公道で最速のモタード!と言われたらどの車種を思い浮かべますか?
少し前まではモタードモデルは多くあったので悩みますよね。
スズキ DRZ400SMや、ヤマハ WR250X、ホンダCRF250M、カワサキ Dトラッカー…

私の愛車WR250X!
…と、言いたいですが流石に最速と言うのはおこがましいですね。
しかし、詳しい人ほど「最速モタード !」と答えるバイク、それがKTM 690SMC-R(以下SMC-R)です。
(ハスクバーナFE501やヤマハWR450Fを挙げるマニアもいると思いますが、それはレーサーなので例外として…)
そのSMC-Rの中でも尖ったスペックの年式に乗ることができたのでガチインプレします!
今回インプレするKTM 690SMC-Rがコレだ!

今回乗ったのはKTM 690SMC-R(2015)!
最新型よりも10kgほど軽く、SMC-Rの中でも尖っていたモデルです!
まず美しい!モタード好きはため息の出るような素晴らしいフォルムです。
フロントからテールにかけてシートがほぼフラット!
公道を意識したWR等のモデル(右)は足つきを意識してシートの中央が凹んだりしますが、SMC-Rは容赦ないです。


橙色のバイクっていいよね。
既に見た目からして戦闘力高めなSMC-Rの細部を見ていこう!
衝撃的なスペックのエンジン!

このバイクのヤバイ点はほぼエンジンに集約されます。
スペックを見るとこちら。

なんと690cc単気筒!極端なビッグシングルです。
ボアの内径は102mm!なんとトライアンフのロケット3(2300cc)よりデカいボア径です。

こんな軽いバイクの中で10cm超えのピストンが上下してるかと思うとロマンしかない。
しかし意外なのはDOHCではなくSOHCという点。(SOHCが何か語ると長いので割愛します)
おそらく高回転のピークパワーより低速を優先させたためです。
乾燥135.5kgという軽さに67ps/68Nmは圧巻のスペック!
ちなみに筆者のWR250X(250cc)で乾燥123kgに31ps/11Nm。比較すると、どれだけパワフルで軽いか分かります。
豪華すぎる各種装備
細かい装備が豪華すぎました…。いくつか顕著なものを紹介します。
サスは前後ホワイトパワー(WP)製!
モトクロッサーやエンデュランサーにはオーリンズと同じくらい有名な高級サスメーカーです。


ブレーキは前後ブレンボ製!
しかもラジアルマウント!なんて羨ましいんだ…。


クラッチはマグラ製油圧クラッチを搭載!
握ると圧巻の軽さ!エア噛んでるかと思うくらい軽いです。

KTMパワーパーツのアクラポビッチフルエキゾースト
アフターパーツのエキゾーストを付ければさらに数キロ軽くなるというシロモノ…おそろしい。

実際に走ってみた感想は…?!

実際に低速から高速まで一気に楽しんでみたぞ!その結果、SMC-Rを一言で言うと…
化け物
でした。本当にありがとうございました。
街乗りの感想
意外にも街乗りは快適!
とにかく車体が軽いので、中型から乗り換えても違和感は少ないと思います。

ただ、足つきがマジで極悪です。シート高は驚異の890mm!
173cmで跨ると爪先はツンツン…信号待ちはややキツイ。


傾いても車体が軽いので、片足を出せば転ぶことはありません。
走り出すと、とにかくトルクフルで極低速からモリモリにパワーがあります。
アクセルをガバ開けするとひっくり返りますが、この低速パワーは意外に街乗り向きのバイクかもしれません。

中型バイクのような扱いやすさと小回りの良さがあり、街乗りは意外と快適です!
ワインディングの感想
ワインディングは無敵です。
ハッキリ言って、ワインディングでSMC-Rより速いバイクは本当に数えるほどしかないと思います。
私はリッターSSも乗っていましたが、細かいカーブの続くワインディングはSMC-Rの方が速いし気持ちいいです。

ガソリンタンクが後ろにあるのでシートの前方を極限まで使うことができます。
オフロード的な乗り方をするならこれは本当に嬉しい仕様。

加えてサスが凄まじく硬い。かなりスポーツ向きのサスになっています。
ストローク長こそありますが、カーブでもガッチリとした設置感があります。

突っ込みは前後のブレンボで圧倒的なブレーキングができ、カーブは135kgの軽さで倒し込み、立ち上がりは68Nmのトルクで加速します。

これはね。もう現代兵器よ。
オーストリアが生んだワインディングオバケ。
高速の感想

高速はやや苦手…!
低速に振りすぎて690ccなのに高速域の伸びが少ないです!

大型だけど、長距離を快適にクルージングできるバイクじゃない
新東名で120km/h巡航しろと言われたらできます。
けど、風除けもないし、シートは石みたいに硬いし、振動するのでキツイと思います。
ぶっちゃけ微妙なところ
SMC-Rも完璧じゃありません…。尖ったバイクには欠点が付き物!
けど、これだけは最初に言っておく。
欠点を差し引いてもコレ最高のバイクっすよ

あまり主観全開で書くと編集に怒られそうだけど、最高なんだから仕方ない。長所があまりにブチ抜けてるから欠点とかどうでもいい。
欠点その1 ハンドルが意外と切れない

乗ってビックリしたのがハンドルの切れ角が全然ないこと!
モタードはオフ車ベースなのでハンドルの切れ角は大きいことが多いです。
しかしSMC-Rは上の画像ほどしか切れません。
欠点その2 給油口の位置が危ない?

マフラーのすぐ近くに給油口があります。
ステンやチタンのあっついマフラーの近くにガソリンを入れる…少し怖いですね。
サイレンサーの最高温度は大体200度、ガソリンの発火点は300度。
発火点だけを見たら理論上は大丈夫なのですが、問題は引火点が−40度ということ。
静電気やハーネスリレーの火花などで引火する場合もあるので注意は必要です!
SMC-Rに限らず、給油する際には周囲へガソリンをこぼさないよう慎重に行ないましょう!!

給油時にシートバッグを外さないとダメなのもめんどい!
欠点その3 メンテナンスが少しシビア
レーサーではないにしろ、少しシビアなメンテナンスを必要とします。
とにかくブン回してスポーツする想定のバイクです。
ブン回さないとカーボンが溜まり、カーボンが溜まると色んなクリアランスが崩れて壊れたりします。
定期的なオイル交換はもちろん、ガソリン添加剤やオイル添加剤でマメにカーボンスラッジを除去することが必要です。
例えば国産車のWR250X/Rはオイル交換頻度が6000km or 半年がメーカー推奨頻度!
でも中古のSMC-Rでその頻度だと壊れる確率が高い。
心配な人はKTMディーラーで新車を買えば24ヶ月保証がありますし、最新型は色々改善されてそこまでの心配はないらしいです。
しかし、中古の旧モデルを買った場合は国産車と同じメンテナンス頻度で良いわけではないことを想定しましょう。

KTMが壊れやすいんじゃなくて国産が凄いんよ…。
イタリア車もスポーツ寄りだと似たようなモンです。
まとめ!コレは公道モタードの最高峰。


魂のこもったバイクだった
開発者の強い思いが籠ったバイクでした。
ここまでスポーツに尖ったバイクを世に出すってのは本当に大変だと思います。
スポーツバイクってスペックを重視するじゃないですか。特に馬力。
軽さやトルクって軽視されがちなんですが、コレは馬力を捨ててトルクと軽さを取ったバイク。
スペックではスーパースポーツに劣りますが、サーキットでは一線級で戦えるスペックがあります。
SMC-Rが気になった人はぜひ実車に乗ってほしい!
諸元表には表れない良さがギッシリ詰まっていますので、気になった人は近くのKTMディーラーへ行ってください!

