。
余談3 レインスーツあるある
- 新品のままあるいは数回使用したあと風通しの悪い湿気の多い場所に保管していると、いざ使おうと思った時には加水分解が進行し、防水コーティングが機能せず、走り出した途端に雨水が侵入…。
- 汗がレインスーツ内で結露したものを雨水の侵入と勘違い…。
- 襟元、手首からの侵入を勘違い…。
- 透湿性レインパンツの着座加圧により耐水圧をオーバーにより浸水したものをパンツの不具合と勘違い…。
- 冷たい雨滴が股間にたまる、土砂降りの雨が膝に直に当たり続けると体温を奪われ、さも漏水があったと錯覚してしまう…。
MOTTOラフロ掲載日:2022年11月17日
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