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スズキ初の電子制御サスペンションを搭載したGSX-S1000GXがやって来るぞ!

SUZUKI_GSX-S1000GX

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スズキ初の電子制御サスペンションを搭載したGSX-S1000GX
ユーラシア大陸の西の果てポルトガルで行われた世界プレス試乗会に参加してきた

2023年11月のエイクマでアンベールされたばかりのGSX-S1000GXは、スズキ初の電子制御サスペンションと共に6軸IMUによるコーナリング制御のトラクションコントロールシステムといった最新の電子制御技術がこれでもかと詰め込まれた注目のニューモデル。日本国内での発売予定は2023年12月時点では未定だが、スズキは欧州の発売に先駆けてポルトガルでの世界プレス試乗会を開催。ユーラシア大陸の東の果てである日本から、わざわざフリーランスライターである僕が送り込まれたということは、近々日本国内でも発売のアナウンスがあるとみて間違いないぞ! 

尚、本記事の内容は試乗した欧州仕様についての内容だ。もし日本に導入された場合に仕様が異なる可能性はあるので、その点についてはご了承いただきたい。

試乗・文:谷田貝 洋暁
写真:スズキ(Ula Serra、Amylee Photography)/Hiroaki Yatagai

目次

新たにGSX-S1000シリーズに加わるGSX-S1000GX、GSX-S1000GTとの違いはどこにある!?

スズキ初の電子制御サスペンションを搭載したGSX-S1000GX
歴代のスズキ車の中で最も高度な電子制御技術が搭載されるGSX-S1000GX

スズキのGSX-S1000シリーズには、2023年12月現在ネイキッドタイプのGSX-S1000、フルカウルでスポーツツアラーのGSX-S1000GT。それからGSX-S1000シリーズではないが車体&エンジンを共用するKATANA。ここに加わるのが、“The Supreme Sport Crossover(至高のスポーツクロスオーバー)”という開発コンセプトで生み出されたGSX-S1000GXだ。

上の写真3台はエンジンはもとより、メインフレームやスイングアームなどが共通化されたプラットフォーム戦略車で、エンジンパワーなどの仕様も一緒。新登場のGSX-S1000GXも同様で、フルカウルモデルのGSX-S1000GTをベースにしており、タンク形状やサイドカバー、シートフレーム(一部改変)など多くの共通点が見られる。

ただ大きな違いは、後述するスズキ初の電子制御サスペンションやGSX-S1000シリーズ初の6軸IMUを搭載など、外側からは見えない電子制御的な部分にある。2023年12月現在、歴代スズキ車のなかで最も多く、最も進んだ電子制御技術が取り入れられているモデルが、このGSX-S1000GXというわけだ。

ライバルとは一線を画すコンパクトなスタイリング

スズキのGSX-S1000GXのスタイリング
GSX-S1000GX(メタリックトリトンブルー)

試乗会の丸2日、ワインディングから、市街地。高速道路まで色々走って気に入ったのは、他社の直4エンジン&長脚17インチモデルに比べて車格が随分コンパクトなことだ。ホイールベースで言えば1470㎜。BMWのS1000XRやカワサキのヴェルシス1000といったライバルたちの1500㎜超のホイールベースに比べるとこの数値はかなりコンパクトに感じる。おかげで取り回しもしやすく、乗った印象もアドベンチャーバイク族というよりは、ロードスポーツモデルのGSX-Sシリーズのそれに近いサイズ感だ。

<SPEC>
●全長/全幅/全高:2,150mm/925mm/1,350mm
●装備重量:232kg
●ホイールベース:1,470mm
●シート高:845mm
●エンジン型式:水冷4サイクル並列4気筒DOHC 4バルブ
●総排気量:999cm³
●最高出力:112kW〈152PS〉/11,000rpm
●最大トルク:106N・m/9,250rpm
●燃料消費率 (WMTCモード値):16.1km/ℓ(1名乗車時)
●燃料タンク容量:19ℓ
●ブレーキ形式:前ディスク、後ディスク
●タイヤサイズ(前/後):120/70ZR17 / 190/50ZR17
●ボディカラー:メタリックトリトンブルー、パールマットシャドーグリーン、グラススパークルブラック
●価格:国内導入未定
※諸元はすべて欧州仕様で、最高出力/最大トルクの数値が国内モデルのGSX-Sシリーズとは異なっているが、エンジンの仕様は全く一緒。

GSX-S1000GXの足着き

シート高は845mmとGSX-S1000GTから35㎜ほどアップしておりやや高めで、僕の体格だと両脚の踵が3cmほど浮いた。ライディングポジションはGSX-S1000GTとVストローム1050の中間とされ、上体が起きるネイキッドに近いポジションが設定されている。

オプションには座面が15㎜低いローシートも用意されている。このローシートはGSX-S1000GTのSTDシートそのまんまとのことで実際に試してみると数値通り-15mm分しっかり足つきがよくなるうえに、ライディングに関しても違和感がない。走っているうちにローシートであることを忘れてしまうほど具合がよかった。

スズキ・GSX-S1000GXのオプションパーツのローシート
奥が標準仕様のシートで手前が-15mmのローシート。足つきがよくなりライディングへの弊害も少ないので日本仕様にはローシートの標準装着をお願いしたい

スズキ初の電子制御サスペンションってどんな感じ!?

スズキ・GSX-S1000GXはツーリングなど流して走る場合は快適

新型GSX-S1000GX、やはり最大のトピックスとなるのはスズキの二輪車として初採用となるセミアクティブタイプの電子制御サスペンションの採用だろう。ちなみにセミアクティブサスペンションとは、リアルタイムで減衰力を変更する機構を持った電子制御サスペンションのことで、車速やマシンの姿勢、サスペンションのストロークスピードに応じて、1/1000秒ごとに細やかな減衰力コントロールを行っている。

スズキ・GSX-S1000GXのディティール/電子制御サスペンションはSHOWA EERA®︎
GSX-S1000GXが採用するのは日立アステモ製のSHOWA EERA®︎の電子制御サスペンション

GSX-S1000GXの電子制御サスペンションはSHOWA EERA®︎をベースとし、スカイフック理論に基づいた減衰力制御を行っているのが特徴だ。スカイフック理論とは、前後のピッチングモーションを減衰力調整で消してしまうことで、あたかもバイクが空中から吊り下げられているような快適な乗り心地を実現する……という理論なのだが、ちょっとバイクには合わない側面もある。

というのも、ライダーが積極的に運転を行うバイクでは、タイヤが路面を掴む感覚…、難しい言葉で接地感などといったりするがどれだけ路面にグリップしているかをライダーが感じて、それに応じてスロットル開度やブレーキのかけ具合を調整するようなところがある。つまり、スカイフック制御が強すぎて路面を感じる挙動が阻害されてしまうと、ライダーとしては路面にグリップしているのか? していないのかが感じ取れず、なんだか不安を感じて攻めきれないというわけだ。

スズキ・GSX-S1000GXのディティール/電子制御サスペンションはSHOWA EERA®︎
ツアラーとしての乗り心地の良さのためにストロークは前後150㎜とロードスポーツバイクとしては多めに確保
スズキ・GSX-S1000GXのディティール/電子制御サスペンションはSHOWA EERA®︎
フロントフォークは右側にストロークセンサーが入っており、減衰力制御を行うソレノイドバルブは左側に入っている

SHOWA EERA®︎は、このスカイフックの長所である乗り心地のよさを活かしつつも、タイヤが路面を掴む感覚を消さないような独自の制御を取り入れており、実際乗ってみてもスカイフック制御由来の妙な不安さは感じない。フロントブレーキをかけたり、スロットルを戻したりするような動きをすればしっかりフロントフォークに荷重がかかり、タイヤが路面に押し付ける感覚がしっかり感じられる。

スズキ・GSX-S1000GXのディティール/電子制御サスペンションはSHOWA EERA®︎
リヤショックには荷物の増加やタンデマーの乗車を感知して自動でプリロード調整を行うオートレベリング機能が搭載されている
スズキ・GSX-S1000GXのディティール/電子制御サスペンションはSHOWA EERA®︎
シートフレーム左側にある金色の筒は、プリロード調整を行うための油圧を発生させるための装置。DCモーターで油圧を調整している

GSX-S1000GXの電子制御サスペンションは、「H(ハード)」、「M(ミディアム)」、「S(ソフト)」の減衰力モードに加え、さらにフロント/リヤで±3の細やかな減衰力調整が行える「U(ユーザー)」モードを備えている。この減衰力モードを切り替えると、ロードスポーツ的な硬めの味付けから、アドベンチャーツアラー的なサスペンションがよく動くキャラクターへと変化。つまりGSX-S1000GXは1台のバイクでありながら、サスペンションのモードを切り替えることによってより幅広い用途に対応できるようになったというわけだ。

スズキ・GSX-S1000GXのディティール/電子制御サスペンションの減衰力モードは切り替え式
メーター右側の「M」と書かれている部分がサスペンションの減衰力モード表示。「H(ハード)」、「M(ミディアム)」、「S(ソフト)」、「U(ユーザー)」が走りながら切り替えることが可能
スズキ・GSX-S1000GXのディティール/電子制御サスペンションのプリロードは調整可能
ユーザーモードではさらに細やかなサスペンション調整を設定画面から行える。「H」、「M」、「S」各モードに対して±3の7段階の減衰力調整(伸び圧同調制御)が行え、リヤショックのプリロードに関しても同じく微妙な調整が可能だ

GSX-S1000GXのすごいところは、この減衰力のモード変更によるキャラクターの変化の振れ幅がものすごく大きいところにある。 「H(ハード)」にすれば、ワインディングでスポーティに攻めるような場合にちょうどいい硬めのセッティングになる。

一方、「S(ソフト)」にすると、前後150mmの大きなストロークを活かしたアドベンチャーバイクのような快適な乗り心地へと変化する。つまり1台のバイクで、直4エンジンの特性を活かしたスポーティな走りもできれば、ツアラーのようなゆったり快適な走りも可能。走りながら設定を変えていると、サスペンションの特性があまりに違いすぎて別のバイクに乗り替えたような気分になってくるのだ。

スズキ・GSX-S1000GXはワインディングが楽しい
電子制御サスペンションのおかげで、さまざまな走りに対応。しかも、オプションのパニアケースを付けたままスポーティな走りもできてしまうのがすごい

スズキならではのスカイフック制御「SRAS」ってなに!?

SHOWA EERA®︎のスカイフック制御をベースにしているGSX-S1000GXだが、スズキオリジナルの制御モードも追加されている。それがスズキ・ロード・アダプティブ・スタビライゼーション(SRAS)で、舗装路などの平坦路から、凹凸の強い石畳やダートに入って大きなピッチングモーションの変化をIMUが感知すると専用のスカイフックエフェクトへと制御が切り替わるようになっている。

スズキならではのスカイフック制御「SRAS」
荒れた石畳などに入るとスカイフック制御が自動的に切り替わるスズキ・ロード・アダプティブ・スタビライゼーション(SRAS)

試乗会では、荒れた石畳はもちろん荒れ気味ダートも走ってみたが、水溜り跡のような凹凸が続く未舗装路が格段に走りやすくなる印象を得た。元々のスカイフック制御もある程度の凹凸路なら格段に走りやすくなる傾向にあるのだが、SRASでスカイフック制御が切り替わるとフラットダート通過がさらに楽になるのだ。

SRASの仕組みは、まず電子制御サスペンションが路面のうねりに跳ねげられた際に伸び側の減衰力を高めて路面のウネリによるオツリの増幅を防止。さらに振動によるスロットル操作への影響を減らすため、スロットルの反応が若干ダルになるというもの。

GSX-S1000GXはあくまでロードスポーツモデルで未舗装路を走るように作られたモデルではないが、このSRASのおかげでフラットダートを通過するくらいのダート適正を得てしまっている。しかも、この独自のスカイフック制御に加えてタイヤをよりダート適性の高いピレリのスコーピオントレール2あたりにしてみたら結構ダートも……なんて想像が膨らんでしまう(笑)。

とはいえ、この新採用の電子制御サスペンションが、GSX-S1000GXの使用状況のレンジを大きく広げているのは間違いない。GSX-S1000GXなら、攻め攻めのスポーツ走行から快適さ重視のロングツーリングまで、ありとあらゆる用途でバイクの性能を切り替えて“しっかり”楽しめるというわけだ。

※記事内容は全て執筆時点のものです。最新の情報をお確かめください。

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