販売価格は?排気量区分は?ハーレーの電動アシスト自転車「SERIAL 1」を徹底解説

2020年10月に発表され、すでにアメリカでは販売開始されているハーレーダビッドソンの電動アシスト自転車「SERIAL 1」(シリアルワン)。日本で販売されるかどうかは未発表ですが、本国ではハーレーダビッドソン正規ディーラーで販売されているだけに、同様の販路を持つ日本でも そう遠くない将来販売されるはず。ハーレーダビッドソンではない「SERIAL 1」という企業名ながら、ハーレーのレガシーをプンプン匂わせるeBIKEが日本に上陸することを想定し、性能や販売価格、日本における排気量区分の扱いについて考察しました。

目次

ハーレーの電動アシスト自転車 SERIAL1を紐解く

120年前の創業思想から生まれたeBIKE

米ウィスコンシン州ミルウォーキーの「ハーレーダビッドソンミュージアム」に展示されている第一号機「シリアル No.1」(筆者撮影 / 2013年)

SERIAL 1のシルエットとブランド名は、ハーレーダビッドソンが創業した1903年(明治36年)に製造した第一号機「シリアル No.1」に由来します。現在のハーレーの代名詞である縦置き型のVツインエンジンが生まれるよりも前、ハンドメイドのガソリンエンジンとフューエルタンクを備えつけたこのバイクがハーレー初号機であり、SERIAL 1の原点なのです。「新しいエネルギーで動く乗り物をつくる」という創業の思いがSERIAL 1で表現されている、と言えますね。

ラインナップは4モデル

MOSH / CTY、RUSH/ CTY STEP-THRU、RUSH / CTY、RUSH / CTY SPEEDの4モデルがSERIAL 1のラインナップを形成

ラインナップは、シンプルなスタイルでお手頃なMOSH / CTY、そのMOSH / CTYの上位互換となる駆動方式を備えるRUSH / CTYと、RUSH / CTYをBMX風にスタイリッシュにしたRUSH / CTY STEP-THRU、高速域走行を可能にしたRUSH / CTY SPEEDという4モデルから構成されています。

バイクと違い、オーナーの体型や体格に合わせて車体が選べるよう、S / M / L / XLとサイズ別に揃えられています(RUSH / CTY STEP-THRUのみXLがありません)。

仕様

MOSH / CTY

一見すると普通の自転車のように見えるシルエット。ハンドルからバッテリーおよびモーターにかけて配線があるはずですが、フレーム内を通しているからかスッキリしたまとまり方になっています。配線類のフレーム内収納はハーレーカスタムの世界でよく用いられる手法なので、ハーレーらしさが漂う部分とも。

MOSH / CTYのハンドルまわり

ペダルを漕ぐのでスロットルはありません。その代わり、ハンドルにはエコ / ツアー / スポーツ / ブーストに切り替えられるコントローラーが備わっており、ここで調整をはかります。

走るときだけでなく、押して歩く際の補助的役割を担う「ウォークアシスト機能」も。これバイクにも付けて欲しいな……。

MOSH / CTYのベルトドライブ

駆動方式はベルトドライブ。eBIKEでは当たり前なのかもですが、早い時期からベルトドライブを採用していたハーレーとしてはノウハウがたっぷりあるので、ここも「ハーレー十八番のベルトドライブ」といったところか。

MOSH / CTYのブレーキングシステム

ブレーキは油圧式のディスクシステムが採用されています。

MOSH / CTYのブレーキライト

リアには当然ブレーキライトが。小さいですがLED製なので、視認性はバッチリ。ヘッドライトももちろん備わっていますが、始動時にはフロントにある「SERIAL 1」エンブレムが光るという心憎い演出も。その模様、是非記事の最後に入れてある動画でご覧ください。

RUSH / CTYのバッテリー

バッテリーおよびモーターは股下にあります。そのまま充電ケーブルを差し込めますし、バッテリーだけ取り外して別の場所で充電することも可能です。

一回の充電時間は、MOSH / CTYとRUSH / CTY STEP-THRUの2モデルがトータルで4.7時間、もう2モデルが6.5時間という設定。お出かけ先で充電……というのはちょっと現実的じゃないかな、宿泊でもない限り。街の各所に急速充電可能な施設ができれば別ですが、世界的に見ても試験的に取り組んでいる段階なので、オーナーは毎晩自宅で充電してから、満充電で走れる往復距離で利用することになりそうですね。

フル充電からの航続距離はそれぞれこのような数値に。道路状況によって消耗度合いが違ってくることから、このような振り幅になっているそう。同じ駆動方式を採用しているRUSH / CTY STEP-THRUとRUSH / CTYの数値設定に違和感ありまくりです。いくら電気をエネルギーに用いていて消耗が不安定だからと言って、こんな差にはならないだろう……と思っちゃいますが、オフィシャルサイトのスペックシートを再三計算した結果なので、こういうものなのだと広い心で受け止めてください。ハーレーでもこういうことがよくあるので、アメリカあるあるです。

重量

重量はMOSH / CTYが約22キロと一番軽く、他の3モデルは27キロほど。残電力がなくなって”鉄の塊”と化したら、前述のウォークアシスト機能も使えないので 若干恐怖を覚えますが、他の電動アシスト自転車も大体このぐらいの重量に収まっているので、こういうもんなんだな、ぐらいで受け止めておきます。

速度

MOSH / CTY、RUSH / CTY STEP-THRU、RUSH / CTYの3モデルの最高時速が32km / hで、RUSH / CTY SPEEDが45km / h。さすがスピードと名付けられているだけあって、他の3モデルよりも頭ひとつ抜け……

ってオイ。電動アシスト自転車ってこんなに速いの? 原付バイクと遜色ない速度域です。文化の違いか、あくまでアメリカやヨーロッパを視野に入れて開発された乗り物なのでしょうけど、日本の公道で 免許なし・ナンバーなし・ヘルメット着用なしで走れる仕様ではありませんSERIAL 1。物議を醸した電動キックボードと同じく、要免許の乗用車として取り扱われるものと思いますが、免許区分が乗用車の排気量で設定されている日本だと、SERIAL 1はどの層(原付 / 小型二輪 / 中型二輪 / 大型二輪)にカテゴライズされるのでしょうか。

該当カテゴリー

ここで基準となるのは「定格出力」で、道路運送車両法では以下の3つに区分されます。

出力が529Wh(ワットアワー)から706WhもあるSERIAL 1は、ここに照らし合わせると軽二輪にカテゴライズされるよう。126cc(中型免許)以上という扱いなの?と訝しむ一方、運転免許区分に関わる道路交通法だと、20kW(キロワット)という新基準が設定されているそうで、こちらの区分は道路運送車両法とは違う4つの区分に。


こちらに照らし合わせると、20kW以上のSERIAL 1は大型二輪免許にカテゴライズということになりますが、いくらなんでもそれはちょっとどうかと思います。個人的見解ですが、そこそこの性能を持つ乗用車とはいえ、SERIAL 1に高速道路を走られるのは 遭遇する身としては怖すぎます。某フードデリバリーの首都高出没率が高まりそうで、気が気でないです。

小型二輪免許以下、原付免許に属するのが良いのではないか?というのが個人的見解です。自転車をはじめさまざまな乗り物に寛容で道も広々しているアメリカとは違い、日本はストップ&ゴーが多く都心部の道は大変入り組んでいるので、相応の整備が必要かと思います。

SERIAL 1が日本に上陸した際、どんな環境になっているか。不安でもあり、楽しみでもあります。

販売価格

2021年8月現在の相場で日本円に換算したSERIAL 1の4モデルそれぞれの販売価格。日本で販売される際は関税がかかるので、もう1割ほど高くなると予想

販売開始しているオフィシャルサイトの販売価格(ドル)を日本円に換算しました(2021年8月現在の相場)。あくまでアメリカ本国での販売価格を換算しただけで、日本で販売される際は関税がかかるので もう1割ほど高くなるものと思われます。

自転車と見たら高いですが、小型二輪(51cc〜125cc)の範疇として捉え、メーカー希望小売価格が44万円のホンダ ハンターカブと比べると、競合とまではいかなくとも比較には入れられるかと。

ガソリンエンジンの乗用車と比べるとなると、ぶつかる壁がインフラ問題。ガソリン車ならよほどの僻地にでも行かない限り給油可能な環境が整っていますが、電動アシスト自転車だとガソリンスタンドのように充電スポットが乱立してはおらず、また充電時間も給油時間とは比較にならないほど長くかかります。将来的にインフラもどんどん整備されていくとは思いますが、使用用途をタウンユースに絞って時代の先取り感に価値を見出すか。現時点でのSERIAL 1のアドバンテージはこんなところかと思う次第です。

販売店

日本全国に約120店舗あるハーレーダビッドソン正規ディーラー(写真はハーレーダビッドソン浦安)

別会社とはいえ100%ハーレーダビッドソン モーターカンパニーが出資しているので、アメリカ本国ではハーレーダビッドソン正規ディーラーで販売されているSERIAL 1。日本にも約120店舗というハーレーダビッドソン正規ディーラーがあるので、ハーレーダビッドソンジャパンが日本の総代理店となって この販売網で全国展開をすることは想像に難くありません。むしろオートバイの取り扱いを心得ている販売店で買えることの安心感が大きいです。

SERIAL 1のウェブサイトを見るとインターネット通販で購入できるようですが(SERIAL 1のYouTubeでも組み立て動画が出ています)、おそらく日本ではナンバープレートの発行・取り付けを含めた車両登録手続きが必要になるので、この購入方法は容易ではなさそうかと。日本で販売される際は、まず販売店での直接購入が前提となるでしょう。

ちなみにアメリカではSERIAL 1のレンタルもされているそうなので、日本でもレンタルできると嬉しいですね。

まとめ

欧米では さまざまなメーカーのeBIKE(電動アシスト自転車)が普及していっている

電動アシスト自転車と聞くと、バッテリーを積んだママチャリのイメージが強いですが(僕だけだったらすいません)、欧米では eBIKE として多くの人がライフスタイルに取り入れており、ドイツの老舗機器メーカー BOSCH やスタートアップ企業が続々とプロダクト開発に勤しむ 今まさにホットな話題のモビリティとなっています。マーケティング戦略の観点からハーレーダビッドソンが参入するのも当然のムーブメントで、この波は近い将来日本にも届き、プロダクトが雪崩れ込んでくるのはもちろん、その潮流に押される形でインフラ整備も加速化していくことでしょう。

脱炭素社会の実現に力を入れる日本政府は昨年、2050年までに温室効果ガスを実質ゼロにする「カーボンニュートラル宣言」を世界に向けて発信しました。同じく昨年、小池百合子 東京都知事は、2030年までに都内におけるガソリンエンジン新車の販売を禁止すると宣言。宣言年までにすべて完遂できるかどうかは定かではありませんが、数十年もしたら周囲の乗用車がすべてエレクトリックになっている–––なんてことが現実にあるかもしれません。「空冷エンジンは時代の遺物」、そんな風に言われる時代がもうそこまで迫ってきています。

 生き残りにかける執念はどこよりも強いハーレーダビッドソン(ハーレーダビッドソン本社 / 2013年に筆者撮影)

SERIAL 1は、そんな時代の変化を察知していち早く生み出されたハーレーダビッドソンの新時代の寵児。120年の歴史を持つ同社のレガシーを感じさせつつ、最先端のモビリティとして仕上げられているところに「さすが」と唸らされます。ハーレーの歴史を振り返ってみると、非難を浴びた1969年のAMFによる企業買収の受け入れだったり、しがらみに縛られず なりふり構わず生き残ろうとする執念を随所で感じられるのです。その執念が、倒産することなく120年以上も歴史を積み重ねてこられた原動力なんだと思います。

MOSH / CTY @ SERIAL 1 powerd by HARLEY-DAVIDSON

時代を先取りしたプロダクトと独自の販売網を持つことから、日本でも販売される日が来るであろうハーレーダビッドソンの電動アシスト自転車 SERIAL 1。まずは現車を見てから……ですが、合わせて SERIAL 1積み立てを今から始めようと思います。

現車を見られる日が、今から楽しみでなりません。

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