ENNEは、免許不要で16歳以上から運転可能な特定小型原動機付自転車(以下、特定原付)市場に、新たな電動モビリティ「ENNE F750 spec4」と「ENNE T600 GR」を投入した。これまでの特定原付は、比較的高価であったり、性能面で不満の声が聞かれることもあったが、ENNEはこれらの課題を解決し、ユーザーに快適で経済的な移動体験を提供することを目指している。特に、F750 spec4は価格面で、T600 GRは走行性能とバッテリー持続性において、それぞれ注目すべき特徴を持つ。
ENNE F750 spec4:価格と実用性の両立
ENNE F750 spec4は、電動キックボードが多い特定原付市場において、ミニベロ(小径自転車)のようなスタイリッシュなデザインが目を引く。このモデルの最大の特長は、その価格設定にある。メーカーは「価格だけ見れば特定原付では最低ライン、品質は価格と反比例!」と説明しており、初期ロットの1〜100台は115,000円(税込)という破格で提供される。その後、101〜500台目は135,000円、501〜1000台目は155,000円、1000台目以降は175,000円と段階的に価格が上昇する仕組みである。この価格設定は、特定原付の導入を検討するユーザーにとって魅力的な選択肢となるだろう。
黒い背景に、ヘッドライトとテールライトが点灯した黒い折りたたみ式電動自転車。
F750 spec4は、価格だけでなく日常使いにおける実用性も重視されている。速度モードは6km/h(歩道走行可)と20km/h(車道走行可)の切り替えが可能であり、走行シーンに応じた安全な運用ができる。また、20インチの極太タイヤ(20×4.0)と前後フルサスペンション(路面からの衝撃を吸収する前後サスペンションシステム)を搭載することで、街中の段差や多少の悪路でも安定した快適な乗り心地を実現している。定格出力600W、瞬間最大電力1500Wのモーターは、最大積載量150kgまで対応し、荷物積載時や坂道でも力強い走行を可能にする。航続距離は50〜70kmを確保しており、通勤・通学から休日のサイクリングまで対応できる。さらに、折り畳み時のサイズは990×550×760mmとコンパクトになるため、車のトランクへの積載や玄関などでの保管にも便利である。ただし、この初期ロットは数量限定であり、売り切れ次第、次回は2026年4月以降の販売となる予定であるため、購入を検討する際は早めの確認が推奨される。
黒い背景に置かれた白い折りたたみ式電動自転車。前後ライトが点灯し、リアキャリアも装備。
ENNE T600 GR:日本の坂道に対応する高性能モデル
もう一つの注目モデルであるENNE T600 GRは、メーカーが「最強登坂能力モデル」と謳うように、日本の都市部に多い急な坂道に対応するために設計された特定原付である。体重85kgのスタッフによる走行テストでは、勾配20%(100m進むごとに20m高くなる坂の傾斜)の赤坂の急坂を19km/hで安定して登り切ったという。また、勾配14%の麻布の坂道でも20km/hを維持して走行できたと報告されている。従来の特定原付が勾配20%の坂で11km/hまで速度が低下するケースがあることを考慮すると、T600 GRの登坂性能は大幅に向上していると言える。
ENNE T600 GRが様々な勾配の坂道で登坂能力をテストした結果。
この圧倒的な登坂性能は、600Wのハイパートルクモーター(高出力で強力な加速や登坂性能を持つモーター)と、登坂性能に特化した高電流対応コントローラーの組み合わせによって実現されている。さらに、多くの中国製特定原付で問題となりがちなモーターの焼損トラブルを防ぐため、徹底した放熱・冷却対策が施されていることも特筆すべき点である。これにより、長時間高負荷をかけても安心して走行できる設計となっている。
バッテリー切れの不安を解消する「ペダル発電機構」
T600 GRの革新的な特長の一つが、特許取得済みのペダル発電機構(特許7387218)である。特定原付ではバッテリー切れが大きな懸念となるが、T600 GRはペダルを漕ぐことで自ら発電し、バッテリー消費を抑えたり、緊急時に充電したりすることが可能である。メーカーによると、従来のモデルと比較して発電効率が8倍以上に向上しており、ケイデンス(ペダルを漕ぐ速さ)50RPM〜100RPM(ゆっくり自転車を漕ぐ程度の速さ)で発電機を回すことができる。これにより、純電気での航続距離50〜70kmに加え、ペダル発電を併用することで最大100〜140kmという航続距離の延長を実現している。これは、充電忘れや予期せぬ長距離移動の際に、ユーザーの不安を軽減する画期的な機能である。
モダンな屋内に置かれた鮮やかな青色の折りたたみ自転車。
T350 Pro(T600 GR)とT250の発電量を比較したグラフ。T600 GRは従来モデルを上回る発電性能を実現。
ペダル漕ぎ発電を可能にする専用コンバーターユニット。
ENNE T600 GRの主要スペックと価格
T600 GRの主なスペックは以下の通りである。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 速度モード | 6km/h(歩道走行可)、20km/h(車道走行可) |
| 重量 | 18kg |
| タイヤサイズ | 14インチ(1.95) |
| 定格出力 | 600W |
| 発電機定格出力 | 350W |
| バッテリー | Panasonic等 14Ah/10.4Ah |
| 折り畳み時サイズ | 750×500×600mm |
| 特別価格 | 192,000円(定価320,000円から40%OFF) |
T600 GRは、F750 spec4よりも約11kg軽量であり、折り畳み時のサイズもさらにコンパクトになっている。先行販売価格は192,000円(税込)で、定価320,000円から40%オフという設定である。また、50,000円のパワーアップキットでモーターとコントローラーを交換することで、さらなる走行性能の向上も可能である。
ENNEが提案する特定原付の新たな価値
ENNEは、単に低価格な製品を提供するだけでなく、ユーザーの具体的な課題解決に貢献しようとする姿勢を示している。限定5台が数秒で完売したT600 GRを、ユーザーの声に応えて量産化に踏み切ったという経緯からも、顧客志向のメーカーであることが伺える。メーカーは「価格は安いが品質は高い」という、一見すると相反する価値提供を目指している。特に、特許取得済みのペダル発電機構は、特定原付のバッテリーに関する最大の不安要素を解消する画期的なソリューションであり、この分野におけるENNEの技術的な先進性を示している。ENNEの特定原付は、通勤・通学、休日のレジャーなど、多様なライフスタイルに新たな移動の選択肢をもたらす可能性を秘めている。
購入情報と留意点
ENNEの特定原付は、公式オンラインショップにて購入可能である。
- 公式オンラインショップ: https://shop.ennegt.com/
購入を検討する際には、以下の点に留意する必要がある。
- F750 spec4は数量限定で価格が変動し、特に初期ロットは早期完売が予想される。一人一台限りの購入制限がある。
- T600 GRも先行販売価格は数量限定であり、定数に達し次第、通常価格での販売に移行する。
- バッテリーはPanasonic製が基本だが、同等性能のLG、SAMSUNGなどの他社製品が使用される場合がある。
- 航続距離は、体重や路面状況によって変動するため、表記の数値は保証されるものではない。
- 走行時は、自賠責書類の携帯が義務付けられている。
- ヘルメットの着用は努力義務であるが、安全のため着用が強く推奨される。
- 運転は16歳以上の者のみが可能であり、免許は不要である。
- 道路交通法に違反する行為は絶対に行わないよう、注意が必要である。
ENNEは、お得な情報などを公式SNSでも配信している。
* ENNEラインアカウント: https://lin.ee/PWCixKL
* ENNE公式Twitter(X): https://twitter.com/ENNE_INFO
ENNEの特定原付は、コストパフォーマンスと実用性を兼ね備え、新しい移動手段を求めるユーザーにとって魅力的な選択肢となるだろう。F750 spec4の初期ロットやT600 GRの先行販売価格は数量限定であるため、購入を検討する際は、早めに公式サイトで詳細を確認することが推奨される。
リリース提供元:株式会社ENNE














