こんにちは、二輪ジャーナリストの相京雅行です。
今回はCRF250ラリーの2020年新型モデルの試乗インプレッションです。
CRF250ラリーの歴史とは?
2012年ホンダは新型オフロードバイクCRF250Lをリリースされました。
それから5年後の2017年にCRF250Lをベースとしつつ、スクリーンの追加や燃料タンク容量をアップしたCRF250ラリーは誕生しました。
世界一過酷といわれ、砂漠から山岳地帯まであらゆる路面を走破して競うダカールラリー。
その世界一過酷なレースに参戦するホンダのマシンがCRF450ラリー、そして設計思想やデザインを引き継いで完成したのがCRF250ラリーなのです。
左右非対称の二眼LEDヘッドライトやナックルガード、未舗装路走行を想定してストロークが延ばされた前後サスペンションにキャンセル可能なABSをタイプ設定するなど250㏄オフロードバイクの枠を超える装備が与えられました。
2020年11月にCRF250ラリーモデルチェンジ
CRF250 RALLYは2020年11月にベースモデルCRF250Lと一緒にモデルチェンジされました。
ただ特徴的な左右非対称のLEDヘッドライトが変更されていないため、見た目的には変化を感じられません。
ですがフレームやエンジンは改良が加えられていて、重量は従来比で-5kgを実現しています。
CRF250RALLY 新型になって変更された点
フレーム、エンジンに変更が加えられているのも大きなポイントですが、その他にも改良が加えられています。
- メーターにギアポジションインジケーターと燃費計が追加
- 文字サイズが大型化され視認性アップ
- 最低地上高が従来比30mmアップ
- クラッチ操作を軽くし、ギアダウン時のホッピングを軽減するアシストスリッパ―クラッチの採用
- 燃料タンク容量がアップ(12L)
- ハンドルにウエイトを追加
- シート幅をCRF250L比で20mm拡張
- ステップにラバー追加
変更点の多くは快適にロングツーリングを行うために追加されました。
特に燃料タンク容量が2Lアップしたことで連続航行距離が大幅に増えましたし、それに伴いシート幅が広がったり、ハンドルにウエイトが追加されたことで振動対策が施されています。
更に市街地でストップ&ゴーを繰り返すようなシチュエーションではクラッチ操作が軽くなるスリッパ―&アシストクラッチが追加されたのは大きい!
CRF250ラリー(Type LD)がスタンダード仕様に
CRF250ラリーはモデルチェンジ前にType LDというローダウン仕様が用意されていました。
CRF250ラリーがシート高895mmに対してType LDは65mmもローダウン。
僕は身長164センチなので、車体が軽くてもシート高が895mmもあると気軽には乗れません。
ローダウン仕様が用意されたのはありがたかった。
ホンダ広報と話をした際にもローダウン仕様は人気があると聞いていました。
2020年のモデルチェンジではシート高830mmがスタンダートとなり、前後サスペンションを伸ばした<S>が別途用意される形になりました。
低身長男性ライダーとしてはありがたい!
CRF250ラリー<S>の足つき、身長164センチ59キロ 男性二輪ジャーナリストの場合
てっきりスタンダードのCRF250ラリーをお借りできると思ったのですが、お願いしている期間の都合などで<S>をお借りすることになりました。
実際に跨ってみると座った瞬間にグイっとサスペンションが沈み込むので数値ほど絶望的な足つき性ではありません。
つま先はギリギリつくぐらいなので、信号待ちでは少しお尻を左にずらした方が安心です。
2020年のモデルチェンジでシート高は従来比10mm下がり885mmになりました。
モデルチェンジ前のCRF250ラリーも試乗経験がありますが、足つき性が良くなった感じはありません。
シート幅が広くなった影響があるかもしれません。
CRF250ラリーの燃費は?
今回は秩父でのロケにもCRF250ラリーで参加したので、400km程度走りました。
下道だけ走行していた際には35km/L程度。
秩父ロケで200キロ程度走り、高速道路や有料道路も使って38km/L程度でした。
CRF250ラリーはタンク容量が12Lまで拡大されたので400Km以上は走ることができます。
CRF250ラリー実際に試乗してみて
一か月ほど前にCRF250Lの試乗機会を頂きました。
その時、以前のCRF250Lと比べて
「ビックリするぐらい走り出しのトルク感が増した!」という取材メモを残していました。
エンジンとフレームが見直され、エンジンは低中速トルク重視に、車両重量も軽くなったため走り出しは元気よく感じるようになったのです。
ところが、CRF250ラリーで走り出してみると、パワフルにはなっているのですがCRF250Lとは印象が異なります。
エンジンや駆動系のセッティングは同じはずなので、車両重量がCRF250Lと比べると12㎏重くなっていることが加速の体感が異なる原因かもしれません。
ただ動きが軽いのは間違いありません。クラッチ操作が軽くなるスリッパ―アシストクラッチが追加されたこともあり、街中での扱いやすさは足つき以外は抜群です。
CRF250ラリーの不満、欠点はあるか?
CRF250ラリーのウインドスクリーンステーはスマホホルダーなどをマウントできるようにあえて、ハンドルと同じ太さ(22.2φ)が採用されています。
ここにスマホホルダーをマウントすると、視認性は抜群に良いのですが、気になる点が、、、
特定の回転域の際にブルブルと振動で震えてしまうのです。
「バイクの振動でスマホのカメラがぶっ壊れた」という仲間からの報告が多く、SNSなどでも振動によるスマホカメラ機能の故障は多く報告されているので気になるところ。
ちなみに高速道路巡航時4000rpm以上で走行している際には画面がぶれるような振動は発生しませんでした。
CRF250ラリーには細いハンドルバーブレースが溶接されているので、スマホを付けるならココが良さそう。
ただ、径が細いのでハンドル径(22.2φ)に変更するアダプタが必要になります。
CRF250ラリーでの高速走行に関して
秩父の取材ロケで往復150kmほど高速道路を走行してみました。
ベースモデルのCRF250Lには採用されていないハンドルウエイトの影響もあってか手に伝わってくる振動は少ない印象でした。
走り始めは長時間走っていると手が痺れてくるかな?と懸念していましたが問題なし。
CRF250ラリーのエンジンはモデルチェンジ時に低中速域重視に変更されていて、高速道路はどうかな?と思いましたが、80km/hでの巡行は超快適!
ウインドスクリーンが適度に風を防いでくれるので体にあたる風が軽減され、前後サスペンションの動きも良いので高速道路の継ぎ目の段差も突き上げなどは一切ありません。
100km/h以上での巡行も問題なくできますが、振動が大きくなるので長い距離走るのであれば80km/hで走るのがおススメです。
CRF250ラリーのカスタムはオプション品の追加で無双のツアラーに
デビュー当時オフロードバイクのイメージが強かったCRF250ラリーですが、モデルチェンジでツアラーの要素が強くなりました。
出かけた先でヘルメットをかけておけるヘルメットロック、荷物の積載時に便利な荷掛フック、保険の書類や簡単な工具を入れて置けるツールボックスなど装備面も充実しています。
オプションにはなりますが、スマホなどの充電に使えるアクセサリーソケット、冬場の走行を格段に快適にするスポーツ・グリップヒーターでカスタムすれば、CRF250ラリーのツアラー性能は無双の領域に。
気軽に旅に出かける相棒がほしいなら、CRF250ラリーは最高の一台です。
CRF250ラリーDETAIL
CRF250ラリーの動画インプレはこちら
CRF250ラリースペック
車名・型式:ホンダ・2BK-MD47
全長・全幅・全高(mm):2,200〔2,230〕・920・1,355〔1,415〕
軸距:1,435〔1,455〕
最低地上高(mm):220〔275〕
シート高(mm):830〔885〕
車両重量:152kg
乗車定員:2名
エンジン形式:MD47E
エンジン種類:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒
内径×行程:76.0×55.0
圧縮比:10.7
最高出力:kW[PS]/rpm) 18[24]/9,000
最大トルク:N・m[kgf・m]/rpm) 23[2.3]/6,500
燃料タンク容量:12L
タイヤサイズ前・後:80/100-21M/C 51P・120/80-18M/C 62P
ブレーキ形式前・後ろ:油圧式ディスク(ABS)・油圧式ディスク(ABSキャンセル機能付き)
〔〕はSモデル