バイクの任意保険というと、原付から大型バイクまでを対象とするバイク保険が数多く存在しますが、原付(原付一種・原付二種)に関してはご自身やご家族がすでに自動車保険に加入していると、自動車保険の特約である「ファミリーバイク特約」に加入することができます。今回はファミリーバイク特約の内容と、バイク保険との違いについて解説します。
MOTO INFO掲載日:2025年8月1日
ファミリーバイク特約とは
ファミリーバイク特約は、自動車保険(任意保険)に付帯する特約のひとつです。通常の任意保険と同じように、事故の際に相手の怪我や物損を補償してくれます。あくまでも特約ですので、比較的安価な追加料金で加入できるのが魅力です。
対象となる車両
対象車両は125cc以下のバイク、つまり原付一種(新基準原付含む)と原付二種に限られています。126ccを超える普通・大型二輪車は損害保険会社等にて、別途自動車保険(バイク保険。いわゆる「任意保険」)に加入する必要があります。ただし、すでに乗用車などを併有している場合は割引制度もあるので、保険会社にご確認ください。
対象者
ファミリーバイク特約を付帯した自動車保険に加入している記名被保険者、またはその家族と同居人であれば、対象車両を運転中に事故を起こした際に補償を受けることができます。
ファミリーバイク特約の種類
ファミリーバイク特約には、自分の怪我に対する補償の有無について、2つのタイプがあります。
自損事故タイプ
「単独事故」や「自分の過失が100%の事故」の場合のみ、補償を受けられるのが「自損事故タイプ」です。
「単独事故」とは、相手方の車両や人物との接触がない、運転手自身が起こす交通事故のことです。カーブを曲がり切れずに転倒したり、ガードレールなどに衝突したりする事故を指します。
「自分の過失が100%の事故」とは、相手方がいる場合でも自分に100%の責任があると認定された交通事故のことです。歩行者や停止中のクルマへの衝突などが挙げられます。補償が受けられる場合は、通院や入院日数に応じた保険金が支払われます。
相手方の過失が認められた場合は補償を受けられないので、自分の過失分は自己負担しなければなりません。
人身傷害タイプ
「人身傷害」とは、事故を起こした運転者が死傷した場合に過失割合に関係なく休業補償などの保険金が支払われる保険の補償です。保険金の上限は、加入している自動車保険の人身傷害補償と同じ額です。人身傷害タイプを選択するには、あらかじめ自動車保険で「人身傷害補償」をつけておく必要があります。保険料は自損事故タイプより高くなります。
ファミリーバイク特約で補償されないケース
自身の過失による事故や自然災害(一部除く)、盗難などによって損害を受けた際に、修理費や買い替え費の補填となる「車両保険」がファミリーバイク特約には付帯していません。事故の際の相手方やご自身の怪我などの人身傷害については補償されますが、車両への損害についての補償を受けたい方は、損害保険会社等にて、自動車保険(バイク保険。いわゆる「任意保険」) に加入することをオススメします。
つまり、相手方がいる「自損事故」タイプの場合だと、自身の怪我に対する補償が受けられません。万が一の怪我に備えたい人は「人身傷害」タイプへの加入をオススメします。
ファミリーバイク特約とバイク保険の違いは?
| ファミリーバイク特約 | バイク保険(任意保険) | |
| 対人賠償 | ◯ | ◯ |
| 対物賠償 | ◯ | ◯ |
| 自損事故または人身傷害 | ◯ | ◯ |
| 無保険車傷害 | ◯ | ◯ |
| 搭乗者傷害 | × | ◯ |
| 車両保険 | × | ◯ |
| 運転者の範囲 | 被保険者とその家族 | 被保険者(家族などにも拡大は可能) |
| 等級 | 等級に影響しない | 事故の有無により等級が変動する |
自動車保険の特約としてリーズナブルな保険料で加入できるのがファミリーバイク特約最大のメリットです。ファミリーバイク特約に加入されている125cc以下のバイク所有者の方も多いことでしょう。ただ、バイク保険と比較すると両者のメリットとデメリットが浮き上がってきます。
運転者の範囲の違い
ファミリーバイク特約は、記名保険者とその家族、同居人が運転するバイクが適用範囲です。年齢制限や運転者制限を設けた自動車保険であっても、ファミリーバイク特約にはその条件に関係なく補償されます。
対してバイク保険は、年齢や運転者など対象者を細かく設定することから、ファミリーバイク特約と比べると保険料は高くなります。その分補償の幅が手厚いので、所有車両の運転者が自分だけなど限定的な使い方になっているなら、バイク保険への加入をオススメします。
ファミリーバイク特約のメリット
ファミリーバイク特約の効果を最大化するメリットは以下の通りです。
自動車保険契約上の年齢制限は適用されない
「運転者の範囲の違い」でも述べたとおり、ファミリーバイク特約は自動車保険上の年齢制限が適用されません。125cc以下のバイクを家族でシェアしている場合などにファミリーバイク特約が向いていると言えます。
複数の125cc以下バイクすべてに適用される
被保険者が運転するすべての125cc以下バイクが補償対象となるのがファミリーバイク特約です。そのため、ご自身の名義のバイクはもちろん、家族名義、他人名義の125cc以下バイクも補償対象となります。
ただし、借りているバイクは所有者の了承が必要です。無断で借りている場合は補償の対象外となることがあるので注意してください。
保険を使っても等級が下がらない
万が一のときにファミリーバイク特約の保険を利用しても、主契約である自動車保険の等級は下がりません。
ファミリーバイク特約のデメリット
バイク保険と比較してのファミリーバイク特約のデメリットをご紹介します。
等級制度が下がらない = 保険料が下がらない
前述したとおり、ファミリーバイク特約の保険を使っても、主契約の等級が下がることはありません。そのため、保険を使わなくても等級が上がらず、保険料も下がらないというデメリットがあります。
「ゆくゆくは大きなバイクへの乗り換えを考えている」という方は、長期的な視点からバイク保険に加入した方が良いでしょう。逆に2〜3年ほどの期間だけ125cc以下バイクを利用したい方にはファミリーバイク特約が向いていると言えます。
ご自身で申請しないと付帯されない
ファミリーバイク特約は、自動車保険に付帯する「特約」なので、加入する場合はご自身で保険会社に申請しなければなりません。
ロードサービスが付帯されていないものが多い
近年はロードサービスが付帯しているバイク保険が一般的になっていますが、ロードサービスが付帯しているファミリーバイク特約は稀です。主契約である自動車保険にロードサービスが付帯していても、ファミリーバイク特約では適用されないというケースが多いのです。(ファミリーバイク特約に)加入する前、もしくは加入している方は一度ご確認ください。加入前の方は、ロードサービスまで備わっているか確認することをオススメします。125cc以下バイクで遠出を考えている方は、ロードサービスが備わったファミリーバイク特約を利用する、または別途ロードサービスを契約しましょう。
有意義に利用してバイクライフに幅広さを

加入している人でも意外と知らない規約があるファミリーバイク特約について、有意義に利用するためのポイントを解説しました。若ければ若いほど保険料が高くなるバイク保険が、ファミリーバイク特約だと年齢制限を受けないので、クルマを保有し、自動車保険に加入している家族がいる若年層にはうってつけと言えます。125cc以下のバイクまで適用されるので、将来的にバイクライフの幅を広げようと考えている方は、バイク保険と合わせてファミリーバイク特約も検討してみましょう。
最後に、どのようなサイズのバイクやクルマに乗る場合でも、自賠責保険(いわゆる「強制保険」)だけでなく、必ず自動車保険(いわゆる「任意保険」)に加入するよう、お願いします。
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