クルマのホイールを見ていると、商品名やスペック表に「17×8.5J +15 6H139.7」など、数字と記号の並んだ表記を見かける。これはホイールのサイズや仕様を表す記号だ。
純正ホイールと同じ大きさのものを選べば問題はないが、どうせホイールを変えるならインチアップしたり、ちょっと太いタイヤを履かせて、車両のイメージや走りをアップグレードしたいもの。
そんな時に必要不可欠となるのが、ホイールのサイズを表す表記をちゃんと読めるスキルだ。このホイールサイズを表す表記の意味をきちんと理解すれば、自分のクルマに合うホイールを選びやすくなる。
ここでは、ホイール初心者でもすぐに理解できるよう、表記の読み方をやさしく解説していこう。

1. ホイールサイズの基本表記:「17×8.5J」って何?

「17」=ホイールの直径(インチ)

この数字は、ホイールの直径(外周サイズ)を表している。単位は「インチ」で、17とあれば17インチホイールという意味だ。装着するタイヤのサイズにも関係する、最も基本的な情報。
| 車両カテゴリー | ホイールサイズの目安(インチ) | 特徴・備考 |
|---|---|---|
| 軽自動車 | 12~15インチ | 街乗り重視。小径で細いホイールが主流。カスタムでは14~15インチにすることも多い。 |
| コンパクトカー | 14~16インチ | ヤリスやフィットなど。純正で15インチが多く、16インチでスポーティに見せることも可能。 |
| ミニバン(小〜中型) | 15~17インチ | シエンタやフリードなど。乗り心地とのバランスが重視される。 |
| ミニバン(大型) | 16~18インチ | ノア/ヴォクシー/セレナ〜アルファードクラス。見た目重視で19~20インチへのカスタムも多い。 |
| セダン(普通車) | 16~18インチ | カムリ・クラウンなど。快適性とスポーティさのバランスを取ったサイズが多い。 |
| SUV(小型) | 16~17インチ | ライズ、ヴェゼル、CX-3など。悪路性能とスタイルを両立。 |
| SUV(中~大型) | 17~20インチ | RAV4、ハリアー、ランドクルーザーなど。カスタムで20~22インチにする例も。 |
| クロカン系4WD | 15~17インチ | ジムニーやランクル70系など。タイヤを太く・高くするため小さめホイールで厚いタイヤが基本。 |
| スポーツカー | 17~20インチ | GR86、フェアレディZ、シビックタイプRなど。軽量で高剛性なホイールが求められる。 |
| ハイパフォーマンス車 | 19~21インチ | スープラ、GT-Rなど。大径ホイール+ワイドタイヤでトラクション向上を図る。 |
「8.5」=リム幅(インチ)

「×8.5」は、ホイールのリムの幅(タイヤがはまる部分の幅)を表している。
このリム幅が広いほど、ワイドなタイヤを履けるが、クルマに干渉しないかを事前に確認する必要がある。
| 車両カテゴリー | 一般的なリム幅(J) | 備考・特徴 |
|---|---|---|
| 軽自動車 | 4.0J ~ 5.5J | 細身のタイヤが基本。カスタムでは5.5J〜6.0Jにする例も。 |
| コンパクトカー | 5.0J ~ 6.5J | フィットやヤリスなど。16インチ+6.0J〜6.5Jが人気。 |
| ミニバン(小~中型) | 5.5J ~ 7.0J | シエンタ・フリード等。5穴車両なら6.5J〜7.0Jでワイドにする例も。 |
| ミニバン(大型) | 6.5J ~ 8.0J | アルファード・ヴェルファイアなどは7.5J~8.0Jも一般的。 |
| セダン(普通車) | 6.5J ~ 8.0J | クラウンやマークXなど。見た目重視で8.5Jを履く例もあり。 |
| SUV(小型) | 6.0J ~ 7.5J | ライズやヴェゼルなど。純正は6.5J前後。オフ系なら太めにする傾向。 |
| SUV(中〜大型) | 7.0J ~ 9.0J | RAV4、CX-8、プラドなどは7.5J〜8.5Jが一般的。 |
| クロカン系4WD | 6.0J ~ 8.5J | ジムニー純正は5.5J、ランクル系は8.0J前後。太いタイヤを履くため8.5Jや9.0Jもよく使われる。 |
| スポーツカー | 7.0J ~ 9.5J | GR86、シビックタイプR、フェアレディZなど。前後異サイズ(F:8.5J / R:9.5Jなど)もある。 |
| ハイパフォーマンス車 | 8.5J ~ 11.0J | GT-R、スープラ、ポルシェなど。ワイドタイヤでグリップを稼ぐ設計が多い。 |
「J」=フランジ形状(タイヤが引っかかる部分の形)

「J」は、リムの立ち上がり部分(フランジ)の形状を表す記号。一般的な乗用車用ホイールはほとんどが「J」タイプだ。ほかにも「JJ」や「B」などがあるが、特殊車両向けが多いため、初心者は「J」と覚えておけば問題ない。
| 記号 | 名称・読み方 | 主な用途・特徴 |
|---|---|---|
| J | ジェー | 最も一般的。乗用車・SUVの多くに採用されている。 |
| JJ | ダブルジェー | オフロード車や4WD車によく使われる。Jよりフランジがやや太い。 |
| B | ビー | 商用車や一部の古い車種向け。断面が直線的で、現在は少数派。 |
| K | ケー | トラックや一部SUVで見られる。JJよりもさらに厚みのあるタイプ。 |
| JK | ジェーケー | 特定車種向け。JとKの中間的なフランジ形状。 |
| D、DC | ディー、ディーシー | 大型車や特殊用途向け。バスや大型トラックで使用。 |
2. インセット(オフセット):「+15」ってどういう意味?

「+15」は、インセット(=オフセットとも呼ばれる)を表している。
これは、ホイールの中心から取り付け面までの距離をミリ単位で表したもので、ホイールの「出面(でづら)」に大きく関わる。
- 「+」プラスの数字 → 車体の内側に引っ込む
- 「-」マイナスの数字 → 車体の外側に張り出す
例:+15なら、ホイールの取り付け面がリムの中心より15mm外側にあるという意味。
この数値が合わないと、フェンダーからはみ出す・車体に干渉するといったトラブルが起きるので要注意だ。
| インセット値の目安(mm) | 特徴・傾向 | 主な用途・車両例 |
|---|---|---|
| +50〜+60前後 | かなり内側に寄る(引っ込み気味) | 軽自動車・FFコンパクト・純正ホイールに多い |
| +40〜+49 | 標準的な純正サイズ | コンパクトカー/ミニバン/セダンで一般的 |
| +30〜+39 | やや外に出る(ツライチ傾向) | カスタムミニバン/SUV/セダン(社外ホイール) |
| +15〜+29 | 外に張り出す(ワイド感あり) | クロカン車・オフロード仕様・ワイドタイヤ向け |
| +0〜+14 | かなり外に出る(はみ出し注意) | オーバーフェンダー車/極太タイヤ装着車向け |
| ±0(ゼロ) | 取り付け面がホイール中心と同一 | ハイリフト4WD/競技用車両など |
| −1〜−30前後 | 極端に外へ張り出す | ドリ車・極太ホイール/フルカスタム車など |
3. ホール数とPCD:「6H139.7」って何?
「6H」=ホイールの穴の数(=ボルト穴)

「6H」はホイールにあいているボルト穴の数が5つあることを表す。
Hは「ホール(hole)」の略。乗用車では「4H」や「5H」が一般的で、車種によって異なる。
| 穴数(ホール数) | 記号表記 | 主な車両カテゴリー | 備考・特徴 |
|---|---|---|---|
| 4穴 | 4H ○○○○ | 軽自動車、旧型コンパクトカー | 軽くて小型の車に多い。PCDは100mmが主流。 |
| 5穴 | 5H ○○○○ | 普通車全般、SUV、ミニバン | 現在の標準。剛性とバランスに優れる。PCDは100/114.3が多い。 |
| 6穴 | 6H ○○○○ | ランドクルーザー、ハイラックス、トラック系 | 強度が必要な大型車向け。PCDは139.7mmが主流。 |
「139.7」=PCD(Pitch Circle Diameter)

「139.7」は、ホイールのボルト穴の中心を結んだ円の直径(単位:mm)を表す。これをPCD(ピッチ・サークル・ダイアメーター)という。
この数値がクルマ側の仕様と合っていないと、ホイールを取り付けることができないので非常に重要なポイントだ。
| PCD(mm) | 穴数(H数) | 主な車両カテゴリー/代表車種 | 備考・特徴 |
|---|---|---|---|
| 100 | 4H・5H | 軽自動車(N-BOX、ワゴンR)、フィット、ヤリス、インプレッサ(旧)など | 国産車に多く使われる。軽量車向け。4Hと5Hの両方あり。 |
| 114.3 | 5H | カローラ、クラウン、RAV4、ハリアー、ヴェゼル、スカイライン、ノア/ヴォクなど | 現代の国産普通車・SUVの主流PCD。汎用性が高い。 |
| 139.7 | 5H・6H | ジムニー(5H)、ハイラックス、ランクルプラド(6H)、旧型4WDなど | トラック・SUV系に多く、強度重視の設計。 |
| 112 | 5H | メルセデス・ベンツ、アウディ、フォルクスワーゲンなどの欧州車 | 欧州車の定番PCD。社外ホイール購入時は要確認。 |
| 120 | 5H | BMW、MINI(5穴モデル)、一部トヨタ(スープラなど) | BMW系列車種専用のPCDが多い。 |
| 127 | 5H | ジープ ラングラー、グランドチェロキーなど | アメリカ車に多いPCDサイズ。カスタム対応品も豊富。 |
| 130 | 5H | ポルシェ(911・ボクスターなど) | 専用設計。社外ホイールは限られる。 |
| 108 | 4H・5H | プジョー、ボルボ、シトロエン、フォード(欧州仕様)など | 欧州コンパクト車に多く使われる。 |
4. 表記のまとめと読み方の例
たとえば、
「17×8.5J +15 6H139.7」 という表記は以下のように読む:
- ホイールの直径:17インチ
- リム幅:8.5インチ
- フランジ形状:J
- インセット:+15mm(やや内側に引っ込む)
- ボルト穴の数:6つ
- PCD:139.7mm(6穴で等間隔の円)
この表記を理解しておけば、ショップや通販サイトで自分の車に合ったホイールを探すのも簡単になる。
まとめ|表記がわかればホイール選びは怖くない

一見ややこしく見えるホイール表記も、基本の意味さえ押さえれば難しくない。
見た目で選ぶ前に、まずは「サイズが合うかどうか」をチェックすることが、失敗しないホイール選びの第一歩である。
クルマのカスタムが初めてでも、この知識を持っていれば、安心してホイール選びを楽しむことができるだろう。







