BMW Motorradは敷居が高いのか?
BMWMotorradは国産メーカーのバイクからすると、同じカテゴリーを比べてみても車体価格が高めだし、新車にしても中古車にしても、ディーラーでの購入が基本となるため、まだまだ「敷居が高い」と感じているライダーも多いかもしれない。
しかし、そこには国産車にはないオリジナリティにあふれた数々の電子制御技術や、本場ヨーロッパで鍛え上げられてきた旅の快適装備など、あらゆる「BMWならでは」の魅力が詰まっており、一度BMWに乗ったら国産車に戻れなくなったという話もよく聞く。
もちろん基本的には高級輸入車であることには変わりないのだが、そんなラインナップの中で、比較的リーズナブルにBMWの持つ魅力を存分に楽しめるのがF900シリーズだ。
女性や初心者に愛され続けるミドルサイズシリーズ

現在F900シリーズには、アドベンチャーモデルのF900GS(姉妹モデルのF850GS)、ロードスポーツのF900R、そしてアドベンチャーツーリングのF900XRと4機種がラインナップされている。
共通しているのは2018年に850ccから900cc(895cc)へモデルチェンジした水冷並列2気筒エンジン(パラレルツイン)と、スリムでコンパクトなフレームからくるライトウエイトな扱いやすさだ。
その中でもロードスポーツモデルであるF900Rは、とくにスリム&コンパクトが際立つモデルで、停止状態からの押したり引いたりの取り回しが楽なことから、前モデルであるF800Rの頃から免許取り立ての初心者や女性から圧倒的に支持されている。
F900RとF900XRをもっと気軽で扱いやすく
BMWはそんなF900RとF900XRに、これまでよりも55mm(XRは45mm)低いローダウン仕様の「プレミアムスタンダードモデル」を発表した。
その使い勝手はスタンダードモデルとどれほど違うのか、今回は女性ライダー代表として、モデルでタレントの桜井つぐみさん(身長157cm)にF900Rのローダウンとスタンダードモデルを比較・試乗してもらった。

女優・タレントとして活動中。自他共に認める特撮マニアで、自宅に特撮グッズの一室を作り、夢は特撮番組のヒロインになること。オン・オフ問わず大のバイク好きで、近年はオフロードにハマっている。身長は157cm。愛車はスズキST250e、ホンダCRF250L(S)。
足着き改善→シートの厚みを減らす→足着き悪化→なぜ⁇

という位置づけながら、スパルタンなストリートファイター的な要素も色濃い。
ローダウンと聞くとまず思い浮かべるのがいわゆる「アンコ抜き」というシート内部のスポンジを薄く削ったもの。もちろんこのF900Rは内装の薄いローシートを採用しているのだが、実はこの手法は、スポンジを削りすぎるとシート下のフレームの角に太ももの内側が当たり、足をガニ股に広げることとなり、結果として足着きが悪くなってしまうことがあるのだ。
そこで、このF900Rは適度にスポンジを削り、前後のサスペンションに専用のショートタイプを採用することによって、スタンダードシートの815mmから760mmへとローダウン。
シート高で約25mm、前後のサスペンションで30mmと、55mmもシート高を下げることに成功したのである。

足着き、取り回し、その差は歴然
さっそく、桜井つぐみさんにスタンダード仕様とローダウン仕様に、それぞれまたがってもらい、その差を体験してもらった。

私は身長157cmで、スタンダード仕様の場合は片足は着くのですが、両足は着きませんでした。またサイドスタンドの停止状態から跨り、右側に起こすことができませんでした。やはり重さを感じてしまい左足に力が入らないんです。
スタンダードに跨るには、乗る前にサイドスタンドを払い、バイクを直立にしてから足を上げて乗るしかないですね。信号待ちなどで、足を左右に着き替える場合などは、やや不安かもしれません。

そのいっぽうで、ローダウン仕様は両足がしっかりと着きました。左足にも充分に力が入るので、サイドスタンドを出したままでスッと車体を直立に起こし、左足でサイドスタンドを払うことができました。
乗り降りもローダウン仕様のほうが圧倒的に楽です。女子は絶対的にローダウンを選んだほうがいいですね。
ローダウン仕様のプレミアムスタンダードは、元々の停車状態で車体が起きているので、車体を直立にしやすいのは、そのせいもあるだろう。
車体が起きているということは、例えばバイクの横に立ってバイク取りまわす際も起こしやすい。またフロントサスペンションがトップブリッジよりも22mmほど突き出ている分、ハンドルがスタンダードに比べ5.1mm低い。僅差ではあるが、これも小柄なライダーや女性にとっては取り回しの、やりやすさに影響を及ぼすのだ。


こうなると背伸びをするような感じになり全体的に余裕がなくなる。

背伸びの感じがなく、ポジションに余裕が生まれる。



左足だけならかなり余裕があり、スイッチも楽だ。
ちなみに身長168cm体重78kgの筆者でも、スタンダードとローダウンを比べるとやはり圧倒的にローダウンのほうが取り回しや足つきが良かった。普段はR1300GSに乗っておりツーリングやキャンプなどで大活躍しているが、通常のちょっとした買い物や用事で移動する足はCT125ハンターカブだ。どうしてもGSだと億劫になってしまう。
しかしこのローダウン仕様なら、そんなちょっとした買い物なども気負うことなくこなせそうである。


着くことになるので、計り知れない安心感がある。

一般的な日本人男性なら足着きはあまり気にならない程度の高さ。



着いているので、かなりの安心感がある。
街中から幹線道路へテストライド

桜井さんと撮影場所を出て、実際に街中へ走り出す。混雑する新橋、浜松町を抜けレインボーブリッジでお台場へ抜け、東京ゲートブリッジへ行く湾岸ルートを走ってみた。

F900Rは、スーパースポーツのように操作にシビアな感じがなくて、それでいてレスポンスはすごく良くて加速するところは加速し、曲がるのもすごく素直ですね。マイルドで軽やかな印象で、走っていてとても気持ちがいいです。


そしてローダウン仕様だと、乗り降りが楽なので、なんか初めて乗ったのに、すぐに馴染む感じがあるんですよね。それを女子ライダーでもしっかり感じられました。街中で信号待ちをした際も、片足がしっかり着くのですごく安心感がありますね。


撮影中に合計で10回ほどUターンをしたんですけど、両足を交互に着きながらUターンするような時でも、この足着きにすごく助けられましたね。スタンダードだともっとずっと難しくなるはずなので、私なら間違いなくプレミアムスタンダードを選びます。

余裕がなくなり、体をひねる動作にも影響がでるが、これならまったく問題ない。
実際撮影のために何度かUターンをしてもらったのだが、桜井さんはスルスルと、しなやかにUターンをこなしていた。これは元々桜井さんのライディングが上手いのもあるが、やはり足を着くシーンは多々あったので、確実にローダウン仕様の効果は高い。
スペックを比較してみる

実際に試乗してみて、スタンダードとローダウン仕様では大きな差があったのは実感したが、今回設定されたローダウン仕様はスペック上でどれほど違うのか比較してみたい。


こうしてみるとF900Rでシート高は55mm、F900XRだと45mmほども下がり、フロントサスペンションだと取り付け位置が5.1mm下がり、ストローク量が20mm減った設定になっている。
単にサスペンションが短くなると、底付きや硬さが強調されることもあるが、そこはBMWの純正カスタムだけにきちんとした設計で行なわれているので、乗り味に不満は皆無と言えよう。


しかしダイナミックESAといったBMWならではの電子制御は搭載されない
ローダウン仕様のほうがお得な場合も!?

最後にF900RとF900XRのスタンダードとローダウン仕様の車体価格を比較してみたい。
F900R 128万7000円~137万8000円
F900R Low 131万3000円~140万4000円
F900R Touring 145万7000円~154万8000円
F900R Touring Low 144万1000円~153万2000円
F900XR 154万8000円~159万9000円
F900XR Low 151万3000円~156万4000円
価格の差はグラフィック(カラーリング)によるものだが、注目したいのはスタンダードのF900Rよりもローダウン仕様のほうが26000円高いのだが、ツーリングモデルだと、16000円安い設定。
F900XRにいたっては、ローダウン仕様のほうが35000円もお得なのだ。
F900RとF900XRは、しっかりとあらゆるBMWらしい恩恵を受けることができ、そのうえで比較的リーズナブルな価格帯の設定でありながらも、こうしたローダウン仕様でさらに日常使いからサーキット、ロングツーリングまでこなす懐の広いモデルだ。
これらのプレミアムスタンダードモデルは、すでに全国の正規ディーラーで取り扱いが始まっているので、跨ったり店舗によっては試乗が可能だ。
敷居の高さを感じて、これまで二の足を踏んでいたようなライダーこそ、この扱いやすさや気軽さを味わってBMWMotorradのバイクライフを存分に謳歌してほしい。


タンデムやロングツーリングも充分に楽しめる。








