アドベンチャー、ツアラー、ストリートファイターはいずれも人気が高いカテゴリーだ。とくにカワサキには3つのカテゴリーすべてに4気筒エンジンのモデルがラインナップされており、注目モデルとなっている。それらの車両について知っておくべきポイントは、3つのカテゴリーが「得意とするシーン」だろう。車体やスペックを見ただけではピンとこないかもしれないが、実は得意分野が大きく異なるのだ。

(アドベンチャー)

(ツアラー)

(ストリートファイター)
◆アドベンチャー:長いサスストロークのおかげでどんな路面にも対応
◆ツアラー:ロングツーリングで快適に走れるエンジン特性&ポジション
◆ストリートファイター:軽快な走りでワインディングでのポテンシャルの高さが持ち味
得意なシーンが違えば、設計の方向性も大きく変わる。
その違いをお届けするためヴェルシス1100SE、ニンジャ1100SX、Z900SEの3台を比較した。前半パートとなる本記事はスペック、足つき性、ポジション、取りまわし、積載性といった“使い勝手”を中心にチェックして、それぞれの特徴をお伝えする。

後日公開予定の後半パートでは、実走テストを実施。高速度域、低速度域におけるパワー特性や操作性をチェックし、3台の“走り”を中心に解説していくぞ。
まずは、取りまわしや足つきで気になる3台のスペックをチェックしていこう。



| ヴェルシス1100SE | ニンジャ1100SX | Z900SE | |
| 全長×全幅×全高(mm) | 2,270 × 950 ×1,490mm (1,530mm) ※()内はハイポジション時 | 2,100 × 805 x 1,190mm (1,225mm) ※()内はハイポジション時 | 2,065 x 830 x 1,110 |
| 車両重量(㎏) | 260 | 236 | 215 |
| シート高 (mm) | 820 | 820 | 810 |
スペックではわからないバイクの取りまわしの違い
【ヴェルシス1100SE】

1台目は、スペック上で260㎏と最大車重を誇るヴェルシス1100SE。大型アドベンチャーらしく重量と車格があり、重心も高いため、一定の角度まで傾けると急に重さを感じる。取りまわしには慎重さが求められるが、ビッグアドベンチャーの中では扱いやすい部類だろう。
【ニンジャ1100SX】

続いて、2番目の重量を誇るニンジャ1100SX。重さはあるものの重心が低いため、236kgという車重から想像するほどの扱いにくさは感じない。直進での押し引きは安定しており、方向転換でやや重さを感じる程度。重厚なリッターフルカウルのイメージに反して起こしやすく、ハンドル位置が高めで力を入れやすいこともあって取りまわしは意外とラクだった。
【Z900SE】

最後は、215㎏と最軽量のZ900SE。サイドスタンド停車からも起こしやすく、広めのハンドル幅のおかげで押し引きが非常にラク。排気量相応の重さはあるものの軽く動かせて、低めのバーハンドルで力も入れやすい。車体のコンパクトさとショートホイールベースが相まって、3車種中もっともスムーズに取りまわせた。
ライディングポジション
【ヴェルシス1100SE】


3車種のなかで最もアップライトでハンドルが近く、上体が非常にラク。ステップも低めでヒザが楽だがシートが高く、その不安ゆえに停止時の支えが課題か。アドベンチャーらしいゆったり姿勢とすぐれたシートのクッション性で長時間でも快適。「天国のよう」と形容するレビュアーもいた。
【ニンジャ1100SX】


スポーツツアラーらしく上体はやや前傾し、ステップポジションは3車種中もっともスポーツ寄りだ。しかし見た目よりフレンドリーで、セパレートハンドルは高め&近いため、思ったほど前傾姿勢にならない。このポジションなら長距離ツーリングも快適に走れるだろう。
【Z900SE】


ストリートファイターらしい自然なポジション。幅広ハンドルのおかげで上体の自由度が高く、街乗りの適性は一番高そうだ。ハンドルは見ためより前方でやや遠く、適度な前傾姿勢になる。スポーツバイクらしく、ニンジャ1100SXよりも前傾はやや強めだ。
スペック上のシート高と、実際の足着きの違いは???
取りまわしと同様、足つき性もシート高を見ただけではわからないことが多い。
シートが高くても、シート幅が狭ければ足を下ろしやすく足つきはよくなるからだ。またサスペンションの沈み込みが多い場合、カタログのシート高よりも当然ながら低くなる。
【身長163cm/体重60kg】
ヴェルシス1100SE:足つきは一番厳しい。シートが高く、さらに足が外に広がりやすい
ニンジャ1100SX:感覚はZ900SEに近いが、こちらも足が外に広がりやすく足つきに影響がある
Z900SE:両足べったりは難しく、母指球〜つま先接地。足を真下に下ろしやすいので不安を感じない

(シート高:820mm)

(シート高:820mm)

(シート高:810mm)

(シート高:820mm)

(シート高:820mm)

(シート高:810mm)
【身長173cm/体重65kg】
ヴェルシス1100SE:両足母指球までしっかり着く。シート幅が広いので足が開く感触がある
ニンジャ1100SX:カカトは浮くがほぼ足裏がついてる感覚。足が当たって気になる部分はナシ
Z900SE:カカトまでべったり着く。足が当たって気になる部分はナシ

(シート高:820mm)

(シート高:820mm)

(シート高:810mm)

(シート高:820mm)

(シート高:820mm)

(シート高:810mm)
ヴェルシス1100SEとニンジャ1100SXはシート高が同じながら、幅広なシート&車体の影響で足つきに大きな差があった。ヴェルシス1100SEはその車格から当然の結果ともいえるが、秀逸だったのがニンジャ1100SXだろう。同じシート高ながらヴェルシス1100SEよりも足つきのよさが光った。
Z900SEも同様。まっすぐに足をおろせる車体構成のため、安心して車体を支えられる結果になった。
タンデムシートの乗り心地






タンデマーの快適性は以下の項目が重要になる。
・ライダーとの目線の高さ→タンデマーの視界がライダーの頭にさえぎられないか
・グラブバーの位置→つかみやすく、体を支えやすい場所にあるか
・シートとステップの間隔→ヒザの曲がりが窮屈にならないか



これらの条件をすべてクリアしている車種はないが、ヴェルシス1100SEはタンデムシートの座面が高くステップ位置も自然、つかみやすい形状のグラブバーも備えているため、タンデム適正はもっとも高そうだ。
次点でニンジャ1100SX。肉厚なタンデムシートで、ステップやグラブバーの位置も悪くない。
Z900SEは、タンデムシートの座面が小さく、つかまる場所も限定されてしまう。ライダーとの距離も近く、快適性という点では3車種中でもっとも不利だといえる。



荷物の積載



【ヴェルシス1100SE】
リヤキャリアを標準装備しているため、大きな荷物も積載できる。グラブバーもフックポイントに使えるため、積載の自由度は高い。しかし、やや前傾しているため水平がとれない点が残念。


【ニンジャ1100SX】
タンデムステップステーとグラブバーを使ってベルトを固定。タンデムシートに荷物を載せる場合、トップが盛り上がったシート形状が気になるが、ほとんど前傾していないため荷物の安定性は高い。


【Z900SE】
ベルトをかけるためのフックポイントがほとんどない。シートを取り外してシートレールにベルトを通す必要がある。ただ、タンデムシートは平面に近い形状のため荷物は安定するだろう


取りまわし、足つき、荷物の積載ではどれがよい?
インプレッション前半の本記事では、取りまわしや足つき、荷物の積載といった日常での使い勝手をチェックした。
アドベンチャーモデルで大柄な車格をもつヴェルシス1100SEは、長いサスストロークで不整地でも高い走破性を発揮してくれる。結果、シートが高く、街乗りでは不安を感じるシーンもあったが、オフロード特性や快適性とのトレードオフだろう。
ニンジャ1100SXはスポーツツアラーとして熟成されており、非常に高い完成度を誇る。スペックだけを見ると重く、シートが高そうだが、車体の絞り込みや重心が理想形に近く、足つき&取りまわしでは高い評価だった。
Z900SEはキビキビ走れるストリートファイター。軽量コンパクトな車体ゆえに足つきや取りまわしは大型4気筒モデルではトップクラスだろう。
近い排気量で同じ4気筒エンジンながら、大きくキャラクターが異なる3車種。走行性能ではどんな違いを見せてくれるのか? 近日公開予定の後半パート【走行インプレッション編】もお楽しみに!!








